小林製薬紅麹事件研究解説 「体温計で血圧を測る」自主点検──紅麹の種類すら確認せず、食品に医薬品の評価を適用──
株式会社薫製倶楽部(岡山県都窪郡早島町)は2026年5月9日、自社ウェブサイトに小林製薬紅麹事件 「体温計で血圧を測る」自主点検──紅麹の種類すら確認せず、食品に医薬品の評価を適用した──科学的評価を欠いた行政の無知が、225社の企業名公表を生み出した──── こんな非科学で、企業名を公表させられた ── 食品会社からみてを公開した。
株式会社薫製倶楽部(岡山県都窪郡早島町)は2026年5月9日、自社ウェブサイトに小林製薬紅麹事件 「体温計で血圧を測る」自主点検──紅麹の種類すら確認せず、食品に医薬品の評価を適用した
──科学的評価を欠いた行政の無知が、225社の企業名公表を生み出した──
── こんな非科学で、企業名を公表させられた ── 食品会社からみて
を公開した。
▼対象記事URL
https://kunsei.com/archives/835
令和8年5月 株式会社薫製倶楽部
「我々紅麹業界に何が起こったか」
52 「体温計で血圧を測る」自主点検──紅麹の種類すら確認せず、食品に医薬品の評価を適用した
──科学的評価を欠いた行政の無知が、225社の企業名公表を生み出した──
── こんな非科学で、企業名を公表させられた ── 食品会社からみて
【概要】 本稿(52)では、その一歩手前の問題──そもそも自主点検の設問設計自体が科学的・法的に成立し得ないものであったこと──を検証する。 厚労省が自主点検の対象基準として設定した条件は「小林製薬製原料を用い、かつ1日あたり100mg以上の紅麹を摂取する製品」であった。 しかしこの100mgという数値は、小林製薬3製品(紅麹コレステヘルプ等)の配合量をそのまま流用したものに過ぎない。一方、225社・173社のリスト自体も「小林製薬からの報告による」と原資料に明記されている。すなわち、被疑者が提供した数値と名簿で、被害範囲を画定したことになる。 食品に対して医薬品のように摂取量の閾値を設けて安全性を評価するやり方は、規制科学の基本から逸脱している。これは「体温計で血圧を測る」ような行為──計器自体は存在するが、測定対象に対して根本的に不適切──と言わざるを得ない。 本プレスリリースは、この設問設計が抱える①科学的誤謬、②行政設計の無知、③設問②の非科学性(因果関係の証明不能)という三重の問題を、資料2(厚労省WG配付資料)の原文を引用しながら検証する。 |
1 自主点検の設問内容──原文引用
厚労省は令和6年3月下旬、「回収命令の対象となった製品以外の小林製薬の紅麹を原料とする製品への対応について(案)」(資料2)を策定し、以下の条件に該当する製品について事業者に自主点検と報告を求めた。
【自主点検の対象条件──資料2原文より引用】 条件①(量的基準) 「小林製薬の3製品に使用された紅麹と同じ小林製薬社製の原材料を用いて製造され、かつ、上記と同等量以上の紅麹を1日あたりに摂取する製品」 ※「上記と同等量」とは、小林製薬の3製品(紅麹コレステヘルプ・ナイシヘルプ+コレステロール・ナットウキナーゼさらさら粒GOLD)の紅麹原料配合量、すなわちいずれも1日あたり100mgを指す。 条件②(健康被害実績基準) 「過去3年間で医師からの当該製品による健康被害が1件以上報告された製品」 ※なお、自主点検の対象となった52社・173社のリストは、資料2の注記に「小林製薬からの報告による(重複あり)」と明記されている。 |
2 三重の誤謬──並列検証
2(1) 科学的誤謬──食品に医薬品の閾値評価を適用した
紅麹(Monascus purpureus)は味噌・紹興酒・豆腐よう・漬物など、東アジアの発酵食品に千年以上使用されてきた食品素材である。
そもそも、食品としての紅麹を1日にどれだけ食べてよいか、この設問を設計した役人あるいは有識者は知っていたのだろうか。紅麹は1日15g摂取しても問題がない食品素材である。現在、塩(食塩)の1日摂取目標量は約6gと定められている。それよりはるかに多く毎日摂取してよい食品に対して「1日あたり100mg以上食べたら危険かもしれない」という設問は、非科学を超えて滑稽である。
おにぎりに置き換えて考えれば、その滑稽さは一目瞭然である。おにぎり1個に含まれる紅麹由来成分の量から逆算すれば、この設問は「1日におにぎりを10個以上食べたら危険かもしれない」と言っているのと同義である。実際、食品会社の経営者は、この設問を受け取った際に「変な質問をしてきた」と憤慨していた。食品のプロが直感的におかしいと感じた設問を、厚労省は公式の行政手続きとして全国の食品事業者に送付したのである。
これはまさに「体温計で血圧を測る」行為である──体温計という計器は機能しているが、血圧という対象に対しては根本的に不適切な道具を使っている。紅麹原料の配合量ではなく、当該ロットにプベルル酸が混入していたか否かこそが、科学的に正当な評価基準であった。
【科学的誤謬の構造】 正当な評価基準:「当該ロットにプベルル酸(汚染物質)が含まれているか」(成分分析) 実際の評価基準:「紅麹原料を1日あたり100mg以上摂取するか」(投与量比較) → 汚染物質の有無ではなく、食品素材の配合量で安全性を判定した。これは規制科学の基礎に反する。 |
2(2) 行政設計の無知──被疑者の数値と名簿で被害範囲を画定した
自主点検設問の構造的問題を整理すると、以下のことが明らかになる。
| 問題点 | 内容 |
| 閾値の出所 | 「100mg」という数値は小林製薬3製品の配合量そのまま。第三者機関による毒性試験に基づく閾値設定ではなく、被疑者自身の製品仕様が安全基準に転用された。 |
| 名簿の出所 | 52社・173社のリストは「小林製薬からの報告による(重複あり)」と原資料に明記。被疑者が提出した名簿が公表対象リストの基礎となった。 |
| 対象業種の非整合 | リストには醸造業者(日本醸造工業㈱・甘強酒造㈱等)、味噌メーカー(㈱本田味噌本店等)、薬局(金剛薬品㈱等)、ベーカリー(金谷ホテルベーカリー等)が含まれる。これらの事業者が「1日100mg以上の紅麹を摂取させる製品」を製造しているという前提自体が非科学的である。 |
| 自主点検の自己矛盾 | 「自主点検を行い報告を依頼」とされているが、点検の判断基準(何をもって安全とするか)が示されていない。設問は「対象か否か」の仕分けに過ぎず、安全性評価そのものではない。 |
| 条件①の根本的欠陥(紅麹の多様性) | 小林製薬のバリューサポートHP(kobayashi-vs.co.jp/product/benikouji/)には、現在も7種類の紅麹製品ラインナップが公開されている(下図参照)。品番・形態・主な規格・主な用途はいずれも異なる。たとえば当社が使用する5P-Dは「濃色米麹粉体、GABA含有25mg/100g、パン・菓子類・麺類・タレ用」であるのに対し、問題製品(紅麹コレステヘルプ等)に使用されたとされる製品は「モナコリンK含有100mg/100g以上、サプリメント用」である。少し調べれば判明するこの多様性を無視し、異なる菌株・製法・用途の紅麹を使用する事業者を一括して自主点検対象とした行政設計は根本的に誤っている。なぜ我々が混ぜられなければならないのか。 |
小林製薬自身が紅麹の種類の多様性を公式に認めていた以上、「同社製原料を使用した事業者」と「紅麹を使用する食品会社全般」を区別する情報は、行政側に収集可能であった。それにもかかわらず、この区別がなされないまま225社の実名が公表された。
【小林製薬バリューサポートHP 紅麹製品ラインナップ(現在も公開中)】
出典:kobayashi-vs.co.jp/product/benikouji/(令和8年5月9日現在も公開中) 当社製品5P-Dと問題製品の規格・用途の相違は一目瞭然である
なお、当社はこの自主点検基準を決定した根拠・経緯に関する行政文書の開示を請求したが、「文書不存在」との回答を受けた。「体温計で血圧を測る」設問がいかなる根拠・手続きに基づいて全国の食品事業者に送付されたのか、その決定過程を示す文書は存在しないとされている。
さらに当社は、この自主点検を決定した有識者会議の委員全員に対し、昨年(令和7年)中に2回にわたり書面を送付し、設問の科学的根拠について回答を求めた。しかし、委員全員から一切の回答がなかった。「文書不存在」と無回答──この二つが重なった事実は、自主点検の設問設計が科学的に説明できるものではなかったことを、決定に関与した側が自ら示している。
2(3) 設問②の非科学性──健康被害の因果関係は誰が証明するのか
自主点検の設問②は「過去3年間で医師からの当該製品による健康被害が1件以上報告された製品」を対象とするものであった。文章の体裁は整っているが、その内実は非科学そのものである。
第一に、食品会社には消費者が医療機関を受診したかどうかを把握する義務はない。医薬品の副作用報告制度(薬事法上の義務)とは根本的に異なり、食品事業者に対してそのような報告体制を求める法的根拠は存在しない。「医師からの報告が1件以上あったか」と問われても、そもそも情報が届く仕組みが食品会社には存在しないのである。
第二に、そもそも食品と健康被害の因果関係を証明することは、医薬品の副作用判定と比較してもはるかに困難である。医薬品でさえ、「この薬による副作用か」の判断は専門的な委員会が時間をかけて行う。日常的に摂取する食品において「過去3年間に1件でも医師から報告があれば対象」という設問は、因果関係の証明責任を事業者に丸投げしたものに過ぎない。「1件」という基準値に科学的根拠はなく、判定方法も示されていない。
さらに、消費者庁も同時期に、当時届け出されていた約7,000件の機能性表示食品全製品の届出者に対して、「医療従事者からの健康被害情報の有無等」を一斉に照会した(消費者庁食品表示課資料)。紅麹含有の有無を問わず、すべての機能性表示食品事業者が対象とされた。
設問①では「体温計で血圧を測る」と表現したが、設問②はさらに深刻である──計器そのものが存在しない状態で「計れ」と命じているのである。厚労省・消費者庁の双方が、科学的に成立しない設問を行政手続きとして全国の食品事業者に送付した事実は、この事案の行政的問題の深さを示している。
4 当社の立場
当社(株式会社薫製倶楽部)は、全37ロット・品番5P-Dの製品がプベルル酸陰性であったにもかかわらず、令和6年3月28日の225社一斉実名公表に含まれ、取引先の喪失・事業機会の逸失という重大な損害を受けた。
「体温計で血圧を測る」自主点検の設問設計が生み出した225社公表は、プベルル酸の毒性判断なく、独立した収去検査なく、科学的根拠ある閾値設定なく行われた。これら三つの欠落はいずれも、厚労省自身の公文書によって確認されている。
千年以上の歴史を持つ紅麹という食文化の信頼回復のため、今後も適法な手段により真相究明を続ける。
【薫製倶楽部プレスリリース・シリーズ一覧(抜粋)】 ①〜⑮ (2026/3/10〜3/31)科学的疑義申立・大阪市収去なし確認・刑事告発・CoC証拠等 ⑯〜㊵ (2026/4/1〜4/27)行政文書不存在・有識者会議疑義・訴状各論等 ㊶ プベルル酸の行政記録なし 5機関文書不存在(2026/4/28) ㊷ 衆参両院議長ほか国会議員5名に陳情書を送付(2026/4/28) ㊸ 朝日新聞報道への見解(2026/4/29) ㊹ 「モナコリンK=スタチン」と書いたのは小林製薬自身である(2026/5/1) ㊺ 厚労省が公文書で自らの公表行為を否定した(2026/5/1) ㊻ 主要報道機関10社に疑義照会を送付(2026/5/1) ㊼ 動物実験施設の開示を求めた行政不服審査請求が却下された(2026/5/1) ㊽ 「青カビが工場に混入した」という説の矛盾を検証する(前編)(2026/5/5) ㊾ 「青カビが工場に混入した」という説の矛盾を検証する(後編)(2026/5/6) ㊿ Chain of Custodyの完全な欠落──厚労省は検体受領記録を「作成も取得もしていない」(2026/5/7) 51 プベルル酸を毒性物質と判断した会議は存在しなかった──厚労省が審査会提出文書で認めた(2026/5/8) 52 「体温計で血圧を測る」自主点検──紅麹の種類すら確認せず、食品に医薬品の評価を適用した科学的評価の欠如が225社公表を生み出した(2026/5/9) |
【会社概要】
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企業情報
| 企業名 | 株式会社薫製倶楽部 |
|---|---|
| 代表者名 | 森雅昭 |
| 業種 | 食品関連 |
コラム
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