小林製薬紅麹事件研究解説 ㊿ Chain of Custodyの完全な欠落── 厚労省は検体受領記録を「作成も取得もしていない」と公文書で回答した ──
株式会社薫製倶楽部(岡山県都窪郡早島町)は2026年5月7日、自社ウェブサイトに小林製薬紅麹事件 ㊿ Chain of Custodyの完全な欠落── 厚労省は検体受領記録を「作成も取得もしていない」と公文書で回答した ──を公開した。
株式会社薫製倶楽部(岡山県都窪郡早島町)は2026年5月7日、自社ウェブサイトに小林製薬紅麹事件 ㊿ Chain of Custodyの完全な欠落
── 厚労省は検体受領記録を「作成も取得もしていない」と公文書で回答した ──
を公開した。
▼対象記事URL
https://kunsei.com/archives/822
令和8年5月 株式会社薫製倶楽部
「我々紅麹業界に何が起こったか」
㊿ Chain of Custodyの完全な欠落
── 厚労省は検体受領記録を「作成も取得もしていない」と公文書で回答した ──
【概要】 令和8年4月22日、厚生労働大臣名の行政文書開示決定通知書(厚生労働省発健生0422第3号)が届いた。当社が令和8年2月22日付けで請求した「検体の受領記録」および「決裁文書」について、厚労省は次のように回答した。
「事務処理上作成又は取得した事実はなく、実際に保有していないため、 法第9条第2項の規定により、不開示とした。」 「文書が存在するが非公開(黒塗り)」ではない。「作成も取得もしていない」という回答である。プベルル酸を原因物質とする試験に使用した検体について、厚労省はその受領を記録した文書を一度も作成しなかったことになる。これはChain of Custody(証拠物保管連鎖)の完全な欠落を意味する。 |
1 開示決定通知書(厚生労働省発健生0422第3号)の内容
令和8年2月22日付け(同年2月24日受付、開第3092号)の開示請求に対し、厚労省は令和8年4月22日付けで開示決定通知書を送付した。
| 項目 | 内容 |
| 文書番号 | 厚生労働省発健生0422第3号 |
| 通知日 | 令和8年4月22日 |
| 開示した文書 | BK1・BK2及びPA:ラットを用いた7日間反復経口投与毒性試験 総括研究報告書(食品を介したダイオキシン類等有害物質摂取量の評価) 分担研究報告書(プベルル酸等の毒性に関する研究) 分担研究報告書(紅麹製品由来化合物の発生機序の解明) 令和6年度報告書(第1章表2、第7章、別添4) |
| 不開示とした部分 | ①分析実施責任者等の氏名(個人情報) ②法人情報(法人の正当な利益を害するおそれ) ③「受領記録」及び「決裁文書」(後述) |
【不開示理由③の原文】 不開示部分:請求書記載の「受領記録」及び「決裁文書」 不開示理由:事務処理上作成又は取得した事実はなく、実際に保有していないため、法第9条第2項の規定により、不開示とした。 |
開示文書の全文は当社ウェブサイトで公開している:https://kunsei.com/archives/819
2 Chain of Custodyとは何か、なぜ重要か
Chain of Custody(CoC、証拠物保管連鎖)とは、検体・証拠物が採取・移送・保管・分析される過程において、誰が・いつ・どのように取り扱ったかを連続的に記録し、いかなる時点においても「取り違え・改変・汚染がなかった」ことを証明するための仕組みである。
食品・医薬品の規制科学において、CoCの記録は試験結果の信頼性の前提条件であり、記録が存在しない場合、その試験は「何を試験したのか」が証明できない。
【試験の信頼性を担保するために必要なCoC記録の例】 ・ 検体の提供者・提供日・提供場所の記録 ・ 受領者氏名・所属機関・受領確認署名 ・ 検体の識別番号・品名・ロット・数量 ・ 輸送方法・輸送条件(温度管理等)の記録 ・ 受領後の保管場所・保管条件の記録 ・ 試験開始前の試料状態確認記録
|
厚労省の回答は、これらを「作成も取得もしていない」というものである。「紛失した」「見つからない」ではなく、そもそも存在した事実がないということである。
3 三つの公文書が示すCoCの完全な欠落
この事実は、本件において単独で生じたものではない。当社が情報公開請求・質問書等を通じて入手した以下の三つの公文書を並べると、CoCが根本から欠落していた構造が浮かび上がる。
【公文書が証明するCoCの欠落構造】 ■ 大大保8562号(令和8年2月18日 大阪市保健所) 食品衛生法第28条に基づく「生紅麹」の収去(行政による独立サンプリング)は実施していない。食品衛生法第59条第1項に基づく回収等の命令(行政処分)も行っていない。 → 行政機関が独立に採取した検体は存在しない ■ 大大保8639号(令和8年3月30日 大阪市保健所) 大阪市が試験に供した検体には「小林製薬株式会社が販売先等から自主的に回収した物品が含まれていると考えられる」。NIHSの試験の検体については「本市ではこれらの各資料に記載されている試験の検体に関与しておりません」。 → 大阪市はNIHSへの検体引渡しに関与していない。検体は小林製薬が自主回収した物品 ■ 厚生労働省発健生0422第3号(令和8年4月22日 厚生労働大臣) 検体の「受領記録」および「決裁文書」について、「事務処理上作成又は取得した事実はなく、実際に保有していない」。 → 厚労省・NIHSは検体を受領した事実すら記録していない |
【三文書が示す検体の流れ】 小林製薬(自主回収品) → 不明な経路 → NIHS試験 ↑この区間のCoCが完全に欠落している 収去なし・大阪市関与なし・厚労省に受領記録なし。三つの公文書がこの事実を三方向から確認している。NIHSがプベルル酸の同定試験を行ったA1検体が「小林製薬から厚労省・NIHSへどのように渡ったか」を証明する行政文書は、現時点で一切存在しない。 |
4 「作成又は取得した事実はなく」という回答の重大性
情報公開法第9条第2項は、「行政文書が存在しないとき」の不開示を規定する。通常、行政機関が「文書不存在」を主張するのは文書が見当たらない場合であるが、今回の回答は質が異なる。
| 回答の種別 | 意味 |
| 「文書を特定できない」 | 請求の特定が不十分 |
| 「保有していない」(一般的) | 過去に存在したが現在は保管していない可能性あり |
| 「作成又は取得した事実はなく」(今回) | そもそも文書の作成も取得も行っていない。記録行為自体が存在しなかった |
「作成又は取得した事実はなく」という文言は、行政機関が「本来作成すべき文書を、作成しなかった」ことを自認するものである。公文書管理法第4条は、行政機関の意思決定過程を記録した文書の作成を義務付けている。プベルル酸を原因物質と判断し、225社を実名公表するという重大な行政行為の過程で、検体の受領という基礎的な事実さえ記録されていなかったことは、同法の趣旨に照らして重大な問題を孕む。
5 本件の法的・科学的含意
| 観点 | 含意 |
| 科学的信頼性 | CoCが存在しない試験の結果は、「何を試験したか」を独立に証明できない。特に提供者(小林製薬)が当事者である場合、試験の独立性・客観性が担保されない。 |
| 行政法上の問題 | 公文書管理法第4条上の文書作成義務の履行について疑義が生じる。225社実名公表の意思決定過程が記録されていないとすれば、行政の透明性・説明責任の原則に反する。 |
6 当社の立場
当社(株式会社薫製倶楽部)は、プベルル酸陰性であった自社製品(品番5P-D全37ロット)にもかかわらず、2024年3月28日に225社の一斉実名公表に含まれ、取引先の喪失・事業機会の逸失という重大な損害を受けた。
その公表の科学的根拠とされた試験の検体について、「作成も取得もしていない」という行政文書が存在する。薬剤師として14年にわたり紅麹原料に関わってきた当社代表は、食品・医薬品分野における試験の証拠完全性(integrity)がいかに基本的なものかを理解している。
CoCの欠落した試験結果を根拠とした225社の実名公表は、証拠能力の観点から根本的に再検討されなければならない。本プレスリリースは事実に基づく当社の見解であり、今後も適法な手段により真相究明を続ける。
【薫製倶楽部プレスリリース・シリーズ一覧】
① 東京科学大学のプベルル酸研究に科学的疑義申立(2026/3/10)
② 2024年紅麹事件、大阪市保健所が収去していないことを確認(2026/3/12)
③〜⑤ プベルル酸の根拠不明 研究解説1〜3(2026/3/13〜17)
⑥ プベルル酸の使用根拠について主要報道機関10社へ疑義照会(2026/3/18)
⑦ 刑事告発状の提出について(2026/3/19)
⑧〜⑩ 動物実験を実施したのは小林製薬だった(前編・後編)(2026/3/19〜23)
⑪ 小林製薬公表資料に基づくPK試験データの整理(2026/3/24)
⑫ 国立医薬品食品衛生研究所長を刑事告発(2026/3/25)
⑬ コカ・コーラが示す食薬区分の本質(2026/3/27)
⑭ 厚労省健康・生活衛生局長を刑事告発(2026/3/30)
⑮ 決定的証拠 小林製薬の標準品で小林製薬の検体を試験した(2026/3/31)
⑯〜⑳ (2026/4/1〜4/3)
㉑〜㉝ (2026/4/6〜4/20)
㉞〜㊵ (2026/4/21〜4/27)
㊶ プベルル酸の行政記録なし 5機関文書不存在(2026/4/28)
㊷ 衆参両院議長ほか国会議員5名に陳情書を送付(2026/4/28)
㊸ 朝日新聞報道への見解─モナコリンK曝露量を測定すべき(2026/4/29)
㊹ 「モナコリンK=スタチン」と書いたのは小林製薬自身である(2026/5/1)
㊺ 厚労省が公文書で自らの公表行為を否定した(2026/5/1)
㊻ 主要報道機関10社に疑義照会を送付(2026/5/1)
㊼ 動物実験施設の開示を求めた行政不服審査請求が却下された(2026/5/1)
㊽ 「青カビが工場に混入した」という説の矛盾を検証する(前編)(2026/5/5)
㊾ 「青カビが工場に混入した」という説の矛盾を検証する(後編)(2026/5/6)
【㊿】 Chain of Custodyの完全な欠落──厚労省は検体受領記録を「作成も取得もしていない」(2026/5/7)
【会社概要】
| 会社名 | 株式会社薫製倶楽部(倉敷花桜ハム) |
| 代表者 | 代表取締役・薬剤師 森 雅昭 |
| 所在地 | 〒701-0303 岡山県都窪郡早島町前潟611-1 |
| TEL | 086-483-0602 |
| 事業内容 | 薫製食品の製造・販売(倉敷ソーセージ等) |
| ウェブサイト | https://kunsei.com |
| お問い合わせ | sales@kunsei.co.jp |
ログインするとメディアの方限定で公開されている
お問い合わせ先や情報がご覧いただけます
添付画像・資料
添付画像をまとめてダウンロード
企業情報
| 企業名 | 株式会社薫製倶楽部 |
|---|---|
| 代表者名 | 森雅昭 |
| 業種 | 食品関連 |
コラム
株式会社薫製倶楽部の
関連プレスリリース
-
小林製薬紅麹事件研究解説 「青カビが工場に混入した」という説の矛盾を検証する(後編)─ 小林製薬は調査前から当該菌株を保有していた ─
2026年5月6日 10時
-
小林製薬紅麹事件「青かびが工場に混入した」という説の矛盾を検証する(前編)─ プベルル酸でないとすれば、青カビ汚染説はさらに崩れる ─
2026年5月5日 11時
-
小林製薬紅麹事件研究解説 動物実験施設の開示を求めた行政不服審査請求が却下された─ 厚労省はAALAC施設名を「答える義務はない」と大臣名で宣言した
2026年5月4日 15時
-
主要報道機関10社に疑義照会を送付─「厚労省がプベルル酸を原因物質と発表した」は各社が一斉報道ところが厚労省は「公表した事実はない」と公文書に明記─
2026年5月3日 10時
株式会社薫製倶楽部の
関連プレスリリースをもっと見る