【華人学術賞】村上林造・放送大学客員教授、冉秀博士の著書『「阿Q正伝」の作品研究』に推薦の言葉を寄せる
5月22日に配信された日本僑報電子週刊第1373号によると、日本僑報社の第18回華人学術賞の受賞者は、冉秀博士の『「阿Q正伝」の作品研究』に決定した。村上林造・放送大学客員教授、冉秀博士の著書『「阿Q正伝」の作品研究』に推薦の言葉を寄せていただいた。
【華人学術賞】村上林造・放送大学客員教授、冉秀博士の著書『「阿Q正伝」の作品研究』に推薦の言葉を寄せる
5月22日に配信された日本僑報電子週刊第1373号によると、日本僑報社の第18回華人学術賞の受賞者は、冉秀博士の『「阿Q正伝」の作品研究』に決定した。村上林造・放送大学客員教授、冉秀博士の著書『「阿Q正伝」の作品研究』に推薦の言葉を寄せていただいた。
推薦の言葉――放送大学(山口学習センター)客員教授・博士(学術) 村上林造氏
本著は魯迅の代表作「阿Q正伝」の作品の意義を明らかにするものであり、序章、終章のほか、八章の本論から構成されている。
序章では、本研究の研究目的、研究方法、論文全体の構成を述べるとともに、「阿Q正伝」の意義を魯迅のエッセー「賢人、馬鹿、奴隷」との関連のなかで取り上げるという本研究の基本的視座について述べる。即ち、「賢人、馬鹿、奴隷」は三人の登場人物の相互関係を通して、「奴隷」的精神に支配された国民大衆がそこから脱出する見通しを持ち得ない当時の中国社会の絶望的閉塞性を示す。それは、当時の中国の現実をこの上なくリアルに剔抉するものだが、本書は、その認識を基本的視座とすることで、「阿Q正伝」の意義を解明したものであり、この点に本書の意義があることを強調しておきたい。
本論では、「阿Q正伝」の様々な側面が八章にわたって周到に検討される。簡単に述べれば、第一章で「阿Q正伝」の先行研究が検討され、第二章では「阿Q」の名前に示された語り手の志向性が明らかにされる。第三章・第四章では阿Qに見られる封建的因習への自足的安住と、そのような自己のありようへの欺瞞的自己逃避が問題にされている。第五章・第六章では、阿Qの恋愛行動の意義と「阿Q正伝」に描かれる女性像の意味が追求され、第七章・第八章では、中国近代知識人の思想と行動が問題にされ、中国革命の展望について検討されている。
以上のような検討を通して、本研究では、「阿Q正伝」に登場する各人物(貧農、女性、地主、知識人等々)の思考、感性、行動が、「賢人、馬鹿、奴隷」における三者に示された各々の人物的特性とその相互関係の具体的展開であることが論証される。即ち本書は、従来の「阿Q正伝」研究を踏まえたうえで、「阿Q正伝」を「賢人、馬鹿、奴隷」と全面的に突合せ、比較検討することで、「阿Q正伝」研究に新しい知見を付け加えるのに成功しており、その学問的意義は明確であるといえる。
【受賞者略歴】冉秀(ぜん・しゅう)1973年10月、中国貴州省生まれ。日本の山口大学大学院東アジア研究科(博士後期課程)を修了し、文学博士(学術)学位を取得。現在、中国・重慶交通大学外国語学院の文学専門講師を務める。
これまでに魯迅の作品研究に関する学術論文を7編発表し、日本の学術誌『世界文学』『東アジア研究』『日本学研究』にそれぞれ掲載された。また中国の学術機関誌『西南農業大学学報』『重慶理工大学学報』『重慶交通大学学報』『文学教学与研究天地』『前沿』などに学術論文8編を発表した。
華人学術賞は、2002年の日中国交正常化30周年を記念し、日本僑報社が創設。中国人博士の学術成果を日本社会に広く紹介することを目的としており、授賞は今回で18回を数える。
※ 詳細 http://duan.jp/item/c11.html
第1373号目次
1)日本僑報社の第18回華人学術賞、冉秀博士の『「阿Q正伝」の作品研究』に決定!
http://duan.jp/news/jp/20190520.htm
2)『「阿Q正伝」の作品研究』推薦の言葉――村上林造・放送大学客員教授
http://duan.jp/news/jp/20190520.htm
3)第2回「忘れられない中国滞在エピソード」、読売新聞社の後援決定
http://duan.jp/news/jp/201905202.htm
4)第2回「忘れられない中国滞在エピソード」 5/13より受付開始! 6/16まで
http://duan.jp/news/jp/20190202.htm
5)第1回「忘れられない中国滞在エピソード」1等賞「中国と日本の『食べ残し』随想」
6)第15回「中国人の日本語作文コンクール」ただいま応募受付中! 5/31まで
7)第15回「中国人の日本語作文コンクール」、第一次審査員を募集します!
http://duan.jp/news/jp/20190522.htm
8)翻訳プロめざし基本テクをマスターする 中文日訳「高橋塾」第四期、5月末開講へ
http://fanyi.duan.jp/takahasijuku.htm
9)日中翻訳学院「高橋塾」第3回「日中中日翻訳フォーラム」、5/25池袋で開催へ
http://duan.jp/news/jp/20190525.htm
10)翻訳学院の高橋弥守彦学院長と自由に語らう「翻訳名人サロン」、毎週木曜開催中!
http://duan.jp/news/jp/20190516.htm
11)移民政策学会の「多文化共生」シンポジウム、段躍中編集長が報告へ 5/26
http://duan.jp/news/jp/20190526.htm
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企業情報
企業名 | 日本僑報社 |
---|---|
代表者名 | 段躍中 |
業種 | 新聞・出版・放送 |
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