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小林製薬紅麹事件研究解説 誤った正義感が紅麹市場を破壊したFDA裁判・食薬区分25年の歴史と、企業名公表プロセスの開示請求 薬系研究者・役人の視点で考察

株式会社薫製倶楽部(岡山県都窪郡早島町)は2026年5月9日、自社ウェブサイトに小林製薬紅麹事件 誤った正義感が紅麹市場を破壊した──FDA裁判・食薬区分25年の歴史と、企業名公表プロセスの開示請求──── 薬系研究者・役人の視点から、この行政行為を再構成する ──

株式会社薫製倶楽部(岡山県都窪郡早島町)は2026年5月9日、自社ウェブサイトに小林製薬紅麹事件 「体温計で血圧を測る」自主点検──紅麹の種類すら確認せず、食品に医薬品の評価を適用した
──科学的評価を欠いた行政の無知が、225社の企業名公表を生み出した──
── こんな非科学で、企業名を公表させられた ── 食品会社からみて
を公開した。
 

 

▼対象記事URL

 

https://kunsei.com/archives/839

令和8年5月 株式会社薫製倶楽部

「我々紅麹業界に何が起こったか」

53 誤った正義感が紅麹市場を破壊した

──FDA裁判・食薬区分25年の歴史と、企業名公表プロセスの開示請求──

── 薬系研究者・役人の視点から、この行政行為を再構成する ──

【概要】

 本稿(53)は、企業名公表と自主点検の設問設計について、薬学・行政規制の歴史的文脈から考察するものである。

 紅麹サプリメントは1990年代後半からアメリカで多数発売され、健康被害の報告が相次いだ。FDAは4年にわたるメーカーとの法廷闘争を経て、紅麹サプリメントの主成分であるモナコリンK(ロバスタチン)を医薬品(新薬承認前物質)と判断し、食品・サプリメントとしての販売を禁止した。

 日本でも2002年に食薬区分通知が発令されたが、制度として定着しなかった。2015年の機能性表示食品制度においても、この問題は解決されなかった。

 あくまでも私の想像の域を出ないが──厚生労働省の役人またはそれに近い立場の有識者が、紅麹サプリメントの法的取り扱いに以前から強い不満を持っており、2024年の小林製薬問題をチャンスと捉え、「誤った正義感」のもとに25年間の行政不作為を一気に解消しようとしたのではないか。その結果として、225社の企業名公表と、モナコリンKを意識した自主点検の設問設計が行われたのではないか。

 本稿はこの仮説を歴史的・構造的に検証し、本日(令和8年5月9日)提出した情報開示請求の意義を述べる。

 

1 紅麹サプリメントとFDAの歴史──モナコリンKは医薬品である

 紅麹(Monascus purpureus発酵米)由来のサプリメントは、1990年代後半から米国市場に多数登場した。代表的な製品群は「Red Yeast Rice(紅麹米)」として流通し、主成分としてモナコリンK(化学的にはロバスタチンと同一物質)を含有していた。

 コレステロール低下作用を標榜するこれらの製品は急速に普及したが、同時に横紋筋融解症などの重大な健康被害の報告が相次いだ。FDAは1998年にHeyligerら複数のメーカーに対して販売禁止を通告し、その後4年に及ぶ法廷闘争を経て、「モナコリンKを有効量含む紅麹サプリメントは、1994年のDSHEA(栄養補助食品健康教育法)が適用される食品・サプリメントには該当せず、未承認の新薬(new drug)に相当する」との法的判断を確立した(Pharmanex, Inc. v. Shalala, 10th Cir. 2001)。

 この判断は薬系研究者・行政官にとって極めて重要な先例である。モナコリンKは化学式・薬理作用・副作用プロファイルにおいてロバスタチン(メバコール)と完全に同一であり、食品の形態をとっていても医薬品としての規制が及ぶ──という原則が司法によって確認されたからである。

【FDA・モナコリンK規制の経緯(概要)】

1997年  Cholestin(Pharmanex社)が米国市場に登場、コレステロール低下を標榜

1998年  FDA、モナコリンK含有製品は新薬に該当するとして販売禁止を通告

1998〜2001年 Pharmanex, Inc. v. Shalala──4年の法廷闘争

2001年  第10巡回区控訴裁判所、FDAの処分を支持(モナコリンK=医薬品と確定)

2022年  FDA、改めてモナコリンKを含む紅麹サプリの警告を強化

 

2 日本における食薬区分問題──25年間の不作為

 日本でも、紅麹由来モナコリンKの法的地位は長年にわたり「グレーゾーン」に置かれてきた。

2(1) 2002年食薬区分通知──制度化されなかった警告

 2002年(平成14年)、厚生労働省は食薬区分に関する通知を発令し、モナコリンKが高濃度で含まれる製品は食品として扱えない可能性があることを示唆した。しかしこれは行政通知に留まり、具体的な含有量基準・対象製品リスト・執行メカニズムを持つ制度として定着しなかった。

 その結果、2002年以降も「紅麹コレステヘルプ」を含む多数の紅麹サプリメントが、機能性を標榜しながら食品として販売され続けた。

2(2) 2015年機能性表示食品──制度の不完全性

 2015年に機能性表示食品制度が導入された際も、モナコリンK含有紅麹サプリメントの薬機法上の位置づけは明確化されなかった。「コレステロールを下げる機能がある」と届け出られた紅麹サプリメントは機能性表示食品として受理され、事実上、スタチン系医薬品と同一の薬理作用を標榜した食品が市場に流通し続けた。

 この25年間の不作為の構造を整理すると、以下のようになる。

時期 出来事と行政の対応
1990年代後半 米国で紅麹(Red Yeast Rice)サプリが急増、健康被害多発
2001年 FDA、モナコリンK=医薬品と確定(Pharmanex判決)
2002年 日本:食薬区分通知発令──ただし制度化されず
2015年 機能性表示食品制度発足──紅麹サプリが多数届出・受理
2024年3月 小林製薬紅麹コレステヘルプ問題が発生
2024年3月下旬 厚労省・消費者庁が225社の企業名を一斉公表

 

3 薬系研究者・役人の視点から見た企業名公表──私の仮説

 以下は、現時点では文書的裏付けのない私の仮説である。しかし、行政の行動パターンと歴史的文脈から見て、十分に整合性のある推論であると考える。

3(1) 「誤った正義感」仮説

 薬学の訓練を受け、モナコリンKとスタチンの等価性を熟知している研究者や行政官であれば、紅麹コレステヘルプのような製品が食品として流通し続けていることに、以前から強い問題意識を持っていたはずである。FDAは2001年に司法判断を確定させた。にもかかわらず日本では同様の製品が20年以上にわたって食品として販売され続けた。

 2024年の小林製薬問題は、この文脈において「千載一遇のチャンス」と映ったかもしれない。政府の判断により、コレステヘルプは薬機法違反としての回収は行われなかった。しかしその代わりに、企業名公表という行政手段が選択された。

 私の推測では、厚労省の役人またはそれに近い有識者が、「これを機に紅麹サプリメントの市場を実質的に壊滅させることで、25年間の不作為を解消しようとした」のではないか。法的根拠のある規制措置ではなく、企業名公表という「社会的制裁」を用いることで、市場から排除しようとしたのではないか。

3(2) 自主点検の設問がモナコリンKを意識していた

 自主点検の条件①「小林製薬の3製品に使用された紅麹と同じ小林製薬社製の原材料を用いて製造され、かつ1日あたり100mg以上の紅麹を摂取する製品」という設問は、表面上は汚染物質(プベルル酸)の有無ではなく、紅麹原料の投与量を基準としている。

 この設問設計は、実質的に「機能性表示食品のコレステロール低下標榜製品」、すなわちモナコリンKを高濃度含有するサプリメント類を狙い撃ちにしているように読める。紅麹の食品としての多様な用途(醸造・着色・発酵食品)を知っていれば、「1日100mg」という閾値がいかに的外れかはすぐに分かる。しかし、もしその設問設計者が「モナコリンKを含む機能性サプリメント」を排除することを意図していたとすれば、一定の論理的一貫性がある。

 すなわち、自主点検の設問は、プベルル酸汚染事案の解決ではなく、「紅麹の食文化」を知らない(あるいは意図的に無視した)薬系発想による、紅麹サプリメント全般の排除を目的としていた可能性がある。3品目以外の紅麹食品事業者まで一括して公表対象としたのは、その証左ではないか。

3(3) 現在も続く「安全ではない」表記

 もし真の目的が「プベルル酸汚染製品の回収」であったならば、汚染のなかった事業者の実名公表はとっくに解除されているはずである。しかし現実はそうなっていない。

【現在も継続している「排除」の構造】

・厚労省・消費者庁・農水省のQ&Aには、現在も「紅麹は安全ではない」と解釈できる記載が残っている

・厚労省の紅麹情報サイトには「安全である」とは書かれておらず、「危険とは言えない」という否定形の記述に留まっている

・企業名公表リスト(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001237744.pdf)は、令和8年5月9日現在も公開中である

・これらは法律に基づく処分ではなく、担当者が「それが正義だ」と信じて継続しているものと思われる

 

4 本日の開示請求──仮説を事実で検証する

 以上の仮説は、現時点では文書的裏付けを持たない。しかし文書が出て来なければ、それ自体が証拠になる。本日(令和8年5月9日)、当社は以下の2点について情報公開請求を提出した。

【令和8年5月9日 情報公開請求の内容】

請求① 企業名公表のプロセスを示す行政文書

・225社の実名公表を決定した会議の議事録・決裁文書・稟議書その他一切の関連文書

・公表の法的根拠について記載した内部文書・通知・覚書等

・公表リストの作成過程(小林製薬からの報告を受領・処理した記録)を示す文書

 

請求② 自主点検の設問範囲決定プロセスを示す行政文書

・「1日あたり100mg」という閾値を設定した根拠・根拠となった試験データ・会議資料等

・条件①②の設問文を起草・審議した会議の議事録・委員名簿・配付資料等

・自主点検の対象を52社・173社とした判断過程を示す文書

 

今後の対応方針

 これまでの経験から、「文書不存在」の回答が返ってくる可能性は高い。しかしそれ自体が、設問設計に合理的な行政過程が存在しなかったことを示す証拠となる。当社は以下の手順で対応する。

【対応手順】

STEP 1 情報公開請求への回答を待つ(標準処理期限:30日)

STEP 2 「文書不存在」または「不開示」決定が届いた場合 → 行政不服審査請求を提起

STEP 3 審査請求が棄却された場合 → 取消訴訟(行政事件訴訟法に基づく)を提起

STEP 4 取消訴訟の過程で文書提出命令(民事訴訟法220条)により開示を強制

 

3(4) プベルル酸は「後付け」だった可能性

 前述の仮説をさらに一歩進めると、プベルル酸そのものが「後付けの科学的根拠」として機能した可能性が浮かび上がる。これも現時点では文書的証拠のない推論であるが、以下に示す複数の事実は、この見方と整合する。

〔事実1〕企業名公表(3月28日)はプベルル酸の同定(4月以降)より先に行われた

 225社の実名公表は令和6年3月28日に行われた。一方、国立衛生研究所(NIHS)によるプベルル酸同定報告が公表されたのは4月以降である。すなわち、原因物質が科学的に特定される前に、企業名の公表という社会的制裁が先行して行われた。通常の行政論理であれば、原因物質が同定されてから被害範囲を画定するはずである。この順序の逆転は説明を要する。

〔事実2〕収去なき断定──食品衛生法28条に基づく独立した行政検査がなかった

 大阪市が発行した公文書(大大保8562号・8639号)により、行政が独自に市場から検体を収去して検査した事実がないことが確認されている。分析に用いられた検体は、小林製薬による自主回収品である。被疑者が自ら提供した検体のみを根拠に、原因物質が確定されたことになる。これは「Chain of Custody(検体の証拠連鎖)」として根本的に欠陥のある手続きである。

〔事実3〕NIHS報告書の内部矛盾──HPLC保持時間の不一致

 NIHSのプベルル酸同定報告書に添付されたHPLC図において、プベルル酸標準品(A1)の保持時間は約2.27分であるのに対し、問題ロット由来ピーク(B1・B2)の保持時間は約1.50〜1.55分であった。この約0.77分の乖離は、報告書本文が主張する「保持時間が一致する」という記述と矛盾する。同一物質であれば同一条件下での保持時間は一致するはずであり、この内部矛盾はNIHS自身の報告書が自己否定していることを意味する。

〔事実4〕厚労省はプベルル酸を正式指定した文書が「存在しない」と回答した

 当社の情報公開請求に対し、厚生労働省は「プベルル酸を原因物質として正式に指定した文書は存在しない」と回答した。225社の企業名を公表しながら、その科学的根拠となる正式指定文書が存在しないとされる──これは自己矛盾であり、正式な行政手続きを経ずに公表が行われたことを厚労省自身が認めたに等しい。

【「後付け」仮説の構造】

① 企業名公表(3/28)→ プベルル酸「同定」(4月以降)    【時系列の逆転】

② 収去なし・被疑者提供検体のみで分析           【Chain of Custody欠落】

③ NIHS報告書の保持時間不一致(A1: 2.27分 vs B1/B2: 1.50〜1.55分) 【内部矛盾】

④ Tanaka et al. 論文:利益相反未開示・3日間査読       【科学的信頼性の欠如】

⑤ 厚労省「正式指定文書は存在しない」と回答         【行政自己矛盾】

 これら5点が重なる場合、「プベルル酸の同定は、すでに決定されていた企業名公表を科学的に正当化するための後付けだった」という仮説は、単なる陰謀論ではなく、証拠に裏打ちされた合理的推論として成立する。

 

5 当社の立場

 当社(株式会社薫製倶楽部)は、紅麹の食文化を14年にわたり支えてきた食品製造会社である。全37ロット・品番5P-Dはプベルル酸陰性であった。それにもかかわらず、令和6年3月28日の225社一斉実名公表に含まれ、取引先の喪失・事業機会の逸失という重大な損害を受け、現在も回復していない。

 FDA判決・2002年通知・2015年機能性表示食品制度という25年の行政的経緯がいかなるものであったとしても、それは紅麹の「食文化」とは全く無関係の次元の問題である。着色・醸造・発酵食品に使用される紅麹と、モナコリンK高濃度含有のサプリメントを同列に扱い、食品事業者を一括して公表したことは、仮に「正義」を意図していたとしても、対象範囲の設定において根本的に誤っていた。

 千年以上の歴史を持つ紅麹という食文化の信頼回復のため、今後も適法な手段により真相究明を続ける。開示請求・行政不服審査請求・取消訴訟──あらゆる法的手段を尽くして、企業名公表と自主点検設問設計の根拠となる文書を白日のもとに晒す。

 

【薫製倶楽部プレスリリース・シリーズ一覧(抜粋)】

①〜⑮ (2026/3/10〜3/31)科学的疑義申立・大阪市収去なし確認・刑事告発・CoC証拠等

⑯〜㊵ (2026/4/1〜4/27)行政文書不存在・有識者会議疑義・訴状各論等

㊶ プベルル酸の行政記録なし 5機関文書不存在(2026/4/28)

㊷ 衆参両院議長ほか国会議員5名に陳情書を送付(2026/4/28)

㊸ 朝日新聞報道への見解(2026/4/29)

㊹ 「モナコリンK=スタチン」と書いたのは小林製薬自身である(2026/5/1)

㊺ 厚労省が公文書で自らの公表行為を否定した(2026/5/1)

㊻ 主要報道機関10社に疑義照会を送付(2026/5/1)

㊼ 動物実験施設の開示を求めた行政不服審査請求が却下された(2026/5/1)

㊽ 「青カビが工場に混入した」という説の矛盾を検証する(前編)(2026/5/5)

㊾ 「青カビが工場に混入した」という説の矛盾を検証する(後編)(2026/5/6)

㊿ Chain of Custodyの完全な欠落──厚労省は検体受領記録を「作成も取得もしていない」(2026/5/7)

51 プベルル酸を毒性物質と判断した会議は存在しなかった──厚労省が審査会提出文書で認めた(2026/5/8)

52 「体温計で血圧を測る」自主点検──紅麹の種類すら確認せず、食品に医薬品の評価を適用した(2026/5/9)

53 誤った正義感が紅麹市場を破壊した──FDA裁判・食薬区分25年の歴史と企業名公表プロセスの開示請求(2026/5/9)

 

【会社概要】

会社名 株式会社薫製倶楽部(倉敷花桜ハム)

代表者 代表取締役・薬剤師 森 雅昭

所在地 〒701-0303 岡山県都窪郡早島町前潟611-1

TEL 086-483-0602

事業内容 薫製食品の製造・販売(倉敷ソーセージ等)

ウェブサイト https://kunsei.com

お問い合わせ sales@kunsei.co.jp

 

 

 



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企業情報

企業名 株式会社薫製倶楽部
代表者名 森雅昭
業種 食品関連

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