第二回「忘れられない中国滞在エピソード」コンクール表彰式開催、最優秀賞・中国大使賞受賞者乗上美沙さんが受賞スピーチ

11月15日に開催された第二回「忘れられない中国滞在エピソード」コンクール表彰式において、最優秀賞・中国大使賞受賞者の乗上美沙さんが受賞スピーチをした。

第二回「忘れられない中国滞在エピソード」コンクール表彰式開催、最優秀賞・中国大使賞受賞者乗上美沙さんが受賞スピーチ

 

11月15日に開催された第二回「忘れられない中国滞在エピソード」コンクール表彰式において、最優秀賞・中国大使賞受賞者の乗上美沙さんが受賞スピーチをした。

 

この度、第二回「忘れられない中国滞在エピソード」コンクールの「最優秀賞・中国大使賞」を受賞することができ、大変光栄に思います。

日本では「令和」という新しい時代において、ますます日中間交流への期待が高まる中、今回のコンクールを通じて、約300の応募エピソードとともに改めて日中友好に思いを馳せることができました。

どのエピソードも心温まるものばかりで、中国各地で皆様が経験された人と人とのやさしい記憶がこの一冊に凝縮されていました。すばらしいエピソードがあふれる中、この度、名誉ある賞をいただき、改めて感謝を申し上げます。

私は現在、国際人権法という分野を研究しております大学院生です。私と中国は切っても切れない関係にあります。日本人の父と中国の母を持つ私は、2004年の小学校4年生の時に中国遼寧省大連市のインターナショナルスクールで単身留学を始めました。異国の地である中国で、一人だけの寮生活が始まりました。

約9割が中国人の学生というやや特殊な学校で、生活では中国語、そして授業では英語という環境でしたが、私はいずれ(の言葉)もまったくできず、非常に孤独で、ほぼ毎晩泣いていました。それでもなんとか慣れてきたのは、周囲の中国人の友だちや先生がゆっくりしゃべってくれたほか、私を一人にしないように気遣ってくれたからです。

その後、中学校に進学しましたが、残念ながら周囲との関係はこの時、徐々に変化していきました。その理由は、日中戦争についての歴史の授業でした。小学校のころは意識されていなかった「中国人」「日本人」というある種の壁が、中国人の同級生と私の間に作られてしまったのです。それで中学の3年間が終わった時に、私はどこかで日本人と中国人が同じ方向に向かって歩き続けることは難しいのではないか?と思うようになってしまいました。

しかし高校卒業後に、「3.11」東日本大震災についてのショッキングなニュースを聞いた私は、中国にいながらもできることを懸命に考えた結果、日本人の友人とともに、募金活動を行いました。

当時、全校生徒の中で日本人は約0.5%にも満たない小さなコミュニティーだったので、この活動を成功させるには現地の中国の友人や先生の協力が必要でした。心のどこかで、中国の人たちは日本を助けたいと思ってくれるだろうか?という不安がありましたが、そんな不安が一瞬でかき消されるくらいに、多くの中国の友人と先生に助けていただきました。

困っている隣国に対し、見返りを求めない中国の人々の深い愛情と友情で、私たちは被災地に微力ながら思いを伝えることができました。その時、私は胸あふれる幸福感に包まれていました。

正直なところ、高校卒業までの9年間の留学生活は、今回のエピソードだけではなく、いろんな大変な経験もあり、決して簡単なものではありませんでした。そして日中関係というのは、今でももっともっと私たちが頑張らなければいけない部分がある――というのも事実です。

そのため、大学に入るために日本に帰国してからも、日中学生会議という学生団体に参加したり、中国語の先生をやったり、日中の通訳をやったりと可能な限り日中友好に尽力してきました。両国の過去の深い傷に触れられるたびに、私は(自身の)このエピソードを思い出し、先の時代が残した両国関係のマイナス部分を下の世代には絶対に残したくないと心から思うのです。こう思えるのも、私が現地でふれあった中国の人々の温かさを知っているからです。この温かさは、私たち個人だからこそ素直に、そしてリアルに伝えられることだと思っています。

今回のエピソードは私が経験したものを皆様に共有するという形になっていますが、このような共有の場を通して、中国の方々の温かさの片鱗を皆様にも体感いただいて、そして少しでも日中間の相互理解に寄与できればと思っています。そして願わくば、来年来日される習近平国家主席にも(来日時には)このエピソードをぜひお手に取っていただいて、より多くの方々と日中関係のよりよい明日に向かって心を一緒にしていきたいと思っています。

私はこれからも自分のできる範囲で日中友好に貢献していきたいと思います。そう改めて皆様の前でお伝えできる機会をくださった段躍中先生、そして今回のエピソードを含め、中国でたくさんのエピソードをともにしてくれた私の友人、留学というかけがえのない経験をさせてくれた両親に心から感謝し、受賞のご挨拶の結びとさせていただきます。ありがとうございました。

 



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