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PRは感性とデータを基準に

「世界をより感動できる社会にする」というビジョンを持つ戦略PR会社ビルコム。プロデュースした広告が、世界最高峰の広告賞「Cannes Lions」の「LIONS Health」でブロンズ賞を受賞するなど、世界でも活躍している。同社代表の太田滋氏に、PRや求める人材像について話を伺った。

広告効果が出にくい時代
期待されるのは企業ブランディング


Qまずは、ビルコムのPRサービスの特徴を教えてください。


サービスの特徴としては2つあります。ひとつは、ブランディングもしくは事業の売り上げに貢献していくような「戦略PR」を提供していること。もうひとつは、お客様との直接取引です。間に広告代理店などは挟みません。

これは、私が前職のソースネクストで広報宣伝部にいたときの経験が大きいです。お客様と真のパートナーになるためには、膝と膝を突き合わせて、お客様の課題やニーズを深く捉えていかないと、良いサービスは提供できないと思うようになりました。間に代理店などが入ると、伝言ゲームとなり、お客様の要望とズレてしまうことがあります。なので我々は、お客様と直接お会いして、効果測定や実行も含めて一緒にやっていくことを重視しています。

 

Q数あるPRサービスの中で「戦略PR」にフォーカスする理由は。


現在は、デジタル上の情報波及構造や、情報の拡散の在り方が非常に多様になっていて、その中で広告を打っても効果が出にくい状態になっています。そこで、広告と相乗効果を生むようなPRソリューション、つまり戦略PRを提供していこうと。戦略PRを行う中で、結果的に何を期待されるかというと、商品や企業の「ブランディング」なんです。

ブランディングが求められるのは、国内の市場が成熟化し、コモディティ化しているからです。たとえばスマホや液晶テレビ、レトルトカレーなどの商品は、種類は多くても機能的にはだいたい同じで、差別化がされにくい状態です。当社では「情緒的価値」というのですが、その商品自体に付加価値をつけることによって、たとえば同じ携帯を買うのでも、アップルを選んでしまうような「ブランド力」を付けたいと望む会社が増えています。我々はそこに対してソリューションを提供します。

 

 

社員との結束を高めて
第二創業期へ


Q今年の6月末に、企業ビジョンを「世界をより感動できる社会」へ刷新されました。その背景は。


bil_image_4ビジョンを見直すきっかけは、2012年12月末の赤字決算です。創業から11年の中で、唯一の赤字でした。急成長を目指しすぎたのが原因です。そのとき当社は、海外展開と新規事業を進めていました。

海外展開では中国とシンガポールに拠点を作り、新規事業では「Rebuy(リバイ)」というeコマースや、Facebookで友人にギフトを贈れる「Okkru(オックル)」というサービスをやっていました。エリア的にも事業的にも多角化していったところ、無茶な成長を目指しすぎた部分があり、業績が悪化。そのとき、けっこう多くの社員が辞めました。当時60名くらいの組織だったのですが、それこそ20名くらいが辞めましたね。

私自身の慢心や驕りもあり、色々な要因がありました。2013年に会社のあり方や事業を再編し、黒字化を達成。業績が回復した2014年にビジョンを改めて作成しました。第二創業です。

この「第二創業期」というタイミングを踏まえて、新しいビジョンと、新しい行動指針を作って、より人・組織の「横」を強化していこうという狙いがあります。

 

Q今回のビジョンはどのような人たちが関わり、どういったフローで作成されたのですか。


まず社員と対話をしました。何かワークショップをするとかではなく、会食を定期的に。他にも経営幹部の5人と議論を重ね、私自身も様々な本を読んだり、様々な社外の方にも話を聞きにいったりしました。最終的に、文言は私の方で作りましたが、社員はもちろん色々な方がプロセスに関与しています。去年の年末くらいから着手し、最終的に決めて発表したのが今年の6月30日です。

 

 

一枚岩の最強組織
PRはチーム体制で


Q御社における優秀なPRパーソンのイメージ像を教えて下さい。


当社の企業文化は「前向きで、明るい組織」ですので、採用でもネアカな(根が明るい)人を求めます。あとは知的好奇心があり、「チームで仕事をしていく」というマインドがある人です。当社ではひとつの案件に対し、4人から7人でプロジェクトチームを組むことが多いのです。大きな仕事をするためには最強のチームが必要です。「一枚岩の最強組織」という言葉は、ビルゲン(ビルコムの原則)にも明記されています。

 

Qチームの総合的なパフォーマンスが最大限発揮されるように工夫されていることは。


bil_image_1対外との相性の部分と、社内でのチーム組成には気を配っています。具体的にいうと、クライアント様の業種と社員の相性を見たり、社員が持っている強みを見ます。たとえば、人材業界に強いとか、BtoBに強いとか。チームの中での組み合わせも重視します。社員によってはデジタルに強い者もいれば、企画に強い者もいますので、そこでのスキルの組み合わせで、いかに補完し合えるチームになれるかが肝です。比較的スポーツに近いかもしれませんね。

それらの、社員一人一人の経歴や強みを、人事部がデータとして管理しています。人事データベースというものを作っていて、チーム編成や組織改編のタイミングでは、経営会議時にそのデータを参考にして、決定をするという感じです。

 

Q採用時にPRパーソンとしての経験の有無は気にされますか。


採用の段階では経験については、さほど重視していないですね。というのも、当社では朝9時半から10時まで、週4回ビルコムカレッジという勉強会を行っています。当社が手掛けた事例を因数分解したり、お客様に対してのコンサルテーションをロールプレイングで学ぶ場です。広報経験のない方も、ある程度のポテンシャルがありさえすれば、非常にスピーディーに成長できる環境が当社にはあると思います。

 

 

PRパーソンに求められる総合力


Q組織体制について伺いたいのですが、部署はどのように分かれていますか。


大きく4つに分かれます。1つはコンサルティング部門、お客様と向き合う部署です。2つ目は対メディア部門、メディアに向き合います。3つ目はコンテンツ部門、ここではデジタルコンテンツを作ります。そして4つ目に広告部門です。ネイティブアドも含めた広告を取り扱います。

 

QPRパーソンとして、各部署でスキルを特化させていった方が良いのか、色々な部署で全般的に力を付けて行った方が良いのか、太田社長はどのようにお考えですか。


bil_image_5当社では完全ジョブローテーションを敷いております。最終的には全ての部署を通った方がよいという考えです。採用ページではわかりやすく部署別に募集をかけていますが、採用の段階で一次面談、二次面談、筆記試験、私との面談というステップを踏む中で、もともとはメディアプロモーターとして応募いただいた方が、最終的にはコンサルの配属になったりします。異動は2~3年に一度行います。

PRというのは、何か一つの機能ということよりも、最終的には総合力が求められるのではないかと思うからです。たとえば誰かを、コンサルティング部隊に配属するとしても、やっぱりメディアを経験してきた人の方が強いんですよね。話にも説得力が違います。

これからのPRというのは、「コンテンツを、どういう風に切り口を変えて見せるか」だけではなく、コンテンツ自体を作っていく必要もあると思います。そういった意味では、PRパーソンもコンテンツの企画であったり、デジタルコンテンツを作るにあたっての技術的な知識など、そういった幅広いスキルがあった方が良いと思うのです。ずっとコンサルティングをやって、ずっとメディアをやってという状態だと、PRマンとしてはちょっと足りないような気がします。

もちろん社員の趣向性によって、「そこの部分だけやりたい」と希望する人がいれば、それはまた、別の話なのですが。

 

 

データ分析の強みを伸ばし
企業ブランディングを支援する


Q少し抽象的なご質問ですが、今後2~3年でPR業界やPR会社はどのように変わっていくと思いますか。


デジタルのポテンシャルというものを理解している会社と、経験や感性よりもデータを判断基準にしている会社が強くなると思います。その資質が備わっているPR会社と、備わっていないPR会社とでは、メッセージの出し方が変わってくると思います。

 

Q御社ではそこをどのように強化をしていくのでしょう。


bil_image_6当社では、社内で自然言語処理や多変量解析といったビッグデータ分析を行う文化が継承されています。現在は、それができる社員を徐々に増やしている状況です。手前味噌ではありますが、当社のデータ分析技術に関する論文が評価され、日本マーケティング学会で行われる「マーケティングカンファレンス2014」で、ベストドクター賞という日本国内で一人だけ選ばれる賞に選出されました。

また、当社はJIAA(インターネット広告推進協議会)にも加入していますし、最前線に出ている私自身、過去に蓄えたノウハウがあります。「デジタルの力で生活者の体験を豊かにする」を理念に掲げるアイ・エム・ジェイに新卒で入社し、ソースネクストではeコマースや広報宣伝部に所属していました。そこでの経験を社員に伝えていきたいと思っています。

デジタルリテラシーを社内教育に組み込んだり、ビルカレなど勉強の場でトレンドを共有したり、メディアの動向について話し合うことにより、変化が目まぐるしいメディアの情報環境も、どんどんキャッチアップできるようになるのではと考えております。

 

Q今後の展望は。


当社の戦略PRにおける強みである、「戦略・企画・実行の一貫性」や「デジタルの強み」、「コンテンツを作れて」、「データ分析」もした上でPRサービスを提供できるという、これらの4つを伸ばし、お客様のブランディング支援に特化をしていきたいと思います。

 

(取材日:2014年11月27日/撮影:首藤 達広)

太田 滋 氏

企業名
ビルコム株式会社
部署・役職
代表取締役兼CEO
設立
2003-10-08
所在地
東京都港区六本木6-2-31 六本木ヒルズノースタワー11F
URL
http://www.bil.jp/
プロフィール
1976年生まれ。オーストリア共和国ウィーン出身。経営管理修士(MBA)。Stanford-NUS Executive Program inInternational Management修了。青山学院大学大学院国際マネジメント研究科博士課程に在籍中。2009年-2011年WOMマーケティング協議会初代理事長。2010年総務省「ラジオと地域情報メディアの今後に関する研究会」構成員。2014年インターネット広告推進協議会「ネイティブアド研究会」主査を務める。著書「WebPRのしかけ方」(インプレスジャパン)。

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