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「NACORD TALK 私たちの経済圏を作ろう VOL.2」イベントレポート

首都圏に95店舗を展開する城北信用金庫と株式会社バリュープレスが共催する「NACORD TALK (ナコードトーク)」VOL.2 が2018年10月18日(木)、東京都北区のコワーキングスペース・co‐toiro iwabuchiで開催。当日の様子をレポートします。

2018年10月18日、城北信用金庫と株式会社バリュープレスの共催トークイベント『NACORD TALK (ナコードトーク)』の第2回が、東京都北区のコワーキングスペース・co‐toiro iwabuchiで開催されました。

本イベントは「私たちの経済圏を作ろう」をコンセプトに、新規事業やPR、ブランディングに取り組む事業者たちの出会いと学びの場として企画したもの。よりカジュアルに交流できるコミュニティを目指し、参加者10人の少人数制で行われました。

 

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前回に引き続き “オリジナルの経済圏”を生み出している経営者をゲストに、バリュープレス代表の土屋明子氏の進行のもとトークセッションを展開。

今回は2017年10月の記事『洗剤なしで洗濯する時代へ!町工場が発掘したマグネシウムのすごい力』で紹介した、株式会社宮本製作所の代表取締役・宮本隆氏をお招きしました。

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ユーザーに語らせる「洗たくマグちゃん」


自動車部品の試作加工業として創業した同社は、下請けから一転、マグネシウムを使ったオリジナル製品の開発に乗り出します。

2013年に発売したマグネシウムの粒で洗濯をする『洗たくマグちゃん』は、2018年春にシリーズ累計販売数100万個を突破。洗剤不要の革新的なアイテムとして国内外から大きな注目を集めています。

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実は洗たくマグちゃんは、ほとんど広告宣伝をしていません。それにもかかわらず右肩上がりで売り上げが伸びている秘密は、「ユーザーが語りたくなる商品」という点にあります。

洗浄能力は市販の洗剤とそん色なく、臭い除去率は70パーセント以上。しかも洗濯排水は安全で自然環境を汚しません。実際に体験した人の感動の声がSNSに続々と投稿され、マグちゃん愛用者の輪は全国に広がっています。

宮本氏によれば、マグちゃんだけで毎月1億円の利益を出すまでに成長。今後は上場して潤沢な資金を得ることで、さらに世の中の役に立つ商品を販売し、“サスティナブルな経済圏”を拡大していくといいます。

 

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これからのビジネスのキーワードは「AJT」


好調な成長をとげている現在ですが、実はついこの間まで資金繰りのため奔走する毎日だったそうです。厳しい経験から得られた仕事観について、宮本氏は次のように話しました。

宮本氏:
ここ3年間くらい資金繰りに非常に苦労していました。月末になると1 週間で800万円を集めていたんですね。ずっと資金をかき集めて生き延びてきた私は、確信したことがあります。それは「AJT」という言葉です。

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AはAmbitious(野心)。我欲や富、名声といったはかないものではなく、人間として人類のために何を成し得るか。それを大きな野心と呼ぶんですね。

JはJustice(正義)。人や自然環境に害を与えてしまうものは、売れている製品であっても正義に反するものです。私はそれを否定したいと思います。

TはTrust(信頼)。これからのビジネスはすべて、信頼をユーザーに感じてもらえなければ、どんなものを作っても売れません。商品の価値は、信頼を相手に与えることができるかどうかで判断されます。

これらAJTをきちんと説明できる製品やサービスでなければ、これからのビジネスはすべて失敗します。

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下り坂でも止めなかった新製品開発


小手先のテクニックではなく、基本原則の重要性を説く宮本氏。このような信念を抱くまでに、どのような経営者人生を歩んできたのでしょうか――。

土屋氏:
社長に就任された当時、既存の仕事が順調だったのにも関わらず「メーカーになるぞ!」と言った際、社員には受け入れられたのでしょうか。

宮本氏:
はっきり言ってしまうと、「みんなの力で」というのはダメだと思うんですね。トップに「自分一人だけでも夢を実現するんだ」という強い思いがないといけないと、私は思います。

土屋氏:
じゃあ社長がやるぞと決めて、走ると。

宮本氏:
そうです。

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土屋氏:
脱・下請けを決意した直後にリーマン・ショックが起こって、当時の売り上げが3分の1に落ち込んだと聞きました。資金繰りもまさに綱渡りだったようですね。

宮本氏:
そうですね。お金を貸してくれるところをとにかく一生懸命回りました。なんで3 分の1に落ちたかというと、新製品を開発したからなんですね。根拠はないんですけど、それでも必ず売れる商品ができると自分は思っていました。

土屋氏:
マグネシウムに特化すると決めたときは、すぐに『洗たくマグちゃん』という商品につながっていったんですか。

宮本氏:
私とマグネシウムの出会いは30年前で、その軽さに驚いたのが最初です。われわれは自動車部品の下請けなので、燃費を良くするために軽量化できる何かを常に考えていましたから。そのときはマグちゃんを作る会社になるとは全然思っていませんでした。

マグネシウムでいろんな自動車部品を作ってメーカーに提案したんですね。彼らは喜んで持ち帰るわけですよ。でも、コストからいくと結局アルミニウムになっちゃう。その繰り返しを1年半くらいやって、「もう自動車部品はやめよう。一般消費財をマグネシウムで作ろう」と思ったんですね。

 

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口コミの力でV字回復


土屋氏:
B to C事業をスタートされてから3年くらいの粁余曲折を経て、洗たくマグちゃんを発売したということなんですが、そもそもどういった経緯で誕生したのでしょうか。

宮本氏:
いつの間にかできていたというのが正直なところですね。当初は洗剤メーカーからのバッシングに遭わないよう、「洗剤と併用して洗いましょう」という風に売り出しました。だけど人々がマグちゃんに期待していることが分かったので、いまは「洗剤を使わないお洗濯」という売り方をしています。

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土屋氏:
なるほど。皆さんやっぱり洗剤を使わないというところに価値を感じていらっしゃる印象ですよね。最初に売り出したときの反応はいかがでしたか。

宮本氏:
まったくなし。「なにそれ?」っていうところでね。2年間全然売れませんでした。

土屋氏:
当時はどのようにマーケティングされていたのでしょうか。

宮本氏:
原宿の交差点にあるオーロラビジョンに1年間、映像を流したり。言われるままに乗っかって、広告宣伝費に一時期1200万円くらい使ったんですよ。でも最近は「これは当たる。これは当たらない」というのが分かってきました。しかもメディアに取り上げられるようになったから、年間200万円くらいでも売り上げは伸びています。

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土屋氏:
急成長には、ユーザーの口コミがすごく影響しているということなんですよね。

宮本氏:
うちの営業も頑張ってくれましたが、やっぱり口コミですね。うん。

土屋氏:
口コミというと、アンバサダープログラムやインフルエンサーマーケティングなど、企業自らが仕掛けていく取り組みはされたのですか。

宮本氏:
1、2度くらいはやりましたが、それってウソっぽいじゃない。消費者はそういうのが分かるでしょ。2年前からもうやっていません。

土屋氏:
ユーザーが喜んで口コミする理由をご自身はなぜだとお考えですか。

宮本氏:
分かりません。ただ僕は、ファンを作りたいんです。講演依頼があれば進んで話をさせてもらっています。全国どこでも旅費や講演料は一切受け取りません。それも一つの要因かなと思います。

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新しい価値は「農業」


土屋氏:
2017年から、農業革命という新しい挑戦を手がけていらっしゃいますよね。環境にやさしい排水というところから、農業用に使えるのではという発想につながっていったのですか。

宮本氏:
洗たくマグちゃんがとにかく売れなかった時期、「高いわね」と言ってポーンと放り投げられるのを見たことがあったんです。腹が立ったと同時に、こういう人たちが「絶対に買いたい」と思うような商品にしたくて、別の効果がないか考えていたんです。

土屋氏:
『洗たくマグちゃん』はたしか1個1800円ですよね。

宮本氏:
はい。そんなある日、いまの子どもたちはミネラル不足で、脳の発達に悪影響を及ぼしているという学会の発表を目にしました。

私は「洗たくマグちゃんは、ミネラルの一つであるマグネシウムだけで洗濯しているから、もしかして排水の中に農業に役に立つものが入ってきているんじゃないか」と思って、水質検査に何回か出しました。そこで共通して出てきたのが、チッソ・リン酸・カリという農業の3栄養素だったんです。

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それで「マグちゃん水は農業の栄養水として使ます」といろんな農家さんに提案をしたんだけど、どこもまともに話を聞いてくれなかった。ところが、「新しい農業をやりたい」という農家さんを紹介してもらったのをきっかけにこぞって使いはじめてくれて、今になったわけだね。

 

自分を信じ続けるトップランナーたれ


参加者
宮本さんが一番どん底にいたときに、「まだいけるんだ」という気持ちの源って、いま思い返すとどういうところですか。

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宮本氏:
どん底のときと今の心境は変わらないよね。借金は大変だし、小言を言われるのも嫌だったけど、絶対うまくいくと思っていました。

死の谷を越えた者だけが先行者利益を得られるというのは、ビジネスの世界では当たり前のことですから、自分自身を信じてあげないと。一生懸命もがいているうちに、やっと穴から抜け上がったわけだな。

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土屋氏:
これから上場を目指し、手がけるビジネスがどんどん大きくなっていくと、社長個人としてはもちろんですが、チームとしての強さも意識されていくのではないかと思います。今後はどのように考えておられますか。

宮本氏:
皆でやっていたらいつまで経っても上場はできません。なぜなら組織って一番レベルの低い人に合わせちゃうんですよ。だから一番レベルの高い人に皆がついてこさせるようにしないといけない。

いま、宮本製作所と一緒に伸びていきたいと思う企業や人が、私の周りに集まってきています。これから入ってくるレベルの高い人たちに、これからは任せていこうと考えていきたいよね。

土屋氏:
これから社内外に仲間が増えていって、ますます洗たくマグちゃんが身近になって、水を語る環境が身近になっていく。そしてクリーンな世の中を一緒に作る仲間が増えていく。そんな世界が間近に見えてくるんじゃないかと思いました。貴重なお話をありがとうございました。

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