連合調べ 「教員にも残業代を支払うようにする」制度の見直し 「賛成派」は8割半ば

日本労働組合総連合会(略称:連合、所在地:東京都千代田区、会長:神津 里季生)は、教員の勤務時間や勤務制度見直しに対する意識を把握するため、「教員の勤務時間に関するアンケート」を2018年9月14日~9月18日の5日間でインターネットリサーチにより実施し、全国の公立学校に勤務する20歳以上の教員(※1)1,000名の有効サンプルを集計しました。(調査協力機関:ネットエイジア株式会社) ※1 小学校・中学校・義務教育学校・高等学校・中等教育学校・特別支援学校いずれかの常勤教員、またはフルタイムの臨時・非常勤教員

[調査結果]

 ≪1週間の総労働時間と管理職の出・退勤時刻の把握について≫

◆公立学校教員の1週間の学校内労働時間 勤務日は平均52.5時間、週休日は平均3.2時間

 

全国の公立学校に勤務する20歳以上の教員(※2)1,000名(全回答者)に、1週間の総労働時間(※3)を勤務日(月曜日~金曜日)と週休日(土曜日・日曜日)のそれぞれについて、【学校内の労働時間】、【学校外(自宅を除く)の労働時間】、【自宅の労働時間】を聞き、誤回答の疑義がある回答を除き、775名の回答を集計しました。

 

※2 小学校・中学校・義務教育学校・高等学校・中等教育学校・特別支援学校いずれかの常勤教員、またはフルタイムの臨時・非常勤教員

 

※3 通常の1週間(休暇や休日、病気休業などによって学校が定める労働時間が短くならなかった1週間、あるいは学校行事や定期試験などの特別な予定がなかった1週間)の総労働時間

 

まず、勤務日(月曜日~金曜日)の1週間の総労働時間についてみると、【学校内】では、「50時間~55時間未満」(24.4%)が最多回答で、平均時間は52.5時間でした。

世代別に平均時間をみると、20代56.4時間、30代54.9時間、40代53.6時間、50代51.2時間、60代以上48.5時間と若い世代の教員ほど長くなる傾向がみられました。

勤務先の校種別に平均時間をみると、小学校は52.6時間、中学校は56.5時間、高等学校は49.4時間でした。

 

また、【学校外(自宅を除く)】や【自宅】では、どちらも「0時間」(学校外80.4%、自宅44.5%)が最多回答だったものの、【学校外(自宅を除く)】では「5時間以上」(6.8%)、【自宅】では「10時間以上」(10.3%)の回答もみられ、平均時間は、【学校外(自宅を除く)】が1.0時間、【自宅】が2.8時間となりました。

 

次に、週休日(土曜日・日曜日)の総労働時間について聞いたところ、【学校内】【学校外(自宅を除く)】【自宅】のいずれにおいても「0時間」(学校内51.9%、学校外82.8%、自宅54.2%)が最多回答でしたが、【学校内】では「10時間以上」が10.3%、【自宅】では「2時間~4時間未満」が18.2%となりました。また、平均時間は、【学校内】が3.2時間、【学校外(自宅を除く)】が0.9時間、【自宅】が1.7時間でした。

 

◆「管理職が出・退勤時刻の把握を行っていない」1割強

 「タイムカードやパソコンの起動・終了など客観的な方法で出・退勤時刻を把握」は3割にとどまる

 

次に、全回答者(1,000名)に、勤務先の管理職が何をもとに出・退勤時刻を把握しているか聞いたところ、「出勤簿」が最も多く41.5%、次いで、「(教員の)自己申告」が33.1%となりました。また、「タイムカード」が20.9%、「パソコンの起動・終了記録」が9.5%と、『客観的な方法で出・退勤時刻を把握(計)』は30.2%にとどまりました。なお、「出・退勤時刻の把握は行っていない」は12.6%と、1割を超えています。

 

続いて、管理職が教員の自己申告で出・退勤時刻を把握していると回答した人(331名)に、どのように自己申告しているかを聞いたところ、「パソコン(エクセル表など)上で、自己申告を行っている」が82.5%、「出勤・退勤の記録簿などに手書きで自己申告を行っている」が14.8%、「その他」が2.7%となりました。

 

≪現在の仕事の状況と9月以降の自身の状態≫

◆「時間内に仕事が処理しきれない」20代・30代の教員の9割以上

 

全回答者(1,000名)に、現在の仕事の状況を聞いたところ、【時間内に仕事が処理しきれない】では、「とてもそう思う」54.0%、「まあそう思う」28.8%、「あまりそう思わない」14.4%、「まったくそう思わない」2.8%となり、『そう思う(計)』(「とてもそう思う」と「まあそう思う」の合計)は82.8%となりました。大多数の教員が、時間内に仕事を終わらせるのは難しいと感じているようです。

世代別にみると、30代では「とてもそう思う」が71.0%と他の世代より高く、『そう思う(計)』は、20代91.7%、30代91.1%、40代87.6%、50代77.3%、60代以上75.7%と、若い世代ほど高くなる傾向がみられました。

勤務先の校種別に『そう思う(計)』をみると、小学校では88.0%、中学校では90.4%と、いずれも9割前後になり、高等学校(70.3%)に比べて高くなりました。

 

◆教員の6割が「今年度になって管理職から早く退勤するように言われた」

◆管理職から早く退勤するように言われた人のうち「仕事の量を減らしてから言ってほしい」と思った教員は約7割

 4割半ばが「持ち帰り仕事が増え、総労働時間は変わらない」と回答

 

全回答者(1,000名)に、今年度(2018年度)になって管理職から早く退勤するように言われたか聞いたところ、「言われた」は60.1%、「言われたことはない」は39.9%となりました。

世代別にみると、「言われた」は、20代73.6%、30代63.9%、40代63.1%、50代56.5%、60代以上52.6%となり、若い世代ほど高くなりました。

勤務先の校種別にみると、小学校では68.8%、中学校では68.3%と、いずれも7割近くになりました。

 

続いて、今年度になって管理職から早く退勤するように言われた人(601名)に、自身の気持ちや職場の状況を聞いたところ、【気持ち】では「まず、仕事の量を減らしてから言ってほしい」は68.7%、「仕事を時間内に終えようという気持ちが持てるようになった」は17.6%でした。

また、【職場の状況】では「持ち帰り仕事が増え、自宅での仕事を入れると総勤務時間は変わらない」が46.4%となった一方、「長時間勤務が少し解消した」は12.5%にとどまりました。労働時間の削減が、掛け声倒れになっている職場が多いようです。

 

◆現在の仕事に働きがいを感じている教員は約9割

◆最近の自身の状態 「ひどく疲れたことがあった」9割強 「イライラしていることがあった」約8割

 

全回答者(1,000名)に、現在の仕事に対する意識を聞いたところ、【働きがいのある仕事だ】では、「とてもそう思う」37.3%、「まあそう思う」50.5%、「あまりそう思わない」8.6%、「まったくそう思わない」3.6%となり、『そう思う(計)』(「とてもそう思う」と「まあそう思う」の合計)は87.8%となりました。大多数の教員が働きがいを感じていることがわかりました。

 

次に、全回答者(1,000名)に、最近(2018年9月以降)の自身の状態について聞いたところ、【元気がいっぱいだ】では、「ほとんどなかった」が21.4%、「ときどきあった」は42.5%、「しばしばあった」は24.3%、「ほとんどいつもあった」は11.8%で、『あった(計)』(「ときどき」「しばしば」「ほとんどいつも」の合計)は78.6%でした。

また、【ひどく疲れた】では、「ほとんどなかった」が8.9%、「ときどきあった」39.1%、「しばしばあった」27.4%、「ほとんどいつもあった」24.6%で『あった(計)』は91.1%、【イライラしている】では、「ほとんどなかった」が22.3%、「ときどきあった」46.8%、「しばしばあった」22.0%、「ほとんどいつもあった」8.9%で『あった(計)』は77.7%となりました。ひどい疲れを感じることがある教員や、自身がイライラしていると感じることがある教員は多いようです。

 

◆「自身が困ったとき、上司は頼りにまったくならない」教員の8人に1人

 

続いて、全回答者(1,000名)に、自身が困ったときに、周囲の人はどの程度頼りになるか聞いたところ、【上司】では「非常に」が9.9%、「かなり」が29.5%、「多少」が47.8%となった一方、「まったくない」が12.8%となり、【同僚】では「非常に」が10.1%、「かなり」が36.4%、「多少」が45.6%となった一方、「まったくない」が7.9%となりました。また、【配偶者、家族、友人等】では「非常に」が22.7%、「かなり」が32.6%、「多少」が33.2%となった一方、「まったくない」が11.5%となりました。

 

≪教員の勤務時間に関わる制度について≫

◆教員の勤務時間に関わる制度の見直し案(変形労働時間制の導入案)に対する教員の考え

 教員の約6割が「(変形労働時間制を導入すると)介護や子育て中の教員は困る」と回答

 「翌月の勤務時間の長さをあらかじめ決めておく」見直し案を「非現実的」とする教員は約8割

 「業務が少ない日の勤務時間を6時間とする」見直し案を「非現実的」とする教員は約7割

 

教員の勤務時間に関わる制度について、次のような制度に見直しがされた場合について、どのように感じるか聞きました。

4月~翌年3月までの1年間を平均して1週間あたりの勤務時間が40時間を超えないことを条件として、業務が多い時には勤務時間を最長10時間、業務が少ない時には勤務時間を、たとえば6時間に短くする、夏休みなどは「勤務日」を減らす。

まず、全回答者(1,000名)に、【介護や子育て中の教員は困ると思いますか】と聞いたところ、「とてもそう思う」は28.6%、「まあそう思う」は30.4%で、合計した『そう思う(計)』は59.0%、「あまりそう思わない」が24.0%、「まったくそう思わない」が9.8%で、合計した『そう思わない(計)』は33.8%となりました。

次に、【4月1日に、5月中のすべての勤務日について、勤務時間の長さをあらかじめ決めておくことは現実的だと思いますか】と聞いたところ、「とてもそう思う」は4.4%、「まあそう思う」は12.0%で、『そう思う(計)』は16.4%、「あまりそう思わない」が23.1%、「まったくそう思わない」が57.7%で、『そう思わない(計)』は80.8%でした。

また、【1ヶ月のうち、業務が少ない日には勤務時間を6時間(午前8時に勤務開始の場合、午後3時に勤務終了となる)とすることは現実的だと思いますか】と聞いたところ、「とてもそう思う」は9.0%、「まあそう思う」は19.4%で、『そう思う(計)』は28.4%、「あまりそう思わない」が23.5%、「まったくそう思わない」が46.0%で、『そう思わない(計)』は69.5%となりました。

さらに、【夏休みの勤務日を減らす(今の夏季休暇の日数以上に休む日を設ける)ことは現実的だと思いますか】と聞いたところ、「とてもそう思う」は27.7%、「まあそう思う」は39.0%で、『そう思う(計)』は66.7%、「あまりそう思わない」が17.6%、「まったくそう思わない」が13.1%で、『そう思わない(計)』は30.7%となりました。

 

◆「(変形労働時間制を導入すると)介護や子育て中の教員は困る」と考える教員の割合

 20代で7割強、60代以上で6割半ば

 

ここで、【介護や子育て中の教員は困ると思いますか】について、男女別に、『そう思う(計)』(「とてもそう思う」と「まあそう思う」の合計)の割合をみると、男性では57.6%、女性では62.2%と、男性より女性のほうがやや高くなりました。

また、世代別にみると、20代で72.2%、60代以上で64.1%と、育児や介護の当事者性の高い世代において、他の年代に比べて高くなる傾向がみられました。

 

◆「勤務時間外に行った授業準備などの業務を勤務扱いにする」制度の見直し 「賛成派」は8割半ば

◆「教員にも残業代を支払うようにする」制度の見直し 「賛成派」は8割半ば

 

今の教員の勤務時間に関する制度では、勤務時間外に行った授業準備・成績処理・調査報告物の作成などの業務は勤務ではなく、「教員による自発的な行為」とされています。

そこで、全回答者(1,000名)に、これらの業務を勤務とするような制度の見直しを行うことについてどのように思うか聞いたところ、「賛成」が64.6%、「まあ賛成」が21.6%で、合計した『賛成(計)』は86.2%、「まあ反対」が3.1%、「反対」が6.6%で、合計した『反対(計)』は9.7%でした。

 

また、教員にも残業代を支払うように、制度の見直しを行うことについてどのように思うか聞いたところ、「賛成」が64.1%、「まあ賛成」が22.2%で、合計した『賛成(計)』は86.3%、「まあ反対」が3.4%、「反対」が3.2%で、合計した『反対(計)』は6.6%となりました。



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企業名 ネットエイジア株式会社
代表者名 三清慎一郎
業種 ネットサービス

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