骨太の方針に含まれるのはブルーとホワイトの二層のみ。 中小企業のニーズ層に値する 「中間に位置する人材」の雇用促進の必要性

日本政府は外国人労働者の受け入れに本格的に乗り出しました。安倍首相も同日開催の経済財政諮問会議において「一定の専門性、技能を有し、即戦力となる外国人材を幅広く受け入れていく仕組みを早急に構築する必要がある」と述べています。 しかし、この取り組みの枠組みに入らない「専門性・技能を有している即戦力となる外国人材」は、政府が定義しているホワイトカラーとブルーカラーの中間にあたるであろう「ライトブルー層」に位置し、国内において雇用者、被雇用者双方が注目している層であると弊社は実感しています。 ※私たちはこの層を「ライトブルー」と呼びます 弊社の業務の実態に基づいて、日本企業が必要としている人材のタイプと、日本企業への就職を希望する外国人人材の実際について報告します

「骨太の方針2018」の概要

ブルーカラーとホワイトカラーの二層のみに着目

現在、政府は、技能実習という名の下で働くブルーカラーと、高い専門性を持った高度外国人材と呼ばれるホワイトカラー(「Highly Skilled Professional visa」に価するような人たち)の二つの層の外国人労働力の受け入れに注力している。

 

この二層をまとめて「外国人労働者」と表現しているが、保持するスキル・経験、期待される役割が異なっている。政府の表現では「専門性・技能を持っている」となるが、ブルーカラーとホワイトカラー層のスキルは、発揮されるシーンは大きく異なる。

 

外国人労働者受け入れ政策の実際

「骨太の方針2018」には「一定の専門性・技能を有する外国人材を受け入れる新たな在留資格の創設」とある。この専門性・技能とは、「業種の存続・発展のために外国人材の受入れが必要と 認められる業種において行う」と明記され、介護、農業、建設、造船、宿泊の5分野を想定している[1]。

これは「ブルーカラー」の業務に相当すると考える。

 

同時に、上述のリーダーシップを担うホワイトカラーについても言及されている。「高度人材ポイント制」について見直すと明記され、「特別加算の対象大学の拡大等の見直しを行う」とある。この「等」に含まれる範囲がどの程度か、具体的な施策は不明瞭であり、高度人材の定義を大幅に変更するとは明文化されていない。

 

中小企業の求める外国人労働者像とビザの発給状況

中小企業は「ライトブルー層」を求めている

経産省のデータ[2]から、日本企業全体の99.7%を占める中小企業では、政府の定義するブルーカラーとホワイトカラーの中間にあたる労働力を求めていることがわかる。

「生産現場で肉体労働に従事する者ではなく、2年から5年くらいの経験を持っていて将来の幹部候補として雇用したい若手プロフェッショナル」といった人材像だ。

 

また、中小企業の採用ニーズは、小規模企業ほど「中途採用、欠員補助、学歴不問」で、4割以上の中小企業が、学歴は全く問わないというデータ[3]もある。

中小企業の中途採用者は、経験豊富で地位・給料が高いポジションではなく「一般職」と呼ばれる立場の人が8割を占めている。

 

このことから、中小企業は、積極的に受け入れを進めているホワイトカラー人材とブルーカラー人材の中間に位置する「ライトブルー層」を求めていると考えられる。

 

就労ビザ取得は留学生として日本に滞在していないと厳しい

現在、ブルーカラーでもホワイトカラーでもない、中間層である若手プロフェッショナル人材(ライトブルー層)が日本の就労ビザをスムーズに得るためには、学生ビザで日本に滞在していることが好ましいとされている。実際に、学生ビザから就労ビザへの切り替えの数は年々増加傾向にあり、平成27年は前年比20.6%増で過去最高であった[4]。

 

一方で、経験・学歴を有しており、採用も問題はないだろうと思われる存在でも、日本での長期滞在ビザを取得していなければ、就労ビザの取得の見通しが立ちません。中小企業が採用を躊躇してしまう要因の一つと考えられる。

 

ちなみに、有料職業紹介を行う人材紹介企業も、日本の長期滞在ビザを取得していない者には外国籍の方へ就職斡旋をすることができない。

 

外国人採用の実際(弊社の実例)

弊社は外国籍社員が半数を占めている。積極的に外国人採用を進めており、採用者はすべて配偶者が日本国籍を持ち、長期滞在ビザを保有している者である。

 

以下は、就労ビザの取得に関する直近の事例である。就労ビザ取得の確約がないまま、3、4ヶ月間、他者の採用を中断し、海外の人材を採用する「余裕のある」中小企業は存在するのかと考えさせられる事例であった。

 

就職先も決まっていないのに、観光ビザを握りしめ来日したイタリア人が求人案件に応募。

イタリアの大学で日本語を学んだことをきっかけに、大学在学中に短期留学で来日。イタリアでは、著名な大手外資系企業に勤めてたが、日本で働かなかったら後悔すると退職。日本企業への就職活動をイタリアで試みたところ海外在住だからと断られたため、就職活動のために来日した。

 

当該者は私たちが定義する「ライトブルーカラー層」の人材であった。

弊社の企業風土とも最高にマッチする。採用の可能性を探るべく、行政書士に相談をしたところ、観光ビザから就労ビザへの切り替えはほぼ不可能だと思って欲しいとの回答であった。

 

行政書士のアドバイスでは、最良の方法は、一旦イタリアへ帰国し、改めてイタリア国内から就労ビザに応募するという方法だとのこと。

これまでの経験から、日本国内に滞在している者の就労ビザ申請は大体2週間から平均1ヶ月ほどという感覚であったが、行政書士は海外滞在の方が日本の就労ビザを取得するまでの時間は見通しが立ちにくく3ヶ月から4ヶ月くらいはかかるだろうという見通しだったため、弊社は優秀な人材の採用を断念した。

 

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アクティブ・コネクター株式会社について

「異人・変人と変革を」というミッションの下、日本に在住する高度外国籍人材と、情熱を追求するベンチャー企業のマッチング(人材採用支援およびその後の定着支援)を展開しています。

2013年5月に設立し、オフィスのある本郷三丁目を拠点に、これからの未来を創っていくベンチャー企業と、世界と日本をつなげる高度外国籍人材と日々のいろいろなチャレンジに取り組んでいます。

社内の公用語は英語、社内にBaby Roomを設置しチームメンバーみんなで子育てをし、様々な新しい働き方改革に取り組みながら、他のベンチャー企業に共有できるナレッジをためています。

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本コラムへの問い合わせ先:

アクティブ・コネクター株式会社

代表取締役 松本麻美

info@active-connector.com

Tel: 03-6801-6319

 

〒113-0033 東京都文京区本郷5-24-2 グレースイマスビル4F

Web: http://jp.active-connector.com/

 

[1]https://www.nishinippon.co.jp/feature/new_immigration_age/article/422295/

[2] http://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/chushoKigyouZentai9wari.pdf

[3] http://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2015/08/002-011.pdf

[4] https://www.jasso.go.jp/gakusei/career/event/guidance/__icsFiles/afieldfile/2017/07/04/12_h29guidance_ryuugakusei-session_monkasyou.pdf



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企業名 アクティブ・コネクター株式会社
代表者名 松本麻美
業種 ビジネス・人事サービス

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