カナダ・オンタリオ州、連邦政府と業界団体連携による 「自動車投資委員会」を新設 委員長に前トヨタ・カナダ会長を任命

カナダ・オンタリオ州は、カナダ連邦政府、自動車産業界団体(CAPC※1)　と連携して、同州の自動車産業の国際競争力を強化し、外国メーカーの投資誘致戦略を提案する自動車投資委員会※２の新設を発表しました。

同委員会の委員長には、今年3月末までトヨタ・カナダ会長などを務めたオンタリオ州出身のレイ・タンゲイ（Ray Tanguay）氏が就任します。タンゲイ氏は在任中にオンタリオ州に2つ目のトヨタ工場の建設と、海外工場としては唯一のレクサス生産を実現した経験と手腕が高く評価されています。同委員会は、今後カナダの自動車産業の将来を見据えて、国際競争力の強化、及び外国自動車メーカーからの継続的な投資誘致などの戦略に関して、オンタリオ州政府および連邦政府にアドバイスや提言を行っていきます。

オンタリオ州は、州内にトヨタ、ホンダ、クライスラー、フォード、ゼネラル・モーターズ（GM）といった、世界の大手自動車メーカー5社が製造工場を持ち、さらに日野自動車がトラックの生産工場を置いています。同州は北米最大の自動車生産拠点で、北米全体の自動車総生産の16%近くを占めています。同州の自動車産業は700以上の部品メーカーと500以上の工具、金型、鋳型メーカーなどからのサプライチェーンによって支えられています。
2014年から2015年にかけての1年間で、オンタリオ州の自動車業界には民間部門から40億カナダドル(約4,000億円)を超える投資が行われました。例えば、GMのインガソル工場への追加投資、クライスラーのウィンザー工場整備の投資、ホンダのアリストンおよびリナマー工場への投資などが含まれています。

「自動車投資委員会」の新設を発表したオンタリオ州のブラッド・デュグイッド経済開発大臣は次のように語っています。
「オンタリオ州の自動車産業は私たちの経済の基盤です。今日の世界経済において国際競争が激化する中で、さらなる投資を推進し自動車部門の強い競争力を維持することがますます重要となります。オンタリオ州とカナダ政府、自動車産業界の連携が、レイ・タンゲイ氏の戦略的助言とリーダーシップを得て、オンタリオ州が自動車産業の競争力と生産性を高めマーケットシェアを一層拡大できると確信しています。」。

また自動車投資委員会委員長のレイ・タンゲイ氏は以下の様に述べています。
「オンタリオ州の自動車産業は、現在も強力な競争力をもちますが、今後も継続的な努力が必要です。私たちの同州の自動車産業の擁護者の一人として、今回の新しい連携により、私は州政府、連邦政府とCAPCやその他の人業界関係者の方がたと共に、カナダ自動車業界の国際競争力の更なる向上に貢献できることを楽しみにしております」。

※1自動車産業界団体(CAPC)について　　　　
Canadian Automotive Partnership Councilの略で、カナダにある自動車メーカー５社や主要部品メーカーのCEO、自動車労働組合を含む労働団体Unifor（Union for Canada）、業界団体、学界やオンタリオ州、ケベック州などから成る。
CAPC公式ホームページ（英語）：http://capcinfo.ca/en/home-en.html
　　　　
※2自動車投資委員会について⇥
英語名は、Automotive Investment Committeeと呼ばれるが、正確には、CAPCの中の小委員会（subcommittee）と位置付けられている


■レイ・タンゲイ（Ray Tanguay）委員長略歴
オンタリオ州北部カプスケーシング（Kapuskasing）の酪農農場生まれの65歳。1972年セントクレア・カレッジ（St. Clair College）電気工学を卒業、1983年ウィルフリッド・ローリエ大学（Wilfrid Laurier University）ビジネスマネジメントを卒業後、1991年にトヨタ・モーター・マニュファクチャーリング・カナダ（Toyota Motor Manufacturing Canada Inc., TMMC）入社。彼の優れた管理のもとでTMMCは2003年から、日本国外で高級車レクサスを生産する初の海外工場になり、2012年からは通常のレクサスRX350のほかに、ハイブリッド車のレクサスRX450ｈの生産を開始。
常に将来を見つめ、トヨタの一層のグローバリゼーションに貢献するとともに、北米における独立独歩を達成。2011年からTMMCおよびトヨタ・カナダの会長。初の外国人重役としてトヨタ自動車本社にトヨタのグローバル展開などについて広く助言してきました。ほかに、カナディアン・オートパーツ・トヨタ（Canadian Autoparts Toyota, Inc.）社長としてカナダにおけるトヨタの事業を統括。彼が入社した1991年には約1,000人の従業員がケンブリッジの工場で年間68,000台のカローラを生産していたのが、彼のリーダーシップのもとで2014年にはケンブリッジとウッドストック工場で8,000人の従業員が579,000台のカローラ、マトリックス、レクサス、RAV4などを生産するまでに成長。トヨタでの業績が認められて、2012年にローリエ大学から名誉法学博士号を、ウォータールー大学から名誉工学博士号を授与。今年3月末に引退。


※為替レートは1カナダドル＝100円で計算しています。


■オンタリオ州について
オンタリオ州はカナダ経済の中心地となっており、カナダ全体のGDPの37%、人口の39%、カナダの輸出品の38%がオンタリオ州に集中しています。オンタリオ州のビジネス環境は世界で成功するために設計されており、北米で効率のよい、国際貿易と投資の中心となっています。多文化の労働力、合理的な規則、低リスクの投資環境、競争力のあるビジネスコスト等多くの事柄が保証されています。
世界の主要企業がこれまでにオンタリオ州で事業を設立または、拡大を行ってきました。それらの企業の分野は、自動車、航空宇宙産業、ライフサイエンス、バイオテック、金融、鉱業など多岐にわたります。約200社の日系企業も、オンタリオ州に投資しており、ホンダ、トヨタ、日産、三菱重工業、カプコン、コーエイ、アステラス製薬、武田薬品工業、キヤノン、住友精密などの主要企業が現地法人を置いています。


■オンタリオ州政府在日事務所について
オンタリオ州政府在日事務所（Ontario International Marketing Centre、東京都港区カナダ大使館内）は、日本とオンタリオ州の貿易・投資促進を図る目的で2006年2月に開設されました。同在日事務所は、日本企業の投資誘致活動、オンタリオ企業・輸出業者への支援、日本の行政・媒体関係者の協調関係を深めるなど、様々な活動を通じてオンタリオ州の産業、ビジネスを紹介し、日加間のビジネス交流・貿易の促進に取り組んでいます。