香川大学、松谷化学工業が共同で希少糖「D-アロース」の寿命延長(アンチエイジング)効果の研究結果を発表

松谷化学工業株式会社は、香川大学農学部 佐藤正資教授、香川大学希少糖研究センター 何森健特任教授と当社希少糖研究チームの共同研究で、希少糖の一種「D-アロース」が、線虫を用いた実験で平均20パーセントの寿命延長効果があることを確認しました。

松谷化学工業株式会社
ニュースリリース
2013年3月21日
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香川大学、松谷化学工業が共同で希少糖「D-アロース」の寿命延長(アンチエイジング)効果の研究結果を発表

---線虫の平均寿命が20%延長---
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でん粉加工と機能性食品素材の総合メーカー 松谷化学工業株式会社(本社:兵庫県伊丹市 代表取締役社長:松谷晴世 以下、松谷)は、このたび香川大学(香川県木田郡三木町)農学部 佐藤正資教授、香川大学希少糖研究センター 何森健特任教授と当社研究所の希少糖(レアシュガー)研究チームの共同研究で、希少糖の一種であり、ノンカロリーと推定される「D-アロース」が、線虫を用いた実験によって平均20パーセントの寿命延長効果(アンチエイジング効果)があることを確認しました。また、その寿命延長メカニズムがインスリンシグナル伝達系とサーチュインを介していることを確認いたしました。

なお、本研究発表は、2013年3月26日、「日本農芸化学会2013年度仙台大会」(会場:東北大学 http://www.jsbba.or.jp/2013/outline.html)において香川大学農学部 佐藤正資教授により行われます。


【研究内容】
「抗老化効果をもつカロリー制限模倣物質の探索-希少糖D-アロースの線虫寿命延長効果とその作用メカニズム」             
*線虫:本研究で用いた線虫はC.elegans (シーエレガンス)と呼ばれる非寄生性の線虫の一種。体長は約1mmで高等動物と同様に消化系、神経系、筋肉系、生殖系等の多様な組織を持つ。寿命は3週間程度であり寿命研究のモデル生物。

【研究の背景と目的】
摂取カロリーの制限によって寿命が延長することが、線虫、ショウジョウバエ、マウス、サルなど多くの実験動物で知られています。人においてもカロリー制限は加齢性疾患の発症を遅らせ、寿命を延ばすと考えられています。しかし、生涯にわたってカロリー制限食を続けることは非常に困難です。そこで、食事と一緒に摂取することでカロリー制限と同様の効果が得られるカロリー制限模倣物質(calorie restriction mimetic)の開発が注目されています。現在まで、いくつかのカロリー制限模倣物質の候補が報告されており、例えば、解糖系酵素の阻害剤 2-デオキシ-D-グルコース(2-deoxy-D-glucose)、サーチュイン(Sir2/Sirt1、サーチュイン遺伝子)を活性化するポリフェノールであるレスベラトロール(resveratrol)などがあります。しかし、食品素材として効果的で安心・安全なアンチエイジング物質の開発には更に検討の余地があります。すでに、昨年の本学会においてD-フルクトースのC3エピマーである希少糖 D-プシコースが線虫の寿命を延長することを当グループは報告しております。今回、D-グルコースのC3エピマーであるD-アロースについて、シグナル伝達系に変異を持つ線虫株を用いて、寿命延長メカニズム関する検討を行いました。

【研究方法】
線虫寿命延長試験にはC. elegans 野生株 N2とdaf-16 (インスリン経路下流の転写因子の線虫オルソログ) 変異体、sir-2.1(Sir2/Sirt1の線虫オルソログ) 変異体を用いました。同調培養によって得られた若成虫を、D-アロースを含む液体培地へ移し、20℃で振とう培養し,一日おきに観察、生死を判定しました。そして、すべての線虫が死ぬまで培養を続け、平均寿命を算出しました。

【結果】
野生株N2において、28mM D-アロース処理線虫の平均寿命は22.9日(対照区:19.4日)となり約20%の延長が認められました。一方、daf-16変異体とsir-2.1変異体での試験を行ったところ、両者にはD-アロースの寿命延長効果が認められませんでした。この結果から、D-アロースによる寿命延長にはインスリンシグナル伝達系とサーチュインが関係していると考えられました。

*サーチュイン遺伝子:長寿遺伝子や抗老化遺伝子と呼ばれ、その活性化により生物の寿命が延びるとされています。
**変異体:ある遺伝子が変異しており機能を失っていることから、モデル生物での遺伝子レベルの機能解析に用いられます。
***オルソログ:異なる種の生物において進化的な起源を同じくする相同遺伝子で、同様の機能をもっています。

希少糖について
松谷は、2004年以来、香川大学と共同で新たな自然の糖である「希少糖」(レアシュガー)の研究を行ってきました。希少糖は、自然界に微量しか無い、希少な単糖ですが種類は多く、50種以上存在します。近年、香川大学ほか研究機関による希少糖の大量生産技術の確立により研究が進み、様々な生理活性が発見されました。希少糖の一種である、ノンカロリーで甘味度が砂糖の7割程度の「D-プシコース」には、食後血糖上昇抑制作用、内臓脂肪蓄積抑制作用、そしてモデル生物でのアンチエイジング効果が認められています。また、「D-アロース」には抗酸化作用、血圧低下作用などの生理活性があり、医薬品や機能性食品あるいは化粧品などへの応用開発が進められています。

2010 年、松谷と株式会社希少糖生産技術研究所(本社:香川県木田郡三木町 代表取締役社長:何森 健 http://www.izumoring.com/) は、D-プシコース、D-アロースなどの希少糖を含む希少糖含有シロップ「レアシュガースウィート」の開発に世界で初めて成功しました。これまでの香川大学との研究調査により、「レアシュガースウィート」が脂肪蓄積抑制効果や糖代謝改善作用などへの効果を持つことが報告されており、肥満予防などメタボリックシンドロームに対する効果や糖尿病予防に対する効果が期待されています。なお、2011 年11 月には国際希少糖学会第5 回国際シンポジウムにおいて「レアシュガースウィート」のヒトでの12 週間連続摂取による体脂肪低減効果とその安全性が報告されています。

なお「レアシュガースウィート」は、株式会社レアスウィート(本社:香川県木田郡三木町 代表取締役社長:近藤 浩二 http://www.raresweet.co.jp/)が2012年6月から法人向けに全国販売を開始し、また12月からは一般家庭向け500グラム入りボトルの香川県内先行販売を行っています。

松谷では、様々な希少糖に関する研究を進めており、希少糖の抗肥満、抗糖尿病、抗動脈硬化、抗酸化、アンチエイジングなどをはじめとする様々な作用を解明し、人類への大きな寄与が期待される希少糖の普及へ向けてこれからも、一層の努力を続けます。


松谷化学工業株式会社(www.matsutani.co.jp)について:
松谷化学工業株式会社(本社:兵庫県伊丹市北伊丹5-3 代表取締役社長:松谷晴世)は、でん粉加工と機能性食品素材の総合メーカーとして、加工でん粉や難消化性デキストリンをはじめとする食物繊維等の製造・販売、希少糖および関連製品の研究開発・製造、販売を行っています。当社は、でん粉加工のパイオニアとして、新しい機能を有するでん粉やその分解物など食品製造に不可欠な機能性の高い素材を多岐にわたり研究開発を行っており、お客様のニーズにお応えする「手軽で」「美味しい」「体に良い」加工食品を創造するための機能と、「安全」「安心」「安定」した品質を持つ食品素材「食用でん粉」「加工でん粉」「澱粉分解物」を提供いたします。


企業情報

企業名 松谷化学工業株式会社
代表者名 松谷晴世
業種 食品関連

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