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ストーリーで学ぶ戦略PR入門

2009年頃からPR業界で話題になった「戦略PR」。PRに携わる人なら一度は耳にしたことがある方も多いでしょう。けれども、いざ「説明してほしい」と言われたら、自信を持って説明できますか? 今回は皆様に、戦略PRについて著書『最新 戦略PR 入門編』の内容を引用(一部編集)しながら、ストーリーを交えつつ説明していきます。

戦略PRとは「空気づくり」?


戦略PRの意味をネットで調べてみたところ、PR会社のブルーカレント・ジャパンのホームページに、以下のような説明が書いてありました。

“商品そのものにフォーカスしたPR活動ではなく、世の中の時流と商品をつなぐテーマを開発しそこから話題喚起し、世論をつくり出す「空気づくり」を行い、その盛り上がりを商品の販売に落とし込む手法のこと”

なんだか少し難しいですよね。「空気づくり」って何でしょう。

空気づくり

著書では、ある洗剤のPRについての事例が紹介されています。
たとえばとある洗剤メーカーが、Xという洗剤を日本で売ろうとしていました。「どうやったら売れるかなあ」と考えていました。

洗剤の市場は、値段も機能も均質化が進みコモディティ化しています。([PDF]家庭用洗濯洗剤市場における 参入順序と市場シェアとの関係性
ライオンの「トップ」や花王の「アタック」など、沢山の種類があり、洗浄力などの性能における差別化は難しく、また価格面においても数十円程度しか違いません。
その中で消費者に、新たな商品である洗剤Xを手にとってもらうには、どうすればいいのでしょうか?

 

消費者調査をする


まずメーカーは、花粉の時期を狙って売り出すことに決めました。その洗剤Xを「花粉の時期の部屋干しにも最適」と訴求することにしたのです。

花粉が舞っている外で衣服を干すと、花粉が付いてしまい、乾いて家に取り込むときに服と一緒に花粉も入ってしまいます。そういった問題を避けるための手段として、花粉症の方、もしくは家族に持つ方を対象にXの洗剤を売り込もうと考えたのです。

また、花粉対策は、日本人の関心が高く、絡ませると話題になりやすい性質があります。

花粉症

しかし、当時の消費者の間には、「花粉の時期は、部屋干ししなきゃ」という認識があまりありませんでした。消費者調査によると、主婦の9割近くが、洗濯物を取り込むとき十分(花粉を)はたいてから部屋に入れているとわかりました。また、「花粉対策として部屋干しをいつも行っている」と答えた人は約18%でした。

「べつに外に花粉が舞っていようが、外干しすればいいし、取り込むときに花粉を手ではたけばいい」消費者にはそういう認識があったようです。この世論のまま「花粉の時期の部屋干しにも最適」と訴求しても、効果はあまりなさそうです。

そこでメーカーは、消費者に「花粉の時期は、部屋干ししなきゃ」と思ってもらうことにしました。ここから戦略PRが始まります。

 

マスコミに「ニュースになるな」と思わせる


消費者調査で、「花粉が出ても外干しする」という結果が出たわけですが、同時にメーカーは、洗濯物の花粉付着を検証する実験を行っていました。

すると実験では、意外な結果が出ました。【洗濯物を取り込むときに手ではたいても、花粉は80%服に付いたまま】だというのです。
外干ししたあとに手ではたいても、花粉は落ちない。この事実を引っさげて、メーカーはマスコミを集めたセミナーを開催します。

セミナーでは、花粉症治療で有名な医師や、住宅アドバイザーなども登壇して、このような内容のことを話します。

「洗濯物に付いた花粉は、乾く過程で繊維に絡まってしまうため、手で払っても80%以上付着したままなんです。だから花粉の季節は、洗濯日和の日でも部屋干しが良いですよ」

Speaker at Business convention and Presentation.

マスコミは、その意外な事実に驚き、「ニュースにしよう」と思いました。先ほども書きましたが、花粉の話は日本人の関心が高いのです。

マスコミはこぞって報道し、主要な新聞やテレビの情報番組、また女性雑誌など、40件以上のメディアに露出されました。

その頃テレビCMでは、晴れ渡った日なのに部屋干しをする主婦が登場し、「花粉の舞う季節の部屋干しに、この商品をどうぞ」とメッセージが発信されていました。もちろん、洗剤XのCMです。


 

人々が影響されて空気ができ上がる


主要なテレビ番組や新聞、CMにも「花粉の時期には部屋干しが良い」という情報が流れています。
そして、それらの情報を、たくさんの人々が目にし、耳にし、受け取りました。

結果、再度行った消費者調査では、「花粉対策として部屋干しをいつも行っている」の回答が、約32%に上昇していたのです。2倍近くの上昇でした。

このようにして、世の中に「花粉の時期は部屋干しをする」という【空気】ができ上がっていきました。

戦略PRとは、消費者がその商品を買いたくなるような気分にさせる【空気づくり】です。
上記の例のように消費者調査をしたり、実験をしたり、マスコミに情報提供したり、CMを打ったりと、空気をつくるために戦略的な施策を打っていけるPRパーソンが求められています。

 

戦略PRはこの本を読むといい


より理解を深められる本で、『戦争広告代理店』というドキュメンタリーがあります。この本は、ボスニアとセルビアが紛争を起こしていた1992年頃、アメリカのとあるPR会社がボスニアに雇われ、あらゆるPR手段を使って、「(敵国の)セルビアは酷い国だ」という印象を世界に植えつけ、国際世論をセルビア非難に向かわせたという、【PR戦争】の話が書いてあります。

また、今回参考にさせていただいた『最新 戦略PR 入門編』の著者、本田哲也氏は、日本に戦略PRの概念を広めた張本人として有名です。本では戦略PRについて、豊富な事例も交えてわかりやすく、時に面白おかしく解説してありました。

Amazon:ドキュメント 戦争広告代理店〜情報操作とボスニア紛争 (講談社文庫)

Amazon::最新 戦略PR 入門編

戦略PRを理解するためには、たくさんの事例に触れることが一番です。
楽しく戦略PRと触れ合っていきましょう。

 

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