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攻めの広報のヒントに!ある映画監督の驚きのプロモーション

積極的に世間へ自社の情報を訴求する「攻めの広報」。 自社を知らせるためには、多少図々しくなろうと勢いよく行動し、また同時に、適切な方法を考えなくてはなりません。 この記事では、現在国際的評価の高い映画監督・園子温氏がまだ無名だったときに自主製作した映画を、連日満員にしたエピソードから、PRのヒントをご紹介します。 記事本文の1,2章は、園子温氏の著作『非道に生きる』から一部引用し、編集いたしました。

1章:CMも打たれない自主映画作品のレイトショーを連日満員にしたのは
お金のかからないありとあらゆるプロモーションを行ったから


今回紹介するのは、映画のプロモーション事例です。

1990年に創られた16ミリ映画『自転車吐息』は、現在11個の作品が海外の映画祭に出品され、カンヌやベルリン国際映画祭の賞も受賞している園子温(そのしおん)氏が監督をしました。

「憂鬱な日々を送る二人の予備校生の心情を描いた青春映画」である自転車吐息は、今まで8ミリカメラで作っていた園氏が、初めてプロの駆け出しスタッフと共同で創った作品です。東宝などの配給会社が付かない、インディーズ・ムービーでした。

そんな『自転車吐息』が中野にある映画館での上映が決まったとき、当初の契約は、10日間限定、21時からのレイトショー、というものでした。
当時のレイトショーは、1回の上映につきお客さんが5、6人入ればいい方。

しかしそれが、10日間合計で2,500人の観客動員数を記録しました。
毎回100人、200人、というペースで動員していき、観客が入りきらないので、上映回数が午後10時半の回、午前0時の回、深夜3時の回と増やされたほどでした。

 
打ち上げ花火と観客

 
あまりにも動員したせいで、2カ月後にふたたび2週間のレイトショー上映が決まり、そこでも5000人くらいの動員がありました。昼間の興行に移ったあと、アンコール上映が計6、7回行われました。

なぜ、それほどにまで人が入ったのでしょう?

それは、園氏がお金のかからないありとあらゆるプロモーションを行ったからでした。
お金を使ったのは、前売券の印刷代と、合計約4万枚のカラーチラシ代に、試写室を3回おさえる代金。そして、試写状のハガキと切手代くらいだったと言います。

 

 

2章:『自転車吐息』が数々のメディアに取り上げられ、
世界3大映画祭の1つに正式招待されるまで



 

Q一.余分な要素をカットしたチラシを、ありとあらゆるところに入れた


基本的に予算のない自主映画では、チラシを刷るときも、「いかに目立つか」で戦略を練る必要がありました。たくさん並んでいる自主映画などのチラシの中で、いかに『自転車吐息』を手に取らせるかが重要でした。

そこで園子温氏が作ったチラシは、映画のテーマや内容には一切触れず、劇作家であり脚本家の内田栄一氏に映画評を頼んで、裏面丸ごと使って掲載。表には映画にあるワンシーン、作中の園氏が「俺」と書かれた大きな旗を持って夜道を走っている写真と、『自転車吐息』のタイトルのみを印刷しました。
「余分な要素を取り払って、引き算で攻めてみたのです。」

 
自転車吐息PR1

 
チラシを映画館に置くのは当たり前。
園氏いわく“「目立つ」っていうことは、ただ「園子温」とガリ版で刷った貼紙を、繁華街の電信柱から路上まで延々と貼るくらいのことをやらなくちゃいけない。”とのこと。
演劇やダンスの挟み込みチラシに『自転車吐息』を入れたり、マンションやアパートの郵便ポストを一網打尽にして、一軒一軒にチラシを入れたそうです。

やりすぎて警察に捕まったこともあったそうですが・・・。

 

Q二.トークショーの質疑応答で、自分の映画を宣伝


そのころ、渡辺文樹氏という映画監督が、自身の映画の上映会で、ゲストに大島渚監督(ビートたけし、坂本龍一らが出演した映画『戦場のメリークリスマス』の監督)といった有名人を、毎晩トークショーに招いていました。

「そこに来る客全員にチラシを配るだけでは能がない」と考えた園氏は、トーク後の質疑応答の時間に、誰よりも早く「はいっ!」と手を挙げました。そして、
「さっきから聞いていて全然面白くないんですが!」とブチまけました。

 
chess pieces on a glass board

 
ムッとした監督とゲストが園氏に、
「なにっ! 君は何者なんだ!」とつっかかります。
そこで園氏は
「えー、わたくしはですね、来月の××日から中野武蔵野ホールでレイト上映する『自転車吐息』という映画を監督した園というものですが……」
と言いました。

「何だおまえ!宣伝か!」
「宣伝もありますけど、僕は誰かと言われれば、さっきから言っているように『自転車吐息』って映画を監督していて、ここからはちょっと遠いですけど中野武蔵野ホールで×月×日からレイトショーでやるんですが……」
と切り返しました。

そして帰るときには出口で、
「さっきの園ですけど、よろしくおねがいしまーす」
と、笑顔でチラシを渡して、なかには「頑張れよ」と言ってくれる人もいたそうです。
これを毎日繰り返したら、そのうち「またお前か……」と呆れられる感じになり、3日目くらいから、渡辺監督からゲストとの打ち上げに直接呼ばれるようになったそうです。

 

Q三.入手した数百枚もの名刺に、片っぱしから試写状を送った


渡辺文樹監督は、園氏と同じく、スポンサーや配給会社無しで映画製作し、全国の公民館などを巡業してまわる手法で映画を上映していました。
そんな渡辺監督から、園氏は自作映画を知らせるためのノウハウを教わりました。

映画を広める上で重要なのは、試写会に人を呼ぶことです。「一人でも多くの人に見てもらい、できればそれを記事にしてもらうこと。」渡辺監督が今まで集めた膨大な名刺を何百枚もコピーしたものを、園氏はプレゼントしてもらいました。名刺には、朝日新聞の記者からどこぞの変人の連絡先まで書いてあったそうです。

渡辺監督のアドバイス通り、園氏はとにかくハガキを肉筆で(とにかく筆で、情熱を込めて)書きました。

 
abstract Chinese calligraphy design for poster

 
住所と宛名を書いたあと、今度はボールペンに持ちかえて、
『××様 ぜひご覧ください。待っています』
『あなただけに見てほしいのです』
という一言を最後に書きました。その人個人に向けた一言を書いたら、必ず試写会に来てくれたといいます。

試写状を送ったあとは、相手に届いた頃を見計らって電話をかけました。送付リストの中には、鈴木清順氏(日活専属監督)、大島渚氏などの、「ここにも電話するの!?」と思うようなビッグネームもありましたが、園氏はひるまずに電話しました。

その結果、試写会は「溢れんばかりの人だかり」で、3回行ったうち3回とも満席になったといいます。
朝日新聞の記者や大物映画評論家が来たので、試写会の反響により、「新聞から週刊誌、月刊誌まで、どんな小さなものであれ『自転車吐息』の紹介記事、映画評は、圧倒的な数のメディアに掲出され」たそうです。

また、アフターケアも忘れませんでした。試写に来てくれた人には2日後くらいにまた電話したそうです。
「無理矢理に知り合いを増やすような行為に近いので、もともと人見知りな自分の性格の許容範囲をまったく超えた世界」だったといいます。

それらの下準備によって、10日間のレイトショーで2500人もの観客動員数を記録することができました。
さらに園氏は、自転車吐息のビデオを、ベルリン国際映画祭のディレクターであるウルリッヒ・グレゴール氏に直接送ったところ(本来なら窓口担当者から申請する)、選考に通り、正式招待作品として出品されました。

 

 

3章:攻めの広報の参考に


これまで書いた園子温氏の映画プロモーションは、「宣伝」であり、広報PRとは異なるものです。(→広告宣伝とPRの違い
しかし、少ない資金で自社のサービスや商品を広く知ってもらいたい方は、園氏の実行力とアイディアのあるプロモーションは、参考になる点もあるかと思われます(ちょっと強引すぎるところもありますが)。

「攻めの広報」の例として、クックパッド、ランサーズの営業・広報を担当した、山口豪士氏の活動があります。
「自慢じゃないですが、めちゃくちゃ攻めの広報でしたよ(笑)。各メディアにFAXやメールを送りまくって、当時会社は鎌倉だったのですが、往復3時間かけて何度も足を運んでお話していました。弊社に入社して1年ぐらい平均睡眠時間は2,3時間ほどだったと思います。」

新しい働き方を、「世間の一般常識」へ

自社を世に知らせるためには、アグレッシブに動くことも大切です。時には大胆な行動をして、世の中に貢献できるサービスを広められたらいいですね!

 

 

4章:ideabank発刊『非道に生きる』について



 

Qまた、この記事は園子温氏の著作『非道に生きる』のごくごく一部の引用であり、自転車吐息のプロモーションについてもまだ書き切れていないところがあります。



本の『自転車吐息』に関する内容は、全175ページ中13ページほどです。
本には他にも、「上映時間4時間の映画『愛のむきだし』の企画を、いかにして通したのか」についてや、「なぜ震災直後に被災地にて映画『ヒミズ』の撮影をしたのか」など、園氏の考えや行動が、幼少期のころからさかのぼって語られています。

 
非道に生きる

 
『非道に生きる』を発刊した「これからのアイディア」を提供する本のシリーズ“ideaink”は、ジャーナリスト津田大介氏の『情熱の呼吸法』、弊社のコンテンツ・記者100人の声にもインタビュー記事が掲載されている佐久間裕美子氏の『ヒップな生活革命』が発売されています。
「体系的に物事を見る力」を武器に、世界中を飛び回るフリーライター

最後になりましたが、この記事が皆さまの広報PRのヒントになれたら幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

 
5月30日に全国ロードショーする園子温監督の最新作についてのプレスリリース
映画「新宿スワン」 綾野剛モデルの巨大”龍彦”製作プロジェクト クラウドファンディング開始10日で250万円を突破!

 

(執筆・吉田和音)

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