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お金の流通を広げて、研究者の挑戦を後押し。

そして“稼ぐ“研究者へ。

アカデミスト株式会社取締役COO 大塚美穂 様

インタビュー

日本で初めての研究費獲得に特化したクラウドファンディング・プラットフォーム事業を2014年に立ち上げたアカデミスト株式会社。プロジェクトに挑戦する研究者の努力と、専門性が高く経験豊富なプロフェッショナル集団による手厚いサポートで、プロジェクトの達成率は約85%と非常に高い実績を挙げています。そのクラウドファンディングの魅力と今後の展望について、プロジェクトの運営メンバーであり取締役COOの大塚美穂さんにお話を伺いました。

国の予算の限界と現実をみて。

大学院で博士後期課程を修了された後、文部科学省に入られたのですね

博士後期課程に行ってから、研究室の先生が研究や教育以外に割かれる時間が多いことや、研究生活に関する費用面でのサポートの不十分さなど様々な課題に接し、それらの課題に取り組みたいと思い入省しました。
配属されたのはライフサイエンス課というところで、予算編成などさまざまな業務を担当しました。入ってみると、自分の視野が狭いことに気づかされました。自分が研究をやっているときは文科省に対する不満もあったのですが、基礎研究は大切だから予算を増やしたいと言っても、例えば小学校にも行くことができていない子供たちがいる現実とか、病気で苦しんでいる方々がいる医療現場とか、目先の課題は色々あって、それが解決することで多くの人が救われるのなら短期的な課題にお金を割くという政策も間違っていないのではないかと感じるようになったのです。全体として見たときに文科省ができることは限られていて、無駄に使われている予算がないかという問題は残るにしても、今以上に基礎研究の予算を増やすことに対し、昔ほど「予算を増やさないと日本はだめになる」といったことは言えなくなってきました。
それなら、ほかのアプローチで研究者を支えていくというのがとても大事なのではないかと考えるようになりました。

アカデミストとの出会いのきっかけは?

アカデミストがクラウドファンディングをやっていることは学生時代から知っていました。研究費獲得の手段は公的な予算や民間の助成金への申請がメインで、一般の人も巻き込んだ全体のお金の流通の仕組みは他になかったので、そういった切り口でこの業界に切り込むというのは面白い取り組みだなと思っていました。
参画のきっかけとなったのは、ちょうど文科省2年目の最後の時期に「これから会社をさらに大きくしようとしています、一緒にやりませんか?」と代表の柴藤に誘われたことです。ほぼ即答に近いかたちで「行きます」とお返事しました。元々同じような課題意識でしたので興味はありましたし、文科省を辞めようと思っていた時期でもあったので迷いはなかったです。

手厚いサポートと積極的な情報発信が生む高い達成率

それで2018年4月にアカデミストに参画し、クラウドファンディングのプロジェクト運営をされているのですね。

2018年4月以降はコアメンバーが4名という体制になりました。プロジェクトを運営する主要なメンバーとしては私含めて2人です。
アカデミストの手数料は20%(決済手数料含む)で、業界平均より少し高いのですが、ほかのクラウドファンディングに比べてサポートが充実しているという自負はあります。研究者の方にはできるだけ研究活動に時間を使ってもらえるよう、日々の細々とした作業や連絡調整は我々スタッフの方で引き取るようなかたちにしています。また、研究という専門性の高い内容の見せ方にはスキルも必要ですので、コンテンツの編集についてはスタッフが強みを持って取り組んでいますね。タイトルも、わかりやすさとアピール性に加えて専門性とのバランスを見てつくっています。

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印象に残っているプロジェクトは?

臨床研究の新宮康栄先生のプロジェクトですね。テーマは心臓手術後の心房細動を抑えたいという医療系の研究でした。SNSを用いた情報発信に慣れていないことを心配されていたのですが、Twitterのアカウントをすぐに開設していただき、プロジェクト達成まで積極的に発信されていました。
臨床研究を含め医療分野の研究というのは、患者さんの命に直結するところなので、影響が大きい分アピールすることをためらい、とても慎重になる研究者や医師が多いです。絶対に治るようになりますとももちろん言えませんし。でもそのような中、今目指していることや、まだ研究段階であることをきちんと伝えた上で、支援について誠実に訴えていらっしゃったところはとても印象深かったですね。

SNSの利用は今、ほぼ必須にしていて、プロジェクトのチャレンジの段階で利用していなかったら始めていただいています。日々の発信内容や頻度は適宜相談しながら、一緒に頑張りましょうと声をかけながらやっていますね。
クラウドファンディングにチャレンジする時点で結構アクティブというか、新しいものにも果敢に取り組まれる方は多いと思うのですけれど、そういう方でも普段からSNSで積極的に発信して色んな方に見ていただいているという方はそれほど多くないのが事実です。でもクラウドファンディングをきっかけに研究の情報発信を積極的にされる姿勢は嬉しくなりますし、スタッフとしてもいい刺激をいただいています。

研究者にとって、クラウドファンディングを活用する魅力はどこにあるのでしょう。

一番は、研究者ではない方々を巻き込めるというところですね。クラウドファンディングにしかできないことだと思います。多くの研究費は国や専門家、研究者による審査が入りますが、そこを突破らってWEB上で公開して、普段研究をしていない方々の関心にうまく届け、研究を応援したい、研究内容を知りたい方々の支援でお金を集めることができるのは、クラウドファンディングの魅力だと思います。
また、お金を直接的に獲得するという経験は、研究者にとってとても重要なことだと思うのです。年間何百万も稼ぐのは大変なことです。それがたとえば申請書だけで数百万の研究費が入るというのはすごい世界ですよね。そしてその原資は税金であることが多いです。お金を自分のことに興味を持ってくれた方から頂戴して、そのお金を使って研究を進める責任感や充実感を実感するという、ちょっと違う視点で研究を見るというのはとても重要だと思っています。

プロジェクトの達成率が85%というのは、非常に高いですね。

達成率の高さはもちろん第一に研究者の方が頑張っていらっしゃるからです。その頑張りを、プロジェクト全体の編集、宣伝サポート、実務の面で後押しさせていただいています。また、専門性が高いという研究業界の特徴もあると思います。研究者の話が聞きたいというニーズは色んなところにあって、たとえば今は色んな情報があふれている中で、根拠に基づいて発信される情報を知りたいという方もいらっしゃいます。その層を探して適切にアプローチするのは簡単ではないのですけれど、そうした研究者の専門性の高さが強みとなって達成率の高さにも現れているのかと思います。

そういった専門性の高いコミュニティーをどううまく見つけ届けるか、ですね。

コミュニティーについては、研究者の方とお話していく中で情報をいただくことも多いですね。色んなお話をさせていただいている中で、ぱっと出てきた情報に対し「あ、それ実は使えます、それ行けるんじゃないですか!」というアドバイスできることもあります。プロジェクト全体を一緒に進めていく中では信頼感がとても大事なので、お互いに信頼して気持ちよくプロジェクト達成を迎えられるように意識しています。

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もっとお金がまわる仕組みを作りたい

今後、サービスとしての未来に向けて目指していきたいことは?また大塚さんご自身が目指していきたいことは?

サービスで言うと、直近ではクラウドファンディングを活性化させることが最重要だと思っています。サポーターの数の面と、関わる研究者の数の面、大きくはこのふたつですが、これらは増えれば増えるほどいいので、さらに拡大していきたいところですね。
個人的なところとしては、お金というのが自分の中ではキーワードとしてあって、クラウドファンディングというひとつのツールによって、研究者以外の方々も巻き込んだお金がまわる仕組みをもっと充実させたいということがひとつと、研究者自身の人件費を課題としてずっと考えていて、そこにもお金がもっとまわる仕組みをつくっていきたいと思っています。
現在、特に日本では研究者は素晴らしい業績を出しても、自分の給料はそれほど増えないという実態があります。世界が注目するノーベル賞でも夢のある金額とは言えませんし、研究者で世界トップクラスのお金持ちになるような方はほとんどいません。
これには色んな要因があると思います。国からの予算ですと用途も限られているので、自分の生活費に使うことが難しいということもあるのですが、「研究は好きでやるもので、稼ぐためではない」という文化も影響しているのではと思います。お金になる研究をやったりベンチャー企業を立ち上げようと動けば「ビジネスマンになってしまった」と揶揄されたり、特許の帰属を主張すれば「研究者なのにお金に絡むことを主張するんだね」と冷たい目で見られたり…研究を進めるということに対して、研究者本人へのインセンティブがもう少しあってもいいのではと思います。
研究者を目指している方、研究活動をしたいと思っている方のお金まわりをもっと流通させていく仕組みづくりは、今後長期的に取り組んでいきたいと思っています。

(取材日:2018年10月15日)

企業情報

アカデミスト株式会社のロゴ

企業名

アカデミスト株式会社

所在地

東京都港区虎ノ門1-8-7
富田屋ビル7F-C

代表者名

柴藤 亮介

URL

https://www.corp.academist-cf.com/

業種

ネットサービス

事業内容

学術系クラウドファンディングサイトおよび学術系メディアの運営

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