小林製薬紅麹事件研究解説 【シリーズ】小林製薬・行政・マスコミによって隠されていること 「精製しない食品」と「精製する医薬品」
株式会社薫製倶楽部(岡山県都窪郡早島町)は2026年5月30日、自社ウェブサイトに小林製薬紅麹事件 【シリーズ】小林製薬・行政・マスコミによって隠されていること 第7弾「精製しない食品」と「精製する医薬品」——紅麹コレステヘルプ(食品)とペニシリン(医薬品)の製法比較————副生成物が「そのまま摂取」される構造的問題——を公開した。
株式会社薫製倶楽部(岡山県都窪郡早島町)は2026年5月30日、自社ウェブサイトに小林製薬紅麹事件 【シリーズ】小林製薬・行政・マスコミによって隠されていること 第7弾「精製しない食品」と「精製する医薬品」
——紅麹コレステヘルプ(食品)とペニシリン(医薬品)の製法比較——
——副生成物が「そのまま摂取」される構造的問題——
を公開した。
▼対象記事URL
https://kunsei.com/archives/930
【シリーズ】小林製薬・行政・マスコミによって隠されていること 第7弾 |
「精製しない食品」と「精製する医薬品」 |
——紅麹コレステヘルプ(食品)とペニシリン(医薬品)の製法比較—— ——副生成物が「そのまま摂取」される構造的問題—— |
プレスリリース 我々紅麹業界に何が起こったか 73
| 前号(PR71)では、BP-412(工業変異株)と伝統的紅麹菌株の遺伝的・代謝的差異を論じた。同じMonascus pilosus種でありながら、UV変異処理により代謝物プロファイルが根本的に異なることを示した。 今号では、視点を「製造工程」に移す。紅麹コレステヘルプ(食品)は精製工程を経ない。これが何を意味するか。ペニシリン(医薬品)との製法比較を通じて、「食経験のない副生成物がそのまま摂取されていた」という構造的問題を明確にする。 小林製薬が「未知の物質が検出された」と大騒ぎして自主回収騒動を起こしたのは、この構造的問題の帰結であった。 |
株式会社薫製倶楽部 代表取締役・薬剤師 森 雅昭
■ ① 製法の根本的相違——食品と医薬品の「精製」の有無
医薬品の製造では、目的とする主生成物を精製・単離し、不純物・副生成物を排除することが義務付けられている。一方、食品の製造ではそのような義務はなく、発酵物全体をそのまま製品とすることが一般的に行われている。
この差異は、通常の食品において問題を生じさせない。なぜなら、伝統的な発酵食品の場合、長い食経験によって副生成物の安全性が歴史的に実証されているからである。
しかし、BP-412という工業変異株が介入したとき、この前提が根本から崩れる。
比較項目 |
紅麹コレステヘルプ(食品) |
ペニシリン(医薬品) |
| 使用菌株 | Monascus pilosus BP-412(UV変異処理工業株) | Penicillium chrysogenum(青カビの選抜育種株) |
| 目的とする主生成物 | モナコリンK(コレステロール低下作用) | ペニシリンG(抗菌作用) |
| 精製工程の有無 | 【なし】 発酵物全体(菌体・培地成分・代謝物のすべて)をそのまま製品化 | 【あり】 菌培養後、抽出・精製・結晶化工程を経てペニシリン純品を単離 |
| 副生成物の扱い | 【そのまま摂取】 副生成物(UV変異による未知代謝物を含む)は除去されず、消費者が直接摂取 | 【排除される】 精製工程で副産物・不純物は除去。最終製品はペニシリン純品のみ |
| 主生成物以外の安全性評価 | 【評価なし】 UV変異により蓄積した全代謝物についての独立した安全性評価は行われていない | 【精製により問題を回避】 副産物は製品に残らないため、個別評価の必要性が生じない構造になっている |
| 規制の枠組み | 食品(機能性表示食品) → 副生成物への規制なし | 医薬品(GMP管理) → 不純物プロファイル・規格値の設定が義務 |
■ ② ペニシリン製造における精製の意義——副生成物を「排除する仕組み」
ペニシリン(ベンジルペニシリン)は青カビ(Penicillium chrysogenum)の発酵産物である。青カビ自体は食品ではなく、発酵物をそのまま食べることはしない。ペニシリンの製造において重要なのは、精製工程の設計思想である。
| 【ペニシリン製造の主要工程(概略)】 ① 菌培養(Penicillium chrysogenum を液体培地で培養) ② 菌体分離(培養液から菌体・固形分を除去) ③ 抽出(酢酸ブチル等の有機溶媒によりペニシリンを抽出) ④ 逆抽出・脱色(水層への逆抽出、活性炭処理による脱色) ⑤ 結晶化(ペニシリンGカリウム塩等として結晶化・単離) ⑥ 乾燥・規格試験(純度・不純物・生物活性を確認) → ③〜⑥の精製工程において、培養液中のペニシリン以外の代謝物・菌由来成分は系外に排除される。 |
ここで重要なのは、Penicillium chrysogenum もまた、選択育種(および後には紫外線・X線変異育種)によって高産生株に改良された工業株であるという点である。自然界の野生型青カビは、ごくわずかしかペニシリンを産生しない。
つまり、「高産生のために変異処理を行った工業株を使用する」という点では、BP-412とペニシリン菌株は構造的に共通している。
決定的に異なるのは、「精製するか否か」の一点である。
| 【核心的比較】 ペニシリン製造:変異処理工業株を使用 → しかし精製により副生成物を排除 → 消費者はペニシリン純品のみを摂取 紅麹コレステヘルプ:変異処理工業株(BP-412)を使用 → 精製なし → 消費者はUV変異による未知代謝物を含む発酵物全体を摂取 → 安全性を担保するために医薬品が採用している「精製による副生成物排除」という仕組みが、紅麹コレステヘルプには存在しなかった。 |
■ ③ 「食経験のない副生成物」の摂取——これが何を意味するか
食品の安全性を支える最も基本的な原則の一つは「食経験(history of safe use)」である。長期にわたって人類が食べ続けてきた食品は、その歴史的事実によって安全性の一定の根拠を持つ。
伝統的な紅麹食品(豆腐よう、赤酒、老酒等)は、数百年にわたる食経験を持つ。当社が14年間使用してきた伝統的紅麹菌由来の原料も、この食経験の延長線上にある。
しかし、BP-412は2007年に寄託された菌株であり、製品製造への使用は2016年以降であることが小林製薬の公表資料から示されている。BP-412のUV変異により蓄積した代謝物群に対する「食経験」は、事実上存在しない。
|
伝統的紅麹食品 |
紅麹コレステヘルプ(BP-412使用) |
| 使用開始時期 | 数百年〜1,000年以上前 | 2016年以降(8年程度) |
| 副生成物の食経験 | 長期の食経験あり | 食経験なし(UV変異代謝物) |
| 精製の有無 | なし(しかし食経験で代替) | なし(食経験もなし) |
| 安全性の根拠 | 歴史的使用実績 | 根拠なし(空白状態) |
この「安全性の根拠の空白」が、2024年の健康被害につながった根本的原因の一つである。そして、それを「食品」の枠組みで市販することを可能にした規制の不備が、もう一つの根本的原因である。
この規制の問題(EUのnovel food規制と日本の規制の欠如)については、次号(PR74)で詳述する。
■ ④ 「未知の物質」——小林製薬の発表が意味すること
2024年3月、小林製薬は「未知の物質が検出された」と発表し、自主回収を開始した。この「未知の物質」という表現は、当初から本質的な問題を示していた。
| 【「未知の物質」の意味するところ】 「未知」とは「予期していなかった」という意味ではない。 UV変異処理を行ったBP-412において、意図した形質(モナコリンK高産生)以外の代謝物が存在することは、変異育種の原理から必然的に予期されるべき事態であった。 しかし、精製工程がなかったために、その「未知の代謝物」が製品として消費者に届いてしまった。 →「未知の物質」は、精製なき発酵食品としての構造的必然であった。 |
ペニシリン製造の視点から見れば、この問題の構造は明確である。ペニシリン製造において「未知の物質が出た」として大騒ぎすることはない。なぜなら、精製工程がそれを排除する設計になっているからである。
食品の枠組みで発酵物全体をそのまま市販することを選択した以上、UV変異株に由来する「未知の代謝物」が消費者に届くリスクは、製造設計の段階で内在していた。
【本号のまとめ】
・紅麹コレステヘルプは精製工程を経ない。UV変異株BP-412由来の未知代謝物を含む発酵物全体が製品となり、消費者はそのまま摂取した ・ペニシリン(医薬品)は、同様に変異処理工業株を使用しながら、精製工程により副生成物を排除する設計になっている ・食品安全の根拠である「食経験」は、BP-412のUV変異代謝物には存在しない(使用歴8年程度) ・「精製なし+食経験なし+UV変異による未知代謝物」という三重の安全性空白が、健康被害の構造的原因である ・小林製薬の「未知の物質」発表は、この構造的問題が顕在化した帰結であった
→ 続く(PR74):EUのnovel food規制と日本の規制の欠如——なぜこの製品が規制されなかったか、そしてこれが健康被害にどう繋がったか |
株式会社薫製倶楽部 代表取締役・薬剤師 森 雅昭 〒701-0303 岡山県都窪郡早島町前潟611-1 TEL:090-2001-0686 Email:sales@kunsei.co.jp |
【過去のプレスリリース】
・自社サイト(紅麹関連記事一覧):https://kunsei.com/archives/category/benikoji
・ValuePress(薫製倶楽部 配信一覧):https://www.value-press.com/corporation/87091
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企業情報
| 企業名 | 株式会社薫製倶楽部 |
|---|---|
| 代表者名 | 森雅昭 |
| 業種 | 食品関連 |
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