小林製薬紅麹事件研究解説 小林製薬・行政・マスコミによって隠されていること「チワワと狼を同一視した行政」——工業変異株と伝統株の遺伝的差異——
株式会社薫製倶楽部(岡山県都窪郡早島町)は2026年5月28日、自社ウェブサイトに小林製薬紅麹事件 【シリーズ】小林製薬・行政・マスコミによって隠されていること 第6弾「チワワと狼を同一視した行政」——工業変異株と伝統株の遺伝的差異————「紅麹原料」という造語が生んだ科学的誤謬——を公開した。
株式会社薫製倶楽部(岡山県都窪郡早島町)は2026年5月28日、自社ウェブサイトに小林製薬紅麹事件 【シリーズ】小林製薬・行政・マスコミによって隠されていること 第6弾
「チワワと狼を同一視した行政」
——工業変異株と伝統株の遺伝的差異——
——「紅麹原料」という造語が生んだ科学的誤謬——
を公開した。
▼対象記事URL
https://kunsei.com/archives/922
【シリーズ】小林製薬・行政・マスコミによって隠されていること 第6弾 |
「チワワと狼を同一視した行政」 |
——工業変異株と伝統株の遺伝的差異—— |
——「紅麹原料」という造語が生んだ科学的誤謬—— |
プレスリリース 我々紅麹業界に何が起こったか 71
| 前号(69)では、グンゼ株式会社の特許文献(JP2009095304A / JP5283363B2)が明らかにする「事実の列挙」を行った。BP-412はMonascus pilosus NBRC4520を親株とし、紫外線照射(生存率約0.5%)によって人工的に作出された工業変異株であることが示された。 |
| 今号では、この工業変異株と伝統的紅麹菌株の間に存在する遺伝的・代謝的差異を論じる。そして、行政が「紅麹原料」という造語のもとに両者を区別することなく一括して扱ったことが、いかに科学的に不合理であるかを示す。 |
| ひとつのたとえを用いる。チワワと狼はともにイヌ科(Canidae)に属する。しかし「どちらもイヌ科だから同じ動物だ」と主張する者はいない。遺伝子・行動・形態・生理的特性において、両者は根本的に異なるからである。行政が行ったことは、まさにこれと同構造の混同であった。 |
株式会社薫製倶楽部 代表取締役・薬剤師 森 雅昭 |
■ ① アナロジー:チワワと狼、そして伝統的紅麹菌とBP-412
生物の分類において、同じ「科(Family)」に属するからといって、それらを同一視することは許されない。「科」はあくまで大きな分類群であり、その下には「属」「種」「亜種」「株(strain)」という階層がある。
【分類階層による対比】
分類階層 |
イヌの例 |
紅麹菌の例 |
| 科 (Family) | イヌ科(Canidae) | モナスカス科(Monascaceae) |
| 属 (Genus) | イヌ属(Canis) | Monascus属 |
| 種 (Species) | Canis lupus | Monascus pilosus |
| 亜種/株 (Strain) | 狼 lupus / チワワ familiaris | NBRC4520(伝統株)/ BP-412(工業変異株) |
行政は「紅麹原料を使用している」という一点で225社を一括公表した。これは、上記の表でいえば「イヌ科動物の危険情報」として、チワワを飼う家庭と狼が出没する地域を同一の危険カテゴリとして公表したのに等しい。
| 【注①】このたとえで重要なのは「チワワが安全で狼が危険」という危険性の優劣ではない。同じカテゴリで括ること自体の科学的不合理さである。遺伝的・代謝的に根本的に異なる株を、由来も変異処理の有無も確認しないまま「紅麹原料」という造語で一括することは、科学的リスク評価の基本原則に反する。危険かどうかの判断はその後の問題であり、まず「区別すること」が先決である。 |
| 【注②】なお、チワワと狼のたとえは行政側に有利な、控えめな表現である。チワワは数千年の管理された選択育種の産物であり、「どのように変化したか」の履歴が追える。一方、BP-412は一回の紫外線照射(生存率0.5%)によって作出されており、意図した形質(モナコリンK高産生)以外にゲノム全体に蓄積した無数の変異について、どこに何が変わったか、誰も確認していない。正確に言えば、チワワと狼の比較ではなく「狼に放射線を照射し、生き残った個体を食品原料として使用した」に近い。それでも行政は菌株の同定を一度も行わなかった。 |
■ ② UV変異処理が遺伝子に与える影響——「同じ種」でも根本的に異なる
BP-412は、Monascus pilosus NBRC4520に対し、紫外線(UV)照射を行い、生存率約0.5%(すなわち99.5%の細胞が死滅する強度)の条件下で生き残った株を選抜することで作出された(JP2009095304A)。
この操作がゲノムに与える影響を、薬剤師・分析化学の視点から整理する。
| 【UV変異処理のゲノムへの影響】 |
| ・UV照射はDNAに直接損傷を与える(主としてチミンダイマー形成) |
| ・損傷を受けたDNAの修復過程でミスマッチが生じ、塩基置換・欠失・挿入などの変異が全ゲノムに蓄積する |
| ・生存率0.5%という選択圧は、通常の食品用育種(一般的に生存率10〜30%程度)の比ではない——約100倍以上の強度 |
| ・この強度での変異処理では、意図した形質(モナコリンK高産生)以外にも、ゲノム全体にわたる無数の「意図せざる変異」が蓄積していることが想定される |
| ・二次代謝経路全体が変異を受けており、従来株では存在しなかった代謝物が産生される可能性がある |
| → これが「未知の物質」(2024年3月、小林製薬発表)発生の根本的メカニズムと考えられる。 |
チワワと狼のアナロジーに戻れば——チワワは数千年の家畜化という「管理された変化」の産物であり、その安全性は長い歴史的使用実績によって裏付けられている。BP-412は、わずか一世代の実験室的UV処理という「非管理の急激な変化」によって作出され、2007年に寄託(NITE BP-412)、2016年以降は小林製薬が製品製造に使用した。
■ ③ 伝統的紅麹菌株とBP-412の代謝物プロファイルの差異
同じ種(Monascus pilosus)であっても、株によって産生する代謝物のプロファイルは根本的に異なる。これはPR67で述べた「種と株の区別」の実質的内容である。
伝統的紅麹菌株(NBRC4520等) |
工業変異株 BP-412 |
|---|---|
| モナコリンK産生量:食品レベル(低〜微量) | モナコリンK産生量:高産生(特許の選抜目的) |
| 二次代謝物プロファイル:伝統的食品としての長期使用実績あり | 二次代謝物プロファイル:UV変異により予測不能な代謝物が存在しうる |
| ゲノム:NBRC4520基準(伝統株として登録) | ゲノム:UV変異蓄積により親株から大幅に乖離 |
| 安全性評価:長期の食経験(当社は14年間の使用実績) | 安全性評価:親株での評価を変異株に転用(評価の空白) |
| HACCPにおける扱い:由来・特性が文書化可能 | HACCPにおける扱い:変異処理の記録・安全性再評価が必須 |
この差異は、チワワと狼の差と同様に、同じ種に属しながらも「生理的・生物学的特性において根本的に異なる存在」であることを示している。
■ ④ 「紅麹原料」という造語がもたらした科学的誤謬
行政が用いた「紅麹原料」という造語は、BP-412由来製品と伝統的紅麹菌使用製品を区別しない。この造語の下に225社が一括公表された。
| 【一括公表の構造的問題】 |
| ・Aグループ(BP-412由来製品を取り扱っていた事業者):グンゼ→小林製薬経由でBP-412またはその継代株由来の原料を使用 |
| ・Bグループ(伝統的紅麹原料を使用していた事業者):NBRC4520等の伝統的菌株に由来する原料を使用。全ロット検査で問題なし |
| ・行政は両グループを「紅麹原料使用」という一点で同一カテゴリとして公表した |
| ・当社(株式会社薫製倶楽部)は全製品ロットが陰性であったにもかかわらず、Bグループとして公表対象に含まれた |
| これはチワワ(Bグループ)と狼(Aグループ)を「どちらもイヌ科」という理由で同一の危険リストに掲載したことに相当する。 |
■ ⑤ 行政が行うべきであった調査——株の同定と分類
HACCP管理の原則(PR69①参照)は、使用微生物の同定・由来・特性の確認を求める。これは科学的リスク評価の基本である。
行政が行ったこと(確認済み) |
行政が行わなかったこと(開示請求で確認) |
| 「紅麹原料」使用の有無による一括分類 | BP-412由来かどうかの菌株同定 |
| 225社の一括公表 | Aグループ・Bグループの区別 |
| プベルル酸の原因物質指定(※行政は後に否定) | 変異処理株としての科学的リスク評価 |
| 健康被害事例の収集 | HACCP管理記録(菌株由来文書)の確認 |
【本号のまとめ】 |
| ・BP-412(工業変異株)と伝統的紅麹菌株(NBRC4520等)は、同じMonascus pilosus種に属しながら、UV変異処理により遺伝子レベルで根本的に異なる存在である |
| ・この差異は、チワワと狼を「どちらもイヌ科だから同じ」と主張するのと同じ誤謬に相当する |
| ・行政は「紅麹原料」という造語により、両者を区別することなく225社を一括公表した |
| ・この混同は科学的リスク評価の基本原則(株の同定・特性確認)を無視したものであり、当社を含む伝統的紅麹菌使用事業者に対し不当な損害を与えた |
| → 続く(PR72以降):UV変異処理株の安全性評価はどうあるべきか。行政の「収去なき断定」と菌株同定の不作為をどう評価するか。 |
| 株式会社薫製倶楽部 |
| 代表取締役・薬剤師 森 雅昭 |
| 〒701-0303 岡山県都窪郡早島町前潟611-1 |
| TEL:090-2001-0686 Email:sales@kunsei.co.jp |
【過去のプレスリリース】
・自社サイト(紅麹関連記事一覧):https://kunsei.com/archives/category/benikoji
・ValuePress(薫製倶楽部 配信一覧):https://www.value-press.com/corporation/87091
本文書は記者向けの参考資料です。引用・転載にあたっては事前にご確認ください。
ログインするとメディアの方限定で公開されている
お問い合わせ先や情報がご覧いただけます
添付画像・資料
添付画像をまとめてダウンロード
企業情報
| 企業名 | 株式会社薫製倶楽部 |
|---|---|
| 代表者名 | 森雅昭 |
| 業種 | 食品関連 |
コラム
株式会社薫製倶楽部の
関連プレスリリース
-
小林製薬紅麹事件研究解説 プベルル酸に関する意思決定は未実施と回答、 一方、対応において当該物質を前提としていたとの回答食中毒対応との関係について「齟齬なし」
2026年5月27日 10時
-
小林製薬紅麹事件研究解説 小林製薬・行政・マスコミによって隠されていること 「紅麹コレステヘルプの菌株はどこから来たか」—BP-412という工業変異株の正体—
2026年5月26日 11時
-
国衛研「原因物質に関する情報」として発表 一方、厚労省「プベルル酸を原因物質として公表した事実なし」―国立医薬品食品衛生研究所に対し、公開質問状送付―
2026年5月25日 10時
-
小林製薬紅麹事件研究解説 小林製薬・行政・マスコミによって隠されていること第4弾 「大腸菌とO157は別物か」——株が性質を決める——
2026年5月24日 11時
株式会社薫製倶楽部の
関連プレスリリースをもっと見る