ドップラーレーダによる強風ナウキャスト手法の開発

財団法人日本気象協会(本社:東京都豊島区、会長:松尾 道彦)は、Xバンドドップラーレーダネットワーク(X−NET)による風の観測データから強風発生域を短時間予測する「強風ナウキャスト手法」を、独立行政法人防災科学技術研究所(茨城県つくば市、理事長:岡田 義光)と共同開発しました。

1.「強風ナウキャスト手法」の内容
 強風による鉄道事故や佐呂間町の竜巻などの強風災害の多発を受けて、強風の監視予測技術の開発が求められていますが、ドップラーレーダから強風の発生域を短時間予測する技術はこれまで存在しませんでした。
今回新たに開発された「強風ナウキャスト手法」は、Xバンドドップラーレーダネットワーク(X−NET)で得られた風速分布(高度1000mで水平500m間隔)を用いて強風域を検出するとともに、5分間隔の強風域の移動ベクトルを算出し、1時間先までの移動方向を外挿することにより、強風発生域を短時間予測する手法です。強風災害の発生を防ぐことは困難ですが、強風発生域を1時間前に予測することが可能となれば、強風被害の軽減に役立つことが期待されます。今後は、Xバンドドップラーレーダネットワーク(X−NET)の実運用と、強風ナウキャスト手法の実用化にむけた研究開発を進めていく予定です。
2.強風発生域の短時間予測事例                   
 平成20年4月18日の関東地方は、本州の南岸を東進する低気圧の影響で、市原市の造船所でのクレーン倒壊事故など、午前7〜10時頃にかけて各所で強風災害が発生しました。図1には8時10分を初期時刻とした30分先及び60分先の強風予測結果を示します。線上の強風域の移動をよく捉えており、30分後の横浜港での強風出現、60分後の羽田空港での強風出現をほぼ的確に予測しています。図2には羽田における風の予測と実況の時間変化を示します。補正後の予測(棒グラフ)は実況(丸印)とよく合っており、9:00頃に風速が20m/sを超えることが1時間前にはほぼ予測できています。
3.その他
(1)X-NETについて
 X-NET は防災科学技術研究所が中心となって、首都圏にある各大学や研究機関と共同で進めているXバンド研究用レーダネットワークです。局地気象擾乱の発生機構の理解と監視・予測技術の確立を研究目的としています。X-NET を構成するレーダは、防災科学技術研究所の2台のMP レーダ、中央大学、防衛大学校、日本気象協会の各ドップラーレーダで、複数台のレーダで観測される風の解析からは風向風速分布を求めることができます。
(2)詳細の内容について
 研究成果は、平成20年11月19日から仙台市において開催される日本気象学会秋季大会にて研究発表します。                     
4.問合せ先
財団法人 日本気象協会 営業統括本部 営業戦略部 営業開発課 広報担当:田中、寺谷
TEL:03-5958-8179, FAX:03-5958-8177, http://www.jwa.or.jp/の問合せ先

企業情報

企業名 財団法人 日本気象協会
代表者名 松尾 道彦
業種 未選択

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