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犯罪も「密」避ける傾向、声かけ51.4%減、ひったくり59.0%減、新型コロナウイルスによる不審者・犯罪情報への影響調査(ガッコム安全ナビ統計より)

不審者・治安情報サービス「ガッコム安全ナビ」(以下「安全ナビ」)を運営する株式会社ガッコム(本社:東京都港区、代表取締役:山田 洋志、以下「ガッコム社」)は、安全ナビに掲載されている統計情報を元に、COVID-19(新型コロナウイルス)による不審者・犯罪への影響を各事件種別毎をまとめました。

調査対象日:2018年5月1日~2020年4月30日

調査対象:安全ナビに掲載されている不審者・治安情報

 

【ガッコム安全ナビ】

https://www.gaccom.jp/safety/

 

 

 

 

■病気・衛生情報が急増

 

安全ナビでは31種類の事件種別について、警察や自治体の情報を元に掲載しています。そのうちの1つ「病気・衛生」は、インフルエンザや熱中症等に関する注意喚起を中心としたカテゴリです。このカテゴリで掲載されている過去2年の事件について、月毎の件数を時系列でまとめました。(図1)

 

例年、7月・8月は熱中症への注意喚起を中心とした情報の増加に伴い、同カテゴリの件数が増加する傾向にあります。直近の7月・8月も同様に増加しているのが見て取れます。直近1年はそれに加え、2月からも徐々に件数が増加し、4月には前年度比30.7倍の報告件数となりました。これは新型コロナウイルス感染拡大に伴い、うがいや手洗いの喚起、イベントの中止情報、学校や施設の休止情報等の急増が要因です。

 

 

■新型コロナウイルス関連情報量の推移

 

より詳細に新型コロナウイルス関連情報の動きを見るため、安全ナビに掲載されている情報のうち、キーワード「コロナ」が含まれる情報の件数を日別にまとめました。(図2)

 

1月末から徐々に増え始め、2月末の全国休校要請で一時的にピークに。その後、3月の3連休まで緩やかに下降していきますが、東京オリンピック延期や東京都知事緊急会見のあった3月末から再び上昇し、緊急非常事態宣言でさらに加速、という推移を辿っています。世間の関心の高さに応じて、関連する安全情報も増減していることがわかります。

 

 

 

■不審者・犯罪等への影響

 

前述した病気・衛生情報、及びコロナウイルス関連情報の急増は、感染拡大に伴うある意味で当然の変化とも言えます。では、一見するとコロナウイルスとは関連の無い他の情報へは影響はあるのでしょうか。安全ナビが取り扱う31種類のカテゴリのうち、不審者・犯罪に関わる13種別について、2020年4月の報告件数と、前年同月(2019年4月)の報告件数との増減割合を調査しました。(図3)

 

 

〇新型コロナウイルス関連詐欺が増加

 

前年同月比で最も増えていたのは「詐欺・偽装」でした。新元号の時期には「元号変更に伴いキャッシュカードの変更が必要」等の関連詐欺が、オリンピックチケット発売の時期には「チケット当選を装った偽メール」等の関連詐欺がと、これまでも情勢の変化に応じて新たな詐欺の手口が生まれてきました。今回も同様で、新型コロナウイルス関連詐欺の報告が増えており、それに引っ張られる形で詐欺全体の件数も増えています。

 

コロナウイルス関連詐欺について、手口に応じて分類すると、最も多かったのが、政府から助成金、給食費を返還、電気代無料等の手口がある「助成金・給付金・還付金詐欺」(45.4%)。次いで、マスクを無料送付、マスクの転売の儲け話等の手口がある「マスク関連詐欺」(28.5%)。それ以外にも、ウイルスが水道管に付着、ウイルスに効く洗剤、コロナの特効薬がある等の手口がある「悪徳商法詐欺」(5.4%)、親族を装って検査費用がない、感染して生活費ない、仕事なくなった等の「オレコロナ詐欺」(3.8%)などがありました。

 

 

〇不審者関連情報は減少

 

一方で「不審者」「声かけ」「子ども被害」の、いわゆる不審者関連の報告については、全て大幅に減少しています。学校・園の休校、企業のテレワーク採用、外出自粛などに伴い、ターゲットとなりやすい子どもや女性が、そもそも外にほとんどいないことがその要因と考えられます。

 

そんな中でも、コロナウイルスに便乗した手口も発生しています。「コロナウイルス付いてるよとお腹を触られた」「コロナウイルスの調査するからあっちに来て」「コロナウイルスに効くアメをあげる」「お母さんがコロナにかかったから一緒に病院に行こう」等が報告されています。詐欺同様、新しい手口には注意が必要です。

 

 

〇性犯罪の変化

 

性犯罪のうち、「ちかん」「盗撮」の報告件数は減少傾向にあります。どちらもターゲットに一定距離まで近付く必要があり、かつ外出中に発生することの多い犯罪であることから、前述した不審者関連と同様の要因で減少しているものと考えられます。

 

同じ性犯罪でも、反対に「のぞき」の報告件数は増加傾向にありました。のぞきはちかんや盗撮とは異なり、在宅中を狙うことも可能な犯罪です。実際、4月は自宅のお風呂場におけるのぞき案件が多く報告されていました。在宅を狙う場合であれば、むしろ外に人の少ない現在の方が見つかるリスクは少ないです。また、ターゲットも在宅している確率が高く、同じ時間に同じ行動をする可能性も高いことから、計画がし易くなります。これらの要因によって増加した可能性があります。

 

 

〇窃盗・侵入の変化

 

「ひったくり」の報告件数は大幅に減少していました。同様に外に人がいない、さらにターゲットとされやすい高齢者の外出自粛率がより高いためと考えられます。

 

反対に、車上ねらいや万引きなどのそれ以外の「窃盗」、及び「住居侵入」は、前年同期比では減少はしているものの、そこまで大きな減少とはなっていませんでした。車上ねらい等は人との接触が不要で、のぞき同様に外出自粛中は見つかるリスクの少ない特徴があります。住居侵入については、一般家庭は在宅の可能性が高い一方で、店舗は無人の可能性が高いため、全体としては大きな減少とならなかったのではないかと考えられます。

 

尚、住居侵入は盗み目的以外にも、子どもだけの家を狙って不審者が侵入するケースも報告されています。学校が休みで子どもは在宅しているものの、親はテレワークにできず出勤しているご家庭などは注意が必要です。

 

 

〇粗暴犯・器物損壊の変化

 

何らかに対して危害・損害を加える犯罪のうち、人に対する危害である「強盗・脅迫」「暴行・暴力」は減少傾向にあります。一方で、物に対する損害である「器物損壊」は増加傾向にありました。この結果もこれまで同様、ターゲットとなる人が外にいないことや、逆にものに対する犯罪は見つかるリスクが少ないことが要因として考えられます。器物損壊は不審火、車や自転車へのいたずらなどが多く報告されていました。

 

 

 

■事件の種類と対人密度の関係

 

これまでの分析で変化の理由として、外出自粛等で人がいないことを多く挙げてきました。そこで、その事件種別における加害者と被害者の距離である対人密度を横軸に、前述した報告件数の前年同月比を縦軸に、ポジショニングマップを作成しました。(図4)

 

 

図をまず見て改めてわかることは、「ひったくり」「不審者」「ちかん」など、対人関係が「密」である犯罪は、軒並み報告件数が減少している点です。反対に、「詐欺」「のぞき」「器物損壊」など、対人関係が「疎」である犯罪は、増加または相対的に微減となっています。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、私たちの社会生活がいわゆる「3密」を避けるようになったのと同様に、不審者・犯罪においても「密」を避けるようになった、または「密」な状況を作ることが難しくなったことが伺えます。

 

 

 

■コロナ禍における防犯対策

 

このように、新型コロナウイルスは我々の一般的な社会活動だけではなく、不審者・犯罪においても大きな影響をもたらしていることが分かります。飲食店がテイクアウト等で新たな営業方法を模索しているように、こうして不審者・犯罪の傾向も変わった新しい生活においては、新しい防犯のあり方についても模索していく必要があります。Afterコロナ(アフターコロナ)、Withコロナ(ウィズコロナ)の世界でどのように防犯すべきなのか。現時点で考えられる対策としては、以下のようなものが挙げられます。

 

 

(1)新たな手口により注意

 

前述した通り、詐欺や不審者事案等においては、情勢の変化に合わせて必ず新しい手口が増えます。新しいものは大人でもそれに対する知識に乏しく、正誤の判断が難しいです。コロナ禍に伴う歴史的な生活様式の変化により、様々な手口の出現が予想されるため、通常以上により慎重に行動することが重要です。

 

 

(2)1人在宅は特に注意

 

不審者、性犯罪者、窃盗犯などは、外にターゲットとなる歩行者がいないため、在宅中を狙うことがこれまで以上に高くなっている可能性があります。特に子どもや女性の1人での在宅にはこれまで以上に注意が必要です。これは通常時にもよく言われる対策ですが、誰もいなくても必ず「ただいま」を言う、もし誰かいるか聞かれても「誰もいない」とは絶対に言わない等の対策が有効です。また、近所の方も同様に在宅の可能性が高いことから、常日頃からご近所同士で声かけし合い、地域ぐるみで防犯していくことも有効と考えられます。

 

 

(3)危険エリアと安全エリアの再確認

 

のぞきや不審火などが増加していることから見てもわかる通り、人目が減ったことで、これまで安全と思われていた場所が危険に変わるなど、場所の特性に変化が生じています。自宅の周りや通勤・通学路などについて、人目が少なくなったという前提で、改めてどこが危ないのか、再確認することが大切です。

 

 

(4)屋外での遭遇率はむしろ増加か

 

これまでまとめてきたように、屋外事件の絶対数は確かに減少しています。しかし、最大でも6割減程です。それに対して、外出自粛中の現在は、人通りが8割・9割減となっている場所も少なくありません。その点を考慮すると、自分が外出した時に犯罪に遭遇する「犯罪遭遇率」は、新型コロナウイルス感染拡大前よりもむしろ増加している可能性もあります。そのため、外出中はこれまで以上に注意が必要です。

 

また、新しい生活様式では、国民全員がソーシャルディスタンスを意識して行動するようになります。そのため、仮にそれを無視して近付いてくる人がいれば、これまで以上に警戒して差支えないでしょう。感染防止のためにも、防犯のためにも、今後はソーシャルディスタンスを常に意識することが重要と言えます。

 

 

※ガッコム安全ナビは、主に自治体や警察署等からの配信を元にしています。自治体や警察署によって配信ルールが異なるため、実際の事件傾向とは必ずしも一致していません。

 

※各報告件数は情報配信の数を意味するため、事件等の実際の発生件数とは必ずしも一致していません。

 

※事件種別・特徴・特徴の色は、ガッコム安全ナビ独自のルールに則って仕分け・集計されています。

 

※本プレスリリースは下記URLのコラムを転載しています。

https://www.gaccom.jp/wp/article/safetystat-202005.html

 

■株式会社ガッコム

学校教育情報サイト「ガッコム」、治安情報サイト「ガッコム安全ナビ」を開発・運営する教育データ×ITのベンチャー企業。創業者であり現会長の赤林は慶應義塾大学教授。その他「ガッコム学区サーチ」「ガッコム・データベース」「ガッコム・スクール・アド」等も提供。

 

■ガッコム安全ナビ

全国の不審者・事件・事故・災害等の情報を無料で提供する治安情報サービス。事件・事象の被害者を少しでも減らすために、「治安情報のインフラサービス」を目指し、警察・自治体・ユーザー等からの治安情報を、地図・アバター・グラフ・アイコンなどでわかりやすく提供。

 

 

 



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企業情報

企業名 株式会社ガッコム
代表者名 山田洋志
業種 教育

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