癌の酸素吸収を停止し死滅させる世界初のペプチド治療法を発見〜癌の驚異的な成長要因は、癌細胞が持つ効率的な酸素供給メカニズムにある〜

京都府立医科大学発スタートアップ企業の株式会社セルペップ(本社:京都市左京区、代表取締役:安田 佳子 以下、弊社)は、ほぼすべての癌が、特異タンパク質である「胎児型ヘモグロビン」と「ミオグロビン」の2つを産出することで大量の酸素吸収を行い、生存&成長していることを発見しそのメカニズムを解明しました。また、その増殖活動の根源である「エリスロポエチン(以下、Epo)」と「エリスロポエチン受容体(以下、EpoR)」の反応をペプチドの投与で遮断することによって、癌細胞の生存における最重要因子である酸素を断つことで死滅させる治療法を見出しました。今後はこの技術を元に、複合癌、多発癌、転移癌など癌種や疾患部位に関わらず、すべての癌に効果を発揮する抗癌剤創出に向けて研究開発を行っていくことをお知らせ致します。

■セルペック技術とは

・ 癌細胞をペプチドの作用で酸欠状態にして死滅させる根治治療技術

・ ほぼすべての癌に共通する生存活動を遮断するため癌種に関わらず有効

・ 動物実験では10種の癌の消滅を確認済み

・ 正常細胞への影響が非常に低く安全性が高い

・ ペプチドによる癌治療薬としては世界初

 

本研究成果は、京都府立医科大学がん制圧センター特任教授の安田佳子等が25年近く続けてきた研究によるもので、昨年アメリカ科学雑誌「PLOS ONE」に発表されました。

 

1.背景

 

発生学者である代表の安田佳子が1992年に、妊娠マウスを使った胎児発生の研究中に、胎児の組織にEpo遺伝子とEpoR遺伝子が一時的に多く存在することを偶然に発見しました。その後、Epo-EpoR反応で酸素保持タンパクが産出し、癌細胞の生存・増殖・血管の新生を促進させ、癌の進行に寄与していることを確認しました。その癌細胞の活動を阻止する新薬の研究により、ペプチドによってEpoとEpoRとの間で行われる情報を遮断することで、癌細胞を酸欠状態に誘導し、死滅させる可能性を発見しました。(現在では、ペプチドによって癌22種類を死滅させる可能性を発見し、日本・米国・欧州で特許権を保有)

 

 

2.癌(悪性細胞)の生存&成長プロセス

 

①体内に発生した癌細胞は生存のために多くの酸素を必要とする

②癌細胞はEpoとEpoRを多量に産出し、胎児型ヘモグロビンとミオグロビンを産出

③癌細胞内に多量の酸素を取り込むための栄養血管を増殖

④酸素を得た癌細胞が成長することで、正常細胞にも侵襲し、増殖・転移を行う

 

生存と成長のために大量の酸素を必要とする癌細胞は「人間の腎臓で作られる赤血球の産出を促進するEpo」と「骨髄内の血球(赤芽球)に主に存在するEpoR」の両方を独自に産出。本来、人間の体内では腎臓で作られたEpoが血液を通して骨髄内の赤芽球にあるEpoRと結合(Epo-EpoR反応)することで、酸素を保持&運搬する赤血球(ヘモグロビン)を産生しているが、癌は、癌細胞内にEpoとEpoRの両者を独自に産出することで、EpoーEpoR反応を自ら行い、赤血球のように酸素を保持できる「ヘモグロビン」と酸素を多く貯蔵できる「ミオグロビン」の2つのタンパク質を産出する。

 

さらに、Epo-EpoR反応により産出されるヘモグロビンは「胎児型ヘモグロビン」と呼ばれ、母親から効率よく酸素を供給されるために受精後1ヶ月〜生後6ヶ月までの胎児(新生児)のみが血中に持つ特異なタンパク質であるため、酸素濃度が低い血中でも、成長に必要な酸素を効率よく取り込むことができる。また、本来は筋肉中に存在し、酸素分子を代謝に必要な時まで貯蔵するタンパク質である「ミオグロビン」も同時に産出することで、多くの酸素を癌細胞内に貯蔵することができる。(ミオグロビンは大量の酸素を貯蔵しなければならないクジラ・アザラシ・イルカなどの水中に潜る哺乳類の筋肉に特に多く含有)

 

その結果、大量の酸素を取り込むことができる癌細胞は脅威の細胞増殖スピードで成長して肥大化。また、新たに酸素を得るために癌細胞に近い血管から新しい血管網(新生血管)を引き伸ばすことで、癌細胞が血流に乗りその他の部位への転移をも行う。

 

 

3.本研究成果の概要

 

癌細胞の生存&成長プロセスのメカニズムを解明した弊社では、そのプロセスの初期段階であるEpo-EpoR反応の阻止に焦点を当て、EpoRに対して「Epoの代替ホルモンとなるペプチド」を結合させることで酸素供給を止め、癌を酸欠状態に陥れて死滅させる技術を開発しました。研究の結果、EpoRと結合する複数のペプチドの中でEpo mimetic peptide 9(EMP9)が、最も結合力が高く癌細胞内の酸素量を低下させるペプチドであることを発見しました。

 

EMP9はアミノ酸20残基で構成され水溶性が高いペプチドで、骨髄内に存在する赤芽球上のEpoRとは結合せず、“癌細胞が持つEpoRとのみ結合”することが分かっております。ゆえに、体内での酸素産出機能に影響を及ぼすことなく癌細胞を死滅させることができ、安全性が高く副作用の少ない癌の根治治療薬となります。

 

EMP9によるセルペップ技術の効果

①成長停止:Epo-EpoR反応を止め栄養血管の破壊による血液流入を遮断

②死滅:酸欠状態により癌細胞の生存活動を停止

③消滅:癌細胞内外のCa濃度を上昇させ細胞の石灰化と免疫細胞の浸潤誘導

 

4.今後の展望

 

当治療法は、特定の癌に対する治療法ではなく、ほぼすべての癌細胞に共通する作用を阻止する仕組みであるため、将来的には癌治療法の基礎となる技術になり得ると考えております。そのような中で弊社としては、セルペップ技術による新薬の第一弾は、女性である代表安田の意思により「各大学の婦人科の教授の協力の下で、世界中の女性の希望を奪う【卵巣癌】の治療薬の開発(他の臓器への転移も見られる再発性卵巣癌を含む)」に取り組んで参ります。またその後は、子宮筋腫や子宮頸癌といったウィメンズヘルス領域を皮切りに、肺癌や肝癌などのすべての癌治療薬の開発に着手し、一人でも多くの癌に苦しむ人々を救うことを目的と致します。

 

【株式会社セルペップ代表取締役 安田 佳子の経歴】

1938年生まれ。京都大学大学院医学研究科博士課程(生理系専攻) 終了。京都大学医学部助手を経て、近畿大学医学部助教授、関西医科大学、滋賀医科大学、京都大学等で非常勤講師を務めた後に近畿大学医学部教授に就任。現在は、京都府立医科大学産学公連携講座がん征圧センター特任教授。

 

【発表論文】

・ PLOS ONE<2015年>DOI:10.1371/April 15

・Recent Advances in Clinical Medicine<2010年>337-348 ISBN:978-960-474-165-6

・Carcinogenesis <2003年>24:1021-1029

 

<関連リンク>

株式会社セルペップ:http://www.cellpep.co.jp



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企業情報

企業名 株式会社セルペップ
代表者名 安田 佳子
業種 医療・健康

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