専門アナリストによる、大日本・住友製薬の合併分析ー業界再編加速化へ

大日本・住友製薬の合併後も、パイプラインにそれ程可能性は見込めず、ライセンス製品の見直し及びパイプラインを強化し成長を後押しする更なるM&Aの可能性の模索が必要になると思われる。

データモニター日本支社(本社:東京中央区、支社長:前田静吾)は、12月9日、「大日本製薬と住友製薬の合併についての同社専門アナリストによる分析・見解」を発表しました。

大日本製薬・住友製薬:不安材料の残る合併

大日本製薬と住友製薬が2005年10月1日に合併することが発表されました。合併による新会社は日本市場において高まりつつある欧米製薬企業の圧力に耐えうるポジションを築くことが出来るのでしょうか。

基本合意によると、新会社は住友製薬の筆頭株主である住友化学の連結子会社となります。住友製薬の株式の77.8%を保有する住友化学の新会社株式持分比率は50.1%となり、上場維持に協力します。住友製薬によると、新会社は国内製薬企業上位10ランクインを目指します。

合併要因
合併要因のひとつとして考えられるのは、国内市場において住友製薬や大日本製薬のような中堅製薬企業に対する欧米製薬企業の圧力が高まりつつあることです。欧米勢の参入は国内市場に二つの変化をもたらしました。まず、Pfizer社による国内企業を上回る数のMRの投入などによる市場における競争の激化が挙げられます。二つ目は、欧米大手企業が日本市場進出の流れからくるライセンス製品の減少です。

国内製薬企業は市場の変化に対応するよう戦略の変更に乗り出しました。今年2月に発表された藤沢製薬と山之内製薬の合併に引き続き、住友製薬と大日本製薬も主要企業としての市場プレゼンスを拡大すべく合併に踏み切る予定です。山之内・藤沢合併後のMR数2400名には及びませんが、大日本製薬と住友製薬の合併新会社におけるMR数は1500名に増加する見込みで、主要各社との競合においてより良いポジショニングを確保できます。

過去数年間における大日本製薬と住友製薬の成長は、ライセンス製品の売上に強く依存しており、2003年には処方薬売上の50%を占めています。両社はこれまで依存してきた欧米主要企業からのライセンス製品の減少により、自社開発製品および欧米中小企業ライセンス製品への方向転換を余儀なくされたのです。

両社は開発領域における重複も多く、合併による相互補完でR&D機能の強化が可能です。新会社は循環器系疾患、中枢神経系疾患、糖尿病、伝染性疾患、呼吸器疾患の5領域にわたるパイプラインを抱えることとなります。しかし、パイプラインの売上は2010年の新会社売上予測全体の6.5%を占めるに過ぎず、過大な期待は出来ません。そのため、合併後もライセンス製品の見直しおよびパイプラインを強化し成長を後押しする更なるM&A可能性の模索が必要となります。

合併関連プレスリリースで、市場におけるパイプラインのインパクトは大きいと両社は予測していますが、開発後期段階にあるパイプラインにそれほどの可能性は見込めないとデータモニター社では考えています。開発初期段階にあるパイプラインに関しては、ブロックバスターとなりうるものもありますが、まだ臨床試験データが不足しており、潜在性が確定するまではしばらく時間がかかりそうです。

今後の見通しは?
データモニター社では両社の合併発表に先立ち、住友製薬の処方薬売上が年3.6%の割合で減少し、2003年の10.8億ドルから2010年には8.2億ドルに落ち込むとの予測をしました。一方、大日本製薬の見通しは、2003年から2010年にかけて売上は10.1億ドルから14.9億ドルに伸びCAGRは5.6%となる予測でした。

データモニター社の合併を織り込んだ新しい予測によると、合併後のCAGRは2.4%となり、2003年に2社合計で約17億ドルだった売上は2010年には約22億ドルに達する見込みです。今回の合併は住友製薬にとり、将来の成長を達成する大きなステップです。一方、大日本製薬にとっては企業規模やパイプラインの面でのプラス要因は大きいが、それ以外の面で好条件とは言い難い部分もあります。

データモニター社より本内容に関連する調査報告書が2005年1月に発行予定です。担当アナリストへの質問、本報告書に関してのお問い合わせについては下記までご連絡ください


【データモニター社について】
データモニター社は1989年に創設されたグローバル規模でサービス提供している市場調査会社で、世界の一流企業5,000社にIT、自動車産業、消費者市場、エネルギー、金融サービス、ヘルスケアなどの各市場における最新の情報を提供しています。同社は、経営者層に対する単独インタビューなどのプライマリーリサーチに重点を置き、データモニターでしか入手できないデータや情報を提供しています。データモニター社のアナリストは担当業界での実務経験を持ったデータモニター専属アナリストで、大半はオックスフォード大学やケンブリッジ大学出身者で構成されています。


会社名 :データモニター・ピーエルーシー http://www.datamonitor.com 
取締役社長 :マイケル・ダンソン
本社所在地 :英国ロンドン市フィンチリーロード108-110チャールズハウス
従業員数 :550人
資本金 :704万英国ポンド
事業内容 :市場調査 (ロンドン株式市場上場) 
(テクノロジー・金融サービス・ヘルスケア・エネルギー・自動車・コンシューマー)



<本件に関するお問合せ先>
データモニター日本支社 担当: 田中 薫
〒103-0023 東京都中央区日本橋本町3-3-6 ワカ末ビル7階
Tel : 03-6202-7681 Fax : 03-4496-4316 e-mail : jpmarketing@datamonitor.com

企業情報

企業名 データモニター日本支社
代表者名 前田 静吾
業種 未選択

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