桑名版「坂の上の雲」 桑名出身の陸軍大将・立見尚文の諸戸清六あての書簡が発見される ～ 大政奉還150年記念特別企画展で一般公開 ～

　桑名市出身の陸軍大将・立見尚文(たつみなおふみ)が豪商・諸戸

清六(もろとせいろく)あてに送った直筆書簡が初めて見つかりまし

た。本年8月に諸戸家の子孫が桑名市博物館(三重県桑名市京町37-

1)に寄贈した資料の中に含まれていた合計10通で、いずれも明治

37年から翌38年の間に集中しており、日露戦争の戦場真っただ中

から諸戸清六に送られたものです。本館主催の大政奉還150年記念

特別企画展「幕末維新と桑名藩 ― 一会桑の軌跡 ―」のなかで、

10月21日（土）から11月26日（日）まで一般公開します。

 

 

　立見は江戸時代から明治時代にかけて活躍した軍人。桑名藩の出

身で、幕末の戊辰戦争においては桑名の「雷神隊」を率いて新政府

軍と互角に戦うなど、用兵にたけた人物でした。明治維新後は、そ

の能力を買われ陸軍で活躍し、西南戦争・日清戦争・日露戦争を戦

い抜くなど歴戦の将軍として知られています。また旧・幕府側出身

としては数少ない陸軍大将になっています。

　一方、手紙を受け取った側の初代諸戸清六は明治時代に活躍した

豪商で、東京進出後、大地主・山林王としても知られています。

清六は、私財を投じて、当時国内では7番目の近代水道となる諸戸

水道を整備するなど地元桑名のために尽力した人物でもあります。

今回、新たに発見された書簡類10通は、いずれも日露戦争中に

立見から清六に軍事郵便で送られたものであることがわかります。

　とりわけ、日露戦争の大激戦地で知られる「黒溝台会戦」などの

様子を当事者自らの筆で知ることのできる一級史料であり、ある意

味では、桑名版「坂の上の雲」ともいえます。

　文中には、「蛤」「白魚」「時雨」などの言葉がならび、清六が

立見に対し地元の名産品を贈っていたことがうかがえるなど、桑名

らしい内容も見受けられます。また、弘前（青森県）の第八師団長

を務めていた立見が、リンゴの贈り物をするなど、近代桑名を代表

する二人の人物のほほえましい交流の様子もうかがえます。

　書簡類は10月21日から11月26日まで桑名市博物館で開催の大政

奉還150年記念特別企画展「幕末維新と桑名藩 - 一会桑の軌跡 ―」

展のなかで展示します。幕末・明治を駆け抜けた立見の直筆書簡を

通して、地域の歴史・文化理解の一助として頂きたいと思います。

 

大政奉還150年記念特別展「幕末維新と桑名藩

― 一会桑の軌跡 ―」概要

主催：桑名市博物館

助成：公益財団法人 岡田文化財団

会期：平成29年10月21日(土)～11月26日(日)　※32日間

会場：桑名市博物館1・2階企画展示室

　　　（三重県桑名市京町37-1）

休館日：月曜日（ただし祝日は開館、翌日休館）

開館時間：午前9時30分から午後5時まで

　　　　　（入館は閉館の30分前）

入館料：大人[高校生以上]500円

　　　　※20名以上の団体は1人100円引き

　　　　桑名市博物館メールマガジン購読者は

　　　　携帯画面を見せるか、プリントアウト

　　　　したものを見せれば本人および同伴者

　　　　合計2名まで100円引き

 

催し:◆特別展示解説＝水谷憲二氏（三重県総合博物館）

 　　　  10月22日（日）午後1時30分～（予約不要）

　　　　入館料のみで参加できます。

　　◆展示解説＝担当学芸員による展示解説

  　   　 11月5日（日）午後1時30分～(予約不要)

             入館料のみで参加できます。

       ◆関連講演会（桑名市商工観光文化課主催）

           演題：「一会桑」勢力と『公議』

           日時：11月12日（日）午後1時30分～

           場所：桑名市中央公民館

           講師：奈良勝司氏(立命館大学文学部助教)

                     ※10月10日（火）午前9時より

                     電話（0594-24-1361）にて要予約