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受け継がれる意思を胸に、これからの「円谷プロ」を創る広報宣伝の力

ウルトラマンをはじめ数々のヒーローを生み出している円谷プロダクション。創立50周年を控え、広報担当の北澤淳子さんはこれからの歴史を創る決意を語った。

ヒーローマネジメントとしての広報


Q「ウルトラマン」はじめ、ファン層が幅広いのでコミュニケーションも多岐に渡りそうですね


pr_interview_tsuburaya-prod_data_image4お客様の属性は多様ですので、クラスターごとに少しずつ訴求するメッセージを変えて、適切なコミュニケーションが図れるよう心がけています。

例えば、往年のファンの方は、特撮の話など制作の裏側に興味を持たれますが、それをお子様に見せてしまえば夢を壊しかねません。なので、メディアに合わせて発信するメッセージや見せ方を対応させて、きめ細かく内容を管理しています。ファンの裾野を広げつつ、関係を深化させていくのが私たちの大切な仕事です。

 

Qヒーローならではの悩みですね


ウルトラマンには、「親しみやすい」「格好良い」「期待を裏切らない」「平等」などのイメージがありますので「ヒーローはどうあるべきか」ということを常に念頭においています。

それを順守するために、社内ではヒーローとして逸脱してはいけない基準を明文化して、広報活動にあたっては、何をして良いか、してはいけないかを、企画を進行しながらも客観的に確認する体制になっています。

 

40周年プロジェクトをきっかけに変わり始めた円谷プロ


Q北澤さんが広報に携わり始めたのはいつですか?


pr_interview_tsuburaya-prod_data_image2私は1996年に入社して、新規事業ライセンスや商品企画のほか、施設運営の部署など、制作部以外の営業部門にはひととおり携わりました。広報は、2005年から始まった「ウルトラマンシリーズ40周年プロジェクト」に参加したのがきっかけです。弊社は1963年に映像制作会社として創業してから、長いあいだ広報を専門に行う部署が存在していませんでした。

このプロジェクトは2年半ほど続き、会社のブランディングや、キャラクターの魅力を伝えるために試行錯誤しました。その中で、人気ファッションブランドや美術館とのコラボレーションを実現するなど、今までにない取り組みや商品化を経験し、歴史や伝統だけでない、円谷プロの「新しいイメージ」を創る必要性を感じました。

そして、そのプロジェクトを終えた2008年、会社の組織再編に伴い、広報・宣伝を行なう専門部署が新規に設立され、そこに配属されました。

 

Q広報と宣伝は相反する印象ですが、なぜ一緒の部署に?


全体利益、全体効果を考えるためです。ここからは広報で、ここからは宣伝という枠を作らず、取引先や、消費者の方にもより喜んで頂けるような提案型の企画を重視しています。

 

シリーズ45周年で花開いた「広報×宣伝」


Q具体的にシナジーのあった事例はありますか?


pr_interview_tsuburaya-prod_data_image32年前に、とある新聞記者の方から、ウルトラセブンの写真を紙面で使いたいと問い合わせをいただきました。通常業務としては、素材をお渡しして監修をしたら完了、ということが多いと思いますが、お話しする中でその記者の方がウルトラマンシリーズを大変お好きだと伺いました。そこで、翌年にウルトラマンシリーズの45周年が控えていたこともあり、こちらからその新聞での特集を提案しました。

直ぐに社内での企画をまとめて下さり、その新聞での20回連載が決まりました。その後連載をまとめた「特別号」というタブロイド版も発売され、読者の方にも大変ご好評をいただきました。この企画が同新聞社の社長賞に輝かれたことをお知らせいただいた時は、自分のことのように嬉しかったです。

 

QまさにWin-Winの関係ですね


そうですね。弊社関連のイベントでもこの「特別号」記事を展示、販売したりと、双方にメリットのある形を実現できたと思います。この取り組みは、2011年のウルトラマン、2012年のウルトラセブンと2年間続いています。

通常、素材の貸し出しはアーカイブスという部門が担当し、一枚いくらというビジネスに終始してしまいますが、今回のように広報宣伝室が間に入り、実りある成果に繋がったというのは、まだ始まったばかりですが円谷プロ広報の歴史に残る取り組みになったと思います。

 

Q今後の目標について教えて下さい


pr_interview_tsuburaya-prod_data_image1直近では、ウルトラ三大プロジェクト」と称して、WOWOW様との取組みが進行しております。今夏には「ウルトラマン」、年末には「ウルトラセブン」ハイビジョンリマスター版が放送され、2013年1月からは、ウルトラマンシリーズの原点である「ウルトラQ」の<セカンドシーズン>をコンセプトにした「ネオ・ウルトラQ」が放送されます。

来年弊社は創立50周年を迎えます。これを機に、従来のファミリー層を狙った「三世代マーケティング」に加え、これまでタッチポイントのなかった層に向けた戦略的な露出を意識しながら、新しい50年を創っていきたいと考えています。

(取材日:2012年10月24日)

北澤 淳子氏

企業名
株式会社円谷プロダクション
部署・役職
広報宣伝室 チームリーダー
設立
1963-04-12
所在地
東京都渋谷区桜丘町9-8 KN渋谷3ビル 4F
URL
http://www.tsuburaya-prod.co.jp/
プロフィール
大学卒業後、新卒で円谷プロダクションに入社。2005年に発足した「ウルトラマンシリーズ40周年プロジェクト」を皮切りに、ブランディング、広報宣伝の分野で活躍。現在は広報宣伝室でチームリーダーを務める。

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