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睡眠業界をリードする西川産業の [エアー] 、アスリート達が火をつけた

プロサッカー選手の三浦知良選手を夢中にさせたマットレス [エアー] 。その開発秘話や、著名なアスリートたちを広告に起用した理由についてマーケティング担当の竹内さんにお話を伺いました。

若い世代は
西川産業を知らなかった


Q大人気の [エアー] ですが、竹内さんは開発時から関わって来られたのですか?


はい。[エアー] の商品開発やブランディングにゼロベースから携わっています。

 

Q[エアー] の開発は何名くらいで?


プロダクトデザインの担当、商品販売の担当、製造担当、広告物制作担当など、社内で総勢5,6名の人間が関わっています。代表であり [エアー] 発起人の西川もチームにいます。ご協力いただいているメーカーさんを入れるともっと多いですね。

 

Qなぜ [エアー] を開発することになったのでしょうか?


pr_interview_nishikawasangyo_data_image1当社には以前より「日本睡眠科学研究所」がありました。睡眠を科学したり、眠りの質に重点を置いて商品開発を行っていたのですが、商品のプロモーションでは成功していなかったんです。原因としては、百貨店の寝具売り場や地域の寝具専門店など、目的買いの時以外には足を運ばない場所でしか販売していなかったことが挙げられます。

また、当社は1566年に創業した歴史ある会社で、40代以上の方たちには認知していただいていますが、若い世代にはほとんど知られていません。このままの状態で10年、20年経ったらどうなるのだろうと考えると、この課題をなんとか解決したいと思いました。

当社は非常にいい商品をつくっていますが、商品自体を知っていただく機会が少ない。販路を開拓して、今まで届けられなかったお客様層にいかに情報を届けるかが勝負だと思いました。

 

Qまずはターゲットを変えるところから始められたのですね。


はい。若い層と、あとは男性に今まで届けられていなかったのでそこをターゲットにしていこうと。

 

Q男性?


ええ。男性も当然布団は使いますが、購買の現場にいるのはほぼ100%の確率で女性なんです。若い男性ともなると、わざわざ寝具を選びに行くとは考えられません。

 

[エアー] のファンになる
アスリートたち


Q開発にはどのように着手されたのですか?


pr_interview_nishikawasangyo_data_image2弊社の社長が前職で広告や広報をやっていましたので、デザインの重要性は理解していました。ヒントになったのはランニングシューズ。高機能だけど売れない某ランニングシューズが、注目してもらいたい機能部分の色をカラフルに変えたことによって、機能性が目で認識できるようになり、飛ぶように売れていった事例に注目したのです。

[エアー] は実は、別のブランドでシニアをターゲットにして打ち出していた商品(2001年の整圧敷きふとん)をモデルにしました。機能は非常にしっかりしているのだから、これをターゲットに響くようなデザインに変えようと。色をネイビーやグリーン、ピンク、グレーにして「普通の布団ではない」「機能的な商品」であるということをアピールすることにしたのです。寝具に使う色ではないと社内で反対の声もあり、実現させるまでのハードルは高かったですが。まずはデザインの発想から始めてここまで成長してきた感じです。

 

Q広告にアスリートを起用されたきっかけは?


アスリートは、身体のメンテナンスに気を遣っている方の象徴です。起用によって、[エアー] もその象徴になりたいと考えました。一番最初はプロゴルファーの有村智恵選手。開発当初に打ち出していたのがショッキングピンクのマットレスで、有村選手はそのイメージにピッタリだったんです。また、彼女は眠りに対しての意識が非常に高く、意気投合してスタートしました。

 

Qその次がジャイアンツの坂本選手ですね。


[エアー] の次のバージョンを考えていまして、初めのキャッチコピーが、「肩を守れ、腰を守れ」だったのです。そんな時、坂本選手が腰痛に良いマットレスを探しておられ、ジャイアンツさんから当社に相談がきました。[エアー] を紹介したところ、坂本選手は気に入って使ってくださいました。有村選手、坂本選手を起用して、業界紙やゴルフ、野球雑誌で広告展開をしていきました。大きな転換期は2012年のロンドンオリンピックです。

 

ロンドンオリンピックで火がついた


Q選手たちがロンドンに持って行ったモバイルマットを開発された経緯について教えてください。


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モバイルマットはもともと有村選手からのリクエストで作ったものでした。有村選手は毎週各会場にマットレスを宅急便で送って現地で使用してくださっていたんです。[エアー] は自宅用の商品として開発されたものですので、マットレスを持ち運ぶバックなんてもちろんなく…。「持ち運び用の寝具」という発想自体ありませんでした。有村選手からの要望があって、ある程度の機能は果たして持ち運びが便利なものということで、2011年に [エアーポータブル] シリーズというモバイルマットを開発したのです。それをロンドンオリンピック選手団の帰国時に選手たちが持っていたのがテレビに映り、ネットで話題になり一気に火がつきました。

 

Q事前に広報的な仕掛けはされたのですか?


仕掛けというのは特に考えておらず、日本レスリング協会さんから睡眠についてサポートを受けたいという依頼に応えたのがきっかけですね。モバイルマットではなく、眠り全体についてのサポートとして契約しました。眠りに関する講義ですとか、リラックスするための香り、飛行機では何時に寝て何時に起きると時差が回復できますよ、と言った知識をお伝えしていたのです。その中で、ロンドンのベッドの環境があまり良くないという話を聞き、皆さんにモバイルマットをお持ちいただいたのです。

 

Qロンドンオリンピック後、売上にはどのくらい変化があったのでしょうか?


2009年から2011年は3年間の累計で4万本しか売れていなかったものが、日本レスリング協会さんのサポートを始めた2012年の4月から6月には120%アップ、オリンピック直前の7月は160%、8月に帰って来られた時は200%アップしていました。モバイルマットだけでしたら10倍の売上になっています。サッカーの三浦知良選手を起用した広告やCMを始めてからは、毎月300%アップで商品生産が追いつかなくなって今に至ります。2012年は伸びたとはいえ市場価格では15億しか売れてなかったものが、2013年は52億。今年は80億に到達見込みです。

 

カズさんはやっぱりすごかった


Q三浦選手の起用は、やはりワールドカップを意識されていたのでしょうか?


いえ。それは意識していませんでした。2012年9月頃に、三浦選手がフットサルのワールドカップで代表に選ばれると発表された日に、偶然サッカー関連の権威あるドクターが当社の日本睡眠科学研究所にいらしたんです。商品の説明をしていると「これはすごく良い商品だし、考えられている」とその場で三浦選手に電話されて、いい寝具があるから来いというと、その日のうちに三浦選手が当社にいらっしゃいました。彼は身体のケアにすごく気を使われている方で、その日のうちに持ち帰ってらっしゃいました。とても気に入ってくださって、その後もいろんな方に紹介してくださったんです。

pr_interview_nishikawasangyo_data_image4そんな中、私たちも改めて新しい広告を打とうと考えまして、出てもらうのはサッカー選手がいいのではないかとなりました。誰を起用するか。海外で活躍している旬の選手がいいんじゃないかという話になった時に、三浦選手がこんなに気に入ってくださっているのに、他の選手に浮気をするのはどうかと。ただ三浦選手を広告に起用するのには手が出せないのではないかと話していたんです。ところがご本人にお声がけしたら、気に入ってるし、協力するよと広告契約してくださったんです。

私たちはトップアスリートを広告に起用できる規模の会社ではありませんので、やはり商品を気に入って使っていただいて、納得いただいて友好な関係を築けているのが大きかったと思います。アスリートの方たちの本音をホームページを通じてコツコツ伝えてきたのも、今につながっているのかなと思います。

 

Q三浦選手を広告に起用した反響はいかがでしたか?


私たちの予想をはるかに超えた反響でした。三浦選手のファン層は年代も幅広く、影響力が凄かったのです。代表の西川から、「三浦選手の影響力は相当なものだから、3倍の売り上げは覚悟しておけ」と言われて、3倍の商品を確保していたのですが、全然足りない状況になりまして。以来ずっと生産が追いつくように走り続けている状況です。現在の認知度アンケートを行った結果は、56.8%。認知され始めたのが2012年からと考えると、結構なスピード感だなと思います。70%を目指したい気持ちはありますが、当社の考えとしては、徐々に広がっていけばいいかなと。一気に広がってブームが終わるというビジネスにはしたくないので。

 

健康寿命の延伸に
寄与していきたい


Q[エアー] の他に、ターゲットを考えることから発想して成功した事例はありますか?


[エアー] と同じタイミングで始めた「ピローウィー カフェ」ですね。ターゲットは20代の女性でした。男女500人に事前にアンケートを行ったところ、睡眠についての不満を3分の2の人が抱えているのに、93%が睡眠や寝具についてのアドバイスを受けたことがなかった。ライブショップやテレビで一方的に情報を伝えるのではなく、屋台のようにコミュニケーションできる形で情報を伝えたいと思いました。

20代女性社員の2名が専任でプロジェクトを進め、考え出してくれたのがかわいいオーダー枕が作れる「ピローウィー カフェ」だったのです。おじさんにはできない発想でした(笑)。開店したら1日100個売れたんです。今まで情報が届いていなかったユーザーに、「オーダー枕ができる」という情報を届けるだけでこんなにも売れるのだということを目の当たりにしました。

 

Qお話を伺っていると非常に順調ですが、逆に失敗談はありますか?


ありますよ。ほぼ毎日怒られてます(笑)。[エアー] やピローウィー カフェのようにたまたま成功した事例を取り上げていただいているだけで、失敗の方が断然多いです。いい商品を作っているという自覚はあるけれど、届けたいターゲットに届いていないことは多々あります。でも、イチロー選手ですら3割しか打てない。100%当たる人なんていないし、10打席で3本ヒットを打てたら企業でも上出来なんじゃないかな。

 

Q最後に、今後、御社で広報やマーケティングの展開として考えられていることは?


pr_interview_nishikawasangyo_data_image5アスリートの広告を見て興味を持つ方以外にも、大きなマーケットがあります。たとえば美容や健康に関心のある方たち。そういった大きなターゲットに響くプロモーションを今一度考え直す時期に来ているんじゃないかと感じています。

それから、健康寿命の延伸に積極的に寄与していきたいと考えています。健康の三大要素は、食事、運動、睡眠を含めた休養。この三つが揃わないとパフォーマンスアップできません。今までは食事や運動について考える方は多くても、睡眠の質についてまではなかなか考えていただけない状態でした。良い睡眠を取ることが、疲労の回復や記憶の定着にも影響があるということをコツコツ伝え続けて、最近やっと理解していただけるようになってきたように思います。眠りの質についてこれだけ研究をしていることは誇るべきところだと自負しています。当社の使命として、健康寿命の延伸につながっていく事業を行っていきたいですね。

 

(取材日:2014年7月18日/撮影:首藤 達広)

竹内 雅彦氏

企業名
西川産業株式会社
部署・役職
営業統括本部 営業企画室 室長
設立
1947-06-01
所在地
東京都中央区日本橋富沢町8-8
URL
http://www.nishikawasangyo.co.jp/
プロフィール
1993年入社、営業部門13年間を経て、2006年より現部門に異動。新規得意先開拓や営業企画担当を経て、2009年より広報宣伝業務も統括する現職に就任。

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