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EC業界の常識を疑い、メディアの道を歩む「北欧、暮らしの道具店」

ごく普通のECサイトからメディア化を遂げ、今なお進化を続ける「北欧、暮らしの道具店」。代表取締役の青木耕平さんにメディアとして成功する秘訣を伺いました。

月商1,000万でも楽にならなかった


Q現在、御社の運営する「北欧、暮らしの道具店」は「ECサイトのメディア化」というテーマで注目されています。まずはそこに至るまでの経緯について教えてください。


pr_interview_hokuohkurashi_data_image3もともとメディアをやりたいと思ったことは一度もなく、「北欧、暮らしの道具店」は、ごく普通の通販事業として始めました。売上も順調に伸びていったのですが、3年ほど経って月商1千万に到達したころに、すごく苦しくなったんです。忙しさもありますし、お金の回り具合とか利益の残り方、全てがしんどい時期でした。

主な原因は、販促費と広告費です。業界の間では、「急成長を支えるためには、売上の20%を販促費や広告費に突っ込む必要がある」というセオリーがありました。でもよくよく考えてみると、通販で成功しているのは、化粧品、健康食品、お取り寄せ系の食品など、粗利が高くて購買頻度を高く見積もれる商品ばかり。輸入雑貨を扱う僕らが同じ割合で販促費や広告費をかけていたのですから、苦しくなるのは当然でした。

そこで考えたのが、急成長を続けながらも、販促費や広告費を限りなくゼロに近づけられないかということです。

 

Q非常に大胆な発想ですね。


売上が年間1億前後の頃に、15%程度を販促費や広告費に当てていました。1,500万あったら、他にやり方が必ずあるはずだと。でもどこにつぎこめば広告よりも効率的に結果が出るのだろう。もやもやと悩んでいた時に、たまたま『ほぼ日』の存在を思い出しました。

 

 

『ほぼ日』をロールモデルに


Q糸井重里さんの「ほぼ日刊イトイ新聞」ですね。


人気の秘密について考えました。見ていると有名人がたくさん出ている。でも有名人の名前で検索してもその記事が上位に上がってくることはほとんどなく、SEOもあまり気にしていないようでした。なんて朴訥(ぼくとつ)とした運営なんだと。驚いたのは、数年前に『ほぼ日』が採用をかけるにあたって、売上を公開したのを目にした時。当時で約20億。別のメディアのインタビュー記事では1日140万PVほどのアクセスがあることも知りました。コンバージョン率が高いとは思えない立てつけの中で、SEOも気にしていないように見えるし、広告もやっていないように見える。集客経路も乏しいのになぜこんなに…と。

 

Qどのような答えに行きついたのですか?


出た結論としては、要は『ほぼ日』は、山の中の美味しい蕎麦屋なんです。「あそこの蕎麦屋うまいらしいよ」という口コミだけで行列ができる店。なぜそれが実現できているのか。答えはひとつしかなくて、「面白いから」人がやってくる。買う買わない関係なく、時間があるから立ち寄っているんです。更新回数も多く、あるカテゴリーのお客様に対して、常に信頼を裏切らない面白いコンテンツが用意されている。その信頼感が異常な集客につながっているんだと。

 

Qそれで同じことを「北欧、暮らしの道具店」でもやることにしたのですね。


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創業初期の「北欧、暮らしの道具店」の人気商品はすぐに完売してしまうことが多かった。でも在庫がない時にもお客様は来ます。その時に在庫がなければ、二度と来ていただけないかもしれない。でも、サイト内に『ほぼ日』のように面白い読み物があって、習慣的に来てくれるようになれば、次来た時は在庫があるかもしれない。そういう状態を目指して、日記やちょっとした連載を少しずつ発信するようにしていきました。2010年頃、これを本格化してメディアになろうと決め、2011年末にショッピングモールへの出店を止めて、コンテンツでの集客を軸にしていきました。

 

 

源泉かけ流しのように
コンテンツを


Qメディア化にあたり、どんなことを考えましたか?


「メディアはとは何か?」の定義づけから考えました。僕らにとってのメディアとは、まず購入や手続きなどの用事がなくても、読んだり見たりするためだけに来る価値がある。そしてコンテンツを一定の量、源泉かけ流しのようにずっと供給できること。読み切れない量のコンテンツが提供されていなければ胸を張ってメディアとは言えないんじゃないかと考えました。雑誌は一度じゃ全て読み切れないし、テレビも全ての番組を見ることはできない。FacebookもTwitterも、いつ見ても読み切れない量のものが載っているからこそ、時間が空くたびにアクセスしますよね。常に刺激のあるインプットを得られることは、リピートしてもらえる信頼感につながります。

 

Q現在はどのくらいの量のコンテンツを提供しているのでしょうか?


商品ページは月間30ページ程度、メルマガは週4回、商品ページ以外のコンテンツを毎日4、5エントリー投稿しています。FacebookとInstagramには毎日それぞれ2投稿程度。あとは紙媒体ですが、『暮らしノオト』という冊子を隔月で発行して、お買い物していただいたお客様に配布しています。でも、僕らの目指すメディアはまだまだ途上です。少なくとも現在の2、3倍は発信していきたいと思っています。

 

Qすでに充分な量に感じますが、これから目指す方向は?


メディアは突き抜けるとパブリッシャーになります。大手出版社の多くも、もとは文芸同人誌を発行するメディアプロダクションとして始まり、そこで作った雑誌が大ヒットした時に、プラットフォーム化したのです。読者ができ、流通経路ができ、その上に「この雑誌で書籍を紹介したら売れるのでは?」と書籍出版が行われ、出版社になりました。
僕らにとっての書籍はジャムだったり、陶芸家のお皿になるかはわかりませんが、パブリッシャーとしての位置づけを視野に入れています。

 

 

「取り扱い商品数を増やさなければ
売上は上がらない」は都市伝説


Qメディア化にあたり、『ほぼ日』の他にも参考にされたところはありますか?


pr_interview_hokuohkurashi_data_image4『ほぼ日』の糸井重里さんが、以前、通信販売カタログの『通販生活』で連載をしていたことがありました。『通販生活』は年間300億前後と売上げています。しかし、年3回、春号、夏号、秋冬号と発売されるカタログには、一冊につき200程度しか商品のラインナップがありません。他誌だと数千単位で載っているのに。それにその中には、「これもう何十年売ってるの?」というような商品が結構ある。

これはどういうことかというと、各商品記事をリライトし続けたということなんです。ここから大きなヒントをもらいました。EC業界には、商品ページを熱心にリライトする業者はあまりいないと思います。一度作ったページでいかに長く稼げるかが重要なので、作ったページをいちいちリライトするなんてバカじゃないのと思われるかもしれない世界です。

 

Qでも青木さんたちはEC業界の常識を破って商品ページにリライトをしたと。


ECサイトで新商品を常に投入しなければいけないのは、お客様に刺激を与えて飽きさせないためです。新商品を投入し続けるということは、在庫を抱えるリスクがあるので慎重にやらなくてはいけません。でも商品ページをリライトして写真もリニューアルすることで、お客様には新商品投入に近い刺激を与えることができるんです。
『通販生活』からヒントを得たページのリニューアルは、非常に効果がありました。

僕らが在庫で抱えている商品の種類は900程度で、同じ規模間の他社に比べたら5分の1から10分の1程度だと思います。だから在庫の回転率は圧倒的に高い。取り扱い商品数を増やさないと売上は上がらないというのは都市伝説だったとわかり、ここ4年の間、取り扱い商品数はほとんど増やしていません。

 

 

1万円の時計より1万円のスリッパ


Q昨今、無料でネットショップを開業できるサービスも増え、個人でショップを運営される方も増えていますよね。こうした状況についてどう思われますか?


あまり気になりませんね。僕らは所詮市場全体からみれば小規模な商売をしている事業者です。世の中の景気や動向に左右されるような規模にもなれていない状態。あくまでも今のお客様とどうお付き合いして行くか。せいぜい今お付き合いしているお客様の周囲の方くらいまでしか見る必要はないと思っています。

 

Qたとえば「北欧、暮らしの道具店」と同じ商品ばかりを安く売る店が出てきたら?


pr_interview_hokuohkurashi_data_image2もちろん全く影響を受けないということはないと思います。ただ、「こっちが安い」「送料無料になった」という価格競争には乗らずにいたいと考えています。

たとえばルイ・ヴィトンの直営店の隣に、ディスカウントストアがあったとします。直営店は、運営のコストやマーケティングに投じている金額がディスカウントストアとは格段に違うので、安く販売することはできない。だから値段でいえばディスカウントストアが安いのです。

でも、高いのを承知で直営店で買う人もいますよね。なぜならヴィトンが提供しているのは商品だけではなく、世界観の体験だからです。

弊社でもラッピングペーパーを自社開発したり、デザインについて考えたり、お客様に「体験」を提供しています。あるお客様から、「ずっと前から『北欧、暮らしの道具店』で買い物をしたいと思っていました」というメッセージをもらったことがあります。他店さんで同じものがお得に買えるにも関わらず、買い物を体験しにうちに来てくれたことをとても嬉しく感じました。

 

Qなるほど。確かに「買い物体験をしたい」という気持ちはわかりますね。


僕らが売っている輸入雑貨は、「生活になくても困らないもの」なんです。経済的合理性を考えたらそもそも必要ない。でも人は、経済的合理性のない理由で意思決定できたことに喜びを感じることもあります。

たとえば1万円の時計と1万円のスリッパだったら、プレゼントにもらってどちらがうれしいですか? 僕は圧倒的にスリッパです。1万円のスリッパと聞くだけでどんな非日常的な商品だろうってワクワクします。お客様に経済的合理性だけでない、非日常感を感じながらワクワク買い物をしてもらうためには、ショップにステータスなり、ブランドなりがなければいけません。僕らは価格競争ではなく、お客様を楽しませる世界観を作ることに尽力していきたいと思っています。

 

Q最後に、ECサイトからメディアへと変遷をたどる中で感じていることはありますか?


pr_interview_hokuohkurashi_data_image5僕らはもともと北欧のヴィンテージものを扱っていて、その後ヴィンテージと新しい小物を両方一緒に売る店になって、そこから北欧じゃないものも扱うようになって、今の売上の6割は北欧でないものが占めています。お店の業態は常に変わり続けてきました。

ただ、その変遷の中で唯一変えていないことは、お客様の層です。僕たちのサイトは今30歳から45歳くらいまでの女性のお客様が80%くらいを占めています。そのようなお客様にとって「北欧、暮らしの道具店」を自分の場所だと思ってもらえるような信頼関係の構築に一貫して取り組んできました。ターゲットを広げようと非連続にジャンプしていたら、信頼関係は失われてしまう。

お客様の年齢が上がれば「北欧、暮らしの道具店」もそこに合わせる。この層のお客様と一生付き合おうと決めています。

ずっと先かもしれないですが、今お付き合いしているお客様のお子さんの世代は、もしかしたら良いお付き合いができるかもしれませんね。

 

(取材日:2014年7月29日/撮影:首藤 達広)

青木 耕平 氏

企業名
株式会社クラシコム
部署・役職
代表取締役
設立
2006年9月
所在地
東京都国立市
URL
http://hokuohkurashi.com/
プロフィール
2006年9月、実妹と株式会社クラシコムを共同創業。2007年9月に同社新規事業として北欧雑貨専門のECサイト「北欧、暮らしの道具店」を開業。現在に至る。

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