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これからは、従来の「記者」というくくりで仕事は完結しない

『日経ビジネスDigital』の舵取りを担う若き編集長、蛯谷敏さん。2011年、他経済誌に先駆けいち早くスマホ対応した『日経ビジネス』。雑誌・Web(『日経ビジネスONLINE』、Facebookページ)・スマートフォンアプリと、各メディアの強みを活かし読者へニュースを届ける新しいメディアのあり方に挑戦しています。

Qまず、記者になろうと思ったきっかけから教えてください。


もともと記者にこだわっていた訳ではなかったんです。人と会って話をしたり聞いたりする仕事がしたいと漠然と思っていました。大学時代にテニスコーチをしていたんですが、人と話をして何かを教えたりするのが、とても楽しかったんですよね。だから職種は営業でもよかったんです。けれど、記者の方が人と会える機会も圧倒的に多い。それが記者になろうと思ったきっかけです。けれど、当然ですが、記者は人に会うだけが仕事じゃない。国語を勉強する一番大事な幼少期に米国に住んでいたので、まともな文章が書けず、初めはとっても苦労しました。

 

Qほかに入社後、何か挫折を感じたことはありますか?


学生の時に思っていた「人に会う」という願望は記者の仕事に就いて満たされました。ただ、同時に人に会っていると、あることに気が付いたんです。それは、自分の軸を持つことの重要性です。取材テーマについて、相手と向き合う前に、まず自分の考えを固めておかないと、決してよい取材はできません。考えのよりどころとなる軸がないと、決していいコミュニケーションは生まれません。軸というのは、テニスを教える時にも似たような表現をするんですけれど、体のバランスをとる上で非常に重要なんです。これに気付くのに結構時間がかかりましたね。

 

Q蛯谷さんは記者としてのキャリアが13年目。今、何を感じていますか?


これからは、従来の「記者」というくくりで仕事は完結しないのではないかという気がしています。単に取材をして記事を書くだけでは仕事は終わりでなくて、それをウェブのアプリやイベントを通じて読者に届ける役割も果たさなくてはなりません。当然そのプロセスには、編集の仕事もあれば、営業の仕事もあるかも知れません。人に会うという点は昔と変わりませんが、従来の枠組みは徐々に消滅していく気がします。そういう意味では、何が起こるかわからなくて不安ですが、仕事の範囲がどんどん広がっているという自覚もあります。記者という肩書きの定義が変わっていく過程なのかもしれません。

 

Q2012年9月に『日経ビジネスDigital』編集長に就任されました。これが心境の変化を生んでいるのでしょうか?


僕の場合は役職が変わったとしても、記者の頃の感覚とあまり変わっていません。出版は、英語で「publish」と書きますが、この言葉には「公にする」という意味が含まれています。これを自分なりに解釈すると、「大事だけど、あまり知られていない人や事実を世に広めていく」という行為が、出版という行為には含まれている気がします。世の中に出ていない人に僕が出会い、感動し、これをみんなに伝えたいと思う。それが「publish」だとするなら、これほど楽しい仕事はありません。なので、自分の仕事はpublisherとしての意味合いが強くなっていく気がします。その手段としていい文章を書きたい、いい表現を使いたい、いいアプリを作りたいと思う訳です。

編集長になって変わったことは、よりチームで動くことを意識しなくてはならないということですね。これまでは自分が必死に頑張れば形にできていましたが、今はアプリ開発など自分だけの力ではどうしようもない。それはやはり外部の人達の力を借りる必要があります。自分がやりたいことをしっかりと伝え、共有し、形にしていく作業になります。マネージャー、言うなればプロジェクトリーダーになったという点で、従来とは少し違うかなと思っています。

 

Q蛯谷さんがこれまで書かれた記事で印象に残っているものを教えてください。


入社3年目の時、当時在籍していた通信分野の専門誌『日経コミュニケーション』で担当した、ソフトバンク特集ですね。当時、ソフトバンクの孫正義社長がADSLサービス「Yahoo! BB」を始めたころでした。特集を組むにあたり、孫社長のインタビューが必須と言われ、困ってしまいました。当時から孫社長のアポ獲得は非常に難しく、頭を抱えたのを覚えています。手紙を書き、夜家に行ったり、会合に忍び込んだり。あらゆる方面からアプローチしました。何とかあの手この手を駆使して、ようやく出てもらえることになったんです。校了ギリギリ、まさに印刷所でゲラを刷り始める数日前に取材に行って、何とか特集につっこむことができたんです。

「記事の質はアポ取りで決まる」というのを実感した瞬間でしたね。その時の特集は、他媒体に孫社長が登場していなかったこともあって、年間を通じて最も読まれた特集となりました。

 

Q蛯谷さんは広報についてどういう印象を持っていますか?


最初に飲みに行った広報担当者の人は覚えています。メーカーの広報担当者が「今日飲みに行きましょう!」と誘ってくれたんです。初めてのことだったので今でも覚えています。取材にも行きましたが、何を取材したか正直覚えていない(笑)。いつも飲みの場で御一緒することのほうが多かったです。僕は人見知りなので(笑)、あまり広報としてお付き合いする人はいないんですよ。記者対広報という関係で付き合う人はあまり関係が長続きしないんじゃないでしょうか。普通の接触といえば、アポ入れと取材時の同席くらいですから。だから、広報だから飲むという訳でもないですね。

人間関係を作るってことはとても無駄が多いことだと思うんです。その日あったことについてリターンを求めても到底ペイしません。けれど、日頃から無駄なことをどれだけ積み重ねられるかが、いざというときに役立ちます。取材もそうですが、有事の時から何か動き出しても遅いんです。平時の普段から別に用が無くても会って信頼関係を結んでいれば、いざという時に助かる。まあ、意図的にしているわけではないんですけど。

だから時間が許す限り、飲みにいきます。時々、広報担当者の人と飲もうとすると「今日はネタが何もないんですが・・・」という人がいますが、僕の場合は別に期待もしていません。広報のプロの人であればあるほど、過剰に記者に対してネタを仕込まなければと思っている人が多いかもしれませんが、記者も千差万別。何か期待して飲みの場を共にすると思っている記者は意外に少ない気がしています。

今でも継続的に飲みに出かける相手はだいたい僕から声をかけている人ですね。1回だけ飲んだことのある人は無数にいるのですが、ずっと継続的にという人は案外少ない。即物的な効果をあまり期待していないというか・・・その辺も感覚的には記者じゃないのかもしれませんね。同じ空間を共有していることが重要であって、その積み重ねこそが大事なのではと思っています。

広報のプロになろうと思うのであれば、あまり焦らない方がいいと思います。もともと知名度が高い会社であれば自ら動かなくても取材依頼が舞い込んでくると思いますが、そうでない会社の広報は、まず個人として目立たなくちゃいけない。その上で会社のことを伝えるというステップでしょうか。即物的な効果を期待して無理な話題作りをする会社も多いですが、正直持続させるのは難しいと思います。今は、ソーシャルメディアが沢山あるので、もし見られ続けるコンテンツを試してみたかったら、一度、自分でFacebookのファンページを作ってみるといいかも知れません。何もない状態から作って、どうやってファンを増やしていくかを考える作業は、みんなが注目する企業を広報していくことに近いと思います。

机上で勉強したり、講習会に何度も通うのも大事ですが、自分でやってみるのはもっと大事。広報部のソーシャルメディア活用だって、とにかくまず自分で作ってやってみることだと思います。そっちのほうが、よほど経験になりますよね。

 

(取材日:2013年1月24日)

蛯谷 敏氏

媒体名
日経ビジネスDigital

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