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「手に職」と呼べるものが欲しかったんだと思います

『日経WOMAN』、『日経TRENDY』、『日経ビジネス』の編集を経て、現在は再び「日経WOMAN」編集部に。「人間くささが好き」。取材先と本音で向き合い、人間味をストーリーで伝える瀬戸久美子さんにお話を伺いました。

Qまずは記者になられたきっかけについて教えてください。


ものづくりに興味がありまして、それも材料集めから加工まで全部やりたいという欲張りな性格でした。なので、就職活動の時には、全ての過程に関われそうな「パン屋さん」か「記者」の二択で迷っていました(笑)。
結局記者を選んだのには二つ理由があります。一つは大学3年生の時に留学してジャーナリズムを専攻した時に手応えを感じられたということ。もう一つは、若いうちに色々な方にお会いして、自分の知らない世界や価値観に触れたいと思ったことです。その中で、自分なりの価値観を持てるようになりたいと考えていました。今思えば「あまちゃん」ですよね(笑)。
とは言え、就職活動は大変でした。新聞関係はことごとく落ちましたし、テレビもダメでした。最終的に日経ホーム出版社(現日経BP社)に内定をいただきまして、それから記者として働いています。

 

Qものづくり、その過程に全て関わるという点にこだわられる理由は?


「手に職」と呼べるものが欲しかったんだと思います。
大学3年生の時に、父親が長年勤めていた会社が倒産しまして、色々と考えさせられました。「大企業に勤めているから安心」という気持ちはまったくなくなったし、組織を離れたら何もできない人にはなりたくなかった。
一方で、手に職を持つ母はいつでもコツコツ、マイペースに仕事を続けていて。明確な強みがあって、そのスキルで色々な場所で活躍できるのは羨ましいなあ、素敵だなあと子どもながらに思っていました。
でも、まずはきちんと就職してゼロから勉強しようと思って今の会社に入ったら、組織にいるからこそできることがたくさんあって、面白くなって。人や環境にも恵まれて、気がついたら13年が過ぎていました。

 

Q入社後はどのような雑誌の記者をされてきたのでしょうか?


最初は、『日経ウーマン』でした。二年目からは『日経トレンディ』になりました。トレンディでは、日中は取材、夜に会社に戻ってから家電などの使い勝手を実験するという日々を送っていました。あの頃は、完全に不眠症でしたね(苦笑)。メディアにいる人間として、責任を持って記事を書かなければならないという緊張感に押しつぶされそうになることも、たくさんありました。
そんな生活を2年半近く続けた後、新規媒体開発として女性向けのライフスタイル系のカルチャー誌に携わりました。再び、ゼロからのスタートでした。残念ながらトライアル段階で立ち消えになって、今や幻の媒体になってしまったのですが、外部のデザイナーさんなどとああだこうだ言いながら誌面を作っていくのは、とても面白かったですね。
その後、再び『日経ウーマン』に戻って5年ほど過ごし、次の3年半は『日経ビジネス』へ。まったく知らなかった週刊誌の世界を経験させてもらって、これまでとは違う雑誌作りの面白さを味わうことができました。
そして、今年の4月から3度目の「日経ウーマン」勤務です。

 

Qものづくりへの興味から始まって記者になり、多くの媒体で活躍されてきた瀬戸さんが、記事を書く上で心がけていることはありますか?


どの媒体かに限らず、ニュースや大企業の動きをただ事実として書くのではなく、この出来事は、どんな人の、どんな暮らしに影響してくるのだろうといった具合に、ミクロな目線に落とし込んで考えるクセがあります。
どんなジャンルの企画でも、自分で書く記事は、できるだけわかりやすく伝えたいというのを心がけています。
また、人物インタビューの際には、相手がどんなに立派な肩書きや経験をお持ちの人であっても、読者も共感できるような「素」の部分を積極的に引き出し、伝えていきたいなと思っています。
どんなに凄いと思われている方だって、人は人。自分とはかけ離れた場所にいるように思える人でも、ごく普通に悩みを持っている。苦労だってある。凄いと言われる人を、単に「凄い人です」とは書きたくない。私がひねくれてるせいかもしれませんが(笑)、そんなことをいつも考えながら取材をしている気がします。

 

Q今までを振り返られて、一番印象に残っている記事はありますか?


いろいろあって難しいのですが、日経ビジネスではやっぱり「旗手たちのアリア」で書いた4人の経営者の物語ですね。インタビューも周辺取材もすごく面白いだけに、その面白さを伝え切れるほどの筆力がないことに、いつも落ち込んでいましたが…。
でも、やっぱり、人の生き方を追いかけるのが好きなんですね。一番エネルギーが湧きますし、今までの中で一番、書き上げるのに時間がかかったように思います。
取材させていただいたご本人がおっしゃったことをそのまま書くのではなく、ご本人でさえご自身のことを再認識できるような記事になるよう意識しています。その分、緊張感は高まります。時には、ご本人が書いてほしくない、聞かれたくないところに触れざるを得ないこともありますから。

 

Q最後に、長くお付き合いしている広報の方はいますか? もしくは長くお付き合いしたいと思う広報の人物像を挙げるとしたらどんな方でしょうか?


表面的ではない方、人間的な付き合いができる方でしょうか。長年付き合っている広報さんほど、仕事は仕事できちんと進めつつも、人対人としても向き合ってくださっている。信頼関係を大事にしようとの考え方が根底にある広報さんには弱いですね。
一方で、自分の利害ばかりを考えて広報活動をするタイプの方は苦手です。私たちは広報誌を作っているわけではないので、要求ばかり強過ぎてギブ&テイクが成り立たない方とは、仕事をするのは難しいと思います。

記事を書いている時は、広報の方とぶつかることが多々あります。でも、いざ媒体を異動する段階になると、厳しい局面でも真正面から自分の思いや意見を交わし合った広報さんほど、温かい言葉をかけてくださることが多くて。記者と広報って、近すぎても遠すぎてもいけない。そう思いつつも、やはり人と人として向き合える瞬間って、いいなぁと思いますね。

 

(取材日:2013年1月24日)

瀬戸 久美子氏

媒体名
日経WOMAN

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