金融機関跡地にパクチー銀行をつくる

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内房線・保田駅目の前の金融機関跡地に、「パクチー銀行」をつくります。町の特徴あるランドマークを目指し、種や食について考えるきっかけともします。クラウドファンディングも実施しています。

鋸南町の入口に特徴あるインスタレーションアートを

コワーキングとアーティストインレジデンスなどの融合施設「鋸南エアルポルト」を運営する株式会社旅と平和（千葉県安房郡鋸南町・代表取締役：佐谷恭）は、11月20日ごろ、金融機関が入居していた建物に「パクチー銀行」のリアル店舗をつくります。

都内を中心に空間づくりを手がける株式会社グリットフレーム（東京都港区・代表取締役：田中稔郎）と共同事業として行います。鋸南町にあふれるSOTOCHIKU素材（後述）を活用し、建物全体をインスタレーションアートとする予定。内外装ともに常に未完成で、時間を追うごとに変化していきます。

場所は、鋸南町の主要駅の１つ・保田駅の目の前。商店街の入口であり、外国人が訪れたい観光地ナンバー２に選ばれている鋸山を訪ねる登山客の多くが利用するところです。町内外の人がよく通る場所で、町のランドマークとなることを目指します。

パクチー銀行とは

パクチー銀行は2007年1月1日に設立されたシードバンクです。2005年春より日本パクチー狂会・会長としてパクチー普及活動に勤しみ始めた佐谷恭は、活動の一環で種を配る活動を始めました。

2006年のノーベル平和賞を受賞したグラミン銀行のムハマド・ユヌス氏のスピーチを聞いて感銘を受け、「これを超える銀行を作りたい」と思い、担保も信用もいらない融資の仕組みを考え始めました。種の配布活動を銀行になぞらえて「パクチー銀行」を設立。融資を受けた人が、それ以前のように単に種を渡されるだけよりも、栽培や情報発信に積極的となりました。（パクチー銀行において、種の返済の義務はありません）

その後、佐谷恭は株式会社旅と平和を設立（2007年）。最初の事業として世界初のパクチー料理専門店「パクチーハウス東京」を設立します。ここを同時にパクチー銀行・本店とし、毎年3000人以上に種を融資しつづけてきました。新型コロナウイルス蔓延後は、「パクチー育てる」89日間国民運動を企画し、より幅広い層にパクチーを届けています。

保田駅前にできるパクチー銀行・新本店では、引き続き種の融資業務を行うとともに、パクチー・オーナー制度を展開し、より気軽にパクチーを栽培できる環境を整えます。

カフェ：町民と来訪者の交流拠点

パクチー銀行・新本店は、付近に住む住民と、鋸山や水仙ロードなど鋸南町の名勝への訪問者の交流拠点として、通常時はカフェとして機能させます。また、SOTOCHIKU素材を使ったオリジナル小物や文房具も販売。「ここにしかない」で溢れた空間となります。

SOTOCHIKUとは、社会に散らばる古いものを新しい空間の素材として活かすこと。風雨にさらされた壁など、一見捨てるしかないと思われるようなものに価値を吹き込む手法で、グリッドフレームがネーミングを考案し普及活動を進めています。鋸南町は課題先進地（過疎地）と言われ、空き家や2019年の大型台風で崩壊した建物が増えていますが、それらを資源として活用することで、これまで価値がないと思われていたものを「宝」に変換することができます。グリッドフレームはパクチー銀行・新本店に鋸南のSOTOCHIKU素材を使うほか、同社が手がける各地の物件で鋸南の素材を活用していきます。

人に会うこと、そして日々変化する空間を楽しむことで、「また来たくなる鋸南町」という印象を持ってもらいたいと思っています。観光で訪れて、テレワークをしに来て、人に会いに来て、移住や２拠点居住に興味のある人を増やします。