連合調べ ハラスメントを受けた人の54%が「仕事のやる気喪失」、22%は「心身不調」、19%が「退職・転職」

日本労働組合総連合会(略称:連合、所在地:東京都千代田区、会長:神津 里季生)は、2019年6月に開催予定の国際労働機関(ILO)の総会において、「仕事の世界における暴力とハラスメント」に関する条約案が採択されるよう、日本政府に条約案の支持と採択後の批准を求めています。 この度、職場や就職活動におけるハラスメントの実態を把握し、条約の必要性をアピールするため、「仕事の世界におけるハラスメントに関する実態調査2019」を2019年5月8日~5月9日の2日間でインターネットリサーチにより実施し、全国の20歳~59歳の有職男女(自ら起業した者や経営者、自営業者などを除く)1,000名の有効サンプルを集計しました。(調査協力機関:ネットエイジア株式会社)

[調査概要]

連合は、職場におけるあらゆるハラスメントに対応できるように、「職場のいじめ・嫌がらせ」の行為類型について、下記の通り包括的に例示した上で対策を講じるべきだと考えています。

今回の調査では、下記の8類型に関する職場のハラスメントとともに、就職活動時のセクシュアル・ハラスメントの実態についても調査いたしました。

 

① 暴行・傷害などの身体的な攻撃

② 脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言などの精神的な攻撃

③ 隔離・仲間外し・無視などの人間関係からの切り離し

④ 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害などの過大な要求

⑤ 業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないことなどの過小な要求

⑥ 私的なことに過度に立ち入ることなどの個の侵害

⑦ セクシュアル・ハラスメント

⑧ その他ハラスメント(その他のいじめ・嫌がらせに該当する行為)

 

[調査結果]

≪職場におけるハラスメント≫

◆「職場でハラスメントを受けたことがある」全体の38%

 

全国の20歳~59歳の有職者(※)1,000名(全回答者)に、職場で受けたことがあるハラスメントを聞きました。

 

※ 民間企業や組織等の職場における労働者の実態を把握することが目的のため、自ら起業した者や自営業者、会社役員・経営者は除いた(ただし、自営の家族従業者は対象)。

 

まず、職場でハラスメントを受けたことがある人の割合を算出すると37.5%でした。職場でハラスメントの被害を受けている人が決して少なくない実態が明らかとなりました。

 

◆受けたハラスメントの行為類型 「脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言などの精神的な攻撃」が41%

◆職場でハラスメントを受けた女性の38%がセクハラ被害者

 

次に、職場でハラスメントを受けたことがある人(375名)が、どのような行為を受けたのかをみると、「脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言などの精神的な攻撃」が41.1%、「業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害などの過大な要求」が25.9%、「私的なことに過度に立ち入ることなどの個の侵害」が22.7%になるなど、パワーハラスメントに該当しうる行為を受けたという人が散見されました。仕事上の優位な立場を利用した嫌がらせにより、精神的な苦痛を感じたという人が多いようです。また、「セクシュアル・ハラスメント」は26.7%でした。

男女別にみると、「暴行・傷害などの身体的な攻撃」(男性17.0%、女性5.0%)や「業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害などの過大な要求」(男性30.7%、女性21.6%)といった行為では男性のほうが高くなり、「私的なことに過度に立ち入ることなどの個の侵害」(男性18.2%、女性26.6%)は女性のほうが高くなりました。また、「セクシュアル・ハラスメント」(男性14.2%、女性37.7%)も女性のほうが高く、女性では約4割でした。

 

◆上司からのハラスメントで多いのは「脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言などの精神的な攻撃」

同僚からハラスメントで多いのは「隔離・仲間外し・無視などの人間関係からの切り離し」

◆取引先からハラスメントで多いのは「セクシュアル・ハラスメント」

 

また、行為者ごとに各ハラスメントの発生割合を算出したところ、≪上司≫からのハラスメントでは「精神的な攻撃」(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言などの精神的な攻撃)が最も高く21.7%となり、≪同僚≫からのハラスメントでは「人間関係からの切り離し」(隔離・仲間外し・無視などの人間関係からの切り離し)が19.4%で最も高くなりました。

また、≪取引先≫からのハラスメントでは「セクシュアル・ハラスメント」が28.1%、≪顧客(消費者)≫からのハラスメントでは「精神的な攻撃」(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言などの精神的な攻撃)が23.3%で最も高くなりました。

 

◆ハラスメントを受けた人の44%が「誰にも相談しなかった」 最多の理由「相談しても無駄だと思ったから」

 

次に、職場でハラスメントを受けたことがある人(375名)に、ハラスメントを受けたとき、誰かに相談したか聞いたところ、「相談した」は56.0%、「誰にも相談しなかった」は44.0%となりました。

 

また、職場でハラスメントを受けたときに相談した相手を聞いたところ、相談相手としては、「職場の上司・先輩」(23.7%)が最も多く、次いで、「職場の同僚」(18.1%)、「家族」(13.1%)となりました。そのほか、「職場の相談窓口」(2.7%)や「労働組合」(2.4%)、「労働局(都道府県労働局)」(2.1%)といった回答も一定数みられました。

男女別にみると、「家族」は男性5.7%、女性19.6%と、女性のほうが家族に相談している結果となりました。また、世代別にみると、20代では「職場の上司・先輩」が36.4%と他の世代より高くなりました。

 

職場でハラスメントを受けたことがある人の半数近くが、「誰にも相談しなかった」と回答しましたが、どのような理由からなのでしょうか。

誰にも相談しなかった人(165名)に、その理由を聞いたところ、「相談しても無駄だと思ったから」(67.3%)が最も高く、「相談するとまた不快な思いをすると思ったから」(20.6%)と「誰に相談してよいのかわからなかったから」(17.0%)が続きました。相談を無意味に感じ、相談以前に諦めてしまっている人が多いようです。

 

◆ハラスメントを受けた人の54%が「仕事のやる気喪失」、22%は「心身不調」、19%が「退職・転職」

◆ハラスメントを受けた20代の3割近くが離職を選択

 

続いて、職場でハラスメントを受けたことがある人(375名)に、ハラスメントを受けたことで、どのような生活上の変化があったか聞いたところ、「仕事のやる気がなくなった」が53.6%で最も高く、次いで、「心身に不調をきたした」が22.4%、「仕事をやめた・変えた」が18.9%となりました。ハラスメントは仕事のモチベーションを奪ってしまうようです。

男女別にみると、「仕事のミスやトラブルが多くなった」(男性24.4%、女性10.1%)は男性のほうが高く、4人に1人が生活上の変化として挙げました。

また、世代別にみると、「仕事をやめた・変えた」は20代では27.3%と、他の世代と比べて高くなり、特に20代女性では33.3%と3人に1人の割合となりました。ハラスメントが若手の離職を招いている実態が明らかになりました。

 

≪就職活動におけるセクシュアル・ハラスメント≫

◆「就活中にセクシュアル・ハラスメントを受けたことがある」20代男性の21%

◆就活中に女性が受けたセクハラ 「性的冗談」「執拗な誘い」「身体への接触」などが多い傾向

◆就活中にセクハラを受けた人の38%が「就活のやる気喪失」、14%は「人と会うのが怖くなった」と回答

 

就職活動を行った人(835名)に、就職活動中にセクシュアル・ハラスメントを受けたことがあるか聞いたところ、「受けたことがある」は10.5%、「受けたことはない」は89.5%でした。

男女・世代別にみると、セクシュアル・ハラスメントを受けたことがある人の割合は20代男性(21.1%)が最も高く、5人に1人の割合となりました。

 

次に、就職活動中にセクシュアル・ハラスメントを受けたことがある人(88名)に、その内容を聞いたところ、「性的な冗談やからかい」(39.8%)が最も高く、次いで、「性的な事実関係(性体験など)の質問」(23.9%)、「食事やデートへの執拗な誘い」(20.5%)となりました。採用面接やOB訪問などにおいて、性的なことを話題にされたというケースが少なくないようです。

男女別にみると、女性では「性的な冗談やからかい」(36.6%)が最も高く、次いで、「食事やデートへの執拗な誘い」(29.3%)、「必要ない身体への接触」(22.0%)となりました。個人的な関係を持とうと繰り返し誘ってくる行為や、立場を利用して身体に触れてくる行為によって、就活中の女性が悩まされているという実態が明らかになりました。

 

では、就職活動中のセクシュアル・ハラスメントは誰から受けたのでしょうか。

受けた行為それぞれについて、誰から受けたのか、行為者を聞いたところ、≪性的な冗談やからかい≫といったハラスメントについては「人事担当者」(35人中12人が回答)から受けたとの回答が目立ちました。

また、≪食事やデートへの執拗な誘い≫や≪性的な関係の強要≫といったハラスメントについては「OB・OG」(食事やデートへの執拗な誘いでは18人中7人が回答、性的な関係の強要では6人中4人が回答)から受けたとの回答が目立ちました。

 

また、セクシュアル・ハラスメントを受けたことで、どのような生活上の変化があったか聞いたところ、「就職活動のやる気がなくなった」(37.5%)が最も高く、「就職活動を短期間休んだ」と「就職活動を長期間休んだ」、「人と会うのが怖くなった」(いずれも13.6%)が続きました。セクシュアル・ハラスメントが就職活動でのモチベーションや就職活動自体の継続意欲に影響を及ぼしていることがわかりました。

 

[回答者の基本的属性]

1.性別

全回答者(1,000名)に、自認している性別(自分が認識している性別)を聞いたところ、「男性」は49.7%、「女性」は49.9%、「その他」は0.4%でした。また、出生時の性別と自認している性別が一致していない人の割合を算出すると、1.3%(「出生時の性別が男性で自認している性別が女性」0.5%、「出生時の性別が女性で自認している性別が男性」0.4%、「自認している性別が『その他』の人」0.4%の合計)となりました。(※1)

男女別(※2)にみると、男性の回答では、「男性」98.6%、「女性」1.0%、「その他」0.4%となり、出生時の性別と自認している性別が一致していない人は1.4%(「女性」と「その他」の合計)、女性の回答では、「男性」0.8%、「女性」98.8%、「その他」0.4%となり、出生時の性別と自認している性別が一致していない人は1.2%(「男性」と「その他」の合計)でした。

 

※1 連合「ハラスメントと暴力に関する実態調査」(2017年11月)では、出生時の性別と自認している性別が一致していない人の割合は全体の2.0%でした。

 

※2 出生時の性別で分類。以降同様。

 

2.職業

全回答者(1,000名)に、職業を聞いたところ、「正社員・正職員(民間企業、団体等)」が最も多く64.0%、次いで、「パートタイマー」が17.2%となりました。(※3)

男女別にみると、男性では「正社員・正職員(民間企業、団体等)」(77.8%)が突出して高くなっているのに対し、女性では「正社員・正職員(民間企業、団体等)」が50.2%、「パートタイマー」が30.6%でした。

 

※3 民間企業や組織等の職場における労働者の実態を把握することが目的のため、自ら起業した者や自営業者、会社役員・経営者は除いています。



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企業情報

企業名 ネットエイジア株式会社
代表者名 三清慎一郎
業種 ネットサービス

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