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出産後の妻の変化に気づかない夫、セックスを重視しない妻──配偶者に恋愛感情がなくなった理由を調査(ロマンチックラブイデオロギー調査 第5報)

前回の調査で、恋愛結婚した後、約半数は10年以内に配偶者への恋愛感情が冷めることが分かりました。今回の調査では「恋愛感情が冷めた原因」を探ります。その結果、恋愛感情が冷める夫婦には大きなターニングポイントがあることが判明しました。

結婚生活に不満を抱く人は多いですが、その原因の1つに「恋愛結婚の矛盾」があるでしょう。

 

長い間、「最愛のパートナーと結婚し、ずっと愛を保ち続けることが理想の結婚」という意識が社会に浸透しています。しかしそれだと、恋愛感情が醒めてしまったとき、「この結婚は失敗だった?」と思わされることになります。家族愛に昇華すればよいでしょうが、それが難しいカップルもあるでしょう。

 

「恋愛して結婚し、ずっとパートナーを愛し続けるべき」という結婚観・夫婦観を、「ロマンチックラブイデオロギー」と呼びます。研究によると、恋愛と結婚を結び付ける考え方が生まれたのは19世紀くらい、日本で一般的になったのは1960年代くらいからです。それまでの夫婦は共同生活者という側面が強いものでした。

 

現在、離婚が当たり前になり、婚姻率も低下しています。また、夫婦関係や家族関係も多様化が進む状況です。日本では夫婦間のセックスレスも深刻で、様々な調査でセックスレス夫婦が5割を超えると推計されています。これまでの結婚のカタチが揺らぎをみせているのです。

 

そこで、既婚者マッチングコミュニティを運営するレゾンデートル株式会社(東京・新宿区)では、結婚のカタチ、既婚者の人生の在り方を改めて考えるヒントとして、ロマンチックイデオロギーを切り口にした「結婚後の恋愛感情」に関するアンケート調査を実施しました。

 

第5回のテーマは「恋愛結婚後、配偶者への恋愛感情がなくなった理由」です。第4回の調査では、恋愛結婚でも10年以内にパートナーへの恋愛感情がなくなる夫婦が約半数との結果が出ました。では、その理由は何なのでしょうか。今回の調査で深掘りします。

 

(参考文献)

※1 牛窪恵:『恋愛結婚の終焉』(光文社新書、2023年)

※2 谷本奈穂・渡邉大輔「ロマンティック・ラブ・イデオロギー再考―恋愛研究の視点から」、『理論と方法』31巻1号(数理社会学会、2016年)

※3 大塚明子「近代家族とロマンティック ・ラブ ・イデオロギーの2類型」『文教大学女子短期大学部研究紀要』第45集(2002年)

※4 国立社会保障・人口問題研究所『第16回出生動向基本調査』(2023年)

※5 レゾンデートル株式会社『夫婦のセックスレスに関する実態調査』(2023年)

※6 木村絵里子「1980 年代の「恋愛至上主義」」、高橋幸・永田夏来編『恋愛社会学: 多様化する親密な関係に接近する』(ナカニシヤ書店、2024年)

 

 

<調査概要>

・調査タイトル:ロマンチックラブイデオロギー調査 第5報

・調査期間:2024年12月19日~30日、2025年6月23日~7月1日

・調査対象者:恋愛結婚後、現在は「配偶者に恋愛感情がない」と回答した男女274人

       (20~59歳、男性132人・女性142人)

・調査方法:インターネット(セルフ型アンケートツールFreeasyを利用)

・エリア:全国

・調査機関:レゾンデートル株式会社(https://raisondetre-inc.co.jp/

・調査報告の掲載:既婚者の男女関係に関する調査 ※検索ください

・本報告の発表日:2025年7月8日

 

<調査対象者について>

下表の通り男女、各年代ともおおむね均等なサンプルになっています。

  男性(132人) 女性(142人)
20代 29人(22.0%) 24人(16.9%)
30代 38人(28.8%) 43人(30.3%)
40代 33人(25.0%) 35人(24.6%)
50代 32人(24.2%) 40人(28.2%)

回答者は全都道府県におおむね人口と相関する形で分布しており地域的な偏りはありません。

 

1)妻/夫への恋愛感情がなくなった理由は?

 

前回「恋愛感情と結婚に関する調査(ロマンチックラブイデオロギー調査)第4報」(レゾンデートル調べ)で、恋愛結婚した夫婦に「妻/夫への恋愛感情がどのくらい続いたか」を尋ねたところ、意外なことに男性45.2%、女性40.3%が「今も恋愛感情がある」と回答しました。予想以上に結婚後も恋愛感情が持続しているカップルが多いことが判明しました。

 

 

一方で、男性51.5%、女性54.6%が現在はパートナーへの恋愛感情がなくなっていると回答しています。恋愛感情がなくなった理由は何なのでしょうか。尋ねてみると、次の結果となりました。

 

 

複数回答のため、数字は「その理由を選んだ対象者の割合」と考えてください。最も多い「毎日一緒にいるから」、3番目に多い「生活を共にするから」は、夫婦のマンネリ化をあらわす回答でしょう。

 

注目すべきは2番目の「出産・育児」で、相手への恋愛感情がなくなる大きなきっかけになっている様子です。「夫が育児に協力してくれず好きでなくなった」「妻が出産後、子どもばかりに目が向き自分に興味を示してくれない」とはよく聞く話です。

 

4番目の「セックスレス」は、夫婦の約半数がセックスレスになっていると指摘されているなかでは、予想よりも低い数字といえるかもしれません。また、性格の不一致は離婚の大きな理由ですが、恋愛感情がなくなる理由としてはあまり大きくありませんでした。

 

2)男性は刺激とセックス、女性は出産・育児が重要?

 

パートナーへの恋愛感情がなくなった理由を男女別にみると、興味深い違いが判明しました。次のグラフをご覧ください。

 

 

2番目の「出産・育児」と4番目の「セックスレスになったから」の割合に、男女に大きな差がみられたのです。女性の42.3%が「出産・育児」を夫への恋愛感情がなくなった理由にあげているのに対し、男性は26.5%と15ポイント以上の開きがあります。

 

女性は出産後、子育てをするなかで夫への気持ちが変化しているのに、男性がそれに気づいていないことを示すでしょう。女性の感情変化の理由は、母親になったことによる心理的な変化、夫の協力の乏しさに対する不満などが考えられます。

 

4番目の「セックスレスになったから」では、逆に男性が女性よりも15ポイント以上高い結果となっています。セックスレスによって夫の気持ちが変化していることを女性が気づいていない状態です。男性が女性よりもセックスを重視しているあらわれでもあります。1番目の「毎日一緒にいるから」で男性の割合が高いのも、パートナーへの性的魅力の低下が関係しているかもしれません。

 

続いて、理由別に男女・年齢別の回答割合を並べたのが次のグラフです。

 

 

マンネリ化を理由にあげる30代男性が多いこと、出産・育児を理由にあげる30代女性が多いことがわかり、両者の不一致が浮き彫りになります。また、セックスレスを理由にあげる層は、40代男性と50代男性、20代女性という結果も興味深いものです。男性の場合は性的な欲求不満、女性の場合は愛情不足が原因となっていると想像できますが、いかがでしょうか。

 

3)結婚と恋愛感情について矛盾を感じることはありますか?

 

恋愛結婚でなかった人も含んだ全対象者(559人)に、結婚と恋愛感情について矛盾を感じることがあるかを自由記述で回答してもらったところ、全国・様々な年代の方から次の回答を得ることができました(回答順)。興味深い回答が並びます。

 

●結婚と恋愛感情について矛盾を感じることはありますか?(自由記述)

男性 43歳 千葉県 気持ちは制度で縛られない。
女性 49歳 群馬県 結婚しても恋愛感情が続くことが理想ではあるけど、子供がうまれて家族という形で成立するならいい。恋愛感情はなくなっても浮気や不倫は嫌。
女性 36歳 大阪府 恋愛としての愛情と家族としての愛情は違うので恋愛は別にしてもいいぐらいの余裕のある制度が欲しい。
男性 49歳 高知県 人間の本能的な欲求と合致していないことが問題といえば問題。
男性 49歳 大阪府 結婚後の恋愛は自由だと思う
男性 52歳 長崎県 自由恋愛と結婚の価値観が両立しない。
女性 54歳 北海道 恋愛と日々の生活の矛盾を感じます。
女性 45歳 愛知県 結婚と恋愛の関係という面では特に問題点を感じていない。
男性 58歳 滋賀県 婚外恋愛を、不倫ではなく、正式にみとめてほしい。
男性 39歳 神奈川県 もっと夫婦の時間を作った方が良いと思う。
男性 49歳 愛知県 マンネリしてしまい刺激がなくなる。
女性 39歳 福岡県 特になし。健全でいることが正しいと思う。もし、婚外恋愛したいなら結婚するべきではないと思う。
男性 35歳 東京都 人間の本能の社会規範の結婚制度として規制しているため矛盾が生じる。
女性 29歳 愛知県 とくにない。恋愛をもうしなくていいことが目的なので満足している。
男性 24歳 徳島県 恋愛自由にするべきだと思う。
女性 22歳 岩手県 恋愛だけでいいみたいな人が多い。結婚は家族ぐるみだからめんどくさいと思うのでは。

 

 

4)回答者の属性

 

今回のアンケート調査は、「恋愛感情と結婚に関する調査(ロマンチックラブイデオロギー調査)第1報」(レゾンデートル調べ)の回答者から男女比や年代が均等になるように抽出した既婚者と独身者を対象に行いました。パートナーへの恋愛感情の持続期間を尋ねる調査は、抽出した既婚者のうち「恋愛結婚だった」と回答した人に行いました。以下、回答者の属性に関するグラフを示します。

 

 

 

 

5) 今回のまとめと今後の展開

 

今回の調査で、恋愛結婚をしたのにパートナーへの恋愛感情を失ってしまった人の理由が判明しました。「毎日一緒にいるから」(42.7%)、「出産・育児」(34.7%)、「生活を共にするから」(25.2%)、「セックスレスになったから」(21.5%)、「性格や考え方が合わないから」(19.0%)などが大きな理由でした。このうち、「出産・育児」と「セックスレス」については、男女の大きな認識の違いが浮き彫りになったでしょう。

 

今後は、「結婚への満足度」「配偶者に愛があるか」「パートナーから愛を感じるか」などを調査していきます。ロマンチックラブイデオロギーが浸透したなかで結婚したカップルが、自分の結婚と夫婦間の愛情をどのように認識しているのかを分析していきます。

 

 

◎調査の目的

私どもレゾンデートル株式会社(東京都新宿区)は、「結婚後の新たな生き方」を提案する既婚者向けメディアやネットサービスの展開を行うシステム開発企業です。現代の夫婦関係のあり方や多様性を把握し、今後のサービス開発に向けた市場動向を探るため、今回の調査を企画しました。

 

◎調査内容・本リリースに関するお問い合わせ

今回の調査内容やデータの詳細に関するお問い合わせ、報道関係の皆様の取材依頼やお問い合わせは下記までお願い申し上げます。

 

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レゾンデートル株式会社(https://raisondetre-inc.co.jp/

〒160-0022 東京都新宿区新宿4-3-15 レイフラット新宿B棟3F

問い合わせアドレス : urano@raisondetre-inc.co.jp

担当:浦野圭介



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企業情報

企業名 レゾンデートル株式会社
代表者名 磯野妙子
業種 ネットサービス

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