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ウズベキスタン大統領ミルジヨエフ氏、76回国連総会で演説。「環境問題」に対する、新たな取り組みを提案

ウズベキスタンのミルジヨエフ大統領は21日、国連総会の演説で中央アジア全体における環境問題と今後の計画を発表しました。気候変動が世界で深刻な問題となっている今、環境問題や水資源の問題に対し、ウズベキスタン政府が長期的に進める政策は、中央アジア全体における環境問題の改善を促進する大きな要素となります。今回国連において、中央アジア諸国との取り組み強化を表明することで、今後の環境問題に対する一層の強化を表明することとなりました。                                      写真:演説するミルジヨエフ・ウズベキスタン共和国大統領 (2021年9月21日国連総会)

以下は大統領が発表した、ウズベキスタンを取り巻く環境問題の現状と取り組み

 

深刻な環境破壊の影響を受けるウズベキスタン

他の中央アジア諸国と同様、ウズベキスタンの環境破壊は大きな問題となっています。

世界銀行の調査では現在も気温上昇が続いており、21世紀末までに世界の平均気温が4度上昇した場合、中央アジアでは7度上昇し、干ばつや湖の決壊、地滑り、土石流、雪崩、砂嵐などがより頻繁に発生する危険にさらされています。

 

気候変動による被害が中央アジアの継続的な発展を脅かしていると、ウズベキスタンのミルジヨエフ大統領は懸念を示しました。

 

ウズベキスタンで広がる深刻な水不足問題

人口の年々増加も関係し、人口一人当たりが利用できる水の量はこの15年で約半分に減少(3048m3→1589m3)。2015年には30億m3以上もの水道料が不足する事態に。2030年までには70億m3、2050年までには150億m3が不足すると予測されています。

中央アジアの水不足により経済的な影響も懸念されており、地域全体のGDPが11%減少してしまうという予測も発表されています。

 

2016年にミルジヨエフ氏が大統領に就任以降、気候の変動はウズベキスタンが抱える重要課題として掲げ、国内・国外政策の両方で、被害を減少させるための環境政策の改革が進められてきました。

 

就任後、4年間で打ち出された政策

「2030年までの環境保全構想」

「2019年から2030年までのグリーン経済移行戦略」

「2019年から2028年までの一般ごみ取り扱い戦略」

「2020年から2030年までの水管理推進構想」

「2020年から2030年までの電力確保構想」

 

政府機関の改革も同時におこなわれ、農業水管理省は新たに農業省と水管理省の2つの省と、国家環境委員会、気象庁に再編。また、新たに国家林業委員会が設立されました。近年では「ウズベキスタン環境運動」という市民団体が「環境党」という政党となり、環境問題が政治レベルで討論されるように変化を遂げました。

 

また、ウズベキスタンでは、再生可能エネルギーに関する政策も新たに打ち出し、再生可能エネルギーを普及させる取り組みが進められています。2030年までに電力効率を2倍にし、再生可能エネルギーのシェアを25%まで引き上げ、炭素集約度を低減させていくための計画が立てられています。

建設部門でも最新の装置や基準を導入し、高効率の設備の設置に対する助成金の支払も積極的に行われています。

 

アラル海での被害を拡大させないために

カザフスタンとの国境をまたぐかつては広大な湖であったアラル海では、約200万haにわたり砂漠化と土壌の悪化が進んでいます。アラル海の枯渇による被害を最小限に抑えることが急務の課題となっています。

 

最近では、露出したアラル海の湖底に木の植樹を進めており(これまでに150万haに植樹済み)、緑で覆われた土地の範囲が拡大しつつあります。2018年には、大統領直轄の「アラル海沿岸地域国際イノベーションセンター」が設立され、2020年から2023年までを目標とした「カラカルパクスタン共和国の包括的社会・経済発展計画」を打ち出しています。

 

そして今後も引き続き、アラル海の枯渇による被害と問題解決のために、中央アジア全体としての取り組みとして積極的に世界へ発信を行っています。

2018年には、10年にわたり開催が見送られていた「アラル海救済国際基金」の会議をトルクメニスタンで開催。その年、ウズベキスタン大統領の提案で「アラル海地域マルチパートナー人間の安全保障基金」が設立され、2021年5月18日には、国連が全会一致でアラル海沿岸地域を環境イノベーションと技術ゾーンとする特別決議が採択されました。日本を含む60カ国以上がこの決議に賛成を表明する結果となりました。

 

ウズベキスタンの国際環境政策への参加

ウズベキスタンは環境に関わる国際的な条約や議定書などに批准しており、地球規模の環境政策にも積極的に参加しています。2017年にはパリ協定に参加しており、2030年までに温室効果ガスの排出量を2010年比で10%削減することを目標に掲げています。この目標を達成するため、現在「低炭素戦略」と2050年までのカーボンニュートラル目標について検討が進められています。

 

ミルジヨエフ大統領は、今年の国連総会演説において、2022年にアラル海沿岸地域で国連とともにグリーンエネルギーに関する国際フォーラムを開催することを提案。さらに、地球規模の環境問題に対する政策について協議するため、国連の後援を受け、2023年にウズベキスタンで「第6回国連環境総会」を開催することを提案しました。また、2021年8月6日にトルクメニスタンで行われた「第3回中央アジア首脳会合」にて、脱炭素化や水資源の利用、高効率テクノロジーの導入、再生可能エネルギーの普及などを盛り込んだ「中央アジア地域環境計画」を作ることに前向きな姿勢を示しました。

 

気候変動が世界で深刻な問題となっている今、ウズベキスタンが長期的に進めている環境問題や水資源の問題などに関わる政策は、国内のみならず、中央アジア全体における環境問題の改善を促進するものとなります。ウズベキスタン政府は環境問題において中央アジア諸国との建設的かつ相互互恵的な協力を引き続き重視し、未熟な環境意識から壊されてしまった環境のバランスを取り戻すため、新たな道を切り開いて行くこととなります。



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企業情報

企業名 駐日ウズベキスタン共和国大使館
代表者名 ムクシンクジャ・アブドゥラフモノフ
業種 国・自治体・公共機関

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