アイキャッチ画像

2022年第2四半期のセルラーIoTモジュールグローバル出荷量を発表〜前年同期比2割増〜

カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチ (英文名: Counterpoint Technology Market Research 以下、カウンターポイント社)は、セルラーIoTモジュールのグローバル出荷量は2022年第2四半期に前年同期比20%成長したという最新のGlobal Cellular IoT Module and Chipset Tracker by Applicationを発表致しました。

サプライチェーン問題、中国でのCOVID-19によるロックダウン、マクロ経済の逆風といった諸問題がありながらも、セルラーIoTモジュールグローバル市場は回復基調を維持しています。この成長は、デジタルトランスフォーメーションの潮流によるものであり、重要インフラや運輸での潜在的なアプリケーションの掘り起こしと、それを支えるCat-1やNB-IoTなどのローティア通信方式(速度の遅い移動体向けに、低出力で通信する方式)の急成長が背景にあります。さらに、モジュールメーカーは製品を改良し、新しいコネクティビティソリューションのプロバイダーから主要競合メーカーの買収に至るまで、バリューチェーンのいたるところで合従連衡を行っており、IoT業界はとてもエキサイティングな成長フェーズに入ったと言えます。

 

中国は世界最大のIoT市場の地位を維持し、ロックダウンにも関わらず需要の半分以上を生み出しており、同国のセルラーIoTモジュール市場は、ロックダウンが引き金となり、スマートロック、監視カメラ、ルーターなどのアプリケーションの需要が高まり、2022年初頭より多少回復しています。北米と西欧の市場も堅実に成長しており、それぞれ第2位と第3位の地位をセルラーIoTモジュールグローバル市場で得ています。そして、比較対象の元となるベースの数字が小さかったこともありますが、インドが前年同期比264%と最速で成長するIoTモジュール市場と伸びてきており、スマートメーター、テレマティクス、POS、自動車向けが成長を牽引しています。

 

該当市場動向に関して、カウンターポイント社シニアリサーチアナリストSoumen Mandal氏は、次の通り述べています。

「IoTモジュール市場は、クリティカルなフェーズに入っている。というのも、中国メーカーが力をつけ、従来の国際的なメーカーがそれぞれ自分のサイロで事業を続けることが困難になったからである。この結果、事業統合の第一波が起こった。Telitは、ThalesのセルラーIoTモジュール事業と、IoTソリューションデザインハウスのMobilogixを買収した。他にも、この四半期には、LoRa準拠の独自規格のIoTネットワークを展開する、部品とチップセットの大手Semtechが、セルラーIoTやルーターで先端を行くSierra Wirelessを買収し、部品からサービスまで一気通貫となる、いわゆるエンドツーエンドのIoTポートフォリオを構築した。まだIoT市場はブルーオーシャンではあるものの、西側諸国のメーカーはバリューチェーン全体を通じて価値提供するための統合に動いており、この先に目が離せない。」

 

Mandal氏は、さらに次の通り述べています。

「IoTモジュールのトップ10社のうち6社が中国メーカーであり、地政学的な対立の高まりとデータのプライバシーへの懸念があることから、世界市場で事業展開するメーカーはこれを事業機会と捕らえ、事業を統合しつつ世界の分断に対応しようとしている。また、このセグメントでは対応力の高いしっかいりした商品ポートフォリオと、販売後のサポートとがとても重要である。Telit、Thales、u-blox、Sierra Wirelessは過去12ヵ月に渡って製品の改良を続けてきており、これは正しい方向への1ステップである。事業統合によって、これらのメーカーは規模と、少なくとも価格や価値において競合と戦えるだけの強みを得ることが出来る。」

 

図1: セルラーIoTモジュールグローバル出荷シェア・ベンダー別、2022年第2四半期

※四捨五入のため合計が100%にならない可能性があります。

出典: カウンターポイント社 Global Cellular IoT Module and Chipset Tracker by Application, Q2 2022

 

マーケットサマリー

トップ3社が市場の過半を占めており、興味深いことに、Quectelの出荷シェアはトップ10社の他の会社を合わせたものと同じレベルという結果となりました。

 

Quectel: Quectelのモジュール出荷は前年同期比47%増で、他社との差をさらに広げた。この四半期にQuectelは4G Cat 4スマートモジュールSC200EとSG150Hを発売した。それぞれ、QualcommとUNISOCのチップセットを採用している。さらに、QuectelはiSIM(SIMカードやeSIM用の専用チップが不要なSoC内にSIM機能を載せる技術。部品点数が減り、小型・低コストが実現できる)を採用したLPWAモジュールBG773A-GLをKigen(ARM傘下で認証情報を提供する会社)のサポートを受けて開発し発表した。同社はこのモジュールを、POS、スマートメーター、資産管理・追跡、ウェアラブルなどのM2Mアプリケーションに向けて展開する。

 

Fibocom: 第2位のFibocomのモジュール出荷は、前年同期比で12%成長した。モジュール出荷のほぼ6割は中国市場向けである。FibocomはすでにQualcomm、MediaTek、UNISOC、Sequans、Autotalksと業務提携をしており、海外市場でのシェア拡大を狙っている。Quectelとの間の大きく開いた差をFibocomは海外IoTモジュール市場である程度縮めることができるだろう。

 

MeiG: 中国のロックダウンで低調だった2022年第1四半期以降、MeiGは業績を伸ばし、IoTモジュールの世界第3位にランクインした。MeiGはハイエンドのIoTモジュールアプリケーションに軸足を置きつつ、市場の伸びが速い4G Cat 1 bis市場に事業を拡げ、POS、産業用、資産管理・追跡、スマートメーター、企業向けの市場を狙っている。MeiGはサプライヤーのポートフォリオも多様化させた。急成長中の4GチップセットメーカーであるASRと4G Cat 4モジュールに関して提携し、競争の激しい中国市場と海外の低価格市場に備えている。

 

China Mobile: 同社の膨大な既存および見込み顧客と、充実したセルラーネットワークのおかげで、China MobileはセルラーIoTモジュールグローバル市場で第4位を維持した。同社はXinyi Semiconductorと提携し、ローエンドのアプリケーションに重点を置いている。この提携によって両社はIoTアプリケーションの2Gから4Gへの移行を狙った事業ができるようになった。拡大を続けるChina Mobileの5Gネットワークと、バリューチェーン全体に渡る提携により、世界最大のキャリアである同社はエンドツーエンドの5G IoTソリューションの規模を今後急拡大させるであろう。

 

Sunsea: Sumsea(SIMCOM + Longsung)の業績は過去10四半期に渡って改善してきている。Sunseaは他の中国メーカーと同様、海外市場向けにはQualcommベースのソリューション、地場の中国市場向けにはMediaTek/UNISOC/ASR/Xinyiベースのソリューションをそれぞれ提供している。需要増に応え、中国向けに低価格製品を提供するため、SunseaはQualcommに加えASRとも提携した。

 

Telit: Telitは中国以外の世界のIoTモジュールメーカーでは、トップである。TelitはLPWAデュアルモード、4G Cat 1、それにLTE-M技術に重点を置き、産業用、ヘルスケア、資産管理・追跡、ルーターとCPE(顧客構内機器)を狙っている。同社はまた、アジア太平洋やEMEA市場向けに、4Gが繋がらない時に2Gネットワークへフォールバックする機能を搭載した4G Cat 1 bisの産業用グレードモジュールLE910R1を発売した。2Gや3G技術が衰退期に入ったため、ローエンドから中位のアプリケーションはこのモジュールを代替製品として活用できる。Thalesの買収により、Telitは中国以外で最大のモジュールベンダーに成長し、やがては規模においてQuectelに匹敵するようになる潜在力を持つことになった。

 

他のメーカーでは、Neowayが好業績だった。前四半期比での成長(+162%)は、トップメーカーの中で最速だった。中国以外ではインドが重要な市場になりつつある。

 

u-bloxは製品をモデルチェンジし、受注残を一掃した結果、好業績の四半期となった。産業用、自動車、ヘルスケアにおいて、u-bloxの引き合いが強かった。

 

IoT領域におけるコネクティビティ技術のトレンドに関して、カウンターポイント社アソシエイトディレクターMohit Agrawal氏は次の通り述べています。

「トップ5の技術、つまりNB-IoT、4G Cat 1、4G Cat 4、4G Cat 1 bis、LPWAデュアルモードが、この四半期に出荷されたモジュールの8割以上で採用された。2Gや3G技術が衰退期に入り、またローエンドや中位のアプリケーションの需要が高まった結果、4G Cat 1や4G Cat 1 bisモジュールの出荷が増加している。アフリカ、アジア、東欧など、一部の新興国市場では、いまでも2Gモジュールを出荷しているメーカーもある。5G IoTモジュールの出荷は、価格がまだ高く、多くのプロジェクトがパイロット段階であることから、変化がない状態が続いている。変曲点に達するには、あと2~3年を要するだろう。多くの国で5G対応地域が広がり、規模が見込めるようになる2023年下半期に、5G IoTモジュールが大きく伸びると予想している。」

 

2022年第2四半期におけるトップ5アプリケーションである、スマートメーター、POS、産業用、ルーター/CPE、資産管理・追跡がIoTモジュール市場全体の過半を占めています。前の四半期と比較すると、ルーター/CPEと家庭用が大きく伸びています。自動車のコネクティビティ市場はさほど伸びておらず、これはこの四半期における中国自動車産業が低迷したことが原因です。

 

図2: セルラーIoTモジュールアプリケーション用途別出荷シェアトップ10、2022年第2四半期

出典: カウンターポイント社 Global Cellular IoT Module and Chipset Tracker by Application, Q2 2022

 

 

本プレスリリースに関する詳細並びに情報は、こちらからご覧いただけます。

https://report.counterpointresearch.com/posts/report_view/iot/3268

https://report.counterpointresearch.com/posts/report_view/iot/3269

 

 

今回の発表は、チャネル情報、POSデータ、ディストリビューターアンケート調査、公開データなどボトムアップデータソースとトップダウンリサーチの組み合わせによるカウンターポイント社独自の調査方法で実施したものです。 (調査時期:2022年4月1日~2022年6月30日)

 

 

【カウンターポイント社概要】

Counterpoint Technology Market ResearchはTMT(テクノロジー・メディア・通信)業界に特化した国際的な調査会社である。主要なテクノロジー企業や金融系の会社に、月報、個別プロジェクト、およびモバイルとハイテク市場についての詳細な分析を提供している。主なアナリストは業界のエキスパートで、平均13年以上の経験をハイテク業界で積んだ経験を持つ。

公式ウェブサイト: https://www.counterpointresearch.com/



ログインするとメディアの方限定で公開されている
お問い合わせ先や情報がご覧いただけます

添付画像・資料

添付画像をまとめてダウンロード

企業情報

企業名 Counterpoint Research HK Limited
代表者名 Tom Kang
業種 その他サービス

コラム

    Counterpoint Research HK Limitedの
    関連プレスリリース

    Counterpoint Research HK Limitedの
    関連プレスリリースをもっと見る

    • クリックして、タイトル・URLをコピーします
    • facebook
    • line
    • このエントリーをはてなブックマークに追加

    プレスリリース詳細検索

    キーワード

    配信日(期間)

    年  月  日 〜 年  月 

    カテゴリ

    業界(ジャンル)

    地域