リーマンショック以降の日本人の消費行動の変化〜世界15 カ国中日本人は最も悲観的ながらも、新たな価値観に基づく新たな消費行動が生まれつつある <<BBDOワールドワイド調査より>>

BBDOワールドワイドは、日本を含む世界15カ国で消費者行動の変化について調査を実施しました。 日本人は世界でも有数にこの不況を悲観的にとらえている実態が明らかになる一方で、 新たな価値観に基づく新たな消費者ニーズが生まつつあることが分かりました。

BBDOワールドワイドの一員である株式会社I&S BBDO(本社:東京都中央区、代表取締役社長: 野副正行)は、2009年夏にBBDOが日本を含む世界15カ国で実施した消費者行動に関する調査結果を以下の通りまとめた。

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リーマンショックから既に1年が過ぎたが、その間には株価暴落、企業倒産、”派遣切り”などがおこり、個人消費も大きく落ち込んでいる。BBDOワールドワイドでは昨年来、世界各国で不況下の消費者の行動を調査し、マーケティングのヒントを見出すプロジェクトを実施しているが、本年夏に実施した意識調査で明らかになったのは、日本人が世界でも有数にこの不況に悲観的になっている実態である。その結果を踏まえてBBDOでは、社会学者、心理学者など専門家へのインタビュー、様々な定性アプローチを駆使して、現在の日本人が失ったものや変化した価値観を深く探索し、そこから新しいマーケティングのチャンスを見出した。

最初に日本と他国を比較したデータを紹介すると、「暮らし向きが悪くなる」と答えた人の割合は6割で、日本は15カ国中最も高いスコアとなっている。また、将来に対する展望も、日本が最も悲観的に考えており(図1)、自分の仕事に対する認識としては「現在の仕事の安定性が低く」かつ「再就職できる自信も低い」という非常に悲観的な結果(図2)となっている。

その日本人の消費行動をTrading Up (消費を拡大したもの)、Trading Down (消費を縮小したもの)といった対比で観察してみたところ、リーマンショック以降の変化が以下のように浮き彫りになった。

■「毎月の預貯金」が減少したと回答した人が42%、「セール期間や特売日を待って買い物をすること」が増加したのが38%。景気の悪化に伴う生活防衛的な意識は相当強いことが伺える。

■「割安な代替品があっても、信頼・好感のある、あるいはなじみがあるブランドを使い続けること」変わらない・増加したが82%。そして「家族との団欒」増加したが16%。このような行動変化から、家族との団らんや長い間慣れ親しんだものはなかなか変えようがないという安心への意識の高まりが見られる。

■「仕事をする時間」減少したが26.5%。「現在の経済やその影響について考えたり、話し合ったりする機会」増加したが22%。仕事をする時間が減少し、不況を嘆いているといった「自信を喪失した姿」も見受けられる。

■一方で、「子供の教育費」増加が33%。「エコバッグ・マイバッグの利用」増加が42%。節約志向、安心志向、自信喪失といった悲観的な意識の中に、次の世代へそして地球の未来へという大きな責任感や未来志向など積極的な意識が見え始めている。


この消費行動変化と悲観的な意識から見えてくるのは、日本人は長引く不況の上に、リーマンショックによって、「安全の欲求(Safety)* =衣類・住居など、安定・安全な状態を得ようとする欲求」と、「承認の欲求(Esteem)* =自分が集団から価値ある存在と認められ、尊敬されることを求める欲求」が満たされず、「喪失感」を抱いている状況である。(* マズローの5段階の欲求階層) つまり、「安心」と「自信」という大きな2つの常識を喪失したのだ。

私たちBBDOは、日本人が安心と自信を失った中で、大きな6つの心理的ニーズを見出した。

◆◆◆6つの心理的ニーズ◆◆◆

1.Retreat (逃げ込み)
失敗をせず、確実なものやサービスを選ぶために、 家族や仲間と共有してきたものや世の中に、時代を超えて長く広く価値を認められているもの、などの根拠や保証を見たい。これは、受動的なリスク回避を生じさせている。例:
   ⇒「家庭の味」を作っている味噌、しょうゆなどの基礎調味料のようなものは変えたくない。
   ⇒地域名を冠した商品など、自分の故郷の名物や味に価値を見いだす。

2.Trust(信頼)
仲間や愛好家同士で、コミュニティの評判や意見などを参照、共感することで、 間違えのないものを選択したい。人間は、不安な気分状態の方が、見知らぬ他人に対して、親近感を覚えやすくなるという実験結果もあり、世の中が不安な時には、信頼できるコミュニティの評価や評判を判断材料にする傾向が見られる。こちらは能動的なリスク回避を起こすための行動につながる。例:
   ⇒価格.com等のサイト内のリコメンデーションやmixiなどのSocial Mediaでの口コミを判断材料にする。

3.Encouragement(戦いの準備)
“戦いの毎日”をサバイブするために、 自分のテンションを上げる様々な準備をし、挑み続けたい。ストレスが多い不況下で、日常の戦い(世の中、異性の目、職場や仲間との)に勝ち残るために、自分を「アゲる」ための儀式はますます重要になり、その回数も増えてきている。例:
   ⇒女性の気合メイク(盛り髪、デカ目メイクなど)。女性の化粧品はリーマンショック後も不況知らず。出荷量でスキンケアは横バイ、
メーキャップは1.8%増。今回の調査でも化粧品を維持または増加した人の合計は80%にもなる。
   ⇒勇気や元気をくれる音楽を聞く回数が増えた。

4.Accomplishment(達成感)
厳しい生活の中で、確かな達成感を目に見えるかたちで感じ、“できる自分”を確認したい。私たちは、ちょっと手を伸ばしたレベルのチャレンジで、小さな成功体験・てごたえから、喪失した自信を回復させようとしている。小さな成功や手ごたえは、目に見える数字や証明というかたちで、自分だけでなく、他人や世間の承認にもなる。例:
   ⇒ランニングブーム、若い女性たちの富士登山の流行。
   ⇒漢字検定をはじめとする検定ブーム、脳を鍛える携帯ゲームの増加、浸透など。

5.Indulgence(甘やかし)
ストレスの多い世の中だから、たまには自分なりにがんばっている自分を褒めて、ごほうびをあげたい。自分を自分で甘えさせるといったある種の逃避行動により、自己肯定、自己承認し、自信を取り戻す。リーマンショック後には「自分へのごほうび」は購入モチベーションとして流通では定番化している
   ⇒高級チョコレートやマカロンなどの高級スイーツやプレミアムビール。

6.Hope(未来への希望)
子供のため、地球のため、 現実から遠い未来のために、良いことをしたい。今の延長上ではない、希望があるだろうと信じている未来に対し、目を向け、自分が今できることをすることは正しいと信じている(信じたい)。同じ商品であっても、地球環境や子供など未来の投資につながる、いい方を私たちは選ぶようになっている。例:
   ⇒エコカーやエコプロダクツ。
   ⇒グリーン(エコ)キャンペーンや盲導犬育成支援などのドネーション(寄付)型キャンペーンなど。


以上のように、今回の調査を通じて、日本人の価値観に構造的な変化の兆しが観察された。日本人は単にこの不況に対応し、しのいでいるだけではなく、新しい価値観に動かされた新しい消費を生みだしつつある。ここにマーケティングのチャンスがあると考える。

このリリースでは、日本人全体のニーズについて言及したが、実際のマーケティングではターゲットやカテゴリーによってその対応は大きく違ってくるはずであり、BBDOではクライアントに合わせて、このプロジェクトの内容を基本に、クライアント参加のワークショップを開催し、新しいキャンペーンを開発している。

【I&S BBDOについて】
I&S BBDOは、世界最大級の広告マーケティング会社 BBDOワールドワイドの一員です。BBDOは
カンヌ国際広告祭にて2007から2009年、三年連続でNetwork of The Year 最優秀ネットワーク賞を
受賞し、世界各国であらゆるメディアを通じた広告作品の優秀さが評価されています。
世界的に信頼されるレポート「The Gunn Report」「The Big Won」からも最も表彰された
ネットワークとして認定されています。

日本においては、1947年の設立以来、日本のクライアントならびに消費者と培ってきた知識・経験
と、世界79カ国287拠点のグローバルネットワークの強みを活かして、360度のトータルマーケティング
サービスを提供しています。

【I&S BBDO ホームページ】 URL:http://www.isbbdo.co.jp


【会社概要】
 ■会社名  株式会社I&S BBDO
 ■代表者  代表取締役社長 野副正行
 ■設 立  1947年6月5日
 ■所在地  〒104-6038 東京都中央区晴海1-8-10  晴海トリトンスクエアX
 ■TEL   03-6221-8585
 ■FAX   03-6221-8791
 ■事業内容 広告マーケティング

【調査結果の内容についてのお問い合わせ】
 ■会社名 株式会社I&S BBDO プランニンググループ
      インフォメーションリソースセンター
 ■担当者 小坂・斉藤
 ■TEL  03-6221-8606

【取材依頼など広報的なお問い合わせ】
 ■会社名 株式会社I&S BBDO 
      アドミニストレイティブサービスグループ 広報
 ■担当者 宮下綾
 ■TEL  03-6221-8523
 ■Email  prdiv@isbbdo.co.jp

企業情報

企業名 株式会社I&S BBDO
代表者名 野副正行
業種 未選択

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