2025年第1四半期TSMC最先端プロセスノードの稼働率を発表
カウンターポイント・リサーチ・エイチ・ケー (英文名: Counterpoint Research HK 以下、カウンターポイント社)は、TSMCの3nmプロセスの初期需要はこれまでになく高いものとなっているという調査結果を含む最新調査を発表致しました。
半導体ファウンダリ業界の巨人、TSMCは2022年後半に在庫調整を行って以来、その地位を盤石にしており、最先端プロセスノードの稼働率は高止まりしています。また、同社の3nmプロセスの初期需要はこれまでになく高いものとなっています。Apple A17 Pro/A18 Proやx86 PC CPU、さらにその他のAP SoCを製造しており、量産開始から5四半期(Q+5)でフル稼働しています。
今後は、NVIDIAのRubin GPUに加え、GoogleのTPU v8や、AWSのTrainium 3などのAI ASICが加わります。こうしたAIやハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)の需要に支えられ、稼働率が高い状態が続くとみられます。
対照的に、過去の7/6nmや5/4nmノードの立ち上がりはもっと緩慢でした。その要因は、これらのノードはスマートフォン市場向けだったことにあります。7/6nmの稼働率がピークだったのは、コロナ禍でモバイル需要が高まった2020年頃で、もう一方の5/4nmは2023年半ばに勢いを取り戻し、それ以降順調に回復しています。この回復を支えているのはAIアクセラレータ需要の急上昇で、特にAIデータセンター向けで伸びたNVIDIAのH100、B100、B200、GB200のおかげで5/4nmノードの稼働率は大きく増加しました。
図1 : TSMC最先端プロセスノード稼働率・2018年第1四半期から2026年第4四半期
出典: カウンターポイント社Foundry Service
次の2nmの可能性に関して、私たちは順調に立ち上がるとみています。過去のどのノードよりも早く、4四半期目(Q+4)にはフル稼働になるとみられます。その要因は、スマートフォンもAI関連も需要が高いことにあります。TSMCも、2025年第1四半期の投資家向け説明会で「2nmプロセス導入後、最初の2年間にテープアウトするチップの数は、3nmや5/4nmの最初の2年間より多いだろう。スマートフォンもHPCも需要が強いからだ。」と、同様なコメントをしています。
Appleの他にも、Qualcomm、MediaTek、Intel、AMDなどが2nmプロセスを採用する可能性があります。このように幅広く採用される可能性があることから、2nmノードの稼働率も高い状態が続くと期待されます。
図2 : TSMC最先端プロセスノード稼働率は高止まり
出典: カウンターポイント社Foundry Service
※Q=Quarter
地政学的なリスクを緩和し、合わせて米国の需要に応えるため、TSMCは1,650億ドル(約23.8兆円)を投じてアリゾナに製造拠点を建てる予定です。この工場では4nmや3nmに加えて2nmやさらに先のノードも製造する計画です。
中核となるR&Dやプロセス開発は台湾に残るものの、米国の新工場がやがてはTSMCの2nm以降の製造の30%ほどを担うようになるかもしれません。同社の2拠点戦略は地政学的なリスクに対する耐性を高めるとともに、AIやHPCのニーズに応える製造キャパシティも実現します。これによって、2030年頃まで最先端ノードで高い稼働率を維持し続けることになるとみられます。
【調査方法について】
方法: カウンターポイント社ではボトムアップでのデータの積み上げと、トップダウンでの調査とを組み合わせた分析を行っている。データには、販売チャネルの情報、POSデータ、卸売業者への聞き取り調査、公開情報を含む。
調査対象時期:2025年1月1日~3月31日
【カウンターポイント社概要】
カウンターポイント社(英文名Counterpoint Research HK)はTMT(テクノロジー・メディア・通信)業界に特化した国際的な調査会社である。主要なテクノロジー企業や金融系の会社に、月報、個別プロジェクト、およびモバイルとハイテク市場についての詳細な分析を提供している。主なアナリスト陣はハイテク業界で長年の経験を積んだエキスパートである。
公式ウェブサイト: https://www.counterpointresearch.com/
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企業情報
企業名 | Counterpoint Research HK Limited |
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代表者名 | Tom Kang |
業種 | その他サービス |
コラム
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