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死神に取り憑かれた作家の死三昧の物語

この5月に全国書店およびネット書店で発売される。『お呼びでしょうか ―私は死神でございます―』(永井治郎著 1,200円+税 青山ライフ出版)は、死神に取り憑かれた作家の奇妙な物語だ。その死はすべて老人による自死。そこに焦点をあてた連作短編は非常にユニークである。

 

 

5つの短編のタイトル、主人公の名前と年齢は以下にあげる。

第一話 熟れた二輪草―パリに死す 枯木野満 八十三歳

第二話 晩節燦々 暗井留吉 七十三歳

第三話 罪の意識 淡井望 六十六歳

第四話 身を捨ててこそ 志賀内定 八十六歳

第五話 走れ、翁 薄井影夫 七十六歳

彼らが、これだけの年月、生きてきて。
なぜ、今さら自死しなければならないのか。

 

意地悪な言い方をすれば、どのみち、その時は来るだろうに。
ということになるが、人間、年をとったところで、
そんなに簡単にわりきれるものではないのだ。

 

物語は、自殺もしくは自死専門のエリート死神を語り手として、五つの挿話の主人公にこの死神が絡み、物語が展開していく。

 

それぞれの挿話の主人公はすべて六十五歳以上の老人で、これまで懸命に生きてきたが、ときには運悪く、あるいは不条理な定めに翻弄され自ら死を望む。そのシグナルを天上の死神がキャッチし、娑婆に降りてきて、苦しみの負担を取り除き、心安らかに天上に導いていく。普通のおどろおどろしい死神と違った、ソフトな面を持った死神界でのエリート中のエリートである。

 

だが、仕事熱心のあまり、人に寄り添い過ぎ、情にほだされて死神の掟を何度か破ってしまう。度々重なるこのような彼の行動に対し、天上界の死神査問委員会は見逃すことができず、彼を禁固刑に処し、反省を促した。

 

彼は放免された後、その年は自殺者が増大し、死神界が多忙のため彼は運良く復職して、仕事に励む。


だが、本編の死神の持つ本来のやさしさだろうか、またまた憐憫の情に絆され、再び死神の掟を破ってしまう。それを知った査問委員会の怒りは頂点に達し、とうとう彼を死神界から追放してしまう。しかし、信念を貫き通した死神は、粛々と罪に甘んじ、漆黒の闇の中を奈落の底へと落ちていく。

 

果たして死神の運命やいかに……。五つの物語に登場する老人たちの悲喜こもごもの人生の終活に、あるときは積極的に、あるときは少し傍観的に、死神が絡み合うという娯楽作品である。


 

 

著者プロフィール
東京生まれ。明治大学文学部卒業後、アメリカ留学。その後世界を一周し、帰国。出版社の編集を経て、英語塾を開設、四十五年間英語指導及び塾経営に携わり閉塾後、本格的に執筆活動に入る。その間に、オーストラリア(グレートビクトリア砂漠横断)、ニュージーランド南北全島(バイク一周)、アメリカ(縦、横断一万四千キロ)、中近東、ヨーロッパ全域、アフリカ(キリマンジャロ山登頂)、アジアなど、主として自然を中心とした世界遺産を訪問する。

 


 



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企業名 青山ライフ出版
代表者名 高橋範夫
業種 新聞・出版・放送

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