企業 × NPO 連携強化:コンゴ民主共和国における「紛争鉱物問題」に対し、生活再建・生計向上のための各種プログラムを支援へ
企業 × NPO、株式会社ゲットイットと認定NPO法人テラ・ルネッサンスが連携を強化。コンゴ民主共和国における「紛争鉱物問題」の課題解決に向け、生活再建・生計向上のための各種プログラムを支援。
株式会社ゲットイット(本社:東京都中央区、代表取締役:廣田優輝)は、認定NPO法人テラ・ルネッサンス(事務局:京都市下京区、理事長:小川真吾)との連携を強化し、豊富な鉱物資源の権益争いによる紛争に苦しむコンゴ民主共和国において、人々の生活再建・生計向上のための各種プログラムに対して継続的な支援を行い、紛争鉱物問題の解決とともに持続可能な社会を目指します。
レアメタルによって引き起こされ長期化するコンゴの鉱物紛争
コンゴ民主共和国は、1998年以降の紛争によって、第二次世界大戦以降、世界で最も多くの死者(540万人以上)が発生しました。紛争の背景には、レアメタルをはじめとする天然資源をめぐる権益争いがあるとされ、2003年の時点だけでも、推定3万人以上もの18歳未満の子どもたちが兵士として戦わされていました。また、1998年以降少なくとも20万人以上の女性が性的暴力に遭い、一部地域ではそのような状況が現在も続いています。(※)
「すべての生命が安心して生活できる社会(世界平和)の実現」を目的に設立されたテラ・ルネッサンスは、その20年に渡る活動の中で、コンゴ民主共和国にも活動の輪を広げ、元子ども兵や、性的暴力を受けた女性たちの職業訓練、小規模ビジネス起業支援、食糧増産のための技術支援など、幅広い支援活動を継続してきました。同会は、同国で活動する数少ない日系NGOとして、国際機関、行政機関との連携も行っています。
テラ・ルネッサンスは、現地での支援活動を続ける中で、背景にある「紛争鉱物問題」を解決しなければ、問題は繰り返されるという構造的な問題に直面しました。レアメタルはコンピューターや携帯電話などの電子機器の製造に必要であり、その多くが先進国で使用されていることから、日本国内においても少しでも多くに人にコンゴの現状を知ってもらうべく、「ケータイ for コンゴ」プロジェクトや、講演活動等の積極的な啓蒙活動を行っています。
テラ・ルネッサンスのコンゴ関連の活動内容について、詳しくは以下をご参照ください。
https://www.terra-r.jp/activity_congo.html
※ 各被害状況等についての参考文献:①死者数、②子ども兵の数、③女性の性被害、④権益争い
① 米川正子『世界最悪の紛争「コンゴ」』(創成社、2010)
② 「CHILD SOLDIERS Global Report 2004」(Coalition to Stop the Use of Child Soldiers、2004)
③ 「Senior UN officials condemn recent rapes of young girls in eastern DR Congo」(UN News、2013、https://news.un.org/en/story/2013/06/443442-senior-un-officials-condemn-recent-rapes-young-girls-eastern-dr-congo )
④ 華井和代「コンゴ民主共和国における鉱物採掘と紛争ー資源と暮らす人々」(「難民研究ジャーナル」第9号、難民研究フォーラム、2020)
人・社会・地球にとって、持続可能なIT運用を目指す
ゲットイットは、ITハードウェアの導入からリサイクルまでのライフサイクル全体のサスティナビリティ向上を「Sustainable Computing ®」として掲げ、ITハードウェアの保守やリユースなどの事業活動を展開しています。
日本をはじめ先進国におけるIT機器運用のライフサイクルの前後には、「紛争鉱物」「E-waste」の問題が存在し、ともにアフリカ地域において社会問題となっています。
ゲットイットでは、これらの社会課題に対してCSR活動の展開を推進しており、テラ・ルネッサンスへの支援は、「紛争鉱物問題」の課題解決を目指す活動として、ゲットイットのCSR活動予算である「未来費」(詳しくは:https://www.value-press.com/pressrelease/267661 )の一部を用いて実施されます。
ゲットイットは、事業活動とCSR活動を通して、人・社会・地球にとって持続可能なIT運用を目指します。
企業 × NPO 連携:具体的な活動内容
ゲットイットとテラ・ルネッサンスは、2014年より、途上国支援事業で必要となるリユースPCの確保や、活動資金の寄付を通じて、連携を行ってきました。今後は、「長期的視野からの紛争鉱物問題の根絶」を共通の目標として連携を強化します。
従来の連携からの主な変更点
◆これまでゲットイットは、会計年度末に経常利益の1%を目安としてテラ・ルネッサンスへの寄付を行ってきましたが、今後は「未来費」より年度当初に予算設定を行い、業績によらず安定的な支援を行います。なお、2021年度については、昨年対比120%の予算を確保しています。
◆年1回の頻度で実施していた活動報告会を、半期毎などより細かく実施し、それぞれの組織が事業領域・支援の現場で培った知見を共有し、「紛争鉱物問題」の長期的解決へ向けたプロジェクトの改善/新規プロジェクトの立ち上げなどを検討します。
2021年度 プロジェクト一覧
A. 子どもの徴兵予防プロジェクト
孤児や元子ども兵250名へ初等教育を受けるために必要な学業支援と、その家族への家畜の提供や飼育技術の研修、小規模ビジネスの指導を行うことで生計を向上させ、持続的に子どもたちが教育を受けられる環境を作ります。
B. 紛争被害女性の生計向上支援フォローアッププロジェクト
洋裁や乳製品の製造技術訓練を卒業し、生計を向上した女性たちのうち、課題を抱える対象者に対し、紛争下及びコロナ禍においても生活を続けられるよう、研修や追加の技術支援を行います。
C. 紛争の影響を受けた最脆弱層女性に対するレジリエンス向上プロジェクト
パイナップルジュース、石鹸作りの生産性向上・販売促進、及び洋裁の技術訓練・開業支援を行います。また、各グループ内外の協力体制を強化し、グループビジネスの運営方法の指導、法的支援も行います。
D. 養蜂ビジネス起業支援プロジェクト
紛争下で暮らす最貧困層30名を対象に養蜂の技術訓練を行い、養蜂ビジネスを開始するための技術指導や備品の供与、養蜂場の整備、商品開発、販促支援などを行い、収入の向上を目指します。
上記の各プロジェクトを通じて、紛争の被害を受けた方々が、海外からの援助や物乞い、低賃金の鉱物資源採掘作業などに依存することなく、家族を養い、子どもたちを学校に送り出し、紛争のない平和な社会を目指すことが出来るよう、支援を行います。
(なお、活動資金の一部は、新型コロナウィルス感染予防や、コロナの影響を受けた貧困層への生計支援活動にも使用される予定です。)
ゲットイット代表 廣田のコメント
縁あって2014年からテラ・ルネッサンスの活動を支援させていただいています。コンゴにおける「紛争鉱物問題」については、写真などを交えて度々お話を伺っていましたが、弊社の事業活動にも関わる問題として正面から向き合うことができたのは、そうしたことに強い関心を持つ社員が増えたおかげ、というのが本当のところです。
社員の中には地球環境や持続可能な社会のことを考える人も多く、そうした社員の声が、会社の目指す未来を変えました。弊社は今、「より持続可能なIT運用」というミッションを掲げ、大きく変わろうとしています。
テラ・ルネッサンスの目指す「世界平和」と、弊社の目指す「持続可能なIT」には、重なる部分があります。今回の「未来費」を用いたテラ・ルネッサンスとの連携について、社内では、「我々がやるべきことを、一部、テラ・ルネッサンスに「業務委託」するんだ」といった言い方をしていますが、そのくらいの強い関心を持ち、課題解決へ向けて、共に新たな一歩を踏み出したいと考えています。
テラ・ルネッサンス創設者 鬼丸氏のコメント
皆さんにお願いしたいことが二つあります。一つは、普段手にしているスマホなどの材料の一部であるレアメタルが、遠くアフリカで児童労働や紛争の原因となっていることに、わずかでも関心を持ってほしいということ。もう一つが、電子機器のリユースやリサイクルを徹底して、日本の社会全体で、資源の完全循環を目指してほしい、ということです。
今回、ゲットイットとのパートナーシップでは、企業とNPOが、互いに本音で対話し、持続可能で平和な社会実現に向けたビジョンを共有し、それぞれに期待することを明確に表明していくことが大切であると考えています。
両者の活動が、互いを補完するものとなり、持続可能な社会の実現に少しでも貢献できるものとなれば幸いです。
資料①:ゲットイット × テラ・ルネッサンス 連携イメージ
資料②:なぜ「紛争鉱物問題」は、特にコンゴにおいて大きな問題となっているのか? ~その歴史的経緯や、現地での活動を通して見えてきた希望~
寄稿:テラ・ルネッサンス理事長/海外事業部長(コンゴ事業担当) 小川 真吾
アフリカ中部に位置するコンゴ民主共和国(以下、コンゴ)は、アフリカ第二の面積を有する広大な草原とジャングルに覆われた自然豊かな国です。この国は長きにわたりベルギーの植民地支配を受けてきました。1885年のベルリン会議でヨーロッパ列強はアフリカ大陸を分割し、それぞれが支配する国を決めました。他の列強諸国が政府主導で植民地支配を進める一方、コンゴはベルギー国王の“私有地”として統治されることになりました。そのため、ベルギーの法律が適用されず、他のアフリカ諸国よりも恐ろしい人権侵害が繰り広げられたのです。それは、ベルギー王室からの一方的な行為だけではなく、元々その地域に住む人々の間でも行われるようになりました。統治の手段として、少数派の氏族(クラン)を支配層へと仕立て上げ、銃器を与えることによって他の氏族を支配させたからです。
その後、コンゴは欧米諸国の脱植民地化により、1959年に独立国家となりました。しかし、独立直後に内戦が勃発。全国土に及ぶ二度の内戦に直面し、2002年末に和平合意が達成されましたが、20年近くが経過した現在においても、民族や社会階層の間に対立が残り、人々の和解や共生が難しい状況に置かれています。 現在、コンゴには約130ともいわれる武装勢力(反政府組織、民兵、自警団、 また警察や国軍のうち独自の行動をするものなど多岐に渡る)が存在すると言われています。武装勢力は、地下資源の産出地域を勢力下に置き、不法な採掘や密輸によって利益を得て活動を続けており、そこには過去に先進国で生産された武器も運び込まれているといいます。武装勢力の影響下で産出されたレアメタルは、法的には「紛争鉱物」として取引はされないこととなっていますが、現に武装勢力の資金源が断たれていない事からも、こうした法規制が完璧に機能しているとは言えません。そして、子どもの徴兵、女性への組織的な性暴力など、深刻な人権問題が頻発するとともに、今なお多くの犠牲者と被害者を生み出し続けています。
コンゴは一人当たりの国民総所得が年間520ドル(2019年、世銀)と、世界で最も貧しい国の一つです。日本の外務省が出している「海外安全マップ(※)」を見ると、危険レベルが最高値のレベル4の地域がいくつもあります。この地域では、武装勢力による散発的な戦闘が続いています。村が襲われることもあり、国内避難民の多さも大きな課題のひとつです。国内避難民は、逃げた先で自分の土地を持たないため、生きるために最低限の食べ物を作ることも出来ず、さらなる貧困に陥ります。そのため、世界的にも珍しく、コンゴの山村には物乞いで生活している人々がいます。また、例え仕事があったとしても、低賃金重労働で搾取されるようなものばかりです。
武装勢力から逃げ、家に帰ってくることができた元子ども兵から、こんな話を聞いたことがあります。彼と彼の家族は、お母さんが炭を運んで得たささやかな稼ぎで生活しているのですが、彼は「これだったら武装勢力にいた方が良かった」と言うのです。家に帰れば、家族と幸せに暮らせると思っていたのに、日々の食べものにも困るような貧困に喘ぐ生活だったからです。
こうして、戦闘状態が続くことにより、貧しさが拡がっていきます。せっかく逃げてきた元子ども兵たちも、貧困にたえられず、武装勢力の勧誘に負けてしまい、再び銃を手に戦う生活に戻ってしまうのです。これが、紛争が終わらない理由のひとつです。
テラ・ルネッサンスは、これまで元子ども兵や紛争の影響で性暴力の被害を受けた女性たちに対して、職業訓練を実施してきました。プログラムには、溶接の技術訓練があります。私たちの訓練を受けたある元子ども兵が、麻薬を作る技術を持っていました。麻薬は子ども兵たちから戦闘の恐怖を拭い去るために使われるため、とても重宝される技術です。その技術を聞きつけて、彼のもとに様々な武装勢力がリクルートに来るそうです。しかし、彼はそれを全て断りました。その理由は、「仕事が忙しいから」。彼のもとには、学校や教会の窓枠やドアを作ってほしいという依頼がたくさん届きます。彼はそれがとても嬉しいそうです。仕事があるのだから、わざわざ武装勢力に戻って人殺しをする必要はありません。例え紛争状態であったとしても、仕事を作っていくことが、紛争を止める力となり、さらに将来平和になったコンゴを支える人財を育てるためにも必要なのです。
この話には後日談があります。テラ・ルネッサンスのコンゴ事務所長(コンゴ人)のもとに、武装勢力から殺害予告が届いた時期がありました。すると、何人かの元子ども兵たちが、「テラ・ルネッサンスは良いことをしてくれている団体なのだから、危害を加えるな」と、武装勢力に話をつけにいってくれたのです。おかげで、殺害予告はぴたりと止みました。支援している側だったはずが、いつの間にかお互いに支え合う関係になっていたのです。
レアメタルをはじめとする、コンゴの地下に眠っている豊富な資源。これがなんとしても欲しい人々がいます。そのために、コンゴの紛争は止まりません。コンゴの紛争は、私たちの暮らしと無関係ではありません。レアメタルは、私たちが毎日使っているパソコンやスマートフォンのために不可欠だからです。つまり、レアメタルが欲しいのは、“私たち”です。だからといって、パソコンやスマートフォンを使わないわけにはいきません。私たちのビジネスのやり方を変えていく必要があります。国内にあるレアメタルをリサイクルする、武装勢力の資金源となることが疑われるルートからのレアメタルの調達は行わないようにするなど、紛争に苦しむコンゴの人々が安全に安心して暮らせる環境を、私たちは作ることが出来るのです。
※ 外務省海外安全ホームページ:コンゴ民主共和国の危険情報 https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pchazardspecificinfo_2020T147.html#ad-image-0 |
認定NPO法人テラ・ルネッサンス
『すべての生命が安心して生活できる社会の実現』を目的に、2001年に鬼丸昌也によって設立。現在では、カンボジア・ラオスでの地雷や不発弾処理支援、地雷埋設地域の生活再建支援、ウガンダ・コンゴ・ブルンジでの元子ども兵の社会復帰支援を実施。また、日本国内では、平和教育(学校や企業向けの研修)や、岩手県大槌町を中心に、被災者支援活動を展開しています。主な受賞歴:「地球倫理推進賞」(社団法人倫理研究所) 、「地球市民賞」(独立行政法人 国際交流基金)、「エクセレント NPO」組織力賞ノミネート(エクセレント NPO を目指そう市民会議)、「社会貢献者表彰」(公益財団法人 社会貢献支援財団)、「日経ソーシャルイニシアチブ」国際部門賞 ファイナリスト(日本経済新聞社) 、「企業価値認定」(一般社団法人企業価値協会)、第4回ジャパンSDGsアワード副本部長(外務大臣)賞 など。国連経済社会理事会特殊協議資格NGO。
名称 :特定非営利活動法人テラ・ルネッサンス
所在地:京都府京都市下京区五条高倉角堺町21番地jimukinoueda bldg. 403号室
理事長:小川 真吾
設立 :2001年10月31日(2014年5月30日より認定NPO法人)
株式会社ゲットイット
都内2,000㎡倉庫(勝どきZETTA)の豊富な在庫量と、マルチベンダー対応の技術力で、企業の抱えるITの「困った」を解決。サーバー・ネットワーク機器等ITハードウェアの専門家として、レガシーシステム運用に必要なEOSL保守(第三者保守)から、検証環境構築のための機器レンタル、情報機器処分(ITAD)に伴うデータ消去や買取りサービス、コスト削減のリユース販売まで、1社1社のオーダーに応える形で様々なハードウェア関連サービスを提供。株式会社ゲットイットは、持続可能な社会発展へ向けた「SDGs」への関心の高まりを受け、「使えるものは、長く使う」「使い終わったものは、次につなげる」の2点を掲げ、保守による機器の長寿命化や機器のリユース・リサイクルにより、IT ハードウェアの持続可能な運用のための総合サービス「Sustainable Computing ®」※ を展開しています。
社名 :株式会社ゲットイット
所在地 :東京都中央区築地3-7-10 JS築地ビル4F
代表者 :廣田 優輝
設立 :2001年4月
事業内容:ITハードウェアサービス:第三者保守、EOSL保守、販売、買取り、修理、レンタル、移設、構築、データ消去 等
※Sustainable Computing ®(サスティナブルコンピューティング)とは、「使えるものは、長く使おう」「使い終わったものは、次につなげよう」をコンセプトにゲットイットが考案した「ITハードウェアの持続可能な運用のための総合サービス」の名称です。
本件に関するプレスお問い合わせ
担当者 : 川澄 (カワスミ)
メール : pr@get-it.ne.jp
電話番号 : 03-5166-0900
ログインするとメディアの方限定で公開されている
お問い合わせ先や情報がご覧いただけます
添付画像・資料
添付画像をまとめてダウンロード
企業情報
企業名 | 株式会社ゲットイット |
---|---|
代表者名 | 廣田 優輝 |
業種 | 商社・流通業 |
コラム
株式会社ゲットイットの
関連プレスリリース
-
ゲットイット、500万人が被災したバングラデシュ洪水を緊急支援。同国出身社員を含む有志で寄付を発案・実現
2024年9月17日 11時
-
ゲットイット、NTTコミュニケーションズ、NPO法人D×Pと共同で困窮若年層にPCを寄贈。教育機会の拡大を目指す
2024年8月20日 10時
-
電子ごみ問題にアート購入で取りくむ ゲットイット、年間売上1%目標の「未来費」で長坂真護作品3点を購入・設置
2024年6月13日 12時
-
ゲットイット、ITハードウェア業界として国内初(※1)となるサステナビリティ・リンク・ローンを、三菱UFJ銀行をアレンジャーとしたシンジケーション方式で組成
2024年3月15日 0時
株式会社ゲットイットの
関連プレスリリースをもっと見る