コロナ禍に見た「インディーズ系アーティストの大躍進」、音楽業界の現状と今後の課題
コロナ禍の影響により、音楽業界が大きな変化を迎えている。 ストリーミングの普及による視聴習慣の変化だけでなく、外出自粛などの影響でフェスが中止されライブも行えなくなるなど、去年までの常識が通用しなくなっているのが今年の音楽業界である。 そんな激動の音楽業界がどのような状況に直面しているのか、アーティストはこの変化をどう乗り切るべきなのか。今回はそのヒントを、音楽プロデューサーであるoffice francのRyugen(副田信隆)さんにお伺いする。
――まずは、このコロナ禍で音楽業界がどう変化しているのかお伺いしたいです。
ひとつはインディーズ系アーティストの大躍進だと思います。
去年から瑛人、YOASOBI、Rin音など、いわゆるインディーズ系のアーティストがどんどんテレビ出演するようになりましたよね。
――何が起こっているんでしょうか?
もともと彼らはTikTokやSNSで話題を集め、ストリーミングで聴かれるようになり、その後Billboardのチャートで上位を取って、そこからテレビなどのマスメディアに取り上げられるようになりました。
じゃあ、なぜインディーズ系の彼らがBillboard(以降も)の上位を取れたのかというと、一つの要因としてコロナ禍の間、メジャーレーベルはCD店舗が休店している間にCDの発売を延期していたということがあります。
ビルボードのチャートはCD売上、カラオケでのリクエスト数、SNSでのシェア数、ストリーミング再生数など様々な指標を総合的にして決めています。
メジャーレーベルがCDを出さず、カラオケ店やレンタルショップも閉まっていたので、ネットで人気のあったインディーズ系アーティストでも、ストリーミングやSNSが人気だったことで上位にでも、ストリーミングで聴かれSNSの指標も加味され、上位に食い込めたんですね。ここだけ見ると、かなり良いことだったと思います。
――メジャーレーベルが停止している間も、活動を止めなかったインディーズ系のアーティストがチャンスを掴めたということですね。海外の方ではどういう傾向があったんでしょうか?
海外では旧譜(昔の曲)が今年に入ってかなり再生されていますね。
この理由はまだはっきりとしていませんが、ライブに行けない、フェスにも行けないという中で「数年前にフェスで盛り上がったあの曲を聞きたい」といったファンが多いのではないかと思っています。
――昔の曲を聞くことで、ライブやフェスの楽しい思い出を追体験しているファンが多いということでしょうか?
そうですね。今年の新曲ではそういう「曲を聞くたびに楽しかった記憶を思い出す、ポジティブな記憶を定着させていく」といった体験を付け加えるのがすごく難しいので、現場でも苦労している点です。
普段だと新曲を出して、ライブハウスで聞いてもらって、フェスで盛り上がって、カラオケでも歌ってもらって……と体験を積み重ねていけるんですが、それが出来ないので新曲を好きになってもらうのがなかなか難しいんですね。
――なるほど。コロナ禍の中で良い点も悪い点も含めて大きく音楽業界が変化していることがわかります。
オンラインライブは準備や配信後の誘導が大事。
――今年急増したものとしてオンラインライブがありますが、これについてはいかがでしょうか?
やはり大物アーティストビジネス化できそうですが、中堅クラスのアーティストさんですと集客ふくめ収益が難しいですよね。それから、どういう配信をすればよいのかがまだ確立されていないという印象です。
単にライブを観てもらうだけじゃなくて、セットリストをプレイリストにまとめる、YouTubeの過去のライブ動画を案内する、ライブのDVDを宣伝するなど「次のアクションにきちんと誘導する」ことを意識する必要があると思いますね。
――ファンが「ライブを観て終わり」にならないようにする必要があるんですね。
そうですね。これ以上ないエンゲージポイント(ファンとの接点)なわけですから。せっかくポジティブな気持ちを持ってもらったのに、ここで終わりにしたくないですよね。
あとは、YouTube配信の場合は実際の演奏前から配信をオンにしておいた方がいいと思います。
配信をオンにしておくとファンがチャット出来るようになるので、ここでファンの皆が「今日は楽しみだよね」って書き込んだりできるようになるんですね。
そこに公式スタッフが今後のお知らせや告知情報とかをどんどん書いていくだけでかなり良い宣伝になると思います。
――なるほど、具体的で参考になります!
ストリーミング配信による音楽への影響は?
ん?
――コロナの影響でストリーミング配信にも変化はあるんでしょうか?
難しい質問ですね(笑)。結論から言うとコロナ禍の間もストリーミングは伸びていますが、そもそも日本はストリーミングが伸びているんです。だから、これがコロナ禍の影響かどうかは説明しづらい部分はあります。
――コロナ禍に限らず、ストリーミングが伸びたことで起きている音楽の変化などはありますか?
ストリーミングの影響でよく言われるのは「曲の早めにサビが来るようになった」ということですね。ストリーミングでスキップされないように、最初の30秒ぐらいのところにいいパートを持ってくる傾向があります。ただそれはトレンドなのでそこを意識しすぎて曲作り(クリエイティブ)を変える必要性はないと思いますが、トレンドとしてはあります。
あとは、アーティストとフィーチャリングでコラボするとき、早めにコラボのアーティストの歌い出しが出てくることが増えましたね。
昔は後半に出てくることが多かったんですけど、これもストリーミングの普及による変化だと思います。
――曲だけでなく、タイトルなどにも変化はあるのでしょうか?
いろいろとありますが、大きい変化はストリーミングのおかげで全世界に配信できるようになったという点ですね。
「楽曲のマルチランゲージ」という問題なんですけど、英語圏で売れたいと考えているアーティストは曲名をちゃんと英語でも設定しておく必要があります。
BTSなどはこのあたりがうまくて、昔の曲はすべてハングルなのに、途中からはすべて英語に変えています。しかも随分早い段階からです。つまりその時から世界進出を考えていたんでしょうね。
それから、海外に同じ名前のアーティストや曲名があると、検索してもたどり着いてもらえないという問題もあります。アーティスト名はあとから変えられないので、きちんと調べてから決める必要がありますね。
――アーティスト名や曲名を決めるにもデジタルリテラシーが求められるようになっているんですね。ストリーミングではサービスごとの違いもあるのでしょうか?
もちろんありますね。サービスごとに流行っているものも微妙に違っていたりします。
――アーティストとしては、自分の曲が合うストリーミングを選んで配信するべきなんでしょうか?
全部に出した方がいいですね。その方が収益にもなります。Spotify、Apple Music、YouTube、LINE MUSICなど選ばず出した方がいいと思います。
ーー最後にインディーズアーティストが自力でできる宣伝方法などあれば教えて頂けますか?
インディーズに限らずですが、「どうやったら新しい人に自分たちの存在を知ってもらえるか」、「どうやったら新しい人に自分たちの音楽を聴いてもらえるか」というのは、音楽活動をしている者たちの永遠のテーマです。
個人的にオススメしたいのは、、
・YouTubeにカバーをアップする
・インパクトのあるMVをYouTubeにアップする
・「nana」など音楽コミュニティアプリを使う
・他のアーティストやクリエイターとコラボする
・適度に格上のアーティストと対バンする
以上の事を踏まえて意識して活動してみてください。
お金を掛けずに今出来る事は沢山あります。
この記事を見てくれている皆さんの活動が上手くいく様に願っています。
ーー本日は貴重なお話を沢山聞かせて頂きまして、ありがとうございました。
ありがとうございました。
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企業名 | Japan Media Place |
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代表者名 | 田口大輔 |
業種 | エンタテインメント・音楽関連 |
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