連合調べ 面接官による不適切発言事例多数 「恋人はいる?」「家族の職業は?」「身長低いな」「太ってるね」

日本労働組合総連合会(略称:連合、所在地:東京都千代田区、会長:神津 里季生)は、採用選考における就職差別の実態を把握するため、「就職差別に関する調査」を2019年4月5日~4月10日の6日間でインターネットリサーチにより実施し、最近3年以内に就職のための採用試験(新卒採用試験、または中途採用試験)を受けた、全国の18歳~29歳の男女1,000名の有効サンプルを集計しました。(調査協力機関:ネットエイジア株式会社)

[調査結果]

≪採用試験の応募について≫

◆「採用選考で会社独自の履歴書を提出するように求められた」大卒者等の58%

 

最近3年以内に就職のための採用試験(新卒採用試験、または中途採用試験)を受けた、全国の18歳~29歳の男女1,000名(全回答者)に、採用試験について質問を行いました。

 

採用選考に当たっては、応募者の人権を尊重すること、応募者の適性や能力のみを基準として行うことが原則とされています。適性や能力と関係がないことを採用基準とすると、就職差別につながるおそれがあります。

 

適性や能力のみを基準とした採用選考を行うために、応募用紙については、高等学校卒の採用試験の場合は《全国高等学校統一用紙》を使用するよう定められています。

最終学歴が高等学校の人(143名)に、採用試験に際し、《全国高等学校統一用紙》ではない応募用紙を提出するように求められたことがあるか聞いたところ、「ある」と回答した人の割合は32.2%となりました。

 

また、大学卒や専門学校卒などの採用試験の場合は《JIS規格の様式例に基づいた履歴書》を使用することが推奨されており、事業主が独自に応募用紙やエントリーシートの項目・様式を設定する場合は、適性や能力に関係のない事項を含めないよう留意するべきとされています。

 

最終学歴が四年制大学・大学院・専門学校・短期大学の人(846名)に、大学等から指定された履歴書または《JIS規格履歴書》ではない会社独自の履歴書を提出するように求められたことがあるか聞いたところ、「ある」と回答した人の割合は58.0%となりました。

 

◆「採用選考で戸籍謄(抄)本の提出を求められた」19%

◆「採用選考で健康診断書の提出を求められた」49%

 

次に、全回答者(1,000名)に、採用試験に際し、戸籍謄(抄)本の提出を求められたことがあるか聞いたところ、「ある」と回答した人の割合は19.4%となりました。

また、採用決定前に健康診断書の提出を求められたことがあるか聞いたところ、「ある」と回答した人の割合は48.6%となりました。

職業安定法では、社会的差別の原因となるおそれのある個人情報などの収集が原則として禁止されています。採用選考時に戸籍謄(抄)本の提出を求めることや、合理的な理由なく一律的に健康診断書の提出を求めることは認められていません。しかし、応募者に対して、これらの書類の提出を求めているケースがあるようです。

 

◆「応募書類やエントリーシートで『本籍地や出生地』の記入を求められた」56%

 

続いて、全回答者(1,000名)に、採用試験に際し、応募書類やエントリーシート(インターネットの応募画面での入力を含む)で記入を求められた内容について聞きました。

記入を求められた人の割合をみると、「性別」(91.2%)は大多数の人が記入を求められた経験があることがわかりました。また、「本籍地や出生地」(56.4%)は、全体の過半数が記入を求められたと回答しました。

そのほか、「家族構成」(35.9%)や「住居や資産状況」(21.8%)、「自宅付近の略図や居住環境」(19.9%)、「家族の職業・収入」(15.8%)、「尊敬する人物」(12.3%)についても、記入を求められているケースが少なくないようです。

また、「労働組合や市民活動についての見解や加入経験」(7.2%)や「思想信条」(6.5%)、「支持政党」(4.0%)、「宗教」(3.6%)といった、当人の思想を推し量りうるような内容の記入を求められたという人もみられました。

 

これらの内容は、いずれも応募者の適性や能力に関係がない個人情報です。そのため、採用活動時に収集してはならない情報とされています。しかし、実際の採用試験では、こうした情報の収集が行われていることが明らかになりました。

 

≪採用試験の面接について≫

◆面接で個人情報を質問された経験率 「家族構成」39%、「本籍地や出生地」32%

 

全回答者(1,000名)に、採用試験の面接で質問することは不適切だとされる内容を提示し、面接で質問されことがあるものを聞きました。

質問されたことがある人の割合をみると、最も高かったのは「転勤ができるかどうか」(42.3%)で、次いで、「家族構成」(39.1%)、「残業や休日出勤ができるかどうか」(34.7%)、「本籍地や出生地」(31.6%)、「性別」と「尊敬する人物」(どちらも18.9%)となりました。そのほか、「婚姻状況(未婚・既婚)」(16.5%)や「結婚後や出産後の継続就労希望の有無」(14.2%)、「結婚の予定」(11.5%)といった結婚・出産に関する内容を聞かれたという人もみられました。また、「性自認への違和感の有無」(3.3%)や「性的指向の確認」(3.1%)、「支持政党」(2.9%)、「宗教」(2.7%)といった、適性や能力と全く関係のないような内容を聞かれたという人がいる実態が明らかになりました。

面接においては、適性や能力に直接関係のないような質問をしないよう留意すべきとされています。しかし、このことを適切に認識していない事業者が少なくないようです。

 

◆“面接官が聞いてはいけない質問”についての認識率 「宗教」は67%、「尊敬する人物」は僅か13%

 

全回答者(1,000名)に、複数の内容を提示し、面接官が聞いてはいけない質問だと思うものを聞いたところ、「宗教」(66.5%)が最も高く、次いで、「支持政党」(61.9%)、「家族の職業・収入」(52.6%)となりました。他方、最も低かったのは「尊敬する人物」(12.9%)でした。どのような人物を尊敬しているのかといったことは、適性や能力に関係のない質問であり、採用試験の面接で質問することは不適切だとされます。

提示した内容は、すべて面接官が聞いてはいけない質問内容ですが、認識率に差がありました。

 

◆“面接官が聞いてはいけない質問”についての認知経路 「インターネットでみた」35%

 

面接官が聞いてはいけない質問を1つでも知っていた人(842名)に、面接官が聞いてはいけない質問のことをどのようにして知ったか聞いたところ、「インターネットでみた」(35.0%)が最も高く、次いで、「学校で教えてもらった」(29.9%)、「テレビでみた」(16.9%)となりました。若者にとって、インターネットが就職活動をするうえでの主な情報源になっていることがうかがえます。

最終学歴別にみると、高等学校や専門学校・短期大学の人では「学校で教えてもらった」(39.8%)が最も高くなりました。高等学校や専門学校・短期大学を卒業した後に就職活動をした人では、学校からのアドバイスが情報源になっていたという人が多いようです。

 

◆「採用試験の面接で不適切な質問や発言をされた」15%

◆面接官による不適切発言事例多数 「恋人はいる?」「家族の職業は?」「身長低いな」「太ってるね」

 

全回答者(1,000名)に、採用試験の面接で、不適切だと思う質問や発言をされたことがあるか聞いたところ、「ある」と回答した人の割合は14.5%となりました。

 

不適切だと思う質問や発言をされたことがある人(145名)に、どのような内容だったか自由回答形式で聞いたところ、「『女性だから出産や育児で抜けるのだろう』と言われた。私は子どもを産むつもりはないので、女性の生き方を一律に決めつける態度に辟易した(20歳女性)」や「『恋人はいる?どれくらい恋人がいない?』など、プライベートに踏み込んだ質問をされたことがある(29歳男性)」など、恋愛・結婚に関する内容が多く挙げられました。また、「家族の職業を聞かれ、『全く違う業種なのに、あなたはなぜうちを受けたのか』と言われた(25歳女性)」など家族に関する内容や、「『身長低いな』と言われた」(23歳男性)、「『太ってるね』と言われた」(21歳女性)など、外見に関する内容が多くみられました。

適性や能力に関係のない質問や発言に加え、明らかな差別発言が行われている例があるようです。

 

不適切だと思う質問や発言をされたことがある人(145名)に、不適切だと思われる質問・発言があったのは、どの業種の採用試験を受けているときか聞いたところ、「サービス・一般(外食、観光、ホテル、その他)」(17.9%)が最も高く、次いで、「製造業・金属(鉄鋼、造船、自動車、非鉄、金属機械、一般機械、電機機械、輸送機械、精密機械)」(16.6%)、「金融・保険・不動産」(13.1%)となりました。

 

≪就職活動全般について≫

◆「就活で学歴フィルターを感じたことがある」40%

 

事業者が、応募者を出身学校名によって振り分け、採用選考の対象とするかどうか決めることは《学歴フィルター》と呼ばれています。たとえば、特定の大学の学生しか説明会(セミナー)に参加できないといったことがあてはまります。

全回答者(1,000名)に、就職活動をしていて、いわゆる《学歴フィルター》を感じたことがあるか聞いたところ、「ある」と回答した人の割合は40.2%となりました。

男女別にみると、「ある」と回答した人の割合は男性44.4%、女性36.0%となりました。女性と比べて男性のほうが、学歴フィルターを実感した経験がある人が多いことがわかりました。

最終学歴別にみると、「ある」と回答した人の割合は高等学校では25.2%、専門学校・短期大学では18.9%、四年制大学・大学院では46.4%となりました。最終学歴が大学・大学院の人には、学校名が採用に影響していると感じた人が多いようです。

 

◆「就活で男女差別を感じたことがある」28%

◆就活で感じた男女差別 最多回答は「男女で採用予定人数が異なっていた」

 

全回答者(1,000名)に、就職活動をしていて、男女差別を感じたことはあるか聞いたところ、「ある」と回答した人の割合は28.3%となりました。

 

男女差別を感じたことがある人(283名)に、どのようなことで差別を感じたか聞いたところ、「採用予定人数が男女で異なっていた」(43.8%)が最も高く、次いで、「男女で採用職種が異なっていた(男性は総合職、女性は一般職など)」(42.4%)、「男性のみ、または女性のみの募集だった」(39.9%)となりました。

男女雇用機会均等法によって、労働者の募集および採用に係る、性別を理由とする差別は禁止されています。しかし、募集条件が男女差別的だと感じた経験がある人は少なくないようです。



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