マーサー「役員報酬サーベイ - Mercer Executive Remuneration Guides 2016」結果を発表

1.参加企業数は過去最多の264社(前年比82社増加) 2.社長の「総直接報酬水準」(基本報酬+短期インセンティブ+中長期インセンティブ)の中央値は、日系企業で8,304万円、外資系企業の日本法人で4,727万円 3.ポジションクラス(役割の大きさ)で比較すると、同程度の役割の大きさの場合、外資系企業の方が日系企業よりも高い水準にある 4.報酬決定ポリシー 「あり」 と回答した企業が約60%、うち多くの企業がベンチマーク企業群における50%ileを自社の報酬水準のターゲットとして設定 5.日系企業は「役位」を基準に報酬水準を決定、一方、外資系企業では「職務」や「役割」を基準に報酬水準を設定 6.日系企業の中長期インセンティブ導入率が約50%にまで到達。採用しているビークルとしてはストックオプションや株式報酬型ストックオプションが多いが、自社株信託スキームを採用している企業も見受けられる

世界最大級の人事・組織コンサルティング会社マーサーの日本法人であるマーサージャパン株式会社は、日本における役員報酬に関する市場調査「Mercer Executive Remuneration Guides (以下MERG) 」の2016年版レポートを発表した。

 

マーサージャパン組織・人事変革コンサルティング部門:役員報酬プラクティス担当の亀長尚尋は 「今年に入ってからも、スチュワードシップ・コード改定案の発表、経営リーダー人材の戦略的育成についてのガイドライン発表、中長期インセンティブに係る税制面の整備等、持続的な企業価値の向上にむけた改革が進んでいる。本サーベイにおいても多くの企業に参加頂いており、政府の方針や市場の動向に対する関心の高さを表していると考えられる」と述べている。

 

近年、日本企業では、中長期インセンティブの導入が進んでいる。同プラクティス担当の栄立土志は、「中長期インセンティブは、"成長戦略実現に向けたドライバー(駆動力)"や"役員のアトラクション(惹きつけ)&リテンション(引き留め)"等、様々な目的に応じてビークルを選択・設計する必要がある一方で、これまでは選択肢が限定されており、企業の目指すべきことと、中長期インセンティブの特徴が一致しておらず、十分に機能していないケースも見受けられた。平成28年度税制改正における譲渡制限付株式の解禁や、平成29年度税制改正における税制面の整備は、中長期インセンティブの将来的な選択肢拡大をもたらしており、自社の方向性・戦略に沿ったビークルを再検討する企業も増えている。そのためには、環境整備の行方や市場の動向を、これまで以上に注視していく必要がある」と述べている。

 

【調査結果ハイライト】

1.参加企業数は過去最多の264社(前年比82社増加)

2.社長の「総直接報酬水準」(基本報酬+短期インセンティブ+中長期インセンティブ)の中央値は、日系企業で8,304万円、外資系企業の日本法人で4,727万円

3.ポジションクラス(役割の大きさ)で比較すると、同程度の役割の大きさの場合、外資系企業の方が日系企業よりも高い水準にある

4.報酬決定ポリシー 「あり」 と回答した企業が約60%、うち多くの企業がベンチマーク企業群における50%ileを自社の報酬水準のターゲットとして設定

5.日系企業は「役位」を基準に報酬水準を決定、一方、外資系企業では「職務」や「役割」を基準に報酬水準を設定

6.日系企業の中長期インセンティブ導入率が約50%にまで到達。採用しているビークルとしてはストックオプションや株式報酬型ストックオプションが多いが、自社株信託スキームを採用している企業も見受けられる

7.日系参加企業の64%が譲渡制限付株式報酬の「導入を検討中」と回答。一方、「導入しないことを決定」した企業が5%あり、税制面での動向を見極めている状況と推察

8.日系参加企業における任意設置の諮問委員会(報酬・指名)の設置状況は、報酬委員会が54%、指名委員会は43%となっており、ますます一般的になりつつある

 

【マーサー役員報酬サーベイ(MERG)について】

•ヨーロッパで500社以上の参加企業を持つ20年以上の実績のある役員報酬サーベイであり、日本では2013年から調査を開始

•役員報酬に必要なデータ (基本報酬・手当・短期インセンティブ・中長期インセンティブほか)を網羅的に提供

•本調査はグローバル統一基準で設定されている調査項目に加え、日本独自の質問項目(任意の諮問委員会の設置状況、中長期インセンティブの動向、サクセッションプランの実施状況等)も設け、グローバル多国籍企業の報酬マネジメント、日本特有の役位等いずれにも対応

•役位ベースでの比較に加えて、職務(CEO, CFOなど)や、役割の大きさを反映したグローバル共通のジョブザイズ(PC: Position Class)を用いた比較も可能

 

【参加企業概要】

Chart 1 参加企業の産業区分

Chart 2 参加企業の日系・外資系区分

Chart 3 参加企業の売上高区分

Chart 4 参加企業の従業員数区分

 

1. 報酬水準

•全参加企業における社長の「総直接報酬」(基本報酬+短期インセンティブ+中長期インセンティブ)の中央値は8,304万円

日本企業の役員の総直接報酬は、近年一貫して上昇傾向にあるといえる。しかし海外に目を転じると、依然諸外国より低い水準にあることが分かる。今後、グローバル経営を志向する多くの日本企業にとっては、グローバルでの優秀な経営人材の獲得・リテンションを妨げないよう、グローバルで一定の競争力を有する報酬水準を実現していくことが求められる。

Chart 5 報酬水準中央値 (全参加企業 | 役位別 | 日系・外資系区分別)

Chart 6 総直接報酬水準中央値 (ポジションクラス別| 日系・外資系区分別)

Chart 7 各国の総直接報酬中央値 (グローバル比較)

 

2. 報酬ポリシーの有無、ターゲット水準

•日系企業で報酬ポリシーを定めているのは約60%弱

•「報酬ポリシーあり」の企業の多くが、ベンチマーク対象企業群における50%ile(中央値)をターゲットに設定

報酬決定プロセスの透明性に対する要請が強まる中で、日系の上場企業においても、未だ報酬水準ポリシーを明確に定めていない企業が一定数残っていることがうかがえる。コーポレートガバナンス・コードへの消極的な"エクスプレイン(説明)"に対する株主・投資家の目は厳しさを増す一方であり、早急な対応が求められる

Chart 8 報酬ターゲット水準ポリシー

 

3. 報酬決定要素

•報酬決定の要素として、多くの日系企業では「役位」を重視している一方で、外資系企業では役員の担当している「職務」の内容や「役割の大きさ」に応じて報酬額が決定されている

「役位」を報酬決定要素とする場合、社内における序列や位置づけを報酬に連動させることができる一方で、他社比較という面では

1.報酬水準の比較対象企業が必ずしも同じ基準で役位を用いているわけではないこと

2.同一企業内においても、役位がジョブサイズ(役割の大きさ)の序列と必ずしも一致していないこと

の2つの理由から必ずしも適切ではない、という課題がある。今後日本企業でも、社外人材の登用やグローバルでの報酬ガバナンスを考慮した場合、「職務」や「役割の大きさ」を軸とした報酬水準設定が必要になると思われる。

Chart 9 報酬決定要素

 

4. 中長期インセンティブの導入状況と採用しているビークル

•中長期インセンティブの導入割合は、日系企業で48%、外資系企業では82%

株主との利害共有や中長期的な企業価値向上を目的とした、役員へのインセンティブ付与の観点から、中長期インセンティブの導入・拡大に対する社会的な要請が強くなっており、導入率は今後さらに高まっていくことが予想される

Chart 10 中長期インセンティブ導入率

 

•中長期インセンティブとして採用しているビークルとしては、通常型ストックオプション(30%)、株式報酬型ストックオプション(48%)、自社株信託スキーム(14%)が一般的。自社株信託スキームは、中長期インセンティブに業績達成条件を付加することができることが特長である

昨今の税制改正の議論における譲渡制限付株式の導入促進の流れを受け、今後、株式報酬型ストックオプションや自社株信託スキーム等、日本企業独自のLTIビークルを見直す動きが活発となる可能性がある

Chart 11 中長期インセンティブの採用プラン

 

•日系参加企業の64%が、譲渡制限付株式の導入を検討している。その一方で、「導入しないことを決定」した企業も5%確認できる

中長期インセンティブの新たなビークルとして認知・期待されている一方で、損金算入要件など、先行きが不透明な点を考慮し、各社は"様子見"の段階にあると考えられる

Chart 12 譲渡制限付株式の導入検討状況

 

5. 任意設置の諮問委員会設置状況

•報酬委員会を設置している企業は54%、指名委員会を設置している企業は43%(いずれも任意設置のみ)

マーサージャパンの調査時点では半数程度に留まっているものの、2016年12月に実施された東京証券取引所の調査では、補充原則4-10(1):指名・報酬等の検討における独立社外取締役の関与・助言(例:独立社外取締役を主な構成員とする任意の諮問委員会の設置)に対して、約75%が"comply(遵守)"しており、諮問委員会の設置は一般的になりつつある。

日本企業においても諮問委員会の設置はプラクティスとしてスタンダードになりつつあるといえるが、形式要件を整えるだけでは十分ではなく、諮問委員会の目的を定め、いかに活用していくかを十分に検討するなどして、実効性のあるガバナンス体制を構築することが今後の日本企業の課題となる

Chart 13 諮問委員会 (報酬・指名) の設置状況

 

マーサー役員報酬サーベイサマリーレポート (Mercer Executive Remuneration Guides 2016)

無料サマリーレポートを下記リンクからダウンロードいただけます

https://goo.gl/r0Bcbc

 

役員報酬サーベイ(MERG) | マーサージャパン

https://goo.gl/N3mNI9

 

コーポレート・ガバナンス/役員報酬の見直し - 組織・人事変革コンサルティング

https://goo.gl/lI3qbh

 

役員報酬サーベイ説明会 (2017年7月5日、7月11日開催)

https://goo.gl/H6w7Qy

 

プレスリリース全文(Chart含む):

https://goo.gl/P0Bh66

 

<マーサーについて>

マーサー(英語社名:Mercer、本社: ニューヨーク、社長兼CEO:Julio A. Portalatin) は、組織・人事、福利厚生、年金、資産運用分野でサービスを提供するグローバル・コンサルティング・ファームです。

全世界約21,000名のスタッフが40カ国以上約180都市の拠点をベースに、130カ国以上で、28,000超のクライアント企業のパートナーとして多様な課題に取り組み、最適なソリューションを総合的に提供しています。

日本においては、35年余の豊富な実績とグローバル・ネットワークを活かし、あらゆる業種の企業・公共団体に対するサービス提供を行っています。組織変革、人事制度構築、福利厚生・退職給付制度構築、M&Aアドバイザリー・サービス、グローバル人材マネジメント基盤構築、給与データサービス、年金数理、資産運用に関するサポートなど、「人・組織」を基盤とした幅広いコンサルティング・サービスを提供しています。

マーサーは、ニューヨーク、シカゴ、ロンドン証券取引所に上場している、マーシュ・アンド・マクレナン・カンパニーズ(証券コード: MMC)グループの一員です。 マーサーについての詳細は、以下をご参照ください:

マーサー ジャパン https://www.mercer.co.jp

Mercer(Global) https://www.mercer.com

 

<マーシュ・アンド・マクレナン・カンパニーズについて>

マーシュ・アンド・マクレナン・カンパニーズ(ニューヨーク証券取引所コード: MMC)は、グローバルプロフェッショナルサービスを提供する企業グループとして、顧客企業にリスク、戦略、人材分野の助言とソリューションを提供しています。

マーシュ・アンド・マクレナン・カンパニーズはマーシュ(保険仲介とリスクマネジメント)、ガイカーペンター(再保険仲介・コンサルティング)、マーサー(組織・人事マネジメント・コンサルティング)、そしてオリバーワイマン(戦略コンサルティング)から構成されており、年間総収入130億米ドル超、全世界に60,000名の従業員を擁し、130ヶ国以上で顧客に分析、アドバイスを行い、各種取引を支援しています。

当グループは責任ある企業市民として事業展開しているコミュニティに貢献しています。詳しい企業情報については http://www.mmc.com、今日企業が直面する課題に取り組む当グループの国際的な実務能力とソリューションについては http://www.PartneringImpact.com をご覧ください。

 

<本件に関するお問い合わせ>

マーサー ジャパン株式会社

広報

小原 香恋 Karen Ohara

Tel: 03 5354 1674 pr.japan@mercer.com

 

組織・人事変革コンサルティング部門 役員報酬プラクティス

Tel: 03 5354 1540 hcas.japan@mercer.com

https://www.mercer.co.jp/about-mercer/lines-of-business/talent.html



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企業情報

企業名 マーサージャパン株式会社
代表者名 鴨居 達哉
業種 その他サービス

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