オフィスビルのダウンタイム(空室期間)調査を実施。空室は何日程度で埋まるのか?

オフィスビルにおける貸室の空室期間「ダウンタイム」調査を実施。東京23区は約3.3ヶ月との結果に。

商業用不動産の研究調査を行うザイマックス不動産総合研究所では、オフィスビルにおけるダウンタイム(空室期間)の実態調査を行いました。
2012年度に入居が決まった区画において、前テナントの契約が終了した後、新規契約が開始するまで何日かかったのかを調査し、ダウンタイムの特徴を明らかにしています。
※ザイマックスのリリース
http://www.xymax.co.jp/news/release/2014_01_06.html

■主な調査結果
 1.2012年度中に契約が開始した区画のダウンタイム
    東京23区 :  98.5日(約3.3ヶ月)
    その他地域: 196.0日(約6.5ヶ月)
    東京23区のうち、都心5区は「90.5日(約3.0ヶ月)」、5区以外は「121.5日(約4.0ヶ月)」
 2.東京23区においてダウンタイム「0(なし)」は約17%、
    また、約5割の区画においてダウンタイムは「3ヶ月以内」
 3.ダウンタイムの特徴
   ・新耐震ビルは旧耐震ビルと比較してダウンタイムが短い
   ・契約面積の大小とダウンタイムの長短には特に関連性は認められない

■ダウンタイム調査概要
図表1は、ダウンタイム調査の算出方法を表したものです。調査対象はザイマックスグループが運営する全国のオフィスビルにおいて、2012年度内に新規入居が開始した区画で、2012年度末時点で空室のものは含まれていません。
同一の区画に直近で入居していたテナントの契約をさかのぼって調査し、空室期間(前契約の契約終了日と最新契約の契約開始日の間の日数)を算出しました。
対象となる事例は360件で、そのうち東京23区は164件。本調査ではそれらの中央値を採用したものをダウンタイムとしています。
図表1:2012年度のダウンタイム算出方法
http://www.xymax.co.jp/news/release/images/2013_12_25_02/img_01.png

※ダウンタイムとは
ダウンタイム(空室期間)とは、前テナントとの契約が終了してから、新しいテナントが見つかって契約が開始するまでの期間のことで、賃貸借契約の空白期間です。空室期間中は貸し手にとって賃料収入がない期間と言えます。
ザイマックス不動産総合研究所では、この期間の実態を把握することは、不動産投資や不動産鑑定において、収益性や価値を考える上で重要な指標となると考え、今回の調査を行いました。
なお、契約開始後も当初数ヶ月はフリーレントが付与されるケースもあり、その場合の未収入期間は、ダウンタイムとフリーレントを合計した期間となります。また、通常、オフィスの場合には、解約予告が6ヶ月前に提出され、その後、準備期間を経て募集されることとなるため、次のテナントが決まるまでのマーケティング期間は、募集を開始してから成約までの期間です。

※フリーレント期間は、新規契約開始後のものであるため、今回の調査ではダウンタイムに含んでいません。なお、各区画のダウンタイムはばらつきが大きいため、本調査では中央値を用いて調査しています。

※中央値と平均値
図表2は2012年度におけるダウンタイム(全国)の分布を表したものですが、データの7割が「1年以内」に偏っている一方で、長いものは「3年」「4年」となっています。平均値はこれらダウンタイムの長いデータによって引き上げられてます。そのため、本調査では中央値を用いてダウンタイムの実態を捉えました。
図表2:2012年度におけるダウンタイムの分布(全国)
http://www.xymax.co.jp/news/release/images/2013_12_25_02/img_02.png

■東京23区のダウンタイムは98.5日(約3.3ヶ月)
図表3(添付資料1参照)は、2012年度中に契約が決まった区画における全国のダウンタイムを調査した結果です。地域別に見ると、東京23区は中央値が98.5日(約3.3ヶ月)、その他の地域では196日(約6.5ヶ月)となりました。
分布を見ると、東京23区では16.5%の区画においてダウンタイムが「なし」、つまり前テナントの契約終了前までに次のテナントが決まっていることがわかります。
また、ダウンタイムが発生している場合でも、32.9%の区画は3ヶ月以内に次の契約が開始しています。合計すると、東京23区では約半数の区画において、空室が比較的短期間のうちに解消されていることがわかります。

■立地によるダウンタイムの違い-都心5区/5区以外-
東京23区では、約半数の区画で空室が3ヶ月以内に解消されていることがわかる反面で、東京23区以外の地域においては、ダウンタイムが長期に渡るケースもみられ、地域差が認められました。
図表4(添付資料2参照)では、東京23区のオフィスビルを都心5区/5区以外に分類して比較しています。都心5区のダウンタイムは90.5日(約3.0ヶ月)と、5区以外の121.5日(約4.0ヶ月)より短い結果となりました。

■新旧の耐震ビルにおけるダウンタイムの違い
図表5は、東京23区にある対象のオフィスビルを、竣工年より新耐震基準/旧耐震基準に分類して比較を行った結果です。
ダウンタイムが1年以内であった事例は新耐震ビルである割合が高く、逆に1年を超えるものについては、旧耐震ビルである割合が高いことがわかります。新耐震ビルは旧耐震ビルに比べて、空室が早期に解消されており、耐震性能オフィス選びに影響を与えていることがデータからもわかります。
図表5:新耐震、旧耐震(東京23区/2012年度)
http://www.xymax.co.jp/news/release/images/2013_12_25_02/img_03.png

■オフィスの広さとダウンタイムの関連性
契約区画の賃貸借面積とダウンタイムには何らかの傾向があるのか?図表6の散布図はその関係を表したものです。契約面積の大小とダウンタイムの長短には、特に目立った関連性が認められませんでした。
図表6:契約面積とダウンタイム(東京23区/2012年度)
http://www.xymax.co.jp/news/release/images/2013_12_25_02/img_04.png


今回の調査からは、地域間の差異や耐震ビルの新旧が、ダウンタイムにどのように表れるのかを見ました。
ザイマックス不動産総合研究所では、引き続きダウンタイムに関する発展的調査を継続し、不動産マーケットを多面的に把握するためのデータを提供し続けて参りたいと考えています。


【会社情報】
■社名:株式会社ザイマックス不動産総合研究所
■代表取締役:吉本 健二
■所在地:東京都港区赤坂1丁目1番1号 ザイマックス赤坂111ビル
■主な株主:株式会社ザイマックス(100%出資)
■設立:2001年5月16日(平成13年)
■事業内容:
(1) オフィスビル・商業施設等の不動産における管理運営保全等に関する総合的な企画、調査、研究,開発業務
(2) 不動産の管理運営保全等に関するシステムサービスおよびデータベースサービスの提供業務
(3) 建築物・建築設備・建築物の環境・建築物の管理運営保全業務等の診断、検査、測定、分析業務
(4)賃貸用不動産市場に関する調査・分析・研究の実施および受託
(5)賃貸用不動産運営に関する分析・研究の実施および受託
(6)賃貸用不動産に関する情報提供サービス業務

企業情報

企業名 株式会社ザイマックス
代表者名 吉本健二
業種 不動産

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