イー・キャッシュ子会社、ロハス・インスティチュート理事である 福岡伸一氏(青山学院大学教授)のGP2機能解明に関する研究論文が科学誌「Nature」に掲載決定

株式会社ロハス・インスティチュート理事の福岡伸一氏および共同研究チームが、同氏が発見したGP2の機能解明に成功し、当該研究論文が科学誌「Nature(11月12日号)」に掲載されました

イー・キャッシュ株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:玉木 栄三郎)の子会社である株式会社ロハス・インスティチュート(本社:東京都中央区、代表取締役社長:小黒 一三)において、理事を務める福岡伸一氏(分子生物学者 青山学院大学教授)および共同研究チームは、同氏が発見したGP2の機能解明に成功しました。また、その成果は、従来困難とされてきた経口ワクチン開発に道を開く非常に有益なものであると評価され、当該研究論文が科学誌「Nature(11月12日号)」に掲載されましたのでお知らせします。

 ・論文記事
http://www.nature.com/nature/journal/v462/n7270/full/nature08529.html

■GP2機能研究の背景と意義
GP2はGlycoProtein2の略で、1990年に福岡氏により、膵臓組織内に発現する分子として発見されたタンパク一種です。ただ、その生体内で果たす機能については未知のままでした。その後、同氏を含め、世界中の研究チームが、同氏の開発したGP2遺伝子ノックアウトマウスを利用し、GP2の機能研究を行っており、本研究により、小腸内GP2において、大腸菌やサルモネラ菌と結合し、免疫系に抗原として提示するという機能が解明されました。また、新たに見つかった機能およびそのメカニズムは、従来困難とされてきた経口ワクチンの開発に道を開く可能性があり、その有益性が世界的に評価されています。

■GP2の発見の意味
人間を含む多細胞生物の体は、機能の異なる無数の細胞により構成されており、それらが緻密に連動することで、個体としての生命活動が維持されています。それぞれの細胞が有する機能は、細胞膜表面上あるいは細胞質内部に発現(保有)するタンパクの種類に依存することが明らかにされており、特定のタンパクの発見は、既知の細胞機能の解明や未知の機能発見の糸口とるため非常に重要と考えられており、GP2は膵臓や小腸の一部の細胞に特異的に存在しているため、その発見は、それらの細胞が有する特異的な機能(消化系機能など)の解明につながるものとして期待されております。

■ノックアウトマウス系統樹立の意味
あるタンパクが持つ機能を調査する最も簡単な方法は、そのタンパクを個体の中からすべて除去し、除去していない個体との差を観察することです。タンパクの場合、その合成が特定の遺伝子に依存しているため、個体の発生過程において依存する遺伝子を取り除くことで(ノックアウトすることで)、先天的に特定のタンパクを除去した個体を生み出すことができます。しかし、これにはまず、特定のタンパクを発現させる遺伝子を特定し、さらにそれらを欠損、あるいは発現を抑制させる方法を確立しなければなりません。また、たとえ遺伝子の特定や欠損を実現できたとしても、欠損させた遺伝子の影響により、個体の発生や生殖機能に異常が発生した場合、マウスの系統を樹立(自然に子孫が増える状態に)することができず、安定した実験環境を得ることができません。GP2においては、ノックアウトマウス系統が早期に樹立されていたことが機能解明の効率化に大きく寄与しております。

■解明されたGP2の機能
今回の研究では、少なくとも小腸内パイエル板(小腸内にあるリンパ節)のM細胞に存在するGP2には、大腸菌やサルモネラ菌等の病原菌に含まれるFimHと呼ばれるタンパクと特異的に結合・輸送し、免疫系を担う樹状細胞に渡すという機能があることがわかっております。また、樹状細胞は抗原提示細胞とも呼ばれ、特定の抗原(ここではFimHに結合した病原菌のタンパク)に対する免疫系の機能を活性化する機能をもつ細胞であり、その結果、GP2は、小腸内の病原菌を捕まえ、免疫系を活性化する生体防御の機能の一端を担っていることが解明されました。

■研究成果の応用
GP2はFimHと呼ばれるタンパクと特異的に結合・輸送し、それらを免疫系に渡す機能があります。そこで、FimHに人為的に免疫を発生させたい抗原(例えばインフルエンザウイルスタンパク)を結合させ、GP2発現細胞に与えることで、結果として人為的に特定抗原に対する免疫を機能させることが可能となります。これは、経口ワクチン、つまり飲み薬としてのワクチン開発の可能性を示唆するものであり、その意義は非常に大きく、経口ワクチンが開発できれば、患者への投与負荷の提言はもちろん、ワクチンの開発やデリバリコストを大幅に削減することが可能となります。但し、そのためにはFimHおよび抗原タンパクを消化液等で変性させることなく、抗原性を維持したまま小腸パイエル板まで届かせる投与技術の開発を合わせて行う必要があります。

■ロハス・インスティチュートとしての今後の取り組み
ロハス・インスティチュートでは、福岡氏と連携し、経口ワクチン開発時に必要となるGP2遺伝子ノックアウトマウスの安定供給体制の確立やGP2に関する特許の管理・販売などを計画しています。

【本件に関するお問い合わせ先】
イー・キャッシュ株式会社 管理部
TEL: 03-6402-5684  E-mail: info@ecash.co.jp

企業情報

企業名 イー・キャッシュ株式会社
代表者名 --
業種 未選択

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