「子どもの心の中の世界」解明を目指すクラウドファンディングが開始 〜発達心理学・認知神経科学の研究者が挑む〜
この度、発達心理学・認知神経科学を専門とする若手研究者4名(大谷康太・渡部綾一・桑水隆多・山本希)が、「子どもの心の中の世界」の解明を目指すクラウドファンディングを開始いたしました。本プロジェクトでは、これまでの科学が立ち入ってこなかった、子どもの内にある思考や感情、意識(内的世界)の様相に、神経・生理学的手法との融合などを通して迫ります。これは、子どもの能力を最大限引き出す未来の実現とともに、大人が子どもの頃を追体験できる可能性を示すものでもあります。子どもの行動が大人にさまざまなヒントを教えてくれるように、子どもの内的世界を調べることは、大人の世界観を大きく変革するヒントが隠されているかもしれません。皆さまのご支援が、まだ見ぬ子どもの心の宇宙を明らかにし、未来の教育と社会に貢献するための確かな一歩となることを確信しています。内的世界の冒険に、皆さまのお力添えをお願いいたします。
クラウドファンディング概要
・タイトル:乳幼児の内なる世界を読み解く
・ページURL:https://academist-cf.com/projects/396
・目標金額:100万円(All or Nothing形式)
・募集期間:2025年9月2日(火)8時~2025年10月30日(木)17時
・資金の使途:調査参加者の確保、実験機材の購入、成果を発信する論文出版や学会発表資金 等
本文
「子どもにしか感じることができない世界はあるのでしょうか?」
「幼少期のあなたの眼には、世界がどのように映り、一体どのようなことを考えていたのでしょうか?」
私たちは皆、子どもの頃を経験してきたにも関わらず、いつの間にか、あの時の感覚を忘れ、目の前の子どもの言動にしばしば不思議な感情さえ抱かされます。ひとりでぬいぐるみに話しかけたり、何でもないものがすごく怖かったり、素朴な疑問に夢中になったり...。
私たち4人が目指すのは、そんな子どもが感じていることや考えていること、すなわち「心の中の世界(内的世界)」を明らかにすることです。
これまで子どもの研究の多くは、大人の認識できる客観的な現象や外界に表出される言動を対象としてきました。しかし、子どもの内にある思考や感情、あるいは意識は、大人の想像を遥かに上回るような豊かさを持っている可能性があります。そして、それはあなたが子どもの頃に経験した不思議な記憶、あるいは目の前の子どもの不思議な言動と関係しているかもしれません。
私たちのプロジェクトは、内的世界の発達的起源という、これまで科学が立ち入ってこなかった領域への開拓を意味するものです。さらに、子どもの能力を最大限引き出す未来の実現と、大人が子どもの頃を追体験できる可能性を示すものでもあります。子どもの行動が大人にさまざまなヒントを教えてくれるように、子どもの内的世界を調べることは、大人の世界観を大きく変革するヒントが隠されているかもしれません。
今回のプロジェクトでは、具体的に次の4つの点に取り組みます。
1. 幼児の内的世界の発達過程を評価する質問紙の開発:
幼児の内的世界を調べるためにまず欠かせない方法は「何を考えているか質問すること」です。しかし、幼児に対する内的世界の質問方法はまだ、確立されていません。そこで成人向けの内言質問紙である The varieties of inner speech questionaire - Revised(VISQ-R)を参考に、幼児がわかりやすく答えられる質問紙を開発します。これにより、幼児の内的世界の多様性や大人との違いを示すことを目指します。
2. 幼児の内言と感情との関わりを明らかにする研究:
感情が高まると心の中の言葉はどのように変わるのでしょうか? 私たちのこれまでの取り組みから開発した「内言を行動面から測定する課題(詳細はプレプリント http://dx.doi.org/10.2139/ssrn.5277036 をご覧ください)」を応用し、「感情」の高まりによって、子どもたちの内言が変化するのか・その変化が生理反応や行動等にも反映されるのかを調べたいと考えています。また、内言に操作を加える(たとえば「誰かになりきってもらう」など)ことで、内言がどのように変化するのかについても検証します。
3. 幼児の内言を客観的に測定するための生理指標の開発:
内言と瞳孔の大きさとの関連性が幼児でも示されるのかを検証し、子どもにとってより非侵襲的で安全かつ簡便な手法で内言を測定する方法を確立します。また、光を使った脳活動計測法も組み合わせることで、より信頼性と妥当性の高いデータを取得することを予定しています。
4. 内的世界解明のための継続的議論
幼児、あるいはより年齢の低い子どもの内的世界を包括的に理解することは極めて難しいテーマであり、すぐに完結するものではありません。だからこそ、「議論を重ね、新しいアイディアを出していく」ということも今回の重要な活動のひとつとして位置付けています。4人の専門領域を生かし、どのようにすれば乳幼児の内的世界をより高い解像度で明らかにできるのかを徹底的に議論するとともに、研究成果を国内外の学会や学術誌で発表しながら、世界の研究者とも議論を重ねます。そして、内言以外のさまざまな領域を視野に含め(視覚的なイメージなど)包括的に子どもの内的世界の全体像を理解するための研究を模索していきます。
研究費サポートのお願い
私たちが挑む「内的世界の研究」は、すぐに教育現場に応用できるような成果を生むものではありません。しかし、確かな基礎研究の積み重ねこそが、信頼できる教育的応用へとつながり、子どもたちの未来をより良いものにすると信じています。
だからこそ私たちは、クラウドファンディングを通じて、乳幼児の保育や教育、幼児体育、そしてご家庭での子育てに関わる皆さまに、私たちの研究の道筋や成果達成を見守っていただきたいと願っています。そして、日々子どもたちに寄り添い、「この子たちは何を考えているのだろう」と感じている皆さまと一緒に、研究をさらに前に進めていきたいと考えています。子どもたちの可能性を最大限に引き出し、大人が子どものころの感覚を追体験できる未来を実現するためには、「内的世界」の基礎研究が不可欠です。皆さまのご支援が、子どもたちの心の奥底に秘められた輝きを明らかにし、未来を拓く大きな力となります。
いただいたご支援は、貴重な研究費として子どもたちの「内的世界」の解明に不可欠な調査参加者の確保、最先端の知見を得るための実験機材や機器の購入、そして得られた成果を世界に発信するための論文の出版費や国内外の学会での発表資金として、大切に活用させていただきます。リターンとして、法人や親御さま向けの出張講義なども承っておりますので、是非ご検討いただけましたら幸いです。皆さまのご支援が、まだ見ぬ子どもの心の宇宙を明らかにし、未来の教育と社会に貢献するための確かな一歩となると確信しています。内的世界の冒険に、皆さまのお力添えをお願いいたします。
クラウドファンディング実施者の紹介
・大谷 康太(聖ヶ丘保育専門学校 専任教員(筑波大学非常勤研究員兼務))
修士(文学)
2022年筑波大学人間学群障害科学類卒業,2024年京都大学大学院文学研究科修了,修士(文学).高校英語科教員,特別支援学校教員,小学校教員を経て,現職.現在は保育者を目指す学生の指導にあたっている.研究分野は,言語を中心とした発達認知科学,発達障害学であり,外国語を含めた読み書きに関する困難さから研究をスタートし,現在では内的世界の言語に目を向け,より広く子どもの発達を捉え,その支援に繋げる試みを行っている. 教員として経験を生かしながら,教育現場や臨床と基礎研究の橋渡しをする存在を目指して活動している.
詳細: https://researchmap.jp/kota_psycho_
・渡部 綾一(京都大学大学院文学研究科 特定研究員)
博士(文学)
2019年横浜市立大学国際総合科学部卒業,2024年京都大学大学院文学研究科修了,博士(文学).京都大学大学院教育支援機構奨励研究員,Monash大学訪問研究員,日本学術振興会特別研究員DC2を経て,現職.研究分野は発達心理学,認知科学.「わたしとは何か」「生きるとは何か」「世界とは何か」といった主観的な問いについて,クオリアや意識の発達の観点から研究している.
詳細: https://researchmap.jp/wtnbr
・山本 希(京都大学大学院文学研究科 日本学術振興会特別研究員)
博士(文学)
2020年慶應義塾大学環境情報学部卒業,2025年京都大学大学院文学研究科修了,博士(文学).京都大学大学院教育支援機構奨励研究員,日本学術振興会特別研究員DC2を経て,現職.研究分野は発達心理学,認知科学.他者とのかかわりの中で生じる感情・認知の発達について関心を持ち,アンケート調査や実験的手法を用いて検討している.今後は,瞳孔といった生理指標など,メンバーの知見を掛け合わせながら,子どもの内的世界をさらに解像度高く明らかにする.
詳細: https://researchmap.jp/nozomi-yamamoto
・桑水 隆多(筑波大学体育系 助教)
博士(体育科学)
2018年横浜市立大学国際総合科学部卒業,2023年筑波大学人間総合科学学術院修了,博士(体育科学).日本学術振興会特別研究員DC1,京都大学文学研究科特定研究員(日本学術振興会特別研究員PD)を経て,現職.研究分野はスポーツ神経科学,運動生化学,発達心理学.ヒトの身心統合的活動と発達の脳機構について瞳孔・瞬き計測,機能的近赤外分光分析法を用いた研究を行なっている.今回はさらに子どもの内的世界という難題に力を合わせて挑戦する.
詳細: https://researchmap.jp/kuwamizu_ryuta
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企業情報
| 企業名 | academist Prize 第5期「乳幼児の内なる世界を読み解く」研究チーム |
|---|---|
| 代表者名 | 山本 希 |
| 業種 | 教育 |









