冠動脈心疾患のリスクを高めるトランス脂肪酸、ほとんどの人がその危険性を理解していない!「トランス脂肪酸」の知られざる特徴とは?

日本では認知度の低いトランス脂肪酸。その成分を摂りすぎると病気のリスクが高まると言われていますが、実は日本でも基準値を超えている方が多くいることがわかりました。そこで、この度、20歳~69歳までの男女1,000名を対象に、食品の成分に関する意識について、調査を実施いたしましたので、ご報告いたします。実態を知っていただくとともに、食品の成分について理解を深めていただくきっかけになれば幸いです。

調査では約4割の人が自身の食生活について「気になる」と答えながらも、食品を選ぶ際の優先順位は「成分<味<価格」となっており、日頃の食品選びに関して、成分について軽視されていることが明らかになりました。何となく悪い成分を避けている人・全く気にしない人が多く、子どもに食べさせるものでさえ、合わせて3割近くの人が、成分的に悪いものを食べさせても「しょうがない」「特に気にしない」と考えているという、心配な結果が出ました。

食品に含まれる成分について軽視されている結果となりましたが、成分の中には、摂取し続けることによって、人体にとって有害なものも存在します。例えば、悪玉コレステロールは一般的に体に悪いことが知られています。その悪玉コレステロールを増加させる特徴を持つ成分の一例として、「トランス脂肪酸」の特徴についてご紹介します。

トランス脂肪酸は血液中のいわゆる「悪玉コレステロール」を増やし、「善玉コレステロール」を減らすという研究結果が出ています。過剰に摂取すると、冠動脈心疾患のリスクを高めることにも繋がってしまいます。本リリースでは日本人のトランス脂肪酸の摂取量に関する研究結果およびThe New England Journal of Medicineに掲載された、トランス脂肪酸に関する研究結果も合わせてお伝えします。

上記調査では、そもそもこの成分について知らない、聞いたことはあるけど、理解している人が非常に少ないということもわかりました。安全とされる食べ物も、知らない内に基準値を超えて摂取していることが考えられます。

まずは、「知ること」でリスクを最小限に抑えることができますので、そのきっかけとしてご覧ください。

 

【食品の成分に関する実態調査結果概要】

・30・40代女性でトランス脂肪酸の摂取量が基準値を超えている!

・食品を選ぶ際に重視するポイントは「成分<味<価格」であるという実態が明らかに

・成分は「何となく悪いものは避ける」「気にしない」…危険すぎる食品選び事情!

・子どもに食べさせるものでさえ、3割近くが「しょうがない」「特に気にしない」…

・成分への意識の低さ故か…トランス脂肪酸が何に入っているかも、そもそも何かも知られていない…

 

 

■日本でも30・40代女性は摂りすぎているとの結果が

実はアメリカでは禁止されて、日本では規制が緩い成分があるのはご存知でしょうか。それはトランス脂肪酸という脂質です。日本ではまだまだ認知度が低く、その危険性もあまり知られていません。しかし実際は、日本でもトランス脂肪酸を摂りすぎている人が多いという研究結果が出ています。

 

「Estimation of Trans FattyAcid intake in Japanese Adults Using 16-Day Diet Records Based on a Food Composition Database Developed for the Japanese Population」によると、日本の4地域に居住する30~69歳の成人225名から16日間の食事の記録を収集する実験を行い、トランス脂肪酸摂取量を測定した結果、都市部に居住する女性及び30~49歳の女性では特に高いという結果が出ました。詳しく見てみると、トランス脂肪酸摂取量が総エネルギー摂取量の1%を超えている被験者の割合は、30~39歳では33%、40~49歳では38%、50~59歳では25%となっています。また、トランス脂肪酸摂取量には、菓子類、焼き物、脂肪、油類が大きく寄与しており、摂取量の約75%が、工業的に生産されたトランス脂肪酸に起因しているという結果も出ました。

 

後述しますが、海外ではトランス脂肪酸の過剰摂取による体への影響に関する論文も発表されています。

では、食品を購入する際どの程度の方が成分を注意しているのか、またトランス脂肪酸に対する認知度について調査しました。

 

【食品の成分に関する意識調査結果詳細】

■食品を選ぶ際に重視するポイントは「成分<味<価格」であるという実態が明らかに

日々生活を送る中で、どういったことを気にしている人が多いのでしょうか。最多は「運動」で49.9%、2番目が「食事」で37.1%という結果に。4割弱の人が、日頃の食生活に対して何かしら思うところがあるようです。

これだけ食事に関して気がかりな人が多い理由は、どういった点にあるのでしょうか。食品を選ぶ際の考え方を聞いてみたところ、「価格>成分」「味>成分」という人がそれぞれ33.6%・28.5%もいるということが明らかになりました。成分以上に、味や価格を追い求めていることから、食生活について気がかりな部分が出てきているようです。

 

 

■成分は「何となく悪いものは避ける」「気にしない」…危険すぎる食品選び事情!

更に食品選びに関してより成分にフォーカスした形で質問しました。結果、最多は「成分表示は見ないが、できるだけ悪い成分を避ける」で36.1%、2番目は「特に気にせず商品を購入する」で28.4%という結果となりました。「考えたことがない」に関しても7.2%おり、大体の人が「なんとなく悪い成分は気にしている」もしくは、「何も成分のことを気にせず商品を買ってしまっている」という実態が明らかとなりました。

 

 

■子どもに食べさせるものでさえ、3割近くが「しょうがない」「特に気にしない」…

続いて、子どもに食べさせるものに関してどう考えているかを質問しました。こちらはこれまでの結果とは違い、悪い成分が入っているものは食べさせたくないという傾向が見られました。しかし子供に関してでも、ある程度は悪い成分が入っていてもしょうがないと諦めている人や、特に気にしないと回答している人が少なからずいました。食品添加物や有害な物質よる危険に晒されている子供がいるという、非常に忍びない実態が明らかとなりました。

 

 

■成分への意識の低さ故か…トランス脂肪酸が何に入っているかも、そもそも何かも知られていない…

食品の成分に関して、ほとんどの人の関心が薄いという実態が明らかになりました。しかし実際は、食品の中にはさまざまな成分が含まれております。摂取しすぎることによって、有害に作用する成分も含まれるのです。前述で、実は一部の方が摂取量が基準値を超えていると言いましたが、トランス脂肪酸は、一般的に体に悪いものとして知られる悪玉コレステロールを、増加させる特徴があります。

 

アメリカでは禁止されているトランス脂肪酸ですが、日本ではトランス脂肪酸がどの程度知られているのか調べてみました。(詳細は後述)

認知度を聞いたところ、最多は「聞いたことはあるが、詳しく知らない」で45%。「知らない」も32.8%おり、認知度・理解度ともに多分に低いという実情が見て取れます。更にトランス脂肪酸の印象についても聞いてみたところ、「なんとなく食べてはダメだと思う」「特に知らない」といった回答が多く見られ、正しくその成分について理解されていないということがわかりました。

また、トランス脂肪酸がどういった食品に含有されているか知っているかも質問しました。結果、ほとんどの人がどういった食品にトランス脂肪酸が入っているのか知らないという結果が出ました。

トランス脂肪酸は一般的に、マーガリンやファットスプレッド等に含まれていると言われています。身近な食品に、実は多く含有されている場合も少なくありません。

食の安全を気にすることの第一歩として、成分の理解に加え、どんな食品にどんな成分が含まれているのか、正しく知ることが重要であることがわかりました。

 

【調査概要】

調査期間:2017年5月31日(水)~2017年6月2日(金)

対象人数:1,000人

対象年齢:20~69歳の子どもがいる男女1,000名

調査方法:インターネット調査

 

 

■トランス脂肪酸、その危険性…冠動脈心疾患のリスクを高めるとの研究結果も

トランス脂肪酸の過剰摂取のリスクに関しては、The New England Journal of Medicineに掲載された研究結果によると、以下のようなものがあるといいます。

 

<トランス脂肪酸によるリスク>

・LDL(俗に言う「悪玉コレステロール」)を増やし、HDL(俗に言う「善玉コレステロール」)を減らす

→結果として、冠動脈心疾患のリスクを高める

 

・Lp(a)リポ蛋白濃度を上昇させる

→血中Lp(a)の高値は冠動脈心疾患リスク増加に繋がるという研究結果もある

 

・空腹時中性脂肪濃度を上昇させる

→わずかではあるが、心血管疾患リスク増加可能性

 

<研究結果詳細>

1990年の研究では、食事に含まれる一価不飽和脂肪酸の主体であるオレイン酸の含有量が多い食事(1日エネルギー摂取量の10%)をトランス脂肪酸が多い食事に置き換えた場合、LDL値が14 mg/dL(0.37 mmol/L)増加し、HDL値が7 mg/dL(0.17 mmol/L)減少するという結果が出ました。LDLは俗に言う「悪玉コレステロール」で、はHDL「善玉コレステロール」です。

 

対照的に、オレイン酸を飽和脂肪酸で置き換えた場合、LDL値の同様の増加が認められたが、HDL値には影響はありませんでした。結果として、トランス脂肪酸食(2.58)を摂取した場合のLDL: HDL比は、飽和脂肪酸食(2.34)又はオレイン酸食(2.02)を摂取した場合のLDL: HDL比と比較して明らかに高い数値が出ました。

これらの知見は多数の研究によって裏付けられており、例えばLichtenstein et al.12はさまざまな濃度及び配合のトランス脂肪酸を用いた研究結果を報告しています。上の図は、トランス脂肪酸の影響と等カロリーのシス脂肪酸の影響を直接比較したランダム化試験を要約したものです。入手可能なデータに関しては、同一試験における飽和脂肪酸の効果についても図示しています。

 

トランス脂肪酸はLDLを飽和脂肪酸と同程度に上昇させるとともにHDL濃度は低下させるため、トランス脂肪酸がLDL: HDL比に及ぼす実際の影響は飽和脂肪酸の約2倍となります。直接比較が可能だった6件の試験3,5-8,11いずれの場合でも、トランス脂肪酸がLDL: HDL比に及ぼす影響は、飽和脂肪酸がLDL: HDL比に及ぼす影響と比較して明らかでした。総じてこれらの研究は、トランス脂肪酸は飽和脂肪酸と比較してLDL: HDL比の上昇率が大きいということを明確に裏付けるデータとなりました。

 

図1に示した最も当てはまりのよい回帰直線のとおり、トランス脂肪酸摂取量の絶対増加が2%の場合、LDL: HDL比が0.1単位上昇します。LDL: HDL比の1単位上昇は冠動脈心疾患リスクの53%増加と関連していることから、カロリーの平均2%をトランス脂肪酸から摂取しているアメリカ合衆国では、冠動脈心疾患による死亡が著しく多いことが予測されます。

 

飽和脂肪酸をトランス脂肪酸で代用した場合、LDL: HDL比が上昇するだけでなく、Lp(a)リポ蛋白濃度も上昇します。10件のうち9件の試験でLp(a)濃度の顕著な上昇が報告され6,8,10-13,16,17、トランス脂肪酸由来のエネルギー摂取量が2%増加すると、Lp(a)は平均0.5 mg/dL増加するという結果が出ました。一部の試験では、血中Lp(a)の高値は冠動脈心疾患リスク増加と関連していました。トランス脂肪酸によって誘発される血中Lp(a)のわずかな変動の影響は不明です。

 

トランス脂肪酸は空腹時中性脂肪濃度も上昇させます。中性脂肪濃度の上昇に関する多数の研究が報告されており、その範囲は1.0〜24 mg/dL(0.01〜0.27 mmol/L)で、トランス脂肪酸由来のエネルギー摂取量が2%増加すると中性脂肪は平均3.0 mg/dL(0.03 mmol/L)増加しました。このような心血管疾患リスク増加の影響はわずかではあるものの、好ましくない影響を与える可能性が高いとされています。



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企業情報

企業名 食品の成分に関する意識調査委員会
代表者名 井澤陵
業種 医療・健康

コラム

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