国立循環器病研究センターと工業デザイナーの共同開発によるアイウェア「パラシールド」がグッドデザイン賞を受賞!医療ドラマに起用されるなどそのデザイン性が話題に!
「パラシールド」は、従来の目の保護具が「曇る」「装着感が悪い」「めんどう」という医療現場のニーズを、国立循環器病研究センター臨床工学技士の西垣孝行氏と、工業デザイナー の大浦イッセイ氏とが共同で、これらの課題ををデザインで解決した新しいコンセプトの感染対策アイウェア。デザイナーの大浦イッセイ氏曰く、「鼻口をマスクで保護していても、眼を保護していなければ万全の感染予防とはいえません。感染予防は自分だけのことではなく、自分が感染してしまうと、自分の家族、周りの人にも危険がおよびます。医療現場で感染予防することは、自動車に乗るときにシートベルトを着用するのと同じく、「命をまもる」責任なのです。」と。「パラシールド」は、今週から始まる医療系のドラマで起用もされ、そのデザイン性がすでに話題になっている。
国立循環器病研究センターと工業デザイナーの共同開発によるアイウェア「パラシールド」がグッドデザイン賞を受賞!医療ドラマに起用されるなどそのデザイン性が話題になっている!>>>http://www.g-mark.org/award/describe/42680?token=2vVfgHshX7
■パラシールド開発の背景
医療従事者は現場においての様々な感染を防ぐため、マスクや手袋といった製品を装着している。しかし、「眼」への曝露(細菌やウィルス、血液をはじめとする体液等にさらされること)を防ぐ「アイガード」に関しては、病院施設が導入しているにもかかわらず、医療従事者の使用率が非常に低い。医療従事者がこれを使用しない理由に「曇る」「めんどう」「装着感が悪い」という製品の課題があった。そこで国立循環器病研究センター臨床工学技士の西垣孝行とインテリジェントウェア株式会社の工業デザイナー 大浦イッセイとが共同でこれらをデザインにより解決し、本製品を開発した。 製造・販売は、『まもる』を製(つく)る!をコンセプトとする宇都宮製作株式会社が行う。
■医療施設内における曝露の現状とアイウェアによる環境汚染
職業感染制御研究会のアンケート結果①によれば、提出施設 74施設(平均稼働病床数652床、範囲:226-1261)における皮膚・粘膜への曝露件数は2年間で962件報告されており、その内66.8%が眼への曝露を報告している。厚生労働省がまとめた平成25年度医療施設(動態)調査・病院報告の概況②において、アンケートの調査範囲と同規模である200床以上の病院数は 2656施設で、調査範囲外となる200床未満の病院数は倍となる 5884施設である。さらに一般診療所 100528施設、歯科診療所 68701施設における曝露リスクを考慮するとアンケート結果はあくまでも氷山の一角である事が分かる。
曝露報告者の中でアイガード装着率①は、ゴーグル 2.9%、フェイスシールド 0.8%、眼保護付外科手術用マスク 0.2%と、合計 3.9%程度であり、眼からの曝露リスクを軽視している傾向が見られる。またアイガードを導入している施設割合は 98.6%と高値であったにも関わらず、施設内を部署別に比較すると、ほとんどの部署が 60~80%程度の導入率となり、アイガードが適切に配置されているとは言えない現状が明らかとなっている。
再使用可能なアイガードを臨床使用している医療従事者も多いが、Victor R. Langeは、手術室内の保護用眼鏡の汚染レベルを調査し、再使用可能な保護用眼鏡の94.9%に微生物汚染を認め、消毒後であっても74.4%が培養陽性であったと報告している。再使用可能なアイガードではバイオバーデンが持続しており、手術室の環境汚染リスクに寄与している可能性があると述べており、抗菌素材または抗菌成分を使用することや、新たな消毒法を検討すべきであると述べている③。医療従事者が個人で所有しているメガネやサージカルルーペなども同様に環境汚染の原因となり得ると考えられる。
※参考資料
①エピネットサーベイランスにより皮膚・粘膜曝露の疫学(2013)
http://jrgoicp.umin.ac.jp/jes/jes2013/エピネットサーベイランスにより皮膚・粘膜曝露の疫学.pdf
②平成25年度医療施設(動態)調査・病院報告の概況
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/13/
③Eyewear contamination levels in the operating room: Infection risk, Victor R. Lange, MSPH, CRC, Promise Hospital of San Diego, San Diego, CA, Available online 17 January 2014
■デザイナーの想い
「眼をまもる」こと、それは「命をまもる」こと。
鼻口をマスクで保護していても、眼を保護していなければ万全の感染予防とはいえません。感染予防は自分だけのことではなく、自分が感染してしまうと、自分の家族、周りの人にも危険がおよびます。医療現場で感染予防することは、自動車に乗るときにシートベルトを着用するのと同じく、「命をまもる」責任なのです。
■製品の特長
①曇らないクリアな視界のアンチフォグシールド
パラシールドの防曇シールドは、撥水性のコーティングではなく、素材そのものが、曇りの原因となる微細な水滴を吸収しては蒸発させるという機能を持っているため、機能が劣化することがないのが特長。※日本製
②「装着感」と「衛生面」を解決したβチタン製フレーム
βチタンは眼鏡にも使われている優れた装着性能を提供できる素材で、フィッティング調整したあとも使用による変形もしない。また皮膚に接触する部位もβチタンであれば生体適合性に優れ、さらに衛生面を考慮して表面は鏡面仕上げを施し、アルコール消毒や高圧蒸気滅菌にも対応できる。長期間繰り返し使用できることから、経済的にも環境的にも優れているのが特徴。βチタンは非磁性体のため磁気共鳴画像(MRI)装置への吸着事故も発生しないという利点もある。※日本製
③「めんどう」を解決したシールドフィッター
フレームにシールドを取り付ける面倒さを解消するため、簡単にフレームにセットできる装着具(シールドフィッター)を開発(世界初)。緊急時に少しでも医療従事者の手間を軽減できるのが特長。※日本製
■パラシールドの商品概要
名称: パラシールド(Parashield)※商標登録済
発売開始日 : 2015年9月25日
販売価格 : チタンフレーム:3,000円※税別、防曇シールド:2,000円(10枚入)※税別
URL : http://www.parashield.jp/
※2015年度グッドデザイン賞受賞
■今後の展開
医療現場において、マスクや手袋の装着が標準化されているように、パラシールドの装着を標準化してゆきたい。日本国内の販売からスタートし、世界展開も見据えている。
■会社概要
商号:宇都宮製作株式会社
代表者:代表取締役社長 大西 健路
所在地:〒578-0965 大阪府東大阪市本庄西1丁目5番1号
事業内容:医療機器をはじめとした医療用衛生資材の製造開発・販売
設立:1903年
資本金:9,000万円
年商:100億円
URL:http://www.u-seisaku.co.jp
■宇都宮製作株式会社
明治36年(西暦1903年)に創業、大阪府東大阪市に本社を構え、『まもる』を製(つく)る!という旗印の下、医療機器をはじめとした医療用衛生資材の製造開発・販売を行っている会社。100年以上経た今もほとんどの水枕に使用され続けているコマ付き締め金を開発、ドイツから水銀の体温計を輸入し国内にひろく広めるなど誰もが知っている医療分野の代表製品を世の中に発信している。現在では手術用手袋をはじめ年間20億枚ものディスポーザブル手袋を販売し、マスクやエプロンなど感染対策に役立つ製品を幅広く展開している。
企業情報
企業名 | インテリジェントウェア株式会社 |
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代表者名 | 大浦一成 |
業種 | 広告・デザイン |