マーサー 「2014年世界生活環境調査‐都市ランキング」を発表

・ ヨーロッパの都市がランキングの上位で優勢 ・ ウィーンが5年連続で「世界生活環境ランキング」首位、バグダッドが最下位 ・ アジアのトップ5に日本の4都市がランクイン - 東京(43位)、神戸(47位)、横浜(49位)、大阪(57位)

マーサーは「2014年世界生活環境調査-都市ランキング」を発表した。
調査結果によると、ヨーロッパの都市が世界生活環境ランキング上位を占める中で、ウィーンが前年と同じく、世界で最も生活環境水準が高い都市となった。チューリッヒが2位、オークランドが3位と続き、4位にミュンヘン、5位に北米で最も生活環境水準が高いバンクーバーという結果となった。この5都市の順位は2011年以来変わっていない。

世界的に生活環境が低いと位置づけられたのは、イエメンのサヌア(219位)、チャドのンジャメナ(220位)、ハイチのポルトープランス(221位)、中央アフリカ共和国のバンギ(222位)と、前回に引き続き最下位のイラクのバグダッド(223位)だった。

アジアではシンガポール(25位)のみがトップ30位に入り、アジアの2-5位は日本の4都市が占めた:東京(43位)、神戸 (47位)、横浜(49位)、大阪 (57位)。

マーサーは、多国籍企業やその他の組織が駐在員を海外に出向させる際の報酬を公平に決定する基準となる「世界生活環境調査」を毎年実施している。一般的なインセンティブとして、ハードシップ手当と海外勤務手当(モビリティープレミアム)がある。ハードシップ手当は、派遣元と派遣先の生活環境差に対する補償として支払われる。一方、海外勤務手当(モビリティープレミアム)は、本国を離れて海外で勤務することに対する奨励として支払われる。この調査に基づいて発行されるマーサーの世界生活環境レポートは、世界460都市以上のハードシップ手当に関する有益な情報を提供している。

マーサーのシニア・リサーチャーであるスラジン・パラカティル氏は次のように述べている。「政情不安、高い犯罪率、大気汚染の悪化は、海外駐在員やその家族および現地住民の日常生活に悪影響を及ぼす要因となる。企業は現地の環境が海外駐在員の報酬パッケージに適切に反映されていることを確認するために、明確に現地の生活環境を把握する必要がある」

パラカティル氏はこう続ける。「世界経済がよりグローバル化することにより、従来の金融・ビジネスセンター以外の都市が生活環境を向上させており、より多くの外国企業を誘致している。本年度の調査では、世界の「セカンドティア」または「新興」と呼ばれる都市のいくつかを例として紹介している。これらの都市はインフラに大規模投資を行っており、租税、住宅、入国管理などを優遇することで、海外からの直接投資を呼び込んでいる。今後、新興都市は、従来の金融センターや首都の競合となり得るであろう」


地域別分析

【ヨーロッパ】
ヨーロッパでは、ウィーンが世界で最高位という結果になった。他のヨーロッパの都市では、チューリッヒ(2位)、ミュンヘン(4位)、デユッセルドルフ(6位)、フランクフルト(7位)がそれに続いている。「全体的にヨーロッパの都市は、他の地域の都市に比べ、高い生活環境水準を享受している。医療、インフラ、娯楽施設は概してとても高い水準にある。政情の安定ならびに比較的低い犯罪率により、多くの場所では海外駐在員に安全と安心感を与えている。この地域は、前年からの生活水準の変化がほとんど見受けられない」とパラカティル氏は述べている。

191位のグルジアのトビリシはヨーロッパで最下位となったが、主に消費財の入手しやすさ、国内安定性の好転、インフラの発展により生活環境の改善が続いている。他のヨーロッパの下位都市は、ベラルーシのミンスク(189位)、アルメニアのエレバン(180位)、アルバニアのティラナ(179位)、ロシアのサンクト・ペテルブルク(168位)となっている。107位のポーランドのヴロツワフは、ヨーロッパの新興都市である。ポーランドのEU加盟により、ヴロツワフは、人材プール、インフラの改善、国内、外国からの直接投資などにより、目に見える経済成長を遂げている。EUはヴロツワフを2016年の欧州文化首都に指定している。

【南北アメリカ】
南北アメリカ地域では、カナダの都市が北米の上位を占めている。5位のバンクーバーがこの地域での最高位となり、オタワ(14位)、トロント(15位)、モントリオール(23位)、サンフランシスコ(27位)がそれに続く結果となった。この地域の最下位は、メキシコシティー(122位)であり、その他の下位都市は、アメリカのデトロイト(70位)、セントルイス(67位)、ヒューストン(66位)、マイアミ(65位)となっている。パラカティル氏は述べる。「全体的に北アメリカの都市は、高い生活環境水準にあり、企業や海外駐在員にとって魅力的な派遣先となっている。特に幅広い消費財が手に入ることや、娯楽を含むインフラにおいては、卓越している」

中南米では、生活環境は都市により大きく異なる。グアドループのポワンタピートル(69位)がこの地域での最高位となり、サンフアン(72位)、モンテビデオ(77位)、ブエノスアイレス(81位)、サンティアゴ(93位)がそれに続く結果となった。ブラジルのマナウス(125位)は、行政がこの地域の他の都市と比べて競争優位な条件を与えるマナウス経済特区 (Free Economic Zone of Manaus)の創設により、主要な産業センターとなっており、この地域の新興都市の一例とされている。この経済特区は、既にいくつかの多国籍企業が定着していることで、他の都市や地域から人材を呼び込んでおり、その数は、近い将来さらに増えると予想されている。

パラティカル氏は次のように述べている。「中南米のいくつかの都市は、比較的安定的な政治環境、インフラの改善、快適な気候により、今もなお海外駐在員に魅力的である。」パラカティル氏は続ける。「しかし、多くの場所では、ハリケーンの度重なる襲来などの自然災害や、現地経済の不均衡、高い犯罪率により、いまだ厳しい状況にある。企業は、これらの場所に海外駐在員を派遣する場合、低い生活環境水準に合わせたハードシップ手当を適切に支給する必要がある」

【アジア・太平洋】
アジアでは、シンガポール(25位)が最高位という結果になった。その後に、東京(43位)、神戸(47位)、横浜(49位)、大阪(57位)と日本の4都市が続いている。タジキスタンのドゥシャンベ(209位)は、アジアの最下位となっている。「アジアは他どの地域よりも、都市間の生活環境水準の差が大きな地域である。韓国の都市が例に挙げられるように、多くの都市では、生活環境が引き続き改善している。一方、中国の一部の都市のように、大気汚染の広がりが生活環境を悪化させている」とパラカティル氏は述べている。

過去10年の著しい成長によって、アジアの多くのセカンドティアの都市が、多国籍企業の重要な事業拠点として浮上している。例えば、韓国の天安(98位)では、いくつかのテクノロジー企業が戦略的拠点として事業展開している。インドのプネー(139位)は、過去10年以上にわたり、ITの専門教育、その他のハイテク産業、自動車メーカーの中心地として発展してきた。中国の西安 (141位)は、海外からの投資を促進するために、経済技術開発区(Economic and Technological Development Zone)に指定され、大きく発展している。西安は金融機関、コンサルティング、コンピューターサービスの派遣先都市ともなっている。

その他では、3位のオークランド、10位のシドニーのように、ニュージーランドやオーストラリアの都市が、世界生活環境ランキングの上位となっている。

【中東・アフリカ】
中東・アフリカ地域では73位のドバイが最高位となった。アラブ首長国連邦のアブダビ(78位)、モーリシャスのポートルイス(82位)、南アフリカのダーバン(85位) 、 ケープタウン(90位)がそれに続いている。ダーバンは、製造業の発展や積み出し港の重要性の高まりにより、この地域の新興都市の一例とされている。しかし、この地域は、世界生活環境ランキングの最下位6都市のうち5都市を占めており、バグダッド(223位)は前回に引き続きランキング全体の最下位となっている。

「中東、とりわけアフリカは、多国籍企業と海外駐在員にとって最も厳しい地域の一つのままである。地域の不安定と市民暴動を含む破壊的な政治イベント、インフラ不足、洪水などの天災が、多くの都市の生活環境の改善を抑制している。外国企業にとってあまり魅力的では無いであろう一部の都市では、外国企業を誘致しようと努力している」とパラカティル氏は締めくくった。
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リリース全文はこちらからご覧ください
http://www.mercer.co.jp/press-releases/1585770
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「マーサー 2014年世界生活環境調査‐都市ランキング」
総合ランキング
<上位5都市>
1 ウィーン (オーストリア)
2 チューリッヒ (スイス)
3 オークランド (ニュージーランド)
4 ミュンヘン (ドイツ)
5 バンクーバー (カナダ)

企業情報

企業名 マーサージャパン株式会社
代表者名 鴨居 達哉
業種 その他サービス

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