カナダ・オンタリオ州 ScarX Therapeutics社、手術後の傷を減らす抗瘢痕化薬を開発

手術後の傷(瘢痕(はんこん))向けの治療薬を開発する、オンタリオ州のScarX Therapeutics社は、手術後の傷を回復させる画期的な治療薬「ScarX」の商品化に向けた取り組みに対し、25万カナダドル(約2,300万円)の資金支援を受けたと発表しました。

手術後の傷(瘢痕(はんこん))向けの治療薬を開発する、オンタリオ州のベンチャー企業、ScarX Therapeutics社(スカーエックス・セラピューティックス、同州トロント)※1は、手術後の傷を回復させる画期的な治療薬「ScarX」の商品化に向けた取り組みに対し、Ontario Centres of Excellence(オンタリオ・センター・オブ・エクセレンス:OCE)※2から、25万カナダドル(約2,300万円)の資金支援を受けたと発表しました。OCEは、研究成果の商業化を支援する公的組織です。

ScarXは、手術後の傷に塗布して傷を減らすクリームです。トロント小児科病院の整形外科長、ベンジャミン・アルマン博士(Dr. Benjamin Alman)が、MaRS Innovation(マーズ・イノベーション)※3と連携して開発しました。

世界では年間2億4,000万件の手術が実施されており、そのうち70%の人が、術後に何らかの傷跡ができたこと訴えています。こうした傷は身体的に不快なだけでなく、精神的なストレスにもなっています。現在、術後の瘢痕化を整復する効果が臨床試験で実証された処方薬はありません。この技術へのニーズは非常に高く、ScarX Therapeutics社は、ScarXの市場規模は数十億カナダドルに達すると見込んでいます。同社は2013年後半に臨床試験を開始する予定です。

OCEの社長兼CEOのトム・コア(Dr. Tom Corr)博士は、「ScarXは、まさに、多くの手術に関連した瘢痕化の治療方法を大きく変えることになります。OCEの市場投入準備プログラムを通じて、研究に基づくこの画期的な製品の商業化およびオンタリオ州の経済成長に貢献できることを嬉しく思います」と、述べています。

OCEの投資を受けて、ScarX Therapeutics社は、2013年中の臨床試験の開始に向けて、作業を完了させる予定です。今回の支援は、新たに拡充されたOCEの市場投入準備プログラムの下で行われる最初の支援です。同プログラムは、同州の公的な学術研究機関が開発した将来有望な技術の商業化に取り組む企業を支援するものです。同プログラムは、技術の保持と持続可能な経済的利益を生み出すことを目的としています。

MaRS Innovationの社長兼CEOのラファエル・ホフシュタイン(Raphael Hofstein)氏は、「ScarXは、トロントの世界有数のリサーチ・クラスターで生み出された、多くの有望な生命科学技術の一つです。オンタリオ州政府とOCEとともに、ベンチャー企業の育成に向けたシードファンドの枠組みを創設し、ScarX治療薬を臨床試験の段階に進めることができて光栄です」と、述べています。

■ScarXについて
アルマン博士は、肥厚性瘢痕からヒトの線維芽細胞を分離して使用するin vitroスクリーニング試験において、抗瘢痕化薬としてさらに開発を進めるべき薬剤の候補に、既知のネホパム(Nefopam)を特定しました。博士は、ネホパムが皮膚の瘢痕化に伴う細胞内の重要な情報伝達経路を標的とすることを実証しました。外用薬のネホパムを使用したin vivo試験で、瘢痕は大幅に整復されました。ネホパムは、現在、術後の(非オピオイド性、非中毒性の)鎮痛剤として販売され、ヨーロッパやアジアの一部で30年以上利用されており、静脈内投与や経口投与されています。ネホパムを瘢痕化の予防と整復に効果のある治療薬として改めて位置づけることで、臨床研究のプロセスが大幅に短縮され、リスクも低減されることになります。ScarXクリームの想定される患者は、腫瘍切除、やけどで再建手術する患者や、先天性形成不全の治療患者、帝王切開をした女性などです。

※1  ScarX Therapeutics社について
同社は、手術後の創閉鎖による皮膚の傷の予防向けに、患者が塗布できる初の処方外用薬として、前臨床段階での新治療方法の開発に取り組むバイオテクノロジー企業です。2012年に設立されました。
ウェブサイト: http://scarxtherapeutics.com/ (英語)

※2 Ontario Centres of Excellenceについて
OCEは主要な市場部門で最先端の研究成果の商業化を促進することにより、将来に向けた経済の構築と、オンタリオ州の国際競争力の維持に貢献しています。これにより、OCEは次世代のイノベーターと起業家を育成し、同州の産業界、大学、カレッジ、研究病院、投資家、政府などの主要パートナーとして協力しています。

※3 MaRS Innovationについて
トロントの大学、研究機関など16の組織が開発した将来有望な画期的な研究の商業化に取り組んでいます。州内の会員組織が公開した1000件以上の知的財産を、産業界とのパートナシップやライセンス、企業のスピンオフを通じて事業化させる取り組みを行っています。    
ウェブサイト: http://marsinnovation.com/ (英語)

為替レートは1 カナダドル=92円で計算。

■オンタリオ州について
オンタリオ州はカナダ経済の中心地となっており、カナダ全体のGDPの38%、人口の39%、カナダの輸出品の39%がオンタリオ州に集中しています。あらゆる規模の事業者に対する財政面や事業面でのサポート体制、イノベーションや研究開発を促進させる資金支援プログラム、G7の中で最も高い教育水準を誇る労働力などをベースにして、オンタリオ州は、カナダ最大の経済圏、かつ、北米でトップ10の経済圏となっています。
約200社の日系企業が、オンタリオ州に投資しており、ホンダ、トヨタ、日産、三菱重工業、カプコン、コーエイ、アステラス製薬、武田薬品工業、キャノンなどの主要企業が現地法人を置いています。日本はオンタリオ州の5番目の貿易相手国となっており、また、当州への海外資本投資額のうち、日本からの投資額が約9%を占めます。2011年の日本の対オンタリオ州の輸入額は約12億4,000万カナダドル、同輸出額は、約84億8,000万カナダドルとなっています。

詳細は、「インベスト・イン・オンタリオ」日本語サイトhttp://www.investinontario.com/Japan
「Ontario Exports」http://www.ontarioexports.com をご覧ください。

オンタリオ州政府サイト: http://www.gov.on.ca/

オンタリオ州政府経済開発省(Ontario Ministry of Economic Development, Trade and Employment)サイト:
http://www.InvestinOntario.com

■オンタリオ州政府在日事務所について
オンタリオ州政府在日事務所(Ontario International Marketing Centre、東京都港区カナダ大使館内)は、日本とオンタリオ州の貿易・投資促進を図る目的で2006年6月、オンタリオ州政府経済開発省(Ontario Ministry of Economic Development, Trade and Employment)によって、開設されました。同在日事務所は、日本企業の投資誘致活動、オンタリオ企業・輸出業者への支援、日本の行政・媒体関係者の協調関係を深めるなど、様々な活動を通じてオンタリオ州の産業、ビジネスを紹介し、日加間のビジネス交流・貿易の促進に取り組んでいます。
URL: http://www.sse.gov.on.ca/medt/investinontario/jp/Pages/ontario_and_japan.aspx

企業情報

企業名 株式会社トークス
代表者名 平田 宏
業種 その他サービス

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