住民作家の9作品が優秀賞等に決定（全国初！北海道の5000人の町から住民が65冊の本を出版し町おこし）

北海道後志管内の蘭越町において、行政に頼らず住民有志が企画して、13歳から88歳までの住民がこれまでに65冊の本を出版し、町おこしをするというユニークな取組みを行ってきました。11月24日に開催した出版記念会において、審査委員会選出による優秀賞等が決定しましたので、お知らせさせて頂きます。

1．企画の狙い
住民の自己実現、交流促進、地域資源の再認識、電子書籍で町PR、本貸出で図書館の魅力向上を図ります。

2．これまでに出版した本の数
3月に38冊、4月1冊、8月3冊、9月5冊、10月4冊、11月14冊出版し、累計で65冊出版しています。
＊電子書籍サイト（ http://p.booklog.jp/users/rankoshi ）で無料閲覧することができます

3．審査委員会
審査委員長
千石 涼太郎（作家・エッセイスト）
審査委員
有村 やすし（写真家）　
平野 たまみ（あるた出版 代表取締役社長・O.tone編集長）
ＭＡＲＵ（FMドラマシティ 取締役放送局長・脚本家・演出家）

4.優秀賞等
優秀賞
自伝部門　「僕たちのワイナリーができた！」　「母からの手紙」　「硫酸山再生記」
ノンフィクション部門　「二人のオリンピアン」
小説部門　「さくらいちえ」
奨励賞
千石賞　「口語訳 恵曽谷日誌」
有村賞　「ラスト・ラン」
O.tone賞　「木工房　湯ノ里デスク」
FMドラマシティ賞　「My favorites」

5．その他
優秀賞等の作品は、koboイーブックストアでも無料配信し、住民作家の優れた本として紹介していく予定です。

6．出版記念会での審査委員の主なコメント
・優秀賞
【僕たちのワイナリーができた！】
ワイナリーが出来るまで相当な苦労、努力をされてきたことが目に浮かぶ作品。事業を興そうとしている人たちだけでなく、人々が自分の職業、家族、人生を考えさせる作品になっている。北海道の、蘭越の未来を考え、背中を押す1冊。完結編までが楽しみである。

【母からの手紙】
50 年以上前の母親からの手紙で、当時の「物価」を記録しようとした視点が面白い。お金の話を率直に書ける親子関係、その時代の家族のあり方や、ご近所との濃密な関係、母親の人生が浮き彫りになっている 1 冊。何よりもお母様の素敵な人柄が偲ばれ、ほのぼのした気持ちにさせてくれた。

【硫酸山再生記】
蘭越町で起きた希有な実体験を表現した優れた作品。本人にしか書けない貴重な1冊。“人は誰でも1冊はいい本が書ける”という典型。テレビ局のディレクターもドキュメンタリーにしたいくらいと評していた。

【二人のオリンピアン】
蘭越町から2人のオリンピック選手が生まれていたことを知らしめるこのプロジェクトにふさわしい作品。夢に挑む2人の姿は、少なからずスキー少年へのエールになる。

【さくらいちえ】
とても書きなれているという印象。台詞の挿入がうまい。次を読みたくなる文章は好感が持て、小説の中でもっとも完成度が高い作品といえる。

・奨励賞
【口語訳 恵曽谷日誌】
北海道の歴史の一端を現代人に知らしめる1冊を書いてくれたことに感謝。資料的価値の高い1冊。学校図書館に置いて置くべきものではないかと思う。

【木工房 湯の里デスク】
ビジュアルが美しい。廃校した小学校がショールームに生まれ変わり、新たな息吹きが注がれ、温度を感じ、ほっとする作品。欲をいえば、ボリュームがほしいのと、パーソナリティがもっとでていいたら、さらにいい作品になっていた。

【ラスト・ラン】
いじめや心の病などで不登校あるいは自ら命を絶つ世の中、成長期のデリケートな心と、両親の葛藤が生々しく表現されている作品。 作者がこのような境遇にかかわっていたかのような感じられるほど、表現力豊かである。

【My favorites】
一見ごく普通の主婦の方のブログだが、逆にそれがとても自然体で好感が持てる。写真も作為的なところがなく独特の視点でいい。もっとこの方の写真が見たくなった。お子さんの成長記録のようなものが織り込まれており、これからの蘭越町で育つお子さんの成長記録がとても楽しみである。