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自分が試してもいない勉強法を勧めるのは抵抗があるんです

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AERA English
高橋 有紀 氏
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AERA Englishの編集者として活躍する高橋有紀さん。英語が好きで、大学は国際基督教大学(ICU)に入学。卒業後、朝日新聞総合サービスに校閲担当として入社。3年半後、AERA Englishの編集者に。仕事で英語の勉強法を取材するうちに、TOEICで満点をとったという高橋さんにお話を伺いました。

Q高橋さんが編集者になられたきっかけについて教えてください。


広告業界で働きたくてコピーライター講座にも通っていたのですが、就職活動はうまくいきませんでした。2004年3月に大学を卒業してからも彷徨っていましたが、7月に朝日新聞総合サービスの校閲の部署で求人を発見。広告やコピーライターとは異なりますが、大学時代に日本語学を専攻していたこともあり、同じ言葉を使う校閲という仕事に興味を持ち応募したところ、入社できることになりました。

朝日新聞総合サービスでは、週刊朝日やAERAなど、朝日新聞出版から出る雑誌や書籍の校閲を行っています。私は大学がICUだったので、「英語大丈夫でしょ」と言われて、入社と同時期に創刊されたAERA Englishの校閲を担当することになりました。
ICU出身とはいっても、私の場合は帰国子女でもなく、留学といってもサマーコースの6週間だけ…。自分に務まるのか不安はありましたが、好きな英語に関われるのは嬉しかったですね。校閲を3年半経験し、もっと雑誌作りの企画の段階から携わってみたいと編集職に興味を持っていたところ、編集部に欠員が出て、2008年2月頃から編集に移りました。業務委託契約の編集部員として現在に至ります。

ただ、AERA English は2012年5月号を最後に月刊での発売が終わってしまいまして、現在ではAERA臨時増刊という形で、春と秋、年二回の発行になりました。現在はAERAの別冊である大学ムックシリーズの編集も同時に担当しています。

 

Q今までで特に印象に残っている記事はありますか?


担当した特集はどれも思い入れがありますが、記事1つ1つというよりは、臨時増刊になってから作ったAERA English丸々一冊を挙げさせてください。月刊で発行していた時と比べて、何がどう変わるのか考え、いろいろと悩んだのが印象に残っています。

臨時増刊号になって、内容を考えるにあたり、やはり売上げは重要な要素となります。楽天、ユニクロの英語公用語化といった背景もあり、月刊時代のAERA Englishで好調だったのはTOEIC特集の号でした。

なので臨時増刊号はTOEICを中心にした雑誌にすることになりましたが、TOEIC学習中の読者は、「英語が好き」というよりも、転職や進学のために「好きじゃないけどやらなければいけない」という方が多くなります。
月刊の時は、英語が趣味で買ってくださる方など、もともと英語好きな方が多かったので、読者層が変わりました。私は英語が好きなほうなので、英語アレルギーを持つ人たちの気持ちをなるべく想像しながら誌面を作っていくように心がけています。

また、年二回の発行となると、発売されたことを知ってもらうことにも苦労しますので、たとえば書店でAERA Englishで紹介した教材を扱うフェアを開催してもらうなど、宣伝の工夫も必要となります。
初めてAERA Englishを読む方、一冊しか読まない方も増えてくるでしょう。一冊で読み切れて、読みごたえがあって、ずっと役立ててもらえるTOEIC学習者に向けた雑誌にするにはどうしたらいいのだろう。雑誌を読んだ時だけ勉強しても意味がありません。どうしたら英語が好きじゃない人にも継続して勉強してもらえるのだろうと考えましたね。

 

Q継続して勉強してもらうために、AERA Englishではどのような工夫をされましたか?


習慣化コンサルタントの方に「TOEIC学習『続ける』習慣」について教えていただくなど、習慣化に重きを置いた特集を組むようにしました。
2013年春号では付録で「TOEIC学習手帳」をつけたり、2013年秋号では「1日30分 TOEIC筆写練習帳」など、習慣化してもらうためにアイテムも工夫しています。

読者の方から、「最低限毎日やるべきことを指示してもらえるのは、すごく助かるし、モチベーションが上がる」という声や、書店販売員の方から「膨大な本の中からどれを選べばよいのか、どのように学習すればよいかなど、売り場で悩むお客様にまずお勧めしたい1冊です」という声をいただいたり、反響があるとやはり嬉しいですね。

 

Q高橋さんがAERA Englishを作る時に大切にしていることは何ですか?


本当のことを書くことです。取材を元にしているとはいえ、自分が試してもいない勉強法を勧めるのは抵抗があるんです。常々「目標を立てて習慣化して勉強しましょう」、と伝えている自分が勉強していないと読者に合わせる顔がないというか(笑)。

なので取材先で聞いた勉強法で、自分に合いそうだと思ったものは、必ず自分でも試すようにしています。休日は、録画したNFL(アメリカン・フットボール)の試合を見たり、海外ドラマ――先日はウォーキング・デッドというドラマを12時間くらいぶっ続けで見たりしましたが(笑)、知らない単語が出てきたらiPhoneで調べて……と気づくと英語に触れている感じです。

大学時代に初めて受けたTOEICは760点でしたが、日々の仕事を通して900点台まであがっていたので、今年は「990点を取る」と目標を決めて取り組みました。無事達成し、これまで紹介してきた学習法が間違っていないことを証明できて、安心しました(笑)。
同僚の編集者も200点上がっていましたし、やはり日常から英語に触れることは大事なのだなと思います。

 

Q普段広報の方とはどのようにお付き合いされていますか?


AERA Engishの人気コーナーで、「今日からマネしたい!みんなの英語習慣」というものがあります。TOEICの点数が上がった一般の方たちに習慣化のコツをインタビューしているのですが、こちらのコーナーに出ていただく方を探すのは自分たちだけでは限界があります。なので各企業の広報の方にご紹介いただいたり、「こんなに点数が上がった人がいるよ」という情報をいただいて取材に行っています。

定期的に飲みに行くなど、普段からお付き合いしている広報の方もいますが、初めてお電話をいただく広報の方でも、英語に関しての情報や企画をいただいて、面白そうだなと思ったら取材に行かせていただいていますね。

 

Q今後どのような媒体作りを目指していきたいですか?


「AERA English=英語学習のパートナー」と世間から認識されるような立ち位置を確立したいですね。
それから、やはり英語の学習には仲間が必要だと思います。一人でやっていると挫折してしまう人も、仲間がいることでモチベーションが上がって、継続できたりするものです。まずは英語学習のペースメーカー、モチベーション維持のカンフル剤として雑誌を使ってもらい、ゆくゆくはSNSやtwitterを通して英語学習の仲間が作れる場作りのようなものもできたらいいなと思います。

読者が英語の勉強を諦めるのではなく、TOEICの点数が上がったり、英語が話せるようになって、次の段階に進むことで、「もうAERA Englishは必要ない!」と卒業してもらえたら、それは喜ばしいことですよね。

 

(取材日:2013年10月24日)

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