連合調べ 「妊娠時に不利益な取り扱いや嫌がらせを受けた」5人に1人

 連合(日本労働組合総連合会)は、妊娠しながら働いている女性の労働環境を把握するため、「働く女性の妊娠に関する調査」を、モバイルリサーチにより、2015年1月26日~2月2日の8日間において実施し、働きながら妊娠をした経験がある20歳~49歳の女性1,000名の有効サンプルを集計しました。

働く女性の妊娠に関する調査

===トピックス===
◆妊娠中の働き方
・妊娠中の1日の労働時間 「約8時間」が最多、『9時間以上』は1割半
・『9時間以上』働くことが多かった 早産した人では4人に1人、流産してしまった人では5人に1人の割合に
・肉体的・精神的負担が掛かる仕事をしていた割合は、順調だった人より早産・流産した人のほうが高い傾向

◆職場への妊娠報告
・職場への妊娠報告はいつ? 最多は「妊娠8週」
・妊娠報告時、上司・同僚の反応にストレスを「感じた」人は4人に1人

◆妊娠時に受けた職場からの勤務上の配慮
・妊娠時に勤務上の配慮を「十分に受けられた」正社員・正職員は4割、他の就業形態より低い傾向
・受けられた勤務上の配慮
 「病院に行く時間の確保」「勤務時間の短縮・残業免除」「重量物を扱う仕事の免除」
・「非正規雇用労働者も勤務上の配慮が受けられる」 非正規雇用だった人の認知率は半数以下
・過度の就労が早産などのトラブルのリスクを高めること
 「自分も職場の人も十分な知識がなかった」4人に1人

◆妊娠時の職場での不利益な取り扱いや嫌がらせ
・妊娠時に不利益な取り扱いや嫌がらせを受けた 5人に1人
・不利益な取り扱いや嫌がらせを受けた人の8割以上がストレスを感じたと回答

◆妊娠後の仕事
・妊娠後に仕事を「辞めた」6割
・妊娠後に仕事を辞めた理由 「仕事を続けたかったが、仕事と育児の両立の難しさから」21%
 「仕事を続けたかったが、職場で安心して出産まで過ごせないと考えたから」17%
 「仕事を続けたかったが、妊娠を機に不利益な取り扱いを受けたから」7%

===調査結果===
~~妊娠中の働き方~~
◆妊娠中の1日の労働時間 「約8時間」が最多、『9時間以上』は1割半
◆正社員・正職員では『9時間以上』が4人に1人以上
◆『9時間以上』働くことが多かった 早産した人では4人に1人、流産してしまった人では5人に1人の割合に
◆妊娠中の働き方 「立ったままの仕事が多かった」37%、「重い物を持ち上げる仕事が多かった」14%
 「ノルマなどストレスの強い仕事があった」は10%
◆肉体的・精神的負担が掛かる仕事をしていた割合は、順調だった人より早産・流産した人のほうが高い傾向

 全国の働きながら妊娠をした経験がある20歳~49歳の女性1,000名(全回答者)に、妊娠中の働き方について聞きました。

 まず、全回答者(1,000名)に、1日の労働時間はどのくらいの場合が多かったか聞いたところ、「約8時間」が43.7%で最多回答となったものの、『9時間以上』も16.6%と1割半みられました。
 『9時間以上』働くことが多かったと回答したのは、正社員・正職員では26.2%と4人に1人以上の割合となりました。また、早産になった人、流産してしまった人では、出産まで問題なく順調だった人と比べ『9時間以上』の割合がやや高く、出産まで問題なく順調だった人の13.3%に対し、早産になった人では24.6%、流産してしまった人では20.0%となりました。

 次に、全回答者(1,000名)に、妊娠中の働き方・働く様子を聞きました。
勤務時間帯については、「基本的に日中時間帯の勤務」が86.3%と8割以上となりましたが、「夜勤(午後10時以降の勤務)や深夜残業、当直などの泊まり勤務があった」と回答した人も7.9%みられました。
 仕事内容については、「立ったまま仕事をすることが多かった」が37.3%、「重い物を持ち上げる仕事が多かった」が14.3%となりました。また、「ノルマや締め切りがあるなどストレスの強い仕事があった」は10.1%となり、肉体的負担や精神的負担が掛かるような仕事をしていた人は少なくないようです。
 妊娠時のトラブル別にみると、早産になった人では「重い物を持ち上げる仕事が多かった」が22.6%(出産まで問題なく順調だった人では12.2%)、流産してしまった人では「立ったまま仕事をすることが多かった」が45.3%(出産まで問題なく順調だった人では35.3%)と出産まで順調だった人よりも10ポイント以上高くなりました。また、「ノルマや締め切りがあるなどストレスの強い仕事があった」は早産になった人では17.0%、流産してしまった人では16.4%となり、出産まで問題なく順調だった人(7.0%)と比べ、早産になった人では10.0ポイント、流産してしまった人では9.4ポイント高くなり、早産になった人や流産してしまった人は、出産まで順調だった人よりも肉体的・精神的に負担が掛かっていた可能性が窺える結果となりました。


~~職場への妊娠報告~~
◆職場への妊娠報告はいつ? 最多は「妊娠8週」
◆職場へ妊娠報告をすることに「ためらいがあった」は3人に1人
◆職場への妊娠報告にためらった理由 “同僚への遠慮”“職場の雰囲気”
 就業形態によってためらう理由が異なる傾向が明らかに
◆妊娠報告時、上司・同僚の反応にストレスを「感じた」人は4人に1人

 職場への妊娠報告について聞きました。
 まず、全回答者(1,000名)に、職場の上司など、会社側にいつごろ妊娠の報告をしたか聞いたところ、「妊娠8週」が最も多く14.2%、次いで、「妊娠12週」10.8%、「妊娠13~16週」10.5%が続きました。また、「最後まで報告しなかった」との回答も6.8%みられました。

 次に、会社側に妊娠報告をした932名に、職場に妊娠を告げることについて、ためらいがあったか、なかったか聞いたところ、「報告することにためらいはなかった」が65.7%、「報告することにためらいがあった」が34.3%となりました。ためらいがなかった人のほうが多くなりましたが、ためらいがあった人の割合は3人に1人の割合となりました。

 それでは、職場に妊娠を告げることにためらいがあった人は、なぜ、ためらいを感じたのでしょうか。
会社側に妊娠報告をした際に、ためらいを感じた理由を聞いたところ、「職場に繁忙感があり同僚などに迷惑をかけると思ったから」(45.0%)と「職場に言いにくい雰囲気があったから」(41.9%)が4割台となり、「安定期に入るまで待つべきだと思ったから」(32.5%)が3割台、「契約を更新してもらえない、または仕事を辞めるようすすめられると思ったから」(20.6%)が2割台となりました。同僚への遠慮や職場の雰囲気が理由だった人が多いようです。
 就業形態別にみると、同僚への遠慮が理由になっていたのは、契約社員・派遣社員よりも正社員・正職員とパート・アルバイトのようで、「職場に繁忙感があり同僚などに迷惑をかけると思ったから」は正社員・正職員(48.5%)とパート・アルバイト(43.8%)では4割以上でしたが、契約社員・派遣社員(34.8%)では3割台でした。
 また、その他の項目でも就業形態毎に特徴が表れ、「職場に言いにくい雰囲気があったから」は正社員・正職員(48.5%)、「安定期に入るまで待つべきだと思ったから」はパート・アルバイト(37.1%)、「契約を更新してもらえない、または仕事を辞めるようすすめられると思ったから」は契約社員・派遣社員(39.1%)がそれぞれ他の就業形態の人に比べ高くなりました。ためらう理由は、就業形態によって異なる傾向にあることがわかりました。

 また、会社側に妊娠報告をした932名に、報告した時の上司、または同僚の反応にストレスを感じたか聞いたところ、「強く感じた」7.3%、「感じた」16.4%となり、合計23.7%がストレスを感じ、「あまり感じなかった」39.5%、「全く感じなかった」36.8%となり、合計76.3%がストレスを感じなかったという結果となりました。妊娠報告時の上司・同僚の反応にストレスを感じた人が4人に1人の割合となり、少なくないことが明らかになりました。


~~妊娠時に受けた職場からの勤務上の配慮~~
◆妊娠時に勤務上の配慮を「十分に受けられた」正社員・正職員は4割、他の就業形態より低い傾向
◆受けられた勤務上の配慮
 「病院に行く時間の確保」「勤務時間の短縮・残業免除」「重量物を扱う仕事の免除」
◆職場からの勤務配慮が不十分だったことに対し、正社員・正職員の半数以上がストレス
◆切迫流産時や切迫早産時に医師の指導に基づいた勤務配慮を受けられなかった
 切迫流産時では9%、切迫早産時では13%
◆「非正規雇用労働者も勤務上の配慮が受けられる」 非正規雇用だった人の認知率は半数以下
◆過度の就労が早産などのトラブルのリスクを高めること 「自分も職場の人も十分な知識がなかった」4人に1人

 雇用主は、妊娠中の女性従業員が求めた場合、業務の軽減や勤務時間の変更、病院に行く時間を取れるようにするなど勤務上の配慮をしなければならないことが法律で定められています。
 そこで、妊娠時に職場から受けた勤務上の配慮について聞きました。

 まず、全回答者(1,000名)に、妊娠時に、職場から勤務上の配慮は受けられたか聞いたところ、「十分に受けられた」45.2%、「受けられたが、十分ではなかった」28.9%、「出血や切迫早産などで医師の指導があるまでは受けられなかった」6.6%、「一切受けられなかった」19.3%となり、十分な勤務上の配慮を受けられた人は半数以下という結果となりました。また、一切受けられなかった人の割合は5人に1人でした。
 就業形態別にみると、「十分に受けられた」人の割合は、正社員・正職員では39.6%と4割となっており、他の就業形態の人(契約社員・派遣社員51.5%、パート・アルバイト50.3%)に比べると低くなりました。

 それでは、職場から勤務上の配慮を受けられた人は、どのような配慮を受けたのでしょうか。
 妊娠時に、職場からの勤務上の配慮を受けられた807名に、受けられた配慮の内容を聞いたところ、「病院に行く時間の確保」(40.3%)が最も多く4割、「勤務時間の短縮、残業の免除」(38.4%)と「重量物を扱う仕事の免除」(38.0%)が4割弱で続きました。
 就業形態別にみると、正社員・正職員と契約社員・派遣社員では「病院に行く時間の確保」がそれぞれ47.5%、46.7%と4割台後半となりましたが、それ以外の項目で4割以上になったものはありませんでした。他方、パート・アルバイトでは「勤務時間の短縮、残業の免除」44.9%が最も高く、「重量物を扱う仕事の免除」でも42.4%と4割以上となりました。就業形態によって受けやすい勤務上の配慮は異なる傾向にあるようです。

 また、妊娠時に、職場から十分な勤務上の配慮が受けられなかった548名に、そのことについて、ストレスを感じたか聞いたところ、「強く感じた」が14.1%、「感じた」が34.5%となり、ストレスを感じたのは48.6%、「あまり感じなかった」が40.0%、「全く感じなかった」が11.5%と、ストレスを感じなかったのは51.5%となり、ストレスを感じた人と感じなかった人が拮抗する結果となりました。
 就業形態別にみると、ストレスを感じたのは正社員・正職員が他の就業形態に比べ高く、54.6%(「強く感じた」16.1%と「感じた」38.5%の合計)と半数以上となりました。

 さらに、就業中の妊娠で、切迫流産になった人(115名)や切迫早産になった人(121名)には、切迫流産や切迫早産になったときに、医師の指導に基づいた勤務配慮を受けられたか聞いたところ、どちらも多くの人は「受けられた」(切迫流産時73.0%、切迫早産時73.6%、以下同順)と回答しましたが、「受けられたが十分ではなかった」(13.0%、9.9%)や「受けられたがそれをきっかけに不利益な取り扱いや嫌がらせなどを受けた」(5.2%、3.3%)といった回答もみられました。また、「申し出たが受けられなかった」は切迫流産時1.7%、切迫早産時3.3%、「申し出ることができず、受けられなかった」は切迫流産時7.0%、切迫早産時9.9%となり、それらを合計した“受けられなかった人”の割合は、切迫流産時では8.7%、切迫早産時では13.2%となりました。

 ところで、非正規雇用の労働者も、妊娠した場合に勤務上の配慮が受けられますが、どのくらいの非正規雇用の労働者がこのことを知っているのでしょうか。
 妊娠当時、契約社員・派遣社員、または、パート・アルバイトだった480名に聞いたところ、「よく知っていた」7.9%、「なんとなく知っていた」39.8%となり、それらを合計した認知率は47.7%と、半数に満たない結果となりました。

 また、妊娠中の過度の就労は、早産など様々なトラブルのリスクを高めるといわれますが、そういったことを知っている人が職場にいるのといないのでは、勤務上の配慮も大きく異なってくるのではないでしょうか。

 そこで、全回答者(1,000名)に、妊娠当時、自身や職場など周囲の人に、過度の就労がトラブルのリスクを高めることについての十分な知識があったと思うか聞いたところ、「自分も職場の人も十分な知識があった」が38.1%、「自分は知っていたが、職場の人は十分な知識がなかった」が22.2%、「職場の人は知っていたが、自分は十分な知識がなかった」が13.0%となり、自分も含め職場に十分な知識がある人がいた割合は73.3%、また、「自分も職場の人も十分な知識がなかった」は26.7%と、4人に1人の割合となりました。


~~妊娠時の職場での不利益な取り扱いや嫌がらせ~~
◆妊娠時に不利益な取り扱いや嫌がらせを受けた 5人に1人
◆不利益な取り扱いや嫌がらせを受けた人の8割以上がストレスを感じたと回答

 全回答者(1,000名)に、妊娠時に、職場で、妊娠・出産やそれにともなう体調不良をきっかけにした不利益な取り扱いや嫌がらせを受けたか聞いたところ、「受けなかった」が79.1%で最も多くなりました。しかし、「口頭などで嫌がらせを受けた」9.8%や「解雇、契約更新をしないなどの対応をされた」7.8%は1割近くとなり、「降格、重要な業務を任せてもらえない、意に反して担当業務を変更する、などの対応をされた」は3.3%と僅かですがみられ、不利益な取り扱いや嫌がらせを受けた人の割合は20.9%と5人に1人の割合となりました。

 また、妊娠時に、妊娠・出産をきっかけとした不利益な取り扱いや嫌がらせを受けた209名に、その不利益な取り扱いや嫌がらせに対し、ストレスを感じたか聞いたところ、「強く感じた」39.7%、「感じた」44.0%となり、ストレスを感じた人は83.7%、一方、「あまり感じなかった」13.9%、「全く感じなかった」2.4%となり、ストレスを感じなかった人は16.3%になりました。妊娠・出産をきっかけとした不利益な取り扱いや嫌がらせに対しては、大多数(8割以上)の人がストレスを感じていることが明らかとなりました。


~~妊娠後の仕事~~
◆妊娠後に仕事を「辞めた」6割
◆妊娠後に仕事を辞めた理由 「仕事を続けたかったが、仕事と育児の両立の難しさから」21%
 「仕事を続けたかったが、職場で安心して出産まで過ごせないと考えたから」17%
 「仕事を続けたかったが、妊娠を機に不利益な取り扱いを受けたから」7%

 最後に、妊娠後に仕事はどうしたか聞きました。

 全回答者(1,000名)に、妊娠後に、その当時の仕事を続けたか、辞めたか聞いたところ、「辞めなかった」は32.9%、他方、「辞めた」は61.2%となり、6割以上が妊娠後に仕事を辞めていたことが明らかになりました。また、「転職した」は3.8%、「同じ勤務先でパートなどに雇用形態を変えた」は2.1%となりました。

 それでは、妊娠後に、当時の仕事を辞めた人は、なぜ辞めてしまったのでしょうか。
 妊娠後に、当時の仕事を辞めた612名に、その理由を聞いたところ、「家事育児に専念するため自発的に」が最も多く55.2%でした。しかし、「仕事を続けたかったが、仕事と育児の両立の難しさから」が21.1%、「仕事を続けたかったが、職場で安心して出産まで過ごせないと考えたから」が16.8%、「仕事を続けたかったが、妊娠を機に解雇やパートへの変更を求められるなど不利益な取り扱いを受けたから」が7.2%となり、仕事を続けたいとの思いを持ちながらも、“仕事と育児の両立の難しさ”や“安心できない職場環境”、“不利益な取り扱い”によって辞めてしまった人も少なからずいた実態が明らかになりました。

■■リサーチ結果は、下記URLで公開しております。■■
 http://www.jtuc-rengo.or.jp/news/chousa/index.html  

===調査概要===
◆調査タイトル:働く女性の妊娠に関する調査
◆調査対象:ネットエイジアリサーチのモバイルモニター会員を母集団とする働きながら妊娠をした経験がある20歳~49歳の女性
◆調査期間:2015年1月26日~2月2日
◆調査方法:インターネット調査
◆調査地域:全国
◆有効回答数:1,000サンプル
◆実施機関:ネットエイジア株式会社

===報道関係の皆様へ===
本ニュースレターの内容の転載にあたりましては、「連合調べ」と付記のうえご使用くださいますよう、お願い申し上げます。

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企業情報

企業名 ネットエイジア株式会社
代表者名 三清慎一郎
業種 ネットサービス

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